2009年10月18日
【世帯主必読?】「生命保険のカラクリ」岩瀬大輔
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、ライフネット生命副社長である岩瀬大輔さんの、生命保険の仕組みや裏側について書かれたご本。すでに小飼 弾さんがご紹介済みですね。
愛と利益と - 書評 - 生命保険のカラクリ:404 Blog Not Found
正直、私自身も本書で指摘されているような、日本の生保の販売手法である「GNPセールス」(義理・人情・プレゼント)に近い形で加入しているようなモノだけに、「知らなんだ」的な情報が満載でした(単に無知なだけかもしれませんが)。
おかげで、もう契約しちゃっているのに付箋貼りまくりでございます。
いつも応援ありがとうございます!
【目次】
著者のブログより。第一章 生保のGNP − 義理・人情・プレゼント
・ 祖母の思い出
・ 花より団子、外食より保険
・ 人生で二番目に大きな買い物 ほか
第二章 煙に巻かれる消費者 − 誤解だらけのセイホ
・ スパゲッティのように複雑
・ 貯金はできないけど保険なら払える
・ かけ捨ては損ではない ほか
第三章 儲けのカラクリ − 生命保険会社の舞台裏
・ 保険会社をゼロから作ったら
・ あなたが死ぬ確率は?
・ 保険金詐欺との戦い ほか
第四章 かしこい生保の選び方
・ はじまった地殻変動
・ 宿敵、簡保の民営化
・ 銀行窓販の全面解禁 ほか
生保をさらに知るためのコラム集
1) 生命保険契約者のセーフティネット
2) 生命保険の約款
3) 生命保険会社が倒産したら ほか
ネット生命保険の可能性 − あとがきにかえて
【ポイント】
◆とにかく、「私が知らなかった情報」をば列挙していきます(一部、著者見解も含まれております)。■日本の特徴として、生命保険の総額が大きいだけでなく、一人当たりが加入している保険金額(死亡保険の保障額)が他国に比べて群を抜いて大きい
1ドル=100円として、アメリカが580万円、イギリスが260万円、ドイツが2000万円であるのに対して、日本は約1600万円と、突出して大きい。
■日経新聞に掲載された生命保険会社の手数料構造によれば、支払い総額のうち5〜6割は手数料
ここでは、「死亡すると3000万円の保険金が支払われる、更新期間が10年の定期死亡保険」を前提としている。
まず、30歳で契約したとする。大手A社の場合、10年間で総額74万円の保険料を払い込むが、そのうち、保険金の支払いに充てられるのは28万円で、全体の4割にすぎない。残りの6割にあたる46万円は、保険会社の経費と利益となる。営業の人件費がかからないので、比較的手数料が安いとされる通販系の生保でも、支払総額57万円のうち、5割以上が手数料となっていることがわかる。
■販売チャネルが一社専属の営業職員がメイン
欧米各国では中立的な第三者が貯蓄性の商品を中心に売っている。
これらに対して、わが国においては、生命保険会社が自社で抱える一社専属の営業職員の販売割合が、いまだに68%を占める。
■保険金の不払い問題の本質的な理由には「販売至上主義」と、生保カルチャーとしての「顧客軽視」があった?
すなわち、誰も理解できないような複雑な商品を、50%という異常な離職率にある営業職員に厳しいノルマを課して押し込ませていたことから、契約内容をよく理解しないまま入っている顧客がたくさんいることに、本来的な問題があるのである。
■保険商品の「セール」や「割引」は保険業法によって禁止されており、「無事故だったら健康ボーナスとして3年毎に15万円」等の「ボーナス」は実質的には「ボーナス」ではない
保険会社に対して15万円近く、余分に払い込んでいるにすぎず、それを何年か後にまとめて取り戻しているというカラクリなのである。
■「高額療養費制度」のおかげで、ほとんどのケースにおいて、医療費の自己負担額はそれほど大きくない
標準的な所得層の人であれば、ひと月当たりの自己負担額の上限は10万円弱である。したがって、何百万という医療費が仮にかかったとしても、原則としてひと月当たりは10万円前後でおさまる。
【所感などなど】
◆本当はもっと付箋貼っておりますが、前提部分の説明や基本的な用語の解説まで書いているとかなりのボリュームになってしまうので、この辺で。冒頭で触れたように、それほど深く考えず、また、商品比較もそれほどしっかり行わずに契約してしまった私にしてみれば、「やってもた」感がなきにしもあらず。
まず、最後の「高額療養費制度」の件は、全然知りませんでしたよ(ヨメが看護師なのにw)。
詳しくはこの辺を見て頂くとして・・・。
被保険者に関する給付:社会保険庁
ざっくり言って「月10万円前後で済む」ワケですから、支払い続ける保険料との天秤になるかと。
ちなみに、「移植のために海外へ渡航」と言った場合には、この制度もですが、そもそも普通の保険でもカバーできませんので、あしからず。
◆それにしても、生命保険というものは、支払い総額では1000万円近くなるものであるにもかかわらず、どれほどの方が、きちんと情報を収集し、他社と比較し、しっかりと考えた上で加入されているのやら。
営業さんの「みなさん、この位の金額は〜」といったセリフに、「じゃあ、ウチもこの辺で」と入られているのではないでしょうか(私だけ?)?
これが1回ポッキリの買い物ならまだしも、その後何十年にも渡って支払い続ける買い物だとは、とても思えません・・・と、今さら思っても後の祭り。
昨日ご紹介した「意思決定力」じゃないですが、私の場合は、事前の情報収集も、シミュレーションも怠った自分がいけないんですが。
◆とはいえ、生命保険の大きな特徴が「複雑な商品構成」。
トッピングするがごとく「特約つきまくり」の商品では、他社や類似商品との比較も難しいです。
結果、「営業さんを信じる」しかない(?)のですが、その営業さんも「離職率50%」というのでは、もはや何に頼ればいいのか。
やはり、最終的には「自己責任」なんですね。
◆そこで登場するのが、本書の第4章に収録されている「保険にかしこく入るための7か条」ですよ。
全部書いてしまうと「ネタバレ」なので、どうしようか迷っていたら、本書の帯の裏表紙側に、多少文言が変わって全部掲載されていたので、そちらを引用。
「なぜ、そうなのか」については、本書をご参照のこと。一、死亡・医療・貯金の3つに分けて考える
一、加入は必要最低限に
一、死亡保障は安い定期保険で確保する
一、医療保障はコスト・リターンを冷静に把握して
一、低金利のときは、生保で長期の資金を塩漬けにしない
一、解約したら損、とは限らない
一、必ず複数の商品を比較して選ぼう
◆もちろん、従前のように信頼できる営業さんに全部お任せ、というスタイルもアリだと思います。
ただし、そういった人件費や様々な経費も乗せられた上で、保険料が決められていることは、頭の片隅に置いておきたいもの。
そもそも、生業としている営業さんと、私たちとの間には、恐ろしいくらい情報量の差があるわけで(情報の非対称性)、それを少しでも解消してくれるのが、まさにこの本ではないか、と。
既に保険に加入されている方も、一読の価値アリです!
岩瀬 大輔 ¥ 819 |
【関連記事】
【セールス】「無敵のエリア密着型セールス」小原健志(2007年08月10日)「雨の降る日曜は幸福について考えよう」橘 玲(著)(2005年02月19日)
【編集後記】
◆すぐ上の【関連記事】でご紹介している「雨の降る日曜は幸福について考えよう」が、つい最近文庫化されました。幻冬舎
売り上げランキング: 844
「身も蓋もない」お話が炸裂していて、ファンとしては必読の1冊デス。
ご声援ありがとうございました!
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日本の生命保険会社の問題は、相互会社という形態が多く、そのため、運営に関して不透明なところが多いという主張を昔耳にしたことがありますが、そのあたりにつては、何か触れられていますでしょうか?
生命保険未加入のじゅにがもです。
※零細企業なので、営業のおばちゃんがこない
保険・相続などは週刊経済誌の定番ネタなので
ダイヤモンド定期購読者には手が伸びづらいテーマです(^-^;
編集後記にあった橘玲さんのやつの方が気になるので、
書店でチェックしてみます。
では!
手数料等を開示するのが「タブー」だったりする話はありましたが、相互会社うんぬんに関する記述はなかったハズです。
ちなみに、ライフネット生命保険は株式会社みたいです。
>じゅにがもさん
確かにダイヤモンドさんは定期的に保険の特集はされてますよね。
でもこの本もコンパクトにまとまっていて良かったです。
橘さんの本は、ホント「実も蓋もない」話ばかりの本なんで、お楽しみにw
私も保険の更新を控えており、内容の見直しをしなくてはいけないなと思っていたところでした。さっそくポチっと購入したいと思います。
・・・って、あの(どの(笑)?)SHIGE!さんですよね?
とうとうこのブログにもコメントを(爆)!
そして、アマゾンアタック(当ブログでは購入をそのように呼んでおります)ありがとうございます。
ところで、生命保険って、国内の契約でも、海外だと多少運用が違ってくるのではないでしょうか(汗)?
一応ご確認された上で、契約なさってくださいね!
私も保険更新が間近に迫っているので
アマゾンあたりで本を購入させていただきたいと思います。
はじめまして!
コメントありがとうございます。
この本、よくまとまっていると思うので、ぜひご覧下さい!
今後ともよろしくお願い申し上げます。
私もその本にとても興味をもちました。
ぜひ読んでみたいと思います。
コメントありがとうございます。
サイトの内容から言ったら、本書は読んでおくべきではないでしょうか?
今後ともよろしくお願いします。