2009年10月30日
絶対に失敗しない『「一筆メッセージ」で仕事はうまくいく』マニュアル
早川書房
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【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、「手書きのひと言」の効能をうたった翻訳本。今まで、国内のこの手の「手書きメッセージ」について扱った書籍は何冊かご紹介してきましたが、翻訳本は初めてです。
アマゾンの内容紹介から。
いまや手書きで手紙を書く機会はめっきり減ってしまったが、そんな時代だからこそ時宜を得た一筆は「最強のビジネスツール」になる。仕事のフォローアップに、しばらくご無沙汰の人に、転職・退職する人に、新聞や雑誌の記事にメモを添えて、もしくは前回会った時の写真にカードをつけて。アメリカのエグゼクティブたちが愛読するロングセラー。
◆文例が豊富なので、そのままサクっと使えそうな有難い1冊!
その中から今回はポイントを8つ選んでみました。
なお、タイトルはお約束のホッテントリメーカー作でございますw

【目次】
第1章 「現代ビジネスマンこそ手紙」のワケ
第2章 一筆メッセージの効果をアップする道具選び
第3章 何を書いたらいい?
第4章 フォローアップに役立つ一筆メッセージ
第5章 ご無沙汰の人に
第6章 昇進や受賞を祝う
第7章 退職する人に
第8章 誕生日、結婚、出産祝い
第9章 お見舞い
第10章 おくやみ
第11章 プレゼントのお礼
第12章 Eメールの賢い使いかた
【ポイント】
■1.一筆メッセージの重要性◆本書の「はじめに」から。
一筆メッセージの重要性を知る人たちによれば、「これこそ成功のカギ」なのだそう。インタビューしはじめてまもなく気がついたことをひとつ挙げよう。肩書きが立派であればあるほど、やり手であればあるほど、個人的な立場で、効果的に一筆メッセージを書いている。それによって新規顧客を開拓し、すでにつかんでいる顧客が他社に浮気しないように引きつけるわけだ。
本書では文例もさることながら、一筆メッセージの驚くべき効果についても数多く収録されています。
■2.どんな便箋を使うか
◆いくつか抜粋して。
●便箋
●単カード保険、銀行、会計、法律、建築、医療のような保守的分野にいるならば、白か淡褐色の便箋に、黒か紺のインクで書こう。グレーの便箋に黒いインクを使うのもいい。
●名刺仕事と、その延長線上のつきあいというような場合であれば、単カードを使うのも手だ。四、五行程度しか入らないから、お礼状、おくやみ、お祝いを手書きで書く際はうってつけである。
私は仕事絡みで出す際には、一筆箋がほとんどでしたが、多少は工夫しても良さげ。名刺に短いメッセージを書き、書類や報告書にクリップでとめれば、一筆メッセージ用箋として使える。
なお、最初の「便箋」も、業界によっては当然もっとフランクなものの方が良いこともあります。
■3.うまく書く工夫
◆どのようなシチュエーションであっても一般的に通用する工夫がいくつか紹介されていましたので、こちらも抜粋して。
●メッセージは具体的に
●相手の関心ごとに触れるわざわざ一筆書くつもりならば、とおりいっぺんでなく、相手だけの話題を持ち出して印象を強めよう。
●格言や統計を使えあくまで仕事上のつきあいしかない場合、どのようにして情報を集めるか。その人のオフィスや会議室をよく見まわしてみよう。壁や本棚を見れば、たとえ初対面であっても、いろいろなことがわかる。
最後の「格言・名言」は使ってことはありませんでしたが、これは是非取り入れたいところ。格言・名言を使うと、自分の言葉よりも雄弁に気持ちを表現できることも多い。
なんてのは、そのまま頂きたいくらいです。「私たちは年をとるのではない、成熟していくのだ」(パブロ・ピカソ)
■4.フォローアップに役立つ一筆メッセージ
◆問い合わせの電話を受けた後に出して、大口注文に繋がった一筆メッセージの例がコチラ。
手書きで2行程度のものです。
どこでも買えるものだったので、その会社の副社長が大口の注文をした相手に理由を問うたところ、この一筆メッセージであることが判明。○○様
お問い合わせありがとうございます。お役に立てますなら幸いです。
どうぞよろしくお願いします。
"数社に問い合わせの電話をしましたが、どこもパンフレットを送ってきただけでした。御社からはパンフレットのほかに個人的な短い手紙が添えられてきた。それが大きかったのです"
◆また、誰かに会った後に出す一筆メッセージも、効果抜群。
言われてみれば「なるほどねー」なんですが、「人脈」を求める方が多い割には、こうした「ちょっとした作業」をする方は少ないような・・・?プレゼンテーションや会議で会った人に、一筆メッセージを出そう。もともとよかった第一印象がさらによくなり、いまある人間関係がいっそう強くなる。
■5.休暇先からの絵はがきを書く際のコツ
◆仕事がらみでご無沙汰の人に一筆メッセージを送るのに、旅行はうってつけです。
ただし、旅先から絵葉書を送る場合の「コツ」が、結構重要。
そもそも、旅先から絵はがきを出すこと自体、ほとんどやったことがなかったですが、「相手を話題の中心に」というのは、肝に銘じておきたいところです。パリやバミューダ諸島から絵はがきをもらったらうれしいものだ。では、絵はがきには何を書いたらいいか。自分がどこで何をしている、という話をするのではなく、相手を話題の中心におくことが大切だ。「○○さんはスキーがご趣味ですから、このアルプスの景色もお気に召すでしょう」というように。
■6.退職する人に送る場合の注意点
◆退職もしくは引退する人が、そのことを楽しみにしている場合と、不本意に辞める場合とでは、文面も変わってきます。
当然注意すべきは後者のパターン。
つまりは、「これからのことに触れない」ということかと。こうした場合は、その人がいなくなってどれほどさびしいか、いままでその人がどれほど大きな仕事をしとげてきたかにポイントを絞ろう。
私の場合、「今後のご活躍を〜」みたいに何も考えずに書きそうなんでちょっと注意せねば。
■7.お見舞いで気をつけたいこと
◆これまたケースバイケースで判断しなくてはなりません。
特に難しいのが相手が重篤な状態の場合。状況しだいでユーモアも歓迎されるが、病状を知らないと痛い目にあう。痔の手術をした人と心臓病の患者に対するのとでは、当然書き方が違う。
何を書いたらいいのかわからず、結局書かずじまいというケースも多いような。
そこで読んでおきたいのがこの一節です。
病状が軽いケースであっても、このフレーズは使えますから、むしろこちらを基本にした方が無難かも。事故で大ケガをしたある重役はこう語る。「とにかく聞きたいのは"あなたのことを考えています"という言葉、それだけです」。この短い言葉にははかりしれない力がある。ビジネスでも何でも大事なのは、人間対人間の関係を作ること。それがこの一言で可能になる。「あなたがいなくてさびしい」「お具合を案じています」という言葉は意味が深いのだ。
■8.会食のお礼状のヒント
◆これは「なるほど」と思わせられたやり方。
マナーの専門家のお話から。
これも一種の「仕組み化」ですね。「企業の役員たちは、おうおうにしてお礼状を書くのを面倒くさがりますが、じつは簡単に書けるのです。昼食会に行く前にカードをデスクに出して、封筒に宛名を書いておきます。帰ってきたらカードにこう書けばそれで終わりです。"楽しい昼食会でした。お会いできてうれしかったです。プロジェクトについて、もっと詳しくお話しできるのを楽しみにしております"」
まさに昨日、とある方にランチをご馳走になってしまったのに、お礼状も出していないワタクシ涙目の巻。
【感想】
◆上記ポイントではほとんど割愛してしまいましたが、数行で済むせいか(?)、本書には「さまざまな状況」での文例が多数収録されています。「お礼状」の文面は比較的多く目にするし、自分自身書けるのに、それ以外のシーンで何か書こうとしても、パッと出てこない、というのは今までもありました。
目次では大きなカテゴライズ分けになっていますが、例えば第6章の「昇進や受賞を祝う」における小見出しはこんな感じ。
いや、ちょっと時間かけて考えれば書けるんでしょうけど、「具体例があったら、楽じゃね?」という意味でも本書はオススメw●昇進した人に
●別の会社、別のキャリアに移る人に
●事務所の移転・開設
●特別な業績・受賞
●そのほかの場合
●従業員をほめる
●他人のほめ言葉を伝える
●一筆メッセージの効果
◆また、それぞれの文例も参考になりましたが、同時に「こんな状況でも出すのか」という意味での新たな発見もありました。
得意先が取り上げられた「ちょっとした新聞記事」を切り抜いて送る、なんてのも、やってみたら効果がありそう。
これなどは、「私はあなたのことを気遣っています」というシグナルなんでしょうね。
ところでふと思ったんですが、一筆メッセージで同封するなら、新聞や雑誌といった紙媒体の方が都合がいいような。
新聞購読するのをそろそろやめようと思ってたんですが、もうちょっと継続してみようw
◆そういえば、つい先日ネットショップでカジュアルなコートを購入したところ、綺麗に包装された製品に、手書きで書いたカードが同封されていました。
メールでの対応も親身でしたし、このカードがダメ押しで、そのショップを贔屓にしようと思ったくらい。
実はコート自体はサイズが微妙に合わず、かつ、それより下のサイズの在庫がもうなかったので、泣く泣く返品したのですが、「冬物なんだし、多少デカくてもいいかな?」なんて迷ったのも、そのカードのおかげかも。
結局はヨメの「サイズ合わないのを着るなんておかしい」と真っ当すぎる意見で、返品に踏ん切れたんですがw
◆本書は翻訳本ですから、原文は英語で、その表現も英語にありがちな(?)、多少大仰な感じがしないでもありません(一応文例は「日本語として自然な訳文にすること」を優先したそうですが)。
ただ、そもそも一筆メッセージは数行程度の短文なわけですし、その中に「相手への想いを込める」方が大事ではないか、と。
いずれにせよ、こういう本を読むことで、少しでも手紙を書くことへの抵抗が少なくなるのであれば、それだけでも価値があるのではないでしょうか。
私自身も、今まで以上に「アナログ的なアプローチ」を試してみたくなりました。
他の人と差をつけたい方にオススメ!
早川書房
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★『1枚のお礼状で利益を3倍にする方法―お礼状の皮をかぶった“営業状”』 朝日心月 (著)(2006年02月06日)
【編集後記】
◆土井英司さんのメルマガに一足先に紹介されてしまったこの本・・・。![]() |
さすが土井さん、いきなりアマゾン2桁順位ですよ。
実際、それが当たり前なくらい、面白い1冊ですけどネ。

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中にはきちんと購入履歴を参照したのか、前回の商品についての言及まであったことも!
顧客側としては、大切にされている感が伝わってきて嬉しく思ったものでした。
我が身を振り返ると、smoothさんと同じく涙目に・・・(涙)
コメントどうもです。
お互い、もらうばかりじゃなくて、出さなきゃいけないっすよ、マジで!
もちろん、こちらからお店に出す必要はないですが、会食したら今度から出そう、と心に誓ったワタクシでした。