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2009年08月18日

【二足のワラジ】「ハイブリッドワーカー 会社勤めしながらクリエイティブワークする」ヨシナガ




【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、私にとっても他人ごとではない、「ハイブリッドワーク(2つの仕事を持つ)」のマニュアル本。

本書は、一般企業で働きながら、人気サイト「僕の見た秩序。」を運営し、本も出されているヨシナガさんが、同じように二足のワラジを履く方々にお話を聞く、という構成になっています。

と言っても、よくある「副業本」とも違うのは、登場する皆さん、「お金を稼ぐため」だけの副業ではなく、「夢をかなえるため」にも副業をやっているという点。

「いつかは自分も!」と思われる方なら必読です!


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【目次】

田中圭一―「サラリーマン」兼「マンガ家」

津村記久子―「会社員」兼「小説家」

sachi―「OL」兼「ヴォーカリスト」

太田靖彦―「芸能マネージャー」兼「農業家」

うーら―「OL」兼「料理研究家」

RYO―「ミュージシャン」兼「薬剤師」


【ポイント】

◆6人も登場されていて、それぞれ面白いネタがあるので、それぞれ手短に参ります。

田中圭一さん

◆手塚治虫氏のパロディ漫画で知られる田中さんのお話からは、今注目の(?)「権利関係」について。

いかにして「手塚パロディ作品」を世に出せたか、というお話です。

田中 ここはあれなんですよ。やっぱりサラリーマンを長くやってたから、最初に根回しありきで。いかに角を立てずに、フィニッシュに持っていくかっていう。基本は営業でさんざん身に着けてましたんで。

――そこはハイブリッドのメリットの1つですね。

田中 いきなりやっちゃダメだろうなっていう。まずは、手塚るみ子さんがOKを出した。次は、手塚プロの窓口だったKさんが「しょうがねえな」と承認した。だから載せても大丈夫っていう。そのさじ加減がわかりましたね。

超根回しwww


◆また田中さんは、本業で元宮ひろ志さんキャラクターデザインのゲームを開発する過程で、元宮さんの画風もマスターw(外注したアニメパートでも田中さんが手直ししたそう)

さらには、前職の玩具業界の面白エピソードも作品にされています。

ヤング田中K一 (ニチブンコミックス)
日本文芸社
発売日:2005-07-22
おすすめ度:5.0

「新人に試練を与えて、2人辞めた」とか、「結婚式ですごいコスプレする」とか、ネタ読んでても面白そうだったので、思わずアマゾンアタックw

いずれにせよ、田中さんは「本業を副業に活かす」という点では、「ハイブリッドの鑑」ではないか、と。

ちょっと古い記事ですが、たけくま先生も大絶賛でございますw

神罰―田中圭一最低漫画全集 (Cue comics)
イースト・プレス
発売日:2002-08
おすすめ度:4.5


津村記久子さん

◆今をときめく芥川賞作家なのに、未だOLである津村さん。

「分眠」(一旦寝てから夜中に起きて2時間文章を書いてまた寝る)のこととか、メモ魔なことも面白かったのですが、特に本業と関係していたのが、「締め切りを守る」ということ。

――作家先生には、そうじゃない方もいらっしゃるんですか(笑)。

津村 もちろん天才やったらそれでいいと思うけど、どっちかっていうと納期を守るほうがありがたがられるのでは・・・横にいらっしゃる編集者さん、頷いてはるんで(笑)。納期意識ができる。それは会社員特有のアレやと思いますけどね。

他にも、「(好きなことを)やらずに若いときをすごした人っていうのは、ホントに歳とったときにつらいと思う」という言葉がズシリときました。

君は永遠にそいつらより若いカソウスキの行方婚礼、葬礼、その他ミュージック・ブレス・ユー!!
アレグリアとは仕事はできない八番筋カウンシルポトスライムの舟
Amazy


Sachiさん

◆女性デュオ、「Ray of Light」のSachiさんの場合、音楽系の会社に入社する前の音楽経験がほぼ皆無!

活動自体も、社内バンドがきっかけで始まったのだそう。

そんなワケで、いい意味で「ゆるい」印象が。

だから音楽活動のスタイルをどこに定めているかによるんですね。それこそ「タレントになって、有名になって・・・」みたいなところを目指している人は別ですけど、音楽活動自体は、どんな方法でもできるんです。自分でCDも作れるし、下手したらメジャーより売れてしまったり。(中略)

・・・だからやっぱりやめないことが、とても大事で。音楽も「何歳までにこうならなかったら、やめよう」と言う友人もいるんですけど、好きだったらやめなくてもいいと私は思います。家族や会社や生活に支障をきたさなければ。

途中まで「よっしゃ、私も!」とオモタのですが、一番最後の「支障をきたさなければ」というくだりで、(´・ω・`)ショボーンとしたのは内緒w

Light of MINE~ヒカリノカタチ~
ソニーレコード
発売日:2002-10-23
おすすめ度:4.5


■太田靖彦さん

◆太田さんは、アミューズで福山雅治さんや藤木直人さんのマネージャーを勤められた方(現在はご自身の会社を設立)。

忙しさゆえに自律神経失調症となったものの、その後農業に出会って新しい生き方を見つけられたのだとか。

私が特に印象に残ったのが、「農業は結果が見える」というお話。

 それで、実は農業やってわかったことがあって。じゃがいもって3月末に植えて6月頭にはもう収穫できちゃう。要するに、スタートとエンディング・・・結果が、確実にもう見えるわけ。
 もうね。普段俺たちがやってる仕事って、いくら努力しても、結果って見えないでしょ。(中略)

疲れちゃった人っていうのはね、たとえば引きこもりの子とか、鬱のような人って、結局出口が見えない人が多いんじゃないかなと思って。でも、農業やったら、結構みんな笑顔になる。実際俺が試してたし、結果出たときの喜びっていったら。なんていうか、簡単っていうのかね、直結してるっていうか。コツコツやったものが「おいしい!」っていう単純明快さ。あ、これだろうって。

最近、農業もちょっとしたブームですし、興味のある方は太田さんのパートは必見かと。


うーらさん

◆うーらさんはOLでありながら、レシピブログが話題となって出版までされた方。

上記リンク先のブログを拝見すると、美味しそうなお料理の写真が満載です(と言うか、このブログのお料理の写真のクオリティは異常だと思われ)!

本業がWEBデザインということで、ここは私たちブロガーのために、「ブログアクセス向上のポイント」を。

やっぱり料理って、家庭的なイメージがあるじゃないですか。そこでOLって代名詞を出すと、主婦の方たち以外にも訴えかけられる。そのメリットはやっぱりすごくあるみたいで。たとえば、同じ10分でできるものでも、OLが10分でできるって言うと、印象もだいぶ違う・・・。

それともう一つ、「重くしない」

それと、よく「自分でWEBデザインの仕事をしてるのに、なんで自分のブログのデザインをしないんだ」って聞かれるんですけど、それは自分でやると重くなるからなんです。

これは結構目からウロコでしたね。

サイドバーに重いパーツ等貼ってる方も、ご留意を。



RYOさん

◆最後はケツメイシのMC、RYOさん

こんなに有名になっても、未だに薬局で薬剤師として働く事もあるそう(東京薬科大卒)。

RYOさんのお話の中では、「やめなかった人が残る」というのが、印象的でした。

 僕らの周りにも、10年くらい前にクラブとかでよく一緒になってやってたヤツがいっぱいいたんですよ。それが就職とか、大学出たり結婚したりして、子供が生まれたりしてやめて。結局、続けた続けた人だけが残ったんですよ。そこですよね。(中略)

やめなかったから、残ったのかもしれないし。音楽でこれから勝負したいっていう人へのメッセージは、ホントに、「残るまで続けるしかない」でしょ。


◆10年位前というと、私も夜遊び全盛期で、DJやらシンガーやら、イベントオーガナイザーみたいなことをやってる知人が結構いました。

実はその中の何人かが、ケツメイシとも交流があったというのは知ってましたが、彼らもまだCMに曲が使われたばかりで、まさかここまでビッグになるとは思いもせず(失礼)。

また、全然ジャンルが違うんでアレですが、とんでもなく歌の上手い子とかもいたのに、今はどこで何をしてるのやら。

そう考えると、「続ける」というのも、「環境」等も含めた上での「能力」と言えるのかもしれません。

なお、RYOさんのお話では他にも「営業で鍛えられたから、世の中の仕組みがわかった」というのがあって、「それが故に売れたんじゃないか」、という冷静な自己分析が参考になりました。

ケツノポリスケツノポリス2ケツノポリス3
ケツノポリス4ケツノポリス5ケツノポリス6
Amazy


【感想】

◆冒頭に書きましたように、本書に登場されている方々は、いずれも「副業」の方で世間的に知られているわけですが、皆さん「夢を追求した結果」「ハイブリッド」であって、お金目当てではないのが共通点です。

それがゆえに、睡眠時間が削れようが、人付き合いが悪くなりようが、こうしてハイブリッドな生活を続けられているわけで。

そして「好きなことをやってる」からこそ、副業の方での収入の額にはあまりこだわってない方がほとんどでした。

誰一人「割に合わない」とか言ってませんでしたし。←アサマシくないw


◆また、津村さんや、sachiさんは「表現の場」としてのネットを高く評価してましたし、うーらさんに至っては、ご本は「ブログの書籍化」です。

こういう「場」をうまく利用して、作品を発表していれば、いつか何かが起こらないとも言い切れません。

そもそも、干場さん勝間さんを見つけたのも、ネットででしたもんね。

後は、RYOさんも言ってるように「続けること」

続けてさえいれば、それが勝因となることもあるようです(それだけではないでしょうけど)。


◆そして、「本業はカネのため、副業は自己実現のため」と割り切っているのではなく、両者がいい形で影響を与え合っているケースも目につきました。

田中圭一さんはネタとして作品にされてますし、RYOさんは地域密着、うーらさんはOLであることを武器にされています。

ちなみに、ヨシナガさんの分析では、副業の方で本業と脳の似たような部分を使っている人は少ないそう。

そういえば私も、本業は数字まみれで、ブログの方は真逆かも。


◆本書で特徴的だったのが、ヨシナガさんのまとめにもあるように、誰一人として「天才肌」ではなかったこと。

ほとんどの方が、「才能は自分にはあまりない」という評価をされてます(こちらから見たら天才のような人もいましたが)。

ヨシナガさんのまとめから。

おそらく、ハイブリッドワーカーというのは、"超天才"ではなく、比較的普通の人に近い能力を持った人が夢を叶えるベストな生き方の1つであるように思うのです。

私もかなり励まされましたよ!

やはり、ヨメにはブログのことは内緒だなw


ブログをやってて、迷ったことのある方なら必読!



【関連記事】

【好きを極める】「才能を引き出すエレメントの法則」ケン・ロビンソン&ルー・アロニカ (著), 金森 重樹 (監修)(2009年08月04日)

【自分の"強み"を調べてみました】「さあ、才能(じぶん)に目覚めよう」マーカス・バッキンガム(2008年06月26日)

「クリエイター・スピリットとは何か?」杉山知之(2007年05月05日)

「プチクリ!」岡田斗司夫(著)(2006年07月10日)

「ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代」ダニエル・ピンク (著), 大前 研一 (翻訳)(2006年05月25日)

「プラネタリウムを作りました。―7畳間で生まれた410万の星」 大平貴之 (著)(2005年08月26日)


【編集後記】

◆先日、土井英司さんがメルマガで紹介して、急激に売れたのがこの本。

ビジネスは理論ではなく実践だ。単純で決まりきった方法では成功できない!ありふれたビジネスでも巨額の富を作り出せる。100万ドルのアイデアを手に入れろ。カリスマコンサルタントによる名著待望の出版。ビジネスで大儲けしたい人の指南書。

個人的には、ちょっと「煽り系」だと思ってパスしたんですが、読みが甘かったようです。


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この記事へのコメント
               
初めてコメントさせていただきます。MISHIAです。
ケツメイシのRYOさんもハイブリッドワーカーだったとは!
すごくおもしろい本でさくさく読めてしまいました。これからもマインドマップ〜のblogを楽しみしてます。
Posted by MISHIA at 2009年08月19日 12:52
               
>MISHIAさん

はじめまして。
コメントありがとうございます。
もうお読みになったんですね!
面白かったですよね〜、この本。
RYOサンの場合、あの手の音楽やってるのに、お店づとめもされてるというのが、ビックリでした。
今後ともよろしくお願いします!
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2009年08月20日 01:23