2009年08月24日
【Amazon】今週号の週刊東洋経済は、やっぱり買っとくべきな件
【はじめに】
◆今朝の記事の編集後記でちょこっとご紹介した、「週刊東洋経済 2009年8/29号」。我慢しきれず、通勤途中のコンビニで思わず購入w
中身は予想通り濃厚で、アマゾンを中心とした出版業界全般について言及がなされていました。
本好きならば、要チェックな1冊かと。

【目次】
COVER STORY
知られざる出版革命
アマゾンの正体
図解
P.38 “債務超過”から“優良企業”への軌跡
P.40 “新・流通帝国”大河の深奥に迫る!
P.43 “ケチ”だが自由なアマゾンの社風
P.46 ジェフ・ベゾスとは何者か│倹約家は宇宙を目指す
P.48 米国出版最終戦争 キンドルが変える出版業界“旧秩序”
P.50 西海岸のユーザーに聞く!│「どのようにキンドルを使っていますか?」
P.53 INTERVIEW│米ソニー・エレクトロニクス デュプティプレジデント 野口不二夫
P.54 マイクロソフトも震撼、アマゾンの“クラウド力”
P.56 日本人も虜にする“カイゼン経営”
P.58 写真で読み解くアマゾンの物流力
P.62 幹部を直撃 渡部一文(書籍等)/瀧井 聡(物流)/ローレン川崎 (ファッション)
P.64 INTERVIEW│ジャスパー・チャン アマゾンジャパン社長
「サイト内部に競争環境をつくりたい」
P.66 5人の読書の達人が語る│あの人のアマゾン論
本田直之/勝間和代/土井英司/小山龍介/三輪裕範
P.70 アマゾンの強さはどこにあるのか?樋口 理×中嶋 淳
P.72 ニッポンのトップサイトの戦略 独走を守れるか、楽天の迎撃策
P.74 競合他社はどうする?楽天ブックス/セブンアンドワイ/ビーケーワン/e-hon
P.76 「アマゾンは将来リアル店舗に向かう」 経営コンサルタント 神田昌典
P.77 キーワードで読み解く出版業界の「仕組み」
P.78 デジタル新秩序、覇権は誰の手に?
P.80 出版社、書店、印刷会社、取次… キーパーソンに苦境からの脱出策を聞く
P.82 「古本併売」と「雑貨」が書店生き残りのカギ
P.83 ネットユーザー1000人アンケート│「どのように本・雑誌を買っていますか?」
P.84 実は日本は電子化先進国 ケータイから始まる日本の出版革命
P.86 INTERVIEW│佐藤秀峰 漫画家
「漫画雑誌はいずれなくなる。だからネットで発表する」
【ポイント】
◆ネタバレのこともありますので、気になった部分のみ簡単に。■数字で見るアマゾン
◆グラフがメインなので、詳しい数字については割愛しますが、「業績推移」「売上内訳」「利用者数」「時価総額」等々の数字を掲載。
ただし、全世界のトータルベースの数字なのがちょっと残念。
注目すべきが「物流インフラ」と「ITインフラ」の維持にかかる費用で、それぞれ売上の「8.6%&5.4%」にも及ぶそう。
この2大インフラこそが、アマゾンのアマゾンたるゆえんではあるのですが。
■キンドル周辺の話題など
◆日本では未だ発売されていない、アマゾンのキンドル。
日本では数年前に電子ブック事業が失敗に終わったばかりなのに、「なぜ米国でヒットしているのか」について分析。
さらに西海岸のユーザーに行った「どのようにキンドルを使っているのか」というインタビューも収録しており、発売を待つファンには参考になりそう。
なお、その対抗馬と見られる、ソニーのリーダーについては、米ソニーの電子ブック担当野口不二夫氏のインタビューが1ページも掲載されていますので、そちらをご覧下さい。
■日本のアマゾンの物流力
◆4ページにも渡る、市川の物流センターの特集には、画像も満載。
ウワサには聞いてましたが、デカくてSUGEEEE!←当たり前w
特に本や雑誌の置き方は効率性を重視している点がサスガだな、と。
物流には関係ないのですが、そこのページにあった「一部早稲田OBには割引アリ」という情報は知りませんでした。
■アマゾン前線司令官が語るアマゾン"進化"の核心
◆アマゾンジャパンの書籍等担当バイスプレジデントの渡辺一文さん、ロジスティック社長の瀧井 聡さん、ファッション事業部バイスプレジデントのローレン川崎さんのインタビューが2ページ展開。
当ブログ的には、やはり渡辺さんのお話が参考になりました。
何でも、昨年のアマゾンの売り上げ上位100社で、「売り上げが落ちた出版社は1つもない」し、また「特に売り上げが伸びている出版社には4つの秘訣がある」のだそう。
具体的にその4つを列挙したいんですが、それこそ「ネタバレ」なんで自重しときます(サーセン)。
というか、書評系ブロガーとしては、「全ての出版社に、この4つのうち3つは守って頂きたい」ところです(マジで)。
■あの人のアマゾン論
◆実は、ここが読みたくて今号を買ったワタクシw
登場される5名の中から、リアルでもお付き合いのあるこの方々をピックアップ。
●本田直之さん
◆本田さんは、「キーワード検索でヒットした本は上位から片っ端から買う」タイプw
また、アマゾンのカスタマーレビューで「評価が悪いからといって、買うのをやめることはない」のだとか。
私なんか、すぐビビって、リアル書店でその本チェックしちゃいますけどね。
●勝間和代さん
◆かつては「勉強本」が「アマゾン1位」として華々しく世に出た勝間さんも、今はむしろリアルでのコミュニケーションを大切にされているそう。
確かに、微妙な規模の書店(失礼)で、勝間さんのサインをお見かけした事も何度かありました。
また、キンドルに関しては、どちらかというと厳し目な見解のようです(詳細は本書を)。
●土井英司さん
◆土井さんのパートでは、「レビュアーは自分も評価されていることを自覚せよ」とあって、てっきり私を含めたブロガーのことかと思いきや、アマゾンレビュアーのことでした。
以前の記事でも書いたように、アマゾンレビューも掘り下げると、どこまで信頼できるかある程度わかるのですが、時間がなかったり、裏側を知らなかったりすると、いかんともしがたく。
一方、「リアル書店もアマゾンの戦略を見習えば勝算アリ」という部分は、リアル書店関係者の方は要チェックで。
■楽天vsアマゾン
◆サービス全体の売り上げや利用時間で見ると、まだ楽天の方が上なのですが、こと書籍に関して言うと、アマゾンが突出しているのが現状。
それを今、楽天は「打倒アマゾンキャンペーン」を実施しているのだとか。
アマゾンにあって楽天にない「当日配送サービス」が実現すると、両社の差は縮まるのかも。
なお、ビーケーワン、セブンアンドワイ等他のネット書店についても言及アリ。
■出版業界の未来とアマゾンの「e託販売サービス」
◆日本の出版事情といえば、まず真っ先に出てくるのが、再販制度。
出版社は取次に対し、標準で70%で卸しています。
それが中小(失礼)出版社だと、その卸値が60%台で、しかも支払は手形払いだったり半年後だったりと、かなり厳しいものに。
◆そこで注目を浴びているのが、アマゾンの「e託販売サービス」。
定価の60%でアマゾンに卸す必要はあるのですが、支払や手形割引のことを考えると、十分に魅力的なのだとか。
さらに、アマゾンの需要予測に基づいて委託を行うため、返品リスクが小さいという特徴もあります。
お馴染みディスカヴァーさんも、このe託を活用して、アマゾンの「出版社売り上げランキング」を07年の80位から43位に伸ばしたのだそうです。
◆他にも、今後の出版業界に関して、筑摩書房社長さん、丸善の社長さん、さらにはニッパンさん、東販さんの役員の方、そして今後のキーパーソンとなるであろう大日本印刷常務の方のお話アリ。
また、出版市場の縮小振りや大手の業績悪化ぶりがグラフになっているのも見どころ(なのか?)。
直前のページに「再販売価格維持制度」「委託販売制度」の説明がありますし、このパートは出版関係者の方はご存知のなのかもしれませんが、私たちのような読者にとっては、前提部分のお話として非常にタメになりました。
【感想】
◆サクサクっとまとめるつもりが、いつものようにダラダラ長文になってしまいました。こんなことなら、朝の記事でもっとしっかり書けば良かったw
といっても、あまりネタバレしすぎるのもどうかと思いまして・・・。
◆漏れた中では、こんなところが読みどころかと。
●『マイクロソフトも震撼、アマゾンの“クラウド力”』
⇒スイマセン、システム的なことはよくわからないので・・・。
●『 「アマゾンは将来リアル店舗に向かう」 経営コンサルタント 神田昌典』
⇒ここは、かなり面白かったと言いますか、あえて伏せましたw
個人的には、アマゾンはデータを全部持っている以上、むしろ「出版社」か「出版コンサルティング」に乗り出す方が怖いような。
●『実は日本は電子化先進国 ケータイから始まる日本の出版革命』
⇒携帯配信も「電子書籍」なら、日本はもうとっくに浸透してますね、というお話。
◆とにもかくにも、今号は速攻でスキャンして永久保存しましたよ。
たまたま本日の日経産業新聞でも「雑誌コンテンツデジタル推進コンソーシアム」の記事が出てましたし、これからも色々と動きがありそう。
というワケで、本好きの方なら、早めにゲットを推奨。

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