2009年10月10日
【オススメ】『勝間・藤巻に聞け!「仕事学のすすめ」』勝間和代,藤巻幸夫
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【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、お馴染み勝間和代さんと、人脈のカリスマ(?)藤巻幸夫さんのコラボレート本。NHK教育テレビ「知る楽仕事学のすすめ」で進行役を務めるお二人が、「仕事学」をテーマにアツく語ってらっしゃいます。
アマゾンの内容紹介の締めの部分から。
正直、装丁のなごやかな雰囲気とは違って(?)かなり濃い1冊でした!「自分ブランド」を模索中の若いビジネスパーソンはもちろん、理想と現実の狭間で悩む中間管理職の方々や、部下の能力を最大限に引き出し組織を活性化させたいと願うリーダーたちにも、必ず響くフレーズがちりばめられた1冊です。

【目次】
第1章 藤巻幸夫の仕事学~自分ブランドで人を巻き込め
1─ 自分ブランドを構築せよ
2-人心を巻き込め
3-志をつなげ
勝間和代による藤巻幸夫の紹介&Translate
第2章 勝間和代の仕事学 ~課題を克服し、小さな前進を重ねよう
1─ 自分を見つめ、問題を解決する
2─ 優先順位を見きわめる
3─ 行動は、着実に自分と社会を変える
藤巻幸夫による勝間和代の紹介&Translate
第3章 勝間和代×藤巻幸夫 トランスレーター対談~幸福度10倍アップ仕事学
・不安の多い時代だからこそ、「仕事学」が求められる
・型破りな人材がイノベーションを生む。だが「型」がなければ……
・日本の良さを掘り起こす(藤巻のミッション)/声なき声を集める(勝間のミッション)
【ポイント】
■自分ブランドを作る◆まずは藤巻さんのパートから。
藤巻さんと言えば、「ブランド」。
何せ、バーニーズ時代は、「カリスマバイヤー」と言われていたお方です。
ファッションで言うところの「ブランド」を人に当てはめたものが「自分ブランド」。
藤巻さんのお話から「自分ブランド」について。
本書では、以降、藤巻さんが、いかに「自分ブランド」を実現してきたかについて述べられており、体験談も含め、読みどころが沢山ありました。信念を持って行動し(フィロソフィー)、自分がどのような軌跡をたどってなぜここにいるのか、なぜコレにこだわるのかという目的や使命を自覚して(ヒストリー)、自分の言葉で周囲の人々に語りかけ、人の心を巻き込みながら、より大きな仕事を実現していくこと(ストーリー)。それが、自分という人間を、信頼に足るブランドとして作り上げるということです。
■人に会ったらまず褒める
◆また、藤巻さんは「人脈作り」にも長けた方です。
その秘訣の1つが「まず褒める」こと。
もちろん、褒めるためには、相手を観察することも必要です。私はとにかく、目の前にいる人を褒めることをこころがけています。人に心を開いてもらうには褒めるのが一番。褒められて悪い気がする人はひとりもいません。
藤巻さんは、ファッションはもちろんのこと、相手の名刺のデザインや、女性ならばネイルアート、男性ならばスーツの折り目まで観察するそう。
うーん、さすがに「人脈は1日にしてならず」ですね。
■人材マトリクスで人材配置
◆伊勢丹を独立後、老舗の靴下メーカー・福助の社長となった藤巻さんは、全社員の面接を行います。
そのとき、相手がどのような人物かを探るのに用いたのが「人材マトリクス」と呼ばれるもの。
よく、「適材適所」と言いますが、トップがこのように細やかな分析をしてくれたことが、福助再生の、1つのキーだったのかもしれません。「人材マトリクス」というのは、縦軸と横軸があって、ひとつの軸は単純系の人か複雑系の人かを表し、もうひとつの軸は熱情的でアグレッシブな人か、それとも冷静で大人しい人かを表したものです。
◆ちなみに私はやはり「単純系/熱情的」ですかねw
なんかこの人(bot?)に負けそうですが。
shuzo_matsuoka(shuzo_matsuoka)on Twitter
■「一人前のビジネスパーソンになる」ということ
◆次に勝間さんのパートから。
「一人前のビジネスパーソンになる」とは、どういうことか、について、簡潔なお言葉が。
えー、言うのは簡単ですが、勝間さんもその直後に書かれているように、実際にやるのはかなり難しいことではあります。ひとことで言えば、自分のスキルや知識や経験を「客観視」できるかどうかということです。その上で何が不足しているのかを見きわめ、その理由や原因を考え、克服するための方法を工夫することができるのが「一人前」ということです。
ただし、私たち自身が抱えている「課題」が分からなければ、問題の解決もできません。
逆に言えば、私たち自身の課題が見えれば、同時に問題解決の糸口も見えてくるのです。あとはその課題を、私たち自身が克服すればいいのです。
◆そういえばかなり昔に、私も土井英司さんのセミナーで、コテンパンに打ちのめされたことがありました。
参考記事:★【土井英司氏】「ビジネスパーソンのためのクリエイティブ講座」に行ってきました(その1)【マインドマップ付き】(2005年11月28日)
土井さんに言われるならまだしも、グループワークで、同じグループのメンバーに言われまくるわけですから、ショックも倍増。
とはいえ、こういう試練を乗り越えて、自分の課題を解決した方が、見事著者への道を歩んでいることを思うと、やはり「課題」を認識し、解決することは、大事なんだと思うワタクシ。←今ごろw
■「仕組み作り」の重要性
◆勝間さんが、外資系監査法人に勤められた際に、会社の補助を受けて英会話学校に通った話は読んだ記憶がありましたが、「夜の授業を朝に振り替えていた」というのは知りませんでした。
しかも会社の規定では「夜に週に2日、1日2コマ」の授業を、当時既にお子さんがいらっしゃったので、「朝に週4日、1日1コマ」にしてもらったのだそう。
最近の本で強調されてないので忘れがちですが、勝間さんご自身は、「頑張るのが苦手」な方。「始業前、週に4日、英会話学校に通う」。この仕組みを作ったおかげで、私はひとつの課題を克服することができました。
この考え方を最初に「勉強本」で読んだ時は、結構たまげましたが、その後ビジネス書ではかなり主流になった感がします。やる気でどうにかなるのはせいぜい3日くらいのものです。それ以降はなし崩しになってしまう。英会話学校にしても「やる気があれば夜の授業だって行ける」ことは、私に限ってはないとわかっていました。
だからこそ、システムによって自分を縛り、「やる気の有無にかかわらず、とにかくやらなければならない状況」を作る必要があったのです。システムとはモチベーションに替わるもの、と言ってもいいかと思います。
私自身は、相変わらず全然実践できてないのですがー。
■仕事の意味や価値を見抜く眼を持つ
◆これは、「やるべき仕事」と「やらなくていい仕事」のに関するお話。
勝間さんによると、両者を見分けるポイントは、
自分たちの「コスト」だけでなく、相手の「価値」をも考慮するのがミソ。1.その仕事が自分たちに支払われる報酬に見あうものか
2.その仕事がクライアントにとって価値のあるものか
の2点です。つまり「コスト」と「価値」です。これらに見合わないと判断される仕事は断るべきなのです。
◆最近私も本業で、「コストに見合わない仕事」を延々とやっていて疲弊中でございます。
ただ、それ言ったらこのブログ(ry
・・・せめて、お読み下さる皆様にとって「価値のあるもの」にできたらいいな、と
【感想】
◆すんごく飛ばしまくりましたが、冒頭にも書いたように、この本、新書ですが中身はかなり「濃い」です。まず藤巻さんは、「人脈の達人」というイメージであり、以前、この本をブログでご紹介したことがありました。
![]() | 藤巻 幸夫 ¥ 1,575 ![]() |
参考記事:「人脈の教科書」藤巻幸夫(2007年01月23日)
上記の本の中で苦労されている話もあることはあったのですが、「付き合いを断らない」とかそんな系統の自らの信念のためのものだったかと。
それに比べて本書では、福助の再生の話はもちろん、バーニーズでの失敗や、つい最近のイトーヨーカドーでの挫折(病気の原因もありますが)など、ビジネスパーソンがリアルビジネスで参考になる体験談が収録されています。
結局藤巻さんは、そういった経験を踏まえて、ご自分が「上下関係より、水平的なコミュニケーションのほうが好き」であることに気がつかれたそうなのですが。
◆一方勝間さんは「仕事学」というテーマにそって、過去の著作の「オイシイとこ取り」といった感じ。
「空・雨・傘」の情報整理の話は、「7つのフレームワーク力」、「消費」「投資」「浪費」「空費」の時間管理の分類は「時間投資本」と、これまたビジネスパーソン向けのお話が多々。
そういう意味では、「新インディ」の「仕事術版」と言えるかもしれません。
考えてみたら、勝間さんの著作で、トータル的な「仕事術の本」ってなかったですし。
◆なお、バッサリ割愛してしまった、最後のお二人の対談でも、付箋貼りまくっております。
というか、勝間さんがこんなキワドイ発言をw
この当たりはむしろ、「仕事」というより「社会」や「教育」に対する提言だったりするのですが。勝間 だいたい日本の教育制度というのは、よき製造業従業員を作るための教育だと思いませんか。
勝間 あとは「自分でものを考える訓練」を続けること。答えを探す訓練は、もうやめましょうよ。どこかに答えが転がっていて、それを探そうとする人が多すぎます。
勝間 今の日本では若者がマイノリティーになってしまっている。圧倒的多数派の中高年の論理に負けているから若者に雇用がまわってこない。それなのに、なぜ仕事もない若者からお金をとって、年寄りの暮らしを助けるのか。社会保険などは典型的で、社会の仕組みがおかしいとおもいませんか。
◆また、藤巻さんは、今後の活動としてこんなお話も。
これはかなり面白そう。藤巻 私は明治大学の特任教授でもあるのですが、大学側とも話し合って新しい学部を立ち上げようと思っています。マーケティングからプロデュース、流通までを実地で教え、起業できる人材を創り出して行こうというのがこの学部の狙いです。
机上の空論ではなく、リアルビジネスの立ち上げが学べそうです。
日本ももっと起業家が生まれやすい土壌にしないと、閉塞感がぬぐえないんじゃないかと私は勝手に思っておりますが・・・。
◆ぶっちゃけ勝間さんも藤巻さんも、かなりキャラが立っているタイプですから、「真似るのは無理」と考える方が多いかもしれません。
それでもお二人の「失敗談」や、課題を克服していく「過程」を読むと、最初は二人とも、普通のビジネスパーソンだったのかも、と思わせられるのが、本書の一つの「キモ」なのかも。
「アツい藤巻さん」か、「ロジカルな勝間さん」か。
方法論は違えど、失敗や課題を糧に成長して、今のポジションがあるのだと思った次第。
「読み応えアリ」のオススメ本です!
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【関連記事】
カテゴリー:「勝間和代」「人脈の教科書」藤巻幸夫(2007年01月23日)
【仕組み化時間術】「ルーチン力」佐々木正悟(2009年01月14日)
【自己投資】「レバレッジ・シンキング」本田直之(2007年06月29日)
【時間管理&仕事術】「儲かる会社にすぐ変わる! 社長の時間の使い方」吉澤 大(2008年02月28日)
【編集後記】
◆藤井孝一さんの新刊。アマゾンに情報がないので、出版社のぺージから。
私はサラリーマンじゃないですけど、読まねば。自衛せよ、サラリーマン!
「雇われる生き方」がリスクになった今、生活をまもるためには新たな戦略が必要だ。ウェブを利用した週末起業の方法を丁寧にときあかす。自衛せよ、サラリーマン!

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毎日コメントしてストーカーのようで申し訳ないんですが(^_^;)。今日読み終えて、ブログを拝見したら復習のようにこの本に関する記事が書かれていて「セレクトする本が一緒!」でうれしくなりましたー。
録画しておいた番組をあわせて見るとさらに理解力UPですねー。いつも力作の記事をありがとうございます☆
勝間さんの内容…正直残念過ぎます。インディ+断る力みたいな内容で、新鮮味に欠けました。
好きなバラエティを見て先週のハイライトだけで尺を使い切ったようなそんな虚しさが…
最近かぶってますよね〜。
ナカーマ(*・∀・)人(・∀・*)
スイマセン、ウチでは、テレビは子供番組しか録画してないんですよ(涙)。
(´・ω・`)ショボーン
>とっしーさん
インディ部分については、「3毒追放」あたりが顕著ですが、インディ自体が「仕事術」という感じでもないですし、むしろ、「時間術」とかそっち系が多かったような。
私は贔屓目じゃなくて、残念感はなかったですよー。
勝間さん、藤巻さんとも
仕事術が両者とも
違っていて面白いなと思いました。
コメントありがとうございます。
そうですね〜、確かに藤巻さんと勝間さんとでは、仕事のやり方は結構違うかもw
藤巻さんは、実は勝間さんを知るより前から、バイヤーさんとして存じ上げてたんですよね。
私はお二人とも尊敬してますので、いいとこ取りで行きたいと思います。
今後ともよろしくお願いします!