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2009年09月22日

【毒舌?】『できるビジネスマンのための「本当に使える」勉強法』が辛口すぐる件




【はじめに】

昨日の記事でご紹介した、『できるビジネスマンのための「本当に使える」勉強法』

普通の「勉強本」かと思いきや、各項目ごとに、勉強法の技術論等を述べる一方、ここ数年内に出た勉強本のレビューが50冊分以上も掲載されていました。

ただし、誉めている本に比べて、「そうでない本の多いこと」にちょっとビックリ。

納得できるものとそうでないものが混在し、ご紹介するかどうか迷ったのも事実です。

とはいえ、レビュー以外の勉強法には読むべき点が多かったので、その辺も踏まえて記事にしてみようかと。


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【目次】

プロローグ 本当のところ、どの勉強法がいちばんいいのか?

第1章 ベストセラー勉強本の「ここはイイ!」「ここはザンネン!」

 1 「脳」をテーマにした勉強本
 2 東大・京大・弁護士などが売りの勉強本
 3 著者の経験から導き出された勉強本 ほか

第2章 本当に使える「読書術」はこれだ!

 1 まずは「時間泥棒」対策を!
 2 「何を読むべきか?」の本当の答え
 3 「速読法」は結局、どれがベストなのか? ほか

第3章 「集中力」を高める方法はこれがベスト!

 1 集中力を高め、それを持続させるための方法!
 2 脳の快感とイメージの力で、集中力をさらに高める
 3 それでも集中力が途切れてきたときは ほか

第4章 「記憶力」を高める方法はこれがベスト!

 1 短期記憶を長期記憶に変える!
 2 カタチを変えて脳に入れる!
 3 記憶の鎖を強化する方法! 

第5章 「試験合格」に的を絞った勉強法はこれがベスト!

 1 「勉強以前」の下準備がじつは肝心!
 2 「何を、いつ、どこで、どう勉強すればいいのか?」の答え!
 3 いよいよ試験本番に向けて!

あとがき


【勉強本レビューについて】

◆冒頭で申し上げたように、本書には各章ごとに勉強本のレビューが掲載されています。

コメントが200字強。

そして最後には「実用性」「読みやすさ」「オススメ度」の各項目について、がABC3段階評価が。

最終的には「オススメ度」「A」のものが高く評価されているですが、これがまぁ少ないこと。

だいたい全体の15%ほどでした。


◆中には、私もリアル書店で確認して「スルー」したのもかなりあるものの、私が評価したものでも「C」評価の本がちらほら。

「ネタバレ」や、私以上に「各著者さんが言いたいこと」がおありかもしれませんので、具体的にどれ、とは申しませんが、だいたい次の3点に該当する本が「ダウト」な感じ。

(1)勉強とビジネス(お金)がリンケージしているもの

(2)タイトル等で過大な効果をうたっているもの

(3)特殊なスキル、脳の特定分野等に依存するもの


他にも色々と「ダウト項目」はありますが、この辺が目立ったところ。


【オススメ度Aランクの本】

◆いずれにせよ、本書は「勉強本のガイドブック」ではないので、ここで「オススメ度、A」の中から、当ブログでご紹介済みの本を3冊だけ挙げておきます。

あえて(?)、今までスポットが当たってなかった本を中心にw


福田 稔 ¥ 1,575

◆明日香出版のシリーズの中の1冊ということで、「タイトル」「装丁」も他のシリーズ本と一緒でかなり地味。

そのせいもあってか、クオリティの割には売れたという話は聞かなかったものの、今回のレビューでは高評価。

『仕事をしながら資格試験を受ける人は一読して損はないだろう』とのこと。

参考記事:【勉強本】「いつも目標達成している人の勉強術」福田 稔(2008年10月10日)


濱野成秋 ¥ 1,365

◆下記参考記事で取り上げた部分以外の部分を評価されているので、自分としては微妙な感じ。

この本も当ブログでの人気はイマイチでしたが、やはりかなり評価されています。

『時間がない社会人にとっては実践的で「使える」テクニックが掲載されている。一読の価値がある良書』だそうです。

参考記事:【勉強法】「ユダヤ人に学ぶ速学術」濱野成秋(2008年12月28日)


荘司 雅彦 ¥ 1,470

◆全部マイナー系(失礼)で固めてしまうと、ピンとこないと思いますので、メジャーどころからこちらを。

当ブログのランキングに入っているような本が他にも数冊あるのですが、ここでは割愛。

レビューでは『手っ取り早く有効な勉強法を身につけたい人は手に取って損のない本』とのことです。

参考記事:【スタディ・ハック】「最短で結果が出る超勉強法」荘司雅彦(2007年07月02日)


【ポイント】

◆ガイド以外の部分から、気になった点をいくつかピックアップしてみます。

■目次は本を読み終えた後にも読む

目次は、読書の最初には読むと思いますが、その後活用している方は少ないのではないでしょうか。本を読み終えた直後に目次を読むと、手早く本の全体像を把握することができます。これを習慣化しているのとしていないのとではかなり違ってきます。


■本を読む際にはカッコをつける

 総合的に見て、読書内容を頭に残すのに最も速い手法は、大切な文にカッコをつけることです。
 線を引いていると、本の見栄えが汚くなりますし、複数行にわたる場合、線を引くだけで時間がかかります。カッコなら一瞬ですみます。ページごと重要な場合は、ページの隅を折ります。


■勉強の期日目標を立てて、締め切り効果を狙うのは、逆効果に終わることが多い

 そうではなくて、毎日の中で「締め切り効果」が得られるようにしたほうがよい結果を生みます。1つは「1日3時間しか勉強しない」などと決めることです。


■自分が集中力を発揮した瞬間を、その快感とともに、しっかり記憶しておく


■覚えたいことは問題にすると、記憶に残りやすい

ただ本を読んだり人から話を聞いているだけでは、なかなか覚えられないのは当然のことです。それは、自分が主体的に関わるタイミングがないからです。問題になっている場合は、自分がその問いに答えなければいけないわけですから、当然覚えやすくなります。


■大切なことは5回以上繰り返す

 心理学的には、読む量と、それを反復して暗唱する量は1:4ぐらいが、もっとも記憶に残りやすいといわれています。つまり、大切なことは5回は繰り返す必要があるわけです。これを意識している人がどれくらいいるでしょうか。


■ゴロ合わせのコツ(抜粋):

●漢字を混ぜる

 例えば、十字軍の派遣を呼びかけたトルコの王朝はセルジューク朝です。世界史には、できて滅びましたというだけの「○○朝」という覚えにくい王朝がたくさんあります。「セル十ク朝」と、漢字を混ぜると、十字軍という連想が容易になります。覚える対象の一部を漢字に変えてみると、覚えやすくなることはけっこうあります。

●共通音に着目する

 『意志と表象としての世界』の著者はショーペンハウアーです。この場合、共通音の「ショ」に着目して、『意志と表ショーの世界』と覚えておくと、忘れにくくなります。1対1対応で覚えるものなどに有効な方法です。


■過去問集を選ぶとき、問題のすぐ下に解答解説が出ている、例題形式の本を選ぶ

問題のすぐ下に解答が出ている例題形式のほうが、いちいち巻末や別冊解答を参照する本に比べて、3倍くらい勉強のスピードが違います。


■問題集はまず答えを読み、理解したらその場で解く

 過去問や問題集の正しい使い方は、問題を読んだら自力で解かず、すぐに解答と解説を見ます。そして、正解を得るにはどのような知識を知っていればよいのかをはっきりさせて、解説の必要なところを蛍光ペンでマークし、誤答の選択肢は正しい文章に書きなおします。
 そのあとで、もう1度問題文を読み、自力で解いてきちんと正解が得られるかどうかを確かめます。


【感想】

◆さすがに「勉強本500冊を検証」しただけあって、かなり濃厚なエッセンスがたくさんありました。

ただ、「マユツバ」もののやり方や、効果が「人に依存する」やり方等をバサバサ排除している関係上、残ったものは類書でも見かけるものが多いのもまた事実。

この点について、あとがきにこうあります。

 本書に書いてあることも、「なんだ、当たり前じゃないか」と思うことが多いかもしれません。しかし、本書に書いてあること以外で、「使える」手法はそうとう限られます。
 ゴルフで『3時間でシングルになる方法』という本があったとしても、まず信じないでしょうが、これと同じことなのに勉強本となるとなぜか信じ込んでしまう人が多い。
 本書は、「3時間でシングルに」の類の、極端な部分をすべて排除し、無駄な勉強を極力省く方法、すなわち「勉強法の正解」のみを抽出しました。本書を何度も読んでくだされば、SP(スタディープランナー)は不要になるはずです。


◆上記のポイントでもお分かりのように、書かれている勉強法の方法論はかなり有益です。

それだけに、「辛口すぎるレビュー」や、「本文中での非難(?)」がなければもっと良かったな、と。

例えば本書では、著者の経歴や学歴、さらには過去の体験等を、勉強本としては「不必要な情報」とされています。

確かにそれらは勉強法自体とは直接関係ありませんが、そういった属人情報がある種の「保証」になっている点は、出版する上で致し方ないかと。

さもないと、勉強本を読み漁った私だって、クオリティを別にすれば「勉強本」を書くことは可能ですしw


◆逆に、本書の場合「500冊読まれている」からこそ本が出せていますが、何処のどなたが書かれているのかは全くわかりません。

ただし、編者である「キャリアアップ研究会」のリーダーは「東大出の精神科医の方」だそうなので、それを信じれば、「それなりのポジションの方による本」と言うことができます。

これは単なる私のカンですけど、ここまで類書をバッサリ斬るというのは、かつて質の高い勉強本を出された方が関与されているヨカン。

例えばこの本の著者さんとか(東大出ですしw)。

  • 有賀 ゆう
  • 定価 : ¥ 1,020
  • 発売日 : 1995/11
  • 出版社/メーカー : 鹿砦社
  • おすすめ度 : (8 reviews)

参考記事:【驚愕!】「幻の絶版勉強本」にとんでもなく高い金額が付いている件(2007年08月20日)

ちなみに、文体も似ている感じがします。


◆また、「多くの本のキモとなるエッセンスを抽出している」という点で、本書の位置づけとしては、水野俊哉さんの「法則のトリセツ」に近いのではないか、と。

水野 俊哉 ¥ 1,260

参考記事:【豪華キャンペーン有】「知っているようで知らない 法則のトリセツ」水野俊哉(2009年02月27日)

もっとも、水野さんのご本は、「ハズレ本」や「間違ったやり方」には言及していませんし、それだけ成功本に比べて勉強本が「玉石混交」ということなのかも。

これに関しては私が思うに、成功法則と違って、勉強法には向き・不向きというか、『東大の先生が実践する「ロジカル」暗記術』に書かれていたように、「記憶のタイプごとに適した勉強法が違う」というのが大きいと思います。

実際、税理士試験の受験生でも「書かないと覚えられない」(本書では否定されています)人が周りにもいましたし。


◆結局本書は、「勉強本のガイドブック」として見た場合に、私としては納得しかねる評価がありましたし、上記のように勉強法でも意見が食い違う点がいくつかありました。

それでも、「勉強法の正解」部分に関しては、そのほとんどが、多くの書籍で推奨されてきた「効果がある」やり方だと思います。

今までご自分が納得してきた本の評価が、本書内で低くてもそれほど気にしない方であれば、客観的に見て本書は一読の価値アリ。

私個人としては、自分がここで紹介してきた本の何冊かが「オススメ度C」とされてしまっているので、さすがに積極的には薦められません罠。

これもまぁ、私が「勉強本オタク」だからこその意地かもしれませんがw


いつもにもまして長文になってしまってスイマセンでした!



【関連記事】

【勉強本】この1年で人気のあった勉強本20冊(第3回勉強本ランキング)(2009年08月30日)

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【Amazon】このブログで売れている本(勉強本編)(2007年12月16日)

【勉強本総括】オススメの勉強本について考えてみる(2008年03月25日)


【編集後記】

「コンサルタントの〜力」シリーズ(?)でお馴染みの野口さんの新刊。

野口 吉昭 ¥ 798

今度は「解答力」だそうです。


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