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2009年09月02日

【知的生産】『「読む・書く・話す」を一瞬でモノにする技術』齋藤 孝


  • 齋藤 孝
  • 定価 : ¥ 1,470
  • 発売日 : 2009/08/21
  • 出版社/メーカー : 大和書房
  • おすすめ度 : (1 review)


【本の概要】

◆今日お送りするのは、当ブログではあまりご紹介したことの無い齋藤 孝先生の新作。

ひとつには、あまり多作な傾向のある作家さんは避けている、というのがあるのですが、さすがに「知的生産」がテーマとあらば、扱わないわけには参りません。

アマゾンの内容紹介から一部引用します。

*情報洪水のなかから、いかにして「使えるネタ」を掴み取るか?
*「これは!」というネタを記憶し、確実にモノにするには?
*メモ用紙、ボールペン、手帳...、アナログ道具を活かすには?
*「無」からいかにしてアイディアを発想し、企画をまとめるか?
*ちょっとした会話や会議の提案で困らない「コメント力」をつけるには?

「メモ再生法」「10冊読書法」「3色記憶法」「目次レジュメ法」「視点移動法」「30分手帳法」「ノート記録法」...

など、すぐに役立つ25のテクニックを伝授。

これはもう、齋藤さん流のハック本だと思われ!


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【目次】

プロローグ 検索は、知的生産力を鍛えるか?

Step1 選ぶ力をつける5つの手法

 1 出会った瞬間に勝負する
 2 収集にムダなエネルギーをつかわない
 3 「自分」を検索する機能を鍛える
 4 仕込みに「ひと手間」かける
 5 「五感」で感じ取る

Step2 本をとことん使う7つの手法

 1 読書は錬金術である
 2 本をどんどん読むコツ
 3 とにかく、最初はなんでも読む
 4 二割読んで「完読」と同じ結果を得る
 5 「締め切り設定」で読書力が変わる
 6 本は汚して読め
 7 一〇〇%の記憶は必要ない

Step3 記憶を深める5つの手法
 1 自分の言葉で再生してみる
 2 幅広く、深く見る
 3 もう一つの人生を生きる
 4 批判的思考を鍛える
 5 人との出会いを大事にする

Step4 道具を使いこなす5つの手法

 1 三つの色分けで情報をつかむ
 2 手帳は三〇分刻みのものを使う
 3 スケジュールは三つに分ける
 4 ファイリング法のひと工夫
 5 アウトプット力を高めるノートの取り方

Step5 編集力をつける3つの手法

 1 自分の経験とからみ合わせる
 2 ヒット企画は編集から生み出される
 3 究極の情報源は「人と会う」


【ポイント】

■頭がよく働くとは自分の中の情報の使い方がうまいことをいう

 何かの企画を考えようというとき、まっ白な状態から考えをスタートさせるのは大変だ。だが、頭の中を検索して、考えようとしているテーマに関わる記憶、つまり情報をひきだし、それを手がかりに考えを進めていくと、速く、的を射た考えをまとめることができる。
 頭がいいとは、こうした作業を速く、的確にできることをいうのではないか。


■自分を「くぐらせる」

 自分をくぐらせるとは、自分の暗黙知にいったん深く浸すような感覚を言う。(中略)
「これ!」という情報に出会ったならば、その情報を一度、自分の世界に浸すようなイメージ。手にした布を水に浸すような感覚をイメージしてもらえば、なんとなくわかっていただけると思う。(中略)
 ぜひ、"くぐらせる"感覚をつかんでほしい。情報に出会ったとき、一度、自分をくぐらせておくと、その情報が自分のものになった、という感覚が生まれやすくなる。


■人との会話やテレビを見ていて、自分に関わりのある情報だと感じ取ったら、すぐにメモを取る

情報は「一期一会」。「これは!」と思った情報は、その場でメモを取る。「あとでやろう」と思っても、出会いの瞬間のインパクト、エネルギーは二度と出ない。


■コピペがなぜダメなのかは、他人の知的作業を"盗む"だけではなく、情報が自分の中に1度も取り込まれないままに終わるから

自分をくぐらせていないから、情報に触れても、それが自分と関わったという感覚が生まれないのだ。
 当然、自分の中に積み重なっていくということもない。これでは、再生されるわけがなく、「知的生産力」は高まっていかない。


■全体の2割である「自分にとって使える」部分を精読する「二割読書法」で量もこなす

「求めよ、さらば与えられん」ではないが、問い、あるいは何かを求める、そうした気持ちの集積がなければ、どんなに名著といわれる本でも、"おいしい部分"は見つからない。問いの集積があるからこそ、重点的に読むべき「二割」が浮き上がってくるのである。
 問い、というとクエスチョンと考えてしまい、答えは解答だと考える人もいるかもしれない。より実感に近いのは、課題とか、問題意識というような感覚だろう。この感覚がアンテナになって、「ここを読めばいい」という部分をひきよせるのだ。


■ストップウォッチで時間を設定する

 私は、これまでスポーツや武道をやったり教えたりしてきた。その経験から、時間の感覚がなければスピードも密度も上がらないと確信している。生産性を上げるには「時間の密度感覚」が不可欠なのだ。
 読書も例外例外ではない。時間経過は時計でもわかるのだが、ストップウォッチのほうが、「時間内に速くやれよ」というメッセージが伝わりやすい。


■本読む際に、折ったり印をつけることの意義

 記憶には、「場所記憶」と、エピソードを記憶する「連想記憶」がある。「折る」ことは場所記憶を強めることになり、キーワードにボールペンで「印をつける」ことは、場所記憶とともに、どんな内容だったかという連想記憶を強めてくれる。折ったり、印をつけながら読むことにより、場所記憶と連想記憶の両方を動員することになり、記憶の定着が強化され、非常に忘れにくくなるわけである。


■目次を拡大コピーしてポイントを書き込む

 私は、二〜三時間で読める軽いビジネス書は別にして、わりとちゃんとした本を読む場合は、まず、目次をコピーする。そして、この目次のコピーの該当する箇所に、このケースはこれというように、書き込みながら読み進めていく。
 すでに完成されたレジュメである目次にポイントを書き込んでいくのだから、いわば本の内容の縮小図ができあがる。これなら、理解は非常に速く進み、記憶にもしっかり残る。のちのち知的生産力の基盤になる。


■色のバランスで自分の問題点が浮き彫りになる

「自分では絶対に自信があるのに通らない」企画を立てる人は、頭の中は緑色だけでいっぱいで、赤や青、つまり、客観的に情報をすくい取ることができていないことが多い。一方、どう頭をひねっても、だれでも思いつきそうな企画しか出てこないという人は、日頃から情報に緑色をつけることに長けていない。情報を読んでいるとき、自分の感性をうまく羽ばたかせることができないのだ。

●smooth注:齋藤先生の色分けの意味は以下の通り

青・・・客観的に見て、まあ重要な箇所
赤・・・客観的に見て、最も重要な箇所
緑・・・主観的に見て、自分がおもしろいと感じたり、興味をいだいたりした箇所


【感想】

◆私は齋藤先生の本をまだ数冊しか拝読しておりませんが、この本は「知的生産」というテーマのもと、今まで他の書籍で扱っていた内容も含まれいてる感じが。

たとえば「読書法」

以前ご紹介したこの本でも、「二割読書法」については言及されていました。

斎藤 孝 ¥ 1,260

参考記事:齋藤孝の速読塾(2006年11月01日)

ただし本書の場合、読書も「インプットの1つの手段」、という位置づけであり、上記の本で扱っていたような「音読」「速音読」については全く出てきません。


◆また、有名な「三色ボールペン法」に関しても、他のご本で詳しく取り扱っている関係か、かなりあっさりした扱いに。

とはいえ、上記ポイントで挙げた、「バランスを色で見る」というのは、「腑に落ち」ました。

「主観」「客観」のバランスが「色によってひと目でわかる」というのは、三色で色分けするからこそ。

どちらかに偏りがちな方には、ぜひ試してみて頂きたいところです。


◆そして「目次をレジュメにする」というのは、知的生産というより、むしろ「勉強術」として推奨される方も多い、「王道テク」

齋藤先生の場合、わざわざ拡大コピーをすることにより、余白を増やし、書き込みをしやすくされています。

本の目次に直接書き込むやり方もアリですが、いちいち最初に立ち返ることや、本によっては余白がほとんどないことを思えば、このテクの方が宜しいかと。

実際の資格試験の勉強にも使えるやり方ですから、挑戦中の方はお試しアレ。


◆本書から一貫して感じられるのは、「再現性へのこだわり」です。

本書の小見出しの1つに、『再生できない情報は、「ないのと同じ」』というものがありました。

 そもそも情報は何のために必要なのか。いうまでもなく、のちに"使う"ためだ。
何らかの課題を考えるとき、あるいは何らかの課題について「読む・書く・話す」とき、すぐに思い出せる、つまり、必要なときにはいつでも再生できるようにしておかなければいけない。

もちろん、「情報は、頭の中に置く必要はなく、外部に蓄積しておいて、必要に応じて引っ張り出せる仕組みを構築する」という「デジタル」な考え方(最近では主流ですね)もありますが、齋藤先生は、あくまでも「アナログ」

もっとも、全ての情報を頭の中に置くわけではなく、「想起するためのフック」を作ることを、情報のインプットの際に心がけるわけです。

つまりそれが、上記ポイントで挙げた「本のページを折ったり、三色ボールペンで書き込みをしたり、目次をレジュメにする」といった事柄なんですね。


◆また、こうしたやり方を心がけていると、デジタルなスタイルに比べて、より多くの「ひらめき」が生まれそうな印象を受けました。

ポイントで挙げた「自分をくぐらせる」というやり方も、結局は自分の中に暗黙知がないと意味が無いわけで、こういうひと手間かけて取り込んだ情報こそが、のちのち暗黙知となって生きてくるのかと。

私の場合、「ブログで記事にする」という行為が、ひと手間どころか、ふた手間、み手間かかっている割には、書き終えた途端に頭の中から消去されている気がしないでもなく。

これも齋藤先生に言わせれば「手で書いていないから」となりそうですが。

いずれにせよ、齋藤先生のご本を読んだのは久しぶりなのですが、学ぶべき点が非常に多い知的生産術の本でした。


本を「ただ読むだけ」で終わらせたくない方にオススメ!

齋藤 孝 ¥ 1,470


【関連記事】

【Input&Output】『竹内流の「書く、話す」知的アウトプット術』竹内 薫(2009年05月03日)

【超】『超「超」整理法』野口悠紀雄(2008年09月25日)

【知的仕事術?】「知的生産のためのすごい!仕事術」晴山陽一(2008年06月07日)

【今年最後の衝撃!?】「効率が10倍アップする新・知的生産術」勝間和代(2007年12月15日)

齋藤孝の速読塾(2006年11月01日)


【編集後記】

聖幸さんの記事で気が付きましたが、もうこんな季節なんですね。

4838720157
ほぼ日手帳公式ガイドブック 2010

私は毎年2月までには、必ず手帳を使わなくなるのですが、それでも「来年こそは」、と書店に行くとこういう本をパラパラめくってしまいますw


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