2009年11月18日
「パーソナル・マーケティング」をうまく使う、たったひとつの冴えたやりかた
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【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、本田直之さんの最新刊、「パーソナル・マーケティング」。本の帯に「本田式・自分プロデュース術」とあるように、「個人ブランディング」のノウハウが満載です。
アマゾンの内容紹介がかなり充実しているので、そちらから一部引用。
「ブランディング」に関心の高い当ブログの読者さんなら、必読の1冊です!パーソナル・マーケティングは、自分を商品としてとらえ、
「客観的に見た自分の強みは何か?」
「それは誰の役に立つのか?」
を第三者視点で検討することから始めます。
そして、そこで決めた方向性にしたがい、適切な行動やアウトプットをしていきます。
時代がさらに変動して、もし皆さんの今の会社や仕事がなくなったとしても、パーソナル・マーケティングさえ間違えなければ、皆さん自身のブランドは価値を損なうことなく、輝き続けることでしょう。
・・・タイトルは、いつもの「ホッテントリメーカー」作ですがw
【目次】
【パーソナル・マーケティングの基本戦略】
法則01 パーソナル・マーケティングがうまくいっている人の共通点
法則02 パーソナル・マーケティングがうまくいっていない人の共通点
法則03 パーソナル・マーケティングのポイント ほか
【自分の強みを洗いなおす】
法則05 会社のブランドに頼らない
法則06 キャリアアップよりもプロフィールアップを目指す
法則07 プロフィールにストーリー性を持たせる ほか
CASE STUDY 1/山本ケイイチさん
【ターゲットを明確にする】
法則16 「誰の役に立つか?」を徹底的に考える
法則17 うまくいっている人のやり方を真似する
法則18 「相手はあなたに何を求めているか?」を考える ほか
CASE STUDY 2/泉正人さん
【断片的な経験や能力を体系化する】
法則21 成功体験をリストアップする
法則22 「たまたま」の成功を「何回でもできる」スキルに変える
法則23 ニーズとマッチさせて「切り口」をつくる ほか
CASE STUDY 3/湯本優さん
【他人との差別化をはかる】
法則25 「自分ならでは」の独自性をつくる
法則26 キャリアをミックスさせる
法則27 「もうひとつの個性」を見つける ほか
CASE STUDY 4/四角大輔さん
【個人のプロモーション戦略を考える】
法則29 セルフメディアを持つ +WORK
法則30 自分の名前を検索してみる +WORK
法則31 独自の言い回しでクチコミをつくる ほか
【個人ブランドをマネジメントする】
法則35 長期ブランディングを目指す
法則36 クレディビリティ(信用)を育てる
法則37 ブランド接点をデザインする ほか
【ポイント】
■1.「パーソナル・マーケティング」と「パーソナル・ブランディング」◆俗に、「個人ブランディング」「パーソナルブランディング」という言葉を聞きますが、それと「パーソナル・マーケティング」の関係について、本田さんはこう言われています。
なるほど、外見や名刺、パーソナルメディア等でブランディングする手法は今までもありましたが、そういったブランディングだけでなく、もっと幅広く包括的に「自己プロデュース」していく感じのよう。本書で提唱する「パーソナル・マーケティング」は、「パーソナル・ブランディング」の上位概念と位置づけています。
つまり、自分の見せ方だけではなく、経験やスキルをどう考えるか、から、それらを世の中にどう伝えていくか。そして、つくったパーソナルブランドを維持していくためにはどのようなことをすればいいかということまで、一連の過程をまとめて体系化したもの――それが本書の提唱する「パーソナル・マーケティング」です。
確かに、「自分の強み」や「自分らしさ」でブランディングするのはいいのですが、「それは誰の役に立つのか」を意識しないと、誰からも必要とされない可能性もあります。
この辺は「プロダクトアウト」だけでなく「マーケットイン」な考え方も踏まえているのだと思われ。
■2.「ニーズ」「ロジック」「オリジナリティ」を徹底的に考える
◆本書で「パーソナル・マーケティング」のできていない例として、「経験」と「スキル」をそのまま人に伝えようとしているパターンが紹介されています。
しかしそれですと、どんなにレベルが高かったとしても、世間一般的には受け入れられにくいもの。
そこで必要なのが、「ニーズ」「ロジック」「オリジナリティ」を考えるプロセスです。
◆「ニーズ」の段階では、「誰の役に立つのか?」「相手は何を求めているのか?」を繰り返し自分に質問することによって明らかに。
「ロジック」の段階では、自分の中で断片的な経験やノウハウを体系的にまとめていき、「再現性」を追求。
そして「オリジナリティ」の段階では、他者との差別化を考えます。
本書では具体的な「ワーク」が各章ごとにあり、それらをこなすことによって、徐々に「パーソナル・マーケティング」が出来上がっていく、という仕様。
かなり実践的だと思います。
■3.人に話を聞いてもらう
◆かつて、本を出される前の本田さんは、某売れっ子編集者さんに自分の話を聞いてもらったものの、上手く伝えられなかった経験があったそう。
そしてそれ以降、本田さんは「自分を商品として客観的にとらえるパーソナル・マーケティングの発想で考えるようになった」のだとか。
その際、相手は「できれば自分のことをよく知らない人」が良いとのこと。自分を商品として客観的にとらえるためには、第三者的な視点を持つトレーニングが必要となります。そこで、もっともオーソドックスかつ効果的な方法は、人に話を聞いてもらうことです。
そこで相手が「その話、面白いから詳しく聞かせてよ」となったら、そこに「自分の強み」を見出すヒントが!
実は、本田さんのヒット作、「レバレッジ・リーディング」も、本田さんご自身は、あえて人に教えることではない、と思っていたものを、東洋経済新報社の編集者さんが目にとめて出版に至ったのだとか。
自分では意外と気が付かないものなんですね。
■4.モデルを決め、その人と自分を比較する
◆上記3.とも関連しますが、第三者的視点を持つためには、「競合分析」も有効です。
対象となるのは、「自分が理想とする人(モデル)」。
そこで「自分にないもの/自分にあるもの」を横軸に、「モデルにないもの/モデルにあるもの」を縦軸にして、「2×2マトリックス」を作成します。
その際、次の2つの視点から考えてみると有効です。
「その人にあって、自分にないものは何か?」
「その人になくて、自分にあるものは何か?」
これはマーケティングでいえば競合分析にあたります。この2つの視点から比較分析をすることで、あなたの客観的な強みや足りない部分をあぶり出すことができます。
◆私は「本業ではやりようがないw」ので、書評系ブログとして考えてみました。
まぁ、モデルは色々と考えられるんですが、たとえば土井英司さんとして(土井さんは厳密にはメルマガですけど)。
モ │
デ 経営 |
ル 営業 │
有 │
―――――-+――――――
モ │
デ | 勉強
ル │ 恋愛
無 │
自分無 │ 自分有
「土井さんにあってわたしに無いもの」は山ほどあるんですけど、便宜上こんな感じ。
というか、「勉強本」と「恋愛本」って、どこに対してもウチの特徴のようなw
■5.ロジカルにまとめる練習をする
◆あー、これは私は苦手かも(いきなり逃げ腰)w
本田さんは、アメリカ留学中に、ロジカルに考えて話すトレーニングを徹底的にして行ったのだそう。
ちなみに本田さんがオススメされていたのは、有名なこの本。
・・・スイマセン、まだ読んでません。
◆また、経験やスキルを体系化するのに役立つ方法として挙げられていたのが、本書を読み、実践する過程において整理されたスキルを、「本の目次のような形式でまとめていく」というもの。
ここでフト思い出したのが、本田さんプロデュースの本、「仕組み仕事術」。本というものは、1冊の中で構成がしっかり体系立てて組み立てられているので、ひとつのテーマをロジカルにまとめるのに良い参考になります。とくに、売れているビジネス書や実用書は、切り口も独自性がありますから読んで損はありません。
この本の目次構成は、非常に見事だった記憶があります。
そういえば、小飼 弾さんも、「空気を読むな、本を読め。」の中で、「ビジネス書における目次の重要性」に言及されてましたっけ。
ここはひとつ、「本を書くツモリ」で、自分のスキルを目次化してみる、というのが良さげです。
■6.「もうひとつの個性」を見つける
◆本書では、「オリジナリティ」、すなわち「差別化」については、キャリアをミックスさせる「マルチキャリア」と、趣味や特技などの個性(タレント)を掛け合わせる「マルチタレント」が挙げられています。
「マルチキャリア」で身近なところだと、ブログ仲間の吉澤大さんは、「税理士」×「中小企業診断士」のマルチ。
「税理士の同業者」だと思っていたら、こんなセミナーの講師まで務めるのだとか・・・。
経営コンサルティングセミナー
肩書きも「経営コンサルタント」ですよ。
◆私の場合、このブログは本業とは全く無関係なので、むしろ、ブロガーとしての個性を際立たせるような「別の何か」をやったほうがいいのかも。
こうなったら吉澤さんに対抗して、「出版コンサルタント」か?←ウソw
ただ、何かを掛け合わせるにしても、「普通のもの」と「普通のもの」を組み合わせても、独自性はなかなか生まれません。
やはりそこには「人の興味を惹くポイントや特徴」が必要とのこと。たとえば、マラソンを趣味にしている会社経営者がいるとします。昔だったら話題になったかもしれませんが、今やスポーツをやっている経営者はいくらでもいますから、「自分だけ」のマーケットにはならないのです。
・・・本書に掲載されている「ワーク」をキチンとこなしたほうが良さそうです。
■7.マスメディアと上手に付き合う
◆上記の「ニーズ」「ロジック」「オリジナリティ」を踏まえてできたコンテンツも、そのままでは埋もれてしまいます。
そこで考えねばならないのが「プロモーション」。
本田さんは、まずはブログやメルマガといった「セルフメディア」を持つことを推奨。
そのセルフメディアがある程度認知されてくると、編集者や記者といった「目利き」の方にチェックされる、というワケです。
ありがたいことに、当ブログもそのレベルまでは来ている感じ。
◆ただそれも、自分のやりたいことだけやっていても難しいわけで。
私自身がアリだな、と日頃から思っているのは、よく読む雑誌等の特集や傾向を分析して、「こういう特集だったらこういう人間を呼ぶだろうな」という人間になる、という方法。具体的には、まずメディアの編集者や記者の方々に対して、有益な情報を提供できる存在になることが第一です。そうして信用を得て、「このテーマだったら○○さんに聞けばいい」と思われるようになれば、しめたものです。(中略)
基本は、相手のニーズに合う情報を発信していくことです。それを続けていれば、メディアリレーションは必ずできます。
実は私も大昔に某雑誌で、手帳の特集をやる、という際に、その雑誌の人に「誰か知り合いにいい人いない?」と聞かれたことがありました。
その時は、知り合いのとある方を推薦し、実際にその方も誌面に掲載されたのですが、メディア掲載がこんなに簡単に決まっちゃうものか、とちょっとビックリしたものです。
その方は、別にそのためにブログをやっていたわけではないのですが、メディアや世間のニーズに合った情報を発信していたのが勝因ではないか、と。
当ブログの読者さんにも、ぜひ本書を読んで企んで頂きたいところです。
【感想】
◆本書のテーマは、個人的に「ツボ」なので、ホントはかなり付箋貼りまくりましたが、この辺で。実は私が初めて本田さんの名前を知ったのは、本書内にも登場するこの本の翻訳者としてでした。
参考記事:「パーソナルブランディング」 ピーター・モトンヤ (著) 本田直之 (訳)(2005年06月09日)
・・・当時は今と同じくらい時間かけて、マインドマップ作ってましたね(遠い目)。
この本を読んだ直後に、鮒谷周史さんの泊りがけセミナーに参加した私は、まさにこの本に載っていたような「パーソナルパンフレット」を持参してきた参加者と出会い、その効果に納得したわけでして。
「やべぇ、この本田って人もタダモンじゃねー」とか思ったんですよ、マジで。
◆その後、たまたまその鮒谷さんと鮨食べていた時に、「本田直之さんが『読書本』を出す」という情報を聞きつけ、wktkしてたら、発売されたのが「レバレッジ・リーディング」だったというw
その後の本田さんの快進撃は、皆さんご承知の通り。
ただ、売れっ子になられて本を出す傍ら、平行してなさっていた「プロデュース業」は、今まであまり語られることがなかったような。
そんな本田さんのもう1つの面が、本書ではかなり書き込まれています。
本田ファンなら、そこだけでもたまらないかとw
◆それにしても、その「個人プロデュース」の結果出した本のうち、2冊も10万部超えをしているというのがスゴイです。
そして、それらの著者さんのブランディングや本の執筆の際に用いられたメソッドをまとめたのが、この「パーソナル・マーケティング」ということのよう。
折角なので、上記では触れなかった「ワーク」をいくつかご紹介してみます。
これは1度、本田さんのセミナーでもやりました(結構大変w)。法則1
『「名刺を渡してはいけない」
「自分の会社名を言ってはいけない」という前提で
自己紹介の文章をつくってみましょう。
それができたら、実際に、初対面の人に自己紹介してみましょう。』
これは、10個くらいは思い浮かんでも、そこからはやはり大変みたいですw法則21
『あなたのこれまでの経験の中で、うまくいったこと、
成果があがったこと、人に教えられることを、
100個書き出してみましょう。』
「パーソナル・マーケティング」の道は厳しい・・・。
◆と言うわけで。
そもそも上記の「パーソナルブランディング」を翻訳された時点で、おそらく本田さんは本書の構想のようなものはあったのだと思います。
その後、5年弱の間に蓄積された、ベストセラー作家&プロデューサーとしての経験と、実績。
本書はまさに、名実ともに、本田さんが出される本としてふさわしいのではないかと。
自らを「ブランド」化したい全ての人必読!
本田 直之 ¥ 1,512 |
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【編集後記】
◆昨日のアマゾンアタック。書いて稼ぐ技術 (平凡社新書)
・・・書けども書けども時間の割には稼げないワタクシには必読カモ。
ご声援ありがとうございました!
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どんな分野でも良いのでナンバーワンになれと
よく言われますが、それは相当に難しい事。
むしろ私のような凡人は「Aも出来るB」という
ポジションを押さえた方が楽です。
その結果その分野のナンバーワンでなくても、
AもBも出来ることを要求される場面だけでなく、
AやBのみを要求されるフィールドでも
特徴的優位性を発揮できますので。
よくよく考えたらヨシザワさんの場合、「C」という「著者」の顔もありますよね。
まさに「マルチキャリア」ですよ!
私は本業の方を死守しつつ、裏の顔(笑)をメジャーにしたいところです。
偶然というか何か不思議な縁を感じます。早速、書店で購入しますた。
最近は本田さんてだけで買ってしまいます。中身にもハズレが少ないし。きっと「感性があう」のかも。。。
>早速、書店で購入しますた。
さすがとっしーさん、素早い!・・・ってここで買いなはれw←アサマシ
本田本は私も大好物です。
これからもガンガン紹介しますよ〜w
でも、あの本屋で見つけた時の衝動が…
僕、書店でドーパミン出てるんじゃないですかね?
amazonで買うなら、smooth師匠の所から!って決めてますから安心してください(笑)
お気遣いありがとうございますw
自分自身が、最近リアル書店でばかり買っているので、全くヒトサマのことは言えないんですけどね〜w