2009年11月14日
【日本代表 対南アフリカ戦記念】「日本サッカー 世界で勝つための戦術論」西部謙司
青春出版社
売り上げランキング: 3312
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、「日本サッカー」を論じる1冊。今晩、対南アフリカ戦があるということで、久しぶりにサッカーネタで参ろうかとw
タイトルには「戦術論」とありますが、玄人でないとわからないようなガチなワケでもなく、「代表の試合も観なくなったけど、最近はどうなってるの?」という感じのライトなサッカーファンでも楽しめる内容です。
アマゾンの内容紹介から。
サッカー日本代表の「今」と「これから」が手軽にわかります!日本に足りない“戦術力”や、W杯本番を勝ち抜くための戦略、代表に本当に必要な人材などについて、戦術論の第一人者が余すところなく解説する。「サッカーは好きだけど、どんなポイントを観ればいいのかわからない」、「サッカー談義で負けたくない!」という人に最適な一冊。
いつも応援ありがとうございます!
【目次】
第1章 サッカー日本代表の現在地点
「アジア以上の世界未満」という現実
決定力不足の正体 ほか
第2章 日本に足りない“戦術力”
そもそも戦術とは何か?
“最新の戦術=最高の戦術”ではない ほか
第3章 W杯本番を勝ち抜くための戦略
戦術以上に大事な「組み合わせ」
日本が想定しなければならない3つの戦い方 ほか
第4章 日本代表に本当に必要な人材とは
中村俊輔は“代えのきかない選手”ではない
中村憲剛を生かす「ケンゴ・システム」 ほか
第5章 “日本サッカー世界一”への未来地図
野球が日本のナンバーワンスポーツという現実
その国のリーグが強くても代表が強くならない理由 ほか
【ポイント】
■日本代表の決定力不足の正体日本のホームでは相手が引いて守りを固めてくる。オーストラリアですら、日本のホームゲームでは引いて守っていた。そうなるとボールは支配できるが、スペースがないのでアタッカーの速さを生かせる場面がなかなか訪れない。(中略)
日本が決定力不足を露呈するのは主にホームゲームであり、相手に守備を固められた場合なのだ。
■日本人プレーヤーが小さい理由
実は、日本人がみんな小さいのではなく、小さい日本人がサッカーをやっているだけではないのか。サッカーをやっている日本人が小さいから、小さいサイズにあった「日本化」をしたり、スモールサッカーをしているのではないだろうか。
例えば、プロ野球には大きくてパワフルでスピードがあり、運動能力が高い選手がたくさんプレーしている。清原和博と松井秀喜がサッカー選手でセンターバックを組んでいたら、闘莉王&中沢佑二という不動のセンターバックを上回るパワフルなコンビになっていたのではないか。(中略)
もし野球が存在せず、サッカーが日本のナンバーワンスポーツだったら、第二の釜本や日本のトーレスが出現する確率は上がるに違いない。
■できるだけ敵陣でのプレーを心がける
守備でも攻撃でも、自陣に引いてプレーするのは日本にとって得策ではないことになる。ボールを奪う場所をなるべく相手ゴールに近づけ、そこから比較的短い距離のカウンターアタックを仕掛ければ、アタッカーのスプリント能力を生かしやすい。また、ゴールまで30メートルぐらいの距離なら、ファウルで倒されてもFKから得点チャンスが生まれる。
■"高い位置でのプレッシング"が抱える問題点
しかし、日本の高い位置でのプレッシングにも、いくつかの問題点がある。
第一に、FWの運動量と守備力が要求されることだ。(中略)
第二の問題点は、高い位置でのプレッシングをかわされたときの危険性が大きいことだ。
■選手起用における岡田監督の特徴
攻撃的MFのサイドにウイングプレーヤーではなく、プレーメーカータイプ(中村俊輔)を使っていることと、1トップの背後に位置するポジションには組み立てより得点力を期待しているらしいこと。選手起用における岡田監督の特徴はそれくらいだろうか。ただ、トップ下に組み立ての起点を置かず、サイドに起点となる選手を置くという考え方は岡田監督特有ではなく、そういう選手起用をしているチームは少なくない。
■W杯で日本が想定しなければならない3つの戦い方
●ブラジルのような相手に対しての戦い方
●日本がボールを支配して相手に引かれているというゲーム
●中盤でのつぶし合い、あるいはカウンターの打ち合い
(詳細は本書を)
■"代えのきかない選手"を作らない
代表チームの戦術はあまり「人」に頼りすぎないほうがいい。あまりに「人」に焦点を当てて戦術を組み立ててしまい、使う選手が変わるたびに戦術が変わるようでは、ただでさえコンビネーションを構築する時間が少ないのに、チームがまとまらない。
最終的にはプレーする選手の個性に左右されるとはいえ、特定の選手を想定するより、もう少し広く、日本人という大枠で向いているであろう戦術を大雑把に決めてしまったほうが、選手の入れ替えも容易で幅広い人材を生かすことができる。
■サッカーエリートを「輸出」する
選手の往来がグローバル化した今日、CL(UEFAチャンピオンズリーグ)出場選手数はその国の実力を測る1つの基準になる。08-09シーズンでCLに出場した日本人は、セルティックの中村俊輔だけだった。ブラジル人は50人もいるのに日本人は1人。せめて10人程度は送り込まないと「世界一」など口にできそうもない。
■なぜJクラブユースから代表選手が生まれないのか
サッカーの能力はあっても協調性がなかったり、自己管理能力が低かったり、自分でうまくなる能力や環境適応力が低いと、プロ選手として成功するのは難しくなる。中高生の年代では、「人を育てる」スキルを持った指導者が必要なのだ。
【感想】
◆「トルシエ⇒ジーコ」の監督交代時には、両方の支持層がかなり反発しあっていたような記憶があったのですが、ジーコ日本代表のドイツでの完敗を受け、なし崩し的に「オシムジャパン」が始動。アジアカップでは優勝を逃すなど、一部不安な点もありましたが、それなりに「イビチャ・オシム」という「世界の名将」に期待を持っていた方も多いと思います。
その後、病気で倒れたオシムに代わり、岡田武史氏が2回めの代表監督となり、無事ワールドカップへの出場を獲得。
「そんで、ぶっちゃけ、日本代表は今度のワールドカップではどうなのよ?」というのが、本書のテーマなわけです。
◆以前、このブログでも書いたことがあるのですが、ジーコジャパンの頃の私は某巨大掲示板wの「日本代表板」に毎日のように入り浸り、代表戦があろうものなら、片っ端からスレッドを読みまくり(たまには匿名で書き込みしw)、貴重な時間を費やしていました。
なんたって、ムスメが生まれた日も、私は分娩室に運ばれていったヨメの病室で、対シンガポール戦(away:2004/3/31)に釘付けになっていたのですからw
それはヨメも怒ります罠。
その位当時はサッカーヲタク(でも観戦厨)だったのに、ムスメが生まれてからはスタジアムには行かなくなったは、テレビは見なくなったはで、現在に至っております。
代表戦も、録画したのを観るどころか、スポーツニュースで済ませているという堕落ぶり・・・。
◆というわけで(?)、本書です。
新書で、なおかつページ数もそれほど多くない(172ページ)ので、サラサラっと読みきれる感じ。
非常にナチュラルに(?)まとまっていて、「現在の日本代表の戦い方」を知る上では、最適(というほどサッカー本を読んでませんが)ではないか、と。
さらには、「移籍金撤廃」によるJリーグチーム間のさらなる格差の問題や、Jリーグの「秋春制議論」についても言及。
スポーツニュースを流し読みするだけでは知りえなかった(ちゃんと読んでなかったのか?)知識も得ることができるコンテンツ内容です。
◆今夜の試合がどうなるのか分かりませんが、試合を見た後に本書を読めば、「なるほどだからこういう風になったのか」と、理解できるかもしれません。
岡田監督自体、それほど奇をてらった選手起用や戦術を取られていないので、この本にかかれているような「長所」と「短所」を持って試合に臨むハズ。
・・・って、全然違う展開だったら、コメント欄で突っ込んでくださっても可w
試合後にはなくなると思うので、お早めに!
青春出版社
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【オシム激白】「日本人よ!」イビチャ・オシム(2007年07月20日)
「オシムジャパンよ!」フィリップ・トルシエ(2007年05月17日)
「敗因と」金子達仁,戸塚 啓,木崎伸也(2007年01月05日)
【編集後記】
◆昨日の広瀬香美さんのTwitterライブはご覧になりましたでしょうか?MCすべて「ツイッター」広瀬香美ライブ―芸能ニュース―:nikkansports.com
私は動画配信とTwitterの両方で鑑賞(?)していましたが、色々な意味で楽しめました。
曲の合間のMCが全部Twitterによる「つぶやき」なのに、帰り際には出口で一人一人と歓談&握手って、それなんてツンデレwww
広瀬さんやスタッフの皆さん、会場でステージそっちのけで画面に向かっていた皆さん、お疲れ様でした!
ご声援ありがとうございました!
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