2009年08月17日
【藤田田流】「今だからこそ学びたい『藤田 田』の5つの思考法」
【はじめに】
◆先日読んだムック本、「チャンスを先取りする人の思考法&仕事術」。何人かの経営者の方のノウハウがまとめられた、なかなか面白い本だったのですが、特にシビれたのが、日本マクドナルド創業者の藤田 田さんのエピソードでした。
いくつもポイントがあるうち、特に個人的にツボだったものを5つ取り上げてみましたので、ご覧下さいマセ。
・・・それにしても、マクドナルドのメインキャラクターの本名が「ドナルド」じゃなかったなんて(汗)。

【藤田流思考法】
■1.数字で示す◆『ユダヤの商法』でも述べられているように、藤田さんは「情緒的で定性的な物言いを好む日本人」を批判し、「具体的な数字を好むユダヤ人」の気質を賞賛していました。
極めつけは、日本マクドナルドの本社の会議室。そんな藤田だから、部下が抽象的な発言をすると、「数字で示せ」と怒った。元店舗開発本部長の伊東治雄氏は、「いい物件でも、曜日別・時間別の通行量などを示さないとゴーサインが出なかった」と振り返る。
すべての会議室の壁に、その部屋の縦横の長さ、床面積、天井の高さが書いてあるのだそう。
これも「広さ」を「感覚」ではなく、「数字」に落とし込んで身につけるためのトレーニングなんですね。
■2.24時間メモを取る
◆元人事本部長の新井昭彦氏の証言。
藤田さんは、暮らしの中からアイデアを見つけるため、都内を移動する際には、努めて電車を利用し、乗客に話しかけたのだそう。思いついたことは、何でもすぐにメモしていました。レシートや箸袋の裏など、目の前にあるものに、さっとメモして上着のポケットにしまい込む。枕元にも、メモ用紙を置いていたようです。
そして、街の様子、若者の流行、タクシー運転手の景況感など、気にかかった事は何でもメモしていたのだとか。
私もタクシーに乗った際には、たまに景気のことなど聞いてみたりすることもありますが、さすがに電車の乗客というのはちょっと・・・。
偉大な経営者でありながら、そういうこともできたのがスゴイです。
■3.消費者の行動心理を考える
◆藤田さんは休日になると、奥さんの車で自店をまわり、客席に駆け寄り「おいしいですか?」と老若男女に話しかけ、その声に耳を傾けたのだとか。
さらに、他店に視察に行っても、来店客だけでなくそこの店長もつかまえて、あいさつするや否や、「どれが一番売れてるの?それは全体の何%くらい?それじゃ儲からんだろ?」と質問したのだそう。
とにかく藤田さんは、思い込みや憶測を避けるために、実地でヒアリングして、消費者の行動心理を考えぬいていました。
なるほど、納得。「人間は欲望を持った動物だ。そういう動物はどこをどのようにしてやれば便利だと感じるか、快適になるか、満足するか。ビジネスとは、そういうことを考えるところから始まる」
■4.お客さんに商品の良さをいかに伝えるかを考える
◆店名の「マクドナルド」。
これは英語の発音では「マクダーナルズ」となるところを、日本人になじみやすい読み方を考案したのだとか。
また、店舗が増えてからも、「マクドナルド・ハンバーガー」と、看板には「ハンバーガー」を付けさせていました。
この辺が、顧客目線というか、「顧客の利便性」を意識しているのが流石です。社員が「外したい」と言うと、「マクドナルドが何を売っているか、まだ知らん人もおるはずや」と怒った。
◆さらにスゴイが、イメージキャラクターである「ドナルド・マクドナルド」の名前。
本来は「ロナルド」であるところ、藤田さんの独断で「ドナルド」にしたそう。
というのがその理由。「日本人には発音しにくい。子どもからお年寄りまで、みんなに呼んでもらうにはこれじゃあかん」
・・・四半世紀以上知りませんでしたよ。
■5.社員の妻も大切にする
◆上記新井氏の証言。
さらに、桃の節句には、男性社員の妻のために1万円の祝儀を用意し、感謝状を添えたそう。社員だけでなくその家族も身内と考える人でした。男性社員の妻の誕生日には毎年、社長名で自宅に花が届くんです。「花をくれるのは社長さんだけよ」と、妻に嫌みを言われる社員もいました。
ここまで社員の妻に報いるのは何故か?「のし袋に詰めるのに手間がかかるので、振り込みにしてはどうかと社長に提案したら、『アホ、手渡しだから意味があるんや』とどやされました」(新井氏)
藤田さんはこう説明しています。
「ユダヤ商人的」な「合理主義」と、こういった「浪花節」的な部分のバランスがうまくとれていたのが、藤田さんの成功の秘密なのかもしれません。「夫が会社で面白くないことがあって家で愚痴っても、女房が『いい会社じゃない』と励ましてくれる」
【所感】
◆あのソフトバンクの孫正義氏も高校時代に教えを請いに行った、という藤田さんだけに、その経営センスや、金儲けのノウハウはこんなものではありません。たとえばこのシリーズは、かなり古いものなので、若い方だと事例はピンとこないかもしれませんが、今読むとかえって新鮮だったり・・・。
アマゾンでの評価もおしなべて高いのに絶賛安値放出中w
◆また、丁度今のような不景気だからこそ、正座して読んでおきたいのが、こんなお言葉。
一瞬「ドキっ」としましたが、まだまだ続きます。「景気が悪いという"環境"を変えていくのは総理大臣の仕事であって、われわれの仕事ではない。それを自分が総理大臣にでもなったようなつもりで、『いやあ、景気が悪いものだからねえ』などといっている。これでは儲かるはずはない。
「自分でコントロールできないことは気にしない」という話はよく聞きますが、さらに一歩進んで、「景気が悪いことと、儲からないことは関係ない」、と。自分が怠惰で、サボっていて、頭が悪いことをすべて景気が悪いことになすりつけているようでは、絶対に儲からない。こういう人は、景気がいいときでも儲からない人である。事実、景気のいいときでも、儲かっていない人はごまんといる。逆に、景気が悪いときでも儲かっている人はたくさんいるのだ。(中略)『景気が悪い』ということは、いってはならない。景気が悪いこと、儲からないことは、まったく関係がないからだ」
確かに、先日読んだ本に付いていた音声セミナーでも、「潰れたお店の居抜き物件が安く手に入る」、という不景気だからこそのメリットが挙げられていました。
いずれにせよ、儲けたければ、藤田さんのように街に出て、情報収集して、考え抜いて頭を働かせる必要はありそうです。
◆なお、このムックの他の方のお話では、特にジャパネットたかた社長の高田 明さんのパートが読みどころ満載でした。
「通常の2.5倍の販売を実現した秘密の映像」
「話し手の集中力が売れ行きを決める」
「人を感動させる商品の魅力を伝えよう」
等々、「モノを売りたい」方なら必読な内容ばかり。
・・・ブロガーでアフィリエイトやってる人にも使えるお話かもネ(ニヤリ)。
気になる方は要チェックで!
●世の中の変化を先取りする(ワタベウェディング会長 渡部隆夫
変化を追うのではなく、変化を起こし、チャンスを先取りする。ハワイ挙式事業の成功を事例に挙げ、一人勝ちする方程式を公開。教科書には載っていない渡部氏の勉強法を詳しく紹介します。
●「買いたい気持ち」を刺激する(ジャパネットたかた社長 高田明)
ジャパネットたかたの、売り方、お客様対応、お客様の心をつかむ極意を高田社長への徹底取材で聞きだしました。部下を育てる方法や部下への接し方についても具体例と共に掲載しています。
●24時間メモをとれ(日本マクドナルド創業者 藤田 田)
数字尽くしの生活、「考えろ!考えろ!」、24時間メモを取る、1円にこだわれ--不況下でも儲けるために藤田氏が実践した4つの方法を公開。藤田氏の側近や盟友から証言を集めレポートします。
●会社の数字の「裏」を読む(エーワン精密相談役 梅原勝彦)
売上高20億円あまりの町工場にもかかわらず、経常利益率は35%超、しかも無借金で自己資本比率は90%。知る人ぞ知る超優良企業の創業者が会社の数字の「裏」を読む方法を伝授。
●まねることで成長しよう(キヤノン電子社長 酒巻 久)
社長に就任した5年で利益を10倍にした酒巻氏の「まね」を通して自分を成長させる術を伝授。設計も特許もゴルフも、いかにまねをすることで短期間で高い技術を習得したかを披露。
●洞察は儲けに通じる(サイゼリヤ会長 正垣泰彦)
自分の好みを徹底的に排除するために5つの指標にあてはめ客観的に見る、迷ったらすぐ現場を確認、本質を見抜くために「なぜ」を10回繰り返す正垣氏の独自の洞察術を紹介。
●思考力を高めるビジネスツール
数字に強くなる、アイデアを生み出す、情報を整理するビジネスツールを紹介します。それぞれの経営者が実際にどのように使っているかを詳細な写真とともに掲載。
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「究極のマーケティングプラン」ダン・ケネディ(著)、神田昌典(監訳)(2007年04月16日)

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