2009年09月06日
【対談】『ホリエモン×ひろゆき 語りつくした本音の12時間 「なんかヘンだよね・・・」』
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、ご存知「ホリエモン」こと、元ライブドア社長の堀江貴文さんと、「ひろゆき」こと、元2ちゃんねる管理人の西村博之さんの対談本。二人ともいい意味で常識とは「ちょっとかけ離れた部分」があり、様々なテーマについて、本音ベースで(多分)語ってくれています。
いわゆる「常識」から逃れられない私から見たら、その軽やかさはうらやましい限り。
「考え方」や「発想」に、チクチク刺激を与えてくれる1冊です!
いつも応援ありがとうございます!
【目次】
第1章 格差社会
マンションの価値も、終身雇用も幻想だ!!
コミュニケーション能力があれば格差は乗り越えられる!
ホリエモン、童貞時代を語る ほか
第2章 政治・裁判・税金
政治資金のカラクリがスゴイ!
僕が賠償金を払わない理由
この国の裁判官は何も考えてない ほか
第3章 メディア
メディアのトップは共産主義者ばっか?
今のメディアは潰れても仕方ない
フジテレビでしたかったこと ほか
第4章 教育
天才の条件ってナニ?
失敗の対処法、ホリエモンとひろゆきは、こんなに違う
学校って行く必要ある? ほか
第5章 IT
ネットのおかげで人との交流は増えた
携帯ジャンキーホリエモン
ネット時代に出版は生き残れるのか ほか
第6章 食とオンナとオシャレとお金
風俗に行く理由、行かない理由
農耕社会だからこそ結婚制度は必要だった!
マックも吉牛も卵かけご飯もうまい! ほか
【ポイント】
◆気になった発言をいくつかピックアップします。■格差社会はメディアが作り上げた幻想か?
堀江 とにかく、俺は格差なんてないと思うし、そもそも誰が言ってるんだ、と思うんだよね。俺は、マスコミがネタないから煽ってるだけなんじゃないか、って気がしているんだよね。
西村 嫉妬を煽ると、共感を得やすいですからね。メディアって共感を得ることでお金を払ってもらえるシステムじゃないですか。そうすると知識欲のある人に訴えかけるよりも、バカに対して共感を覚えさえるほうが楽ということになる。だって、知識を提供するには一生懸命いろんな情報を調べなきゃいけないけど、「あの金持ちの男が、大してイケメンでもないのに女子アナはべらして、いい生活しているのはむかつく」と書いたほうが、簡単に共感を得ることができますし。
■テレビのスポットCMの効果はない?
堀江企業ってバカじゃないから、テレビを使わなくても商品が売れることに気がつくんだよね。(中略)
俺、ライブドアでスポットCMを流した経験から、スポットCMの効果はまったくないと感じていたし。
テレビの広告収入は、番組提供とスポットがある。それと放送外収入があるんだけど、「スポットはまず激減するだろうな」と思ったの。だって、こんな費用対効果が悪い媒体はないというくらいだったから。それはライブドアで広告を出していた当時の話だから、今はもっとヒドイと思う。
■二人、dankogaiを語る
西村 僕が天才だと思う人の1人に、堀江さんもご存知のプログラマーの小飼弾さんがいるんですよ。対談で一度会ったきりなんですけど、6時間もの間、小飼さんがしゃべり続けて、そのテープ起こしと原稿を書いたライターさんは10円ハゲができちゃって。
堀江 よく弾さんと話せるね。俺は絶対無理だわ(笑)。(中略)
堀江 弾さんは、やっぱりすごい人なんだなと思って。なんというか、プログラマーなんだけど、ロジカルじゃなかったりするんだよね、あの人。
西村 ロジカルに考える能力は持っているけど、基本的には感情で動く人ですからね。優秀という定義を、何をもって決めるかにもよると思うんですけど、普通の人がこだわらないものにこだわって、モノ作りをすると誰も到達できないラインまで行ったりする。そういう意味でスゴイなと思うんですよ。
■グーグルとアマゾンについて
堀江 グーグルが成功したのって奇跡だけど、アマゾンが成功したのは、忍耐とシリコンバレーの集金システムの勝利だからね。
西村 生き延びるまで、とにかく資金を投下し続けた。
堀江 金を十分すぎるほど集めたからなんだよね。(中略)
堀江 俺、グーグルに関しては、あれはサーバーのオバケを確保できたからだと思っているのね。そのサーバーのオバケが実現できる環境にあったのか、という話。同じことを日本でやろうと思っても、サーバーを置く土地代が高すぎるから厳しかった。それが一番大きな原因だと思うな。
■ニッポンのITはもったいない?
西村 「日本のITはダメ」なんじゃなくて、「もったいない」なんですよね。それは、ビジネスモデルまで落とし込まなくても何とか食べていけちゃうから。もうちょっと掘り下げれば巨大なビジネスモデルになったかもしれないのに、「広告モデルで回っているし、いいかな?」となってしまう。(中略)
任天堂の『Wii』は売れたけど、ソニーの『プレステ3』は進みすぎで、なかなか火がつかない。あれは『ニンテンドーDS』が売れた時点でわかっておくべき話だったんですよ、スペック勝負の時代ではないって。
「いいモノを作ればお客さんはついてくる」という職人気質みたいな考え方って、それなりにお客さんはついてくるんですけど、そんなにいいモノじゃなくても結構ついてきたりする。そのぶん、コストを抑えたりするほうが売れちゃうんですよ。
堀江 そういう点では、任天堂は成功している。任天堂もIT企業みたいなもんだし。俺、もう任天堂はダメだと思って、途中までバカにしてたんだけど、やっぱすごかった。素直に認めます。
【感想】
◆上記ような形で抜き出してみたものの、なんだか本書で味わえる「空気感」みたいなものが、うまく表現できてないなー、と反省。本書内では、もっと堀江氏(以下「ホリエモン」と略す)が奔放に発言していて、むしろ西村氏(以下「ひろゆき」と略す)が空気を読むようなスタンスを取っています。
様々な事象に対して、ホリエモンは「ヘンだ!ヘンだ!」と力説し、「世間一般」と言われるモノの思考論理が理解できない様子。
一方、ひろゆきは、「世間一般」が「なぜそう考えるのか」を分かった上で、自分の主張をさりげなくしています。
まぁ、結論からすると、両者とも、「世間とは違う」のですがw
◆とはいえ、この二人同士も、すべてにおいて意見が一致しているわけではありません。
特にホリエモンの「他人には負けたくない」という部分は、本質的にひろゆきとは異なるところ。
顕著なのが「スポーツ」で、ホリエモンは「わざわざ、負けるためにスポーツなんてしたくないんだよ」と発言。
それに対してひろゆきは、「僕、あまり勝ち負けとかって関係ないですけどね。1位かどうかってそんなに重要じゃないんですよ」と、ほぼ真逆w
別にいい、悪いの問題ではなく、「キャラ」が良く出ているな、と。
◆なお、中身的に「目からウロコ」だったネタもあるのですが、二人の発言に基づくもので、裏が取れているのかどうかわからない(「〜が有利」「〜が得」みたいなものは特に)ので、割愛しております。
また、はてなユーザーにはお馴染みの梅田望夫さんに関しては、ひろゆきは対談を提案してスルーされているのと、ホリエモンは「何者なのかもよくわからない」「(WEBについては)絶対、俺のほうが詳しいと思う」と基本的にネガティブなスタンスなので、これまた割愛。
梅田さんご自身の「日本のWEBは残念」という発言に対しての二人の考え他、IT関係に関しては、結構まじめに語っているので、興味のある方は、第5章にてご確認を。
◆そうそう、ホリエモンの語る小飼さんについてのエピソードは、本書ではもうちょっと色々あります(「子供の頃裸族だった」とかw)ので、そちらも興味のある方は本書にて。
弾さんに関しては、章の終わりに注書きの説明があったのですが、それによると、上記でひろゆきが発言していた「テープ起こしでライターさんに10円ハゲができた」対談では、「プログラム言語を会話に多用しつつ6時間しゃべりつづけた」のだそう。
それはハゲもできます罠!
・・・この本の弾さんとの対談部分も読み返さねばw
参考記事:【ひろゆき節】「2ちゃんねるはなぜ潰れないのか?」西村博之(ひろゆき)(2007年07月05日)
なお、この本でひろゆきは、最近活躍が目覚しい佐々木俊尚さんとも対談してますし、今読み返すと面白いかも。
◆本書は、ホリエモン、ひろゆき、両氏をマークされている方なら、読んで損はない内容だと思います。
あとがきとして、お二人が「自筆でw」相手に対して「ひとこと」書いているんですけど、それによると、ホリエモンにとってひろゆきは、トーク相手としては今までで一番相性が良かったそう。
また、ひろゆきのホリエモンに対する気遣いも、観察眼をうかがわせる「イイもの」でした(ページ半分余らせちゃってますがw)。
そんな二人が12時間にわたって繰り広げた対談の本ですから、とりあえずお早めに読んでいただきたいな、と。
面白さ、という点では秀逸な1冊!
【関連記事】
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【ひろゆき節】「2ちゃんねるはなぜ潰れないのか?」西村博之(ひろゆき)(2007年07月05日)
【編集後記】
◆私事でございますが、現在、自宅のネットが接続不能になっております(この記事は事務所から予約投稿)。本日夕方に修理に来てもらう予定ですので、遅くとも深夜にはアクセスできると思いますが、それまでメールやレス等はタイムリーにできませんので、ご了承ください。
最悪、ネットが回復しないと、月曜日の記事も昼休みの投稿になるかもしれません。
うーん、モバイル環境も構築すべきか・・・?
ご声援ありがとうございました!
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