2009年09月04日
すぐに使える「ロジカルシンキング・リーディング」テクニック5選
【本の概要】
◆今日お送りするのは、『All About「コンサルティング業界で働く』のガイドでもお馴染みの、大石哲之さんの新作。タイトルの後半からして、巷にあふれる読書術の1冊かと思って読み始めたら、あらびっくり。
本書のテーマは、むしろタイトル前半の「ロジカルシンキング」にありました。
なるほど、「コンサルタントは、こういう風に本を読んでいるのか!」と、「目からウロコ」のやり方が多々。
今回はその中から「取り入れたいテクニック」を5つご紹介・・・というか、実は今回のタイトルは「ホッテントリメーカー作」でございますw
いつも応援ありがとうございます!
【目次】
第1章 1冊の本から多くを学ばない
コンサルタントに求められるのは3倍以上の生産性
コンサルタントは「選択と集中」で1点突破
読書も1点突破で突き進む
問題意識のない読書はムダ
問題点を明確にすることから成果につなげる ほか
第2章 読むべき本はこうして選ぶ
「同じ分野の本を」「10冊買って」「集中して読む」
コンサルタント流、本の選び方
図と表に注目するだけで内容は分かる
奥付と著者のプロフィールは情報の宝庫
経歴を判断する3つの視点 ほか
第3章 「ロジカルシンキング」で本を読む
コンサルタントが本を読むときのポイント
全部読まずに必要なところだけをゆっくり読む
「ロジカルシンキング」を使って読む方法
「雲雨」の部分こそが最重要
細切れ時間を使うと「PDCA型の読書」ができる
「仮説思考」で読む習慣をつける ほか
第4章 読書を確実な成果につなげる
読書した内容をどのように実践につなげるか
マニュアルは読みながら実践する
事前にアウトプットを設計する
成果から逆算して本を読む
フレームワーク整理で情報をメタ化する
読書メモは本の要約では無意味 ほか
【ポイント】
■1.知識のデコボコは気にしない◆コンサルタントという職業は、お客さんの依頼に基づき、それまでまったく知らなかった分野の知識を、お客さん以上に持ちうる必要があります。
ただし、その知識を積み上げていく過程においては、決して幅広いものではなく、むしろ「デコボコ」。
ある新人コンサルタントが会計のイロハも知らないうちに「債権管理(つまり売掛買掛)」の業務をIT化するといったテーマのコンサルティング・プロジェクトに参加したとします。(中略)
そのような場合、とにかく時間がありませんし、すぐに成果をあげないといけないので、会計を一から学んでいる時間など、まったくないのです。
とにかく、債権管理のところだけ、集中して本を読んで勉強する。そしてまずは、ヒアリングできるくらいのレベルにする。次に、業務をIT化するというテーマですから、代表的なITシステムで債権管理がどう実現されているのか勉強する。(中略)
そうして、とても領域は狭いですが「債権管理とIT」については専門家になってしまうのです。
◆同じようなことを別のプロジェクトで別のテーマでやり、そのまた次も・・・と繰り返していき、やがてデコボコの限界に達したら、その谷間を埋めるようにして、周辺知識を固める、というのが一般的なスタイルなのだそう。
テーマについて幅広く書かれた本を読んで、全体的な知識を身につけて・・・というやり方では間に合わないのですね。
私たちが深い問題意識もなく、「●●について勉強しよう」と、漠然と本を読むのとはエライ違い。
思い当たるフシのある方は、ご注意を(・・・って自分もですがw)
■2.「同じ分野の本を」「10冊買って」「集中して読む」
◆ここでは特に「10冊」ということにフォーカス。
何かを学ぼうとする時、対象となるテーマの本を複数冊買って読む、というお話は、類書でも散見したことがありました。
ただし本書では「何故そうすべきなのか」について、こういうわかりやすい記述が。
10冊読んで、同じことが出てきているものは、その分野のスキル習得にあたって、肝となる部分なのです。
ですから、その肝だけをしっかり身につければよいということが分かります。
それ以外は、実は枝葉末節なのです。本として成り立たせるため、いろいろな付加情報を入れ込んでいますが、幹は一緒だということです。幹がなんなのかを、10冊の本をざっと読むことで、素早く見当をつけるのです。
◆具体例として登場するのが、「ロジカルシンキング」における、重要なスキルを3つあげる、というもの。
「因果関係(So What? Why So?)」
「MECE」
「ロジックツリー」
がその3つなのですが、確かにこれらは、およそどの本でも繰り返し出てくるスキル。
◆言われて見れば、同じように「勉強本」でも、
「記憶するには繰り返すこと」
「問題集をテキストに使う」
「過去問を活用する」
といったお話は、どの本でもよく見かけます。
確かにこれらは、まさに「肝」。
私はたまたま、「勉強本」なら大量に読んでいたのでわかりましたが、知らない分野でも、こうやってあぶりだせば良いのだと納得しました。
■3.「ロジカルシンキング」を使って読む
◆この方法の基本は、『「データ」と「解釈」と「アクション」を区別する』というもの。
俗に言う、「雲雨傘」(「空雨傘」の方が有名?)ですね。
・・・って、私は以前勝間さんの本で読んだきり、すっかり忘れていたワケですがw
・・・これはまったく意識したことがありませんでしたよ!本を読むとき、自分は一体どの部分を読んでいるのか、ということを、意識的に考えて読むと、頭が良くなっていきます。
◆大石さんは、慣れないうちはペンを持って、これは雲、これは雨、これは傘、と本の文章をチェックすることを推奨されています。
私は一応、「雲雨傘」の話は知っていたものの(忘れてましたがw)、仕事柄、実際に活用するシーンはないものと思い込んでいました。重要なのは、まずは「雲」にあたる事実を理解すること、そして筆者の考える「雨」の部分に対して自分の意見をぶつけて考えること。「雲」「雨」がわかったらば、筆者の「傘」を参照にしつつ、できれば自分なりの「傘」に相当するやり方を、考えてみるということです。
でも、毎日の「読書で実践」できるのであれば、話は別。
皆様も、ぜひお試しアレ。←自分モナー
■4.成果から逆算して本を読む
◆これはまた「コンサルタントらしい」やり方のお話。
大石さんがコンサル会社に入社して1年くらいたった頃、ある製薬会社の営業改革プロジェクトに参画されたそう。
ただ、お客さんとの最初のミーティングまではわずか3日しかないのに、上司からは「社内ミーティングまでに製薬業界競合関係や主要なビジネス課題について、チームのメンバーに説明できるように」との指示が。
資料のアウトプットイメージとしてはパワポ20枚。
こうなると、むやみやたらと本を読んでいては、間に合いません。
◆ここで驚愕のワザが。
テラ、スゴスwwwこの例では、製薬業界についてパワーポイントの説明を20枚書く、というのが最終的な成果です。
ですから、成果から逆算して、集中と選択を行います。本を読み始める前に、まずレポートの構成のほうから先につくってしまうのです。
最初の5ページは業界の市場規模や成長性、競争環境についてまとめよう。次の5ページでは主要なプレイヤーの動向、次の5ページでは云々といったように設計します。
つまり、本を読む前から、最終的な成果物をイメージしているわけで、読む際にもレポートの内容に関係する重要なところだけを集中して読む、と。
さらにすごいのが、読むこととレポートにまとめることを同時にやっている、という点。
これは、ぜひ取り入れてみたいやり方です!ここが普通の方法と違います。従来のように知識を蓄え十分なレベルに達してから、アウトプットするのではなく、知識を得ながらアウトプットを同時に行うのです。
・・・できるかどうか別として。
■5.フレームワークで読書をする
◆上記では、あらかじめ「アウトプットイメージ」を設定しておく、という例でしたが、今度は、あらかじめ考えた「フレームワーク」を使って本を読んで、ポイントをまとめるやり方。
本書で例としてあげられているのが「ダイエット本」。
例えば、ダイエットについてまとめよ、と言われた場合どうするか?
とにかくダイエット本を読んで、そこに書かれている手法をたくさん抜き出して、それを後から分類するという方法をとるのが一般的だと思います。しかし、何度も言うようにそれは総花的なやり方です。
コンサルタントの方法では、最初に読書のフレームワークを設定してしまいます。
◆これは具体的にはロジックツリーを使って分解してみる、ということ。
突きつめて考えると、ダイエットに関するノウハウとは
「摂取カロリー量を減らす」
「カロリー消費を増やす」
「食べてもカロリーが吸収されないようにする」
の3点のどれかに該当します。
ダイエット本を読み進めるときに、整理のためのフレームワークとしてこの3点を頭に入れておくのです。これが、あらかじめフレームワークをセットしてから、本を読み進めるということです。
◆当ブログでは、あまりダイエット本は扱ってませんが、例えばこの本は「摂取カロリー量を減らす」ですかね?
一方こちらは、「食べてもカロリーが吸収されないようにする」かと。
もちろん、このフレームワークは、さらに細かく分解することも可能。
「勉強本」なんて、モロにこの「フレームワークで整理」ができそうな気がします。
これまた取り入れたいテクニックでした!
【感想】
◆ホントは、コンサルタントさんの本らしく(?)、お約束で「ポイントは3つあります!」と3つだけにしようかと思いましたが、むしろ10以上見逃せないテクがありました。特に、第2章の「読むべき本はこうして選ぶ」における、「コンサルタント流本の選び方」は必見!
目次と一部かぶりますが、ここの小見出しを一部列挙してみます。
・・・やべ、こっちで記事書いた方が良かったかもwww図と表に注目するだけで内容は分かる
奥付と著者のプロフィールは情報の宝庫
経歴を判断する3つの視点
「構造化」された本を中心に選ぶ
4つのタイプを意識して本を選ぶ
「成功本(戦術本)」は「原理原則本」と併せて使う
「As it To be 思考」で著者の成功本を読み解く ほか
◆私を含め、多くの方にとっての「読書」とは、一種の「楽しみ」であり、要は「目的」だったりします。
その一方で、自己啓発や試験突破、問題解決等、「手段」として読書をされている方もいらっしゃるワケですが、その極端なパターンが、大石さんたちのような「コンサルタント」ではないか、と。
もちろん、今までコンサルタントと呼ばれる方々の仕事のやり方や考え方について多少なりとも知識はありましたし、未知の分野を手がける際に、大量に本を読まれることも知っていました。
ただ、今般、本書を読んで、具体的にどのように本を読んで活用しているのかが垣間見れたような気が。
◆特に、今まで読書をしてもなかなか実践できない、と感じたことのある方ならば、本書は大きなヒントになるのではないでしょうか。
本書では一例として「営業成績が上がらない」という問題を抱えた人の「成果につながらない読書パターン」が、このように提示されています。
・・・思い当たるフシのある方もいらっしゃりそうな?1.深く考えず、完璧な理想を追い求める
↓
2.MBAで学ぶことを身につけるべきだ。自分は営業まわりのMBAマーケティングの本を買ってきて勉強しよう
↓
3.読んだが、難しい。仕事に活きない
↓
4.やっぱり、もっと役に立ちそうな、速読術とマインドマップを身につけよう
◆それに対して、コンサルタントの読書は、
「自分が取得したい知識・スキルについて俯瞰して考察して、そこから狙いを1点に絞って、その後は集中読書」
「読書は仮説検証をしながら読み、すぐに実践に結びつける」
というものであり、その中のいくつかは、上記ポイントであげた通り。
きわめてパワフルであり、効果も期待できそうです。
◆今まで当ブログでご紹介してきた「読書本」のほとんど全てについて、個人的にその内容に納得していますし、評価もしております。
ただ、本書のような強烈にアウトプットを意識した本は記憶に無いですし、少なくとも本書で提唱されている「読書」は、私から見たら「異次元」の行為のような。
思わず夕べの夜中の1時過ぎに、ヨメに熱く本書の内容を語ってしまいましたよ。
書評系ブロガーとしては、もはや「激オススメ」と言わざるを得ません!
大石 哲之 ¥ 1,365 |
【関連書籍】
◆ここで大石さんの著作をご紹介(既読のもののみですが)。大石 哲之 ¥ 1,470 |
⇒実は、初めて紙媒体に書いた記事がこの本のレビューでした。
とても分かりやすくて、「ロジカルシンキング」の基本を学ぶにはうってつけの1冊。
大石 哲之 ¥ 1,575 |
⇒今回の本とは違った意味で激オススメな本。
コンサルタントの思考プロセスがよくわかります(当ブログでの記事は下記関連記事をご参照のこと)。
【関連記事】
【論理的思考】「過去問で鍛える地頭力」大石哲之(2009年07月02日)【仕事術系】「仕事頭がよくなるアウトプット勉強法」増永寛之(2009年03月16日)
【Amazonキャンペーン有】「投資効率を100倍高める ビジネス選書&読書術」藤井孝一(2008年10月27日)
【強力!】「勝間和代のビジネス頭を創る7つのフレームワーク力」勝間和代(2008年06月15日)
「レバレッジ・リーディング」本田直之(2006年12月06日)
【編集後記】
◆ちまたでは、Twitterの特集があったDIMEが注目されているようですが、当ブログの読者さんにはこちらをオススメしたいところ。日経BP出版センター ¥ 590 |
中身も面白い上に、当ブログにゆかりのある方が多々登場されているので、余裕があったら夜の記事にしたいと思っております。
ご声援ありがとうございました!
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すぐに頭の片隅に本田さんが想起されました(笑)
やっぱり効果的だと思いますよ。必ずどこか内容が被るし、それをピックアップして自分なりにまとめる。この作業が楽しいなぁ。
読みごたえのある内容ですねぇ。応援してます!
正直、この本から受けた衝撃は、この手の本としては、本田さんの「レバレッジ・リーディング」以来のような。
さらに、本を読んでの「まとめ方」についても言及があります。
私は、このブログとの兼ね合いもあるので、今回は省きましたが、そこも必読です!
>犬太郎ブックさん
はじめまして。
コメントありがとうございます!
この本は「買い」だと思いますよ〜。
ネタがあったら、仕入れてみて下さいマセ。
・・・って買取依頼がないとダメなんですよね(汗)。
面白いブログなので、早速ブックマークしました。
しかし、この読み方は自分の読書方法を根本的に変える様な読み方ですね。今まではだらだらと読んでいましたよ。
はじめまして。
コメント&ブクマありがとうございます!
確かにこの本は、かなりパラダイムシフトが起きましたね〜。
できるかどうか別としても、ぜひご一読願いたい1冊です。
このたびは書評で取り上げていただき、誠にありがとうございます。
毎回励みになります。
私がコンサルタント1年目のとき「アウトプットがなければ、君は存在してないのと一緒だ」と怒鳴られ、完全にパラダイムが変わったのを強烈に覚えています。
それ以来、成果を出すことを常に頭においております。本書のノウハウで少しでもお役に立てるところがありましたらば幸いでございます。
大石拝
著者様直々のコメントありがとうございます。
前回のご本も素晴らしかったですが、今回のも脱帽致しました。
私の力で実践できるかはさておき、「読書本」というジャンルのにおいて、類書とレイヤーが違う感じがします。
記事で紹介できなかった部分の方が、本来の当ブログの読者さんには望まれていそうですが、あえて、ガツンと濃い部分を取り上げてみた次第です。
今後のご活躍をお祈りしております。
それプラス、著者の大石さんはamazonのレビューにも投稿されてました。そちらも参考にしました。
が、まさか本人の次にコメントをかけるとは思ってもいませんでした!!
>私がコンサルタント1年目のとき「アウトプットがなければ、君は存在してないのと一緒だ」と怒鳴られ、完全にパラダイムが変わったのを強烈に覚えています。
自分に言われてような気がします。
アマゾンアタックありがとうございます(涙)。
私も確認しましたが、大石さんご自身がレビュー書かれているんですね。
ビックリです。
私にとってのアウトプットは今のところこのブログなので、ホントなら、読みながら書くべきなんでしょうかね(笑)?
それ以前に、全然ロジカルじゃないぃぃぃ!