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2009年08月06日

【おもてなし】『「サービス」をサービス』指南役


「サービス」をサービス!
大和書房
発売日:2009-07-17
おすすめ度:4.5


【本の概要】

◆今日お送りするのは、以前、『「考え方」の考え方』紹介させて頂いた、クリエイティブ集団「指南役」さんの新作。

今回のテーマは「サービス」です。

と言っても、単純な「サービスマニュアル」ではなく、副題にあるフレーズは「かゆいところに手が届く禁断の仕事術」

そう、ハマれば破壊力抜群なネタが盛りだくさんでした!


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【目次】

1章 視点―view point!

 そのエスカレーターは下るか?
 かゆいところに手が届く
 アナログであれ
 遊び心
 余計なサービス

2章 軸足―Position!

 初心に帰る
 身の丈大
 引く勇気
 余裕を持つ
 プロであること

3章 行動―Action!

 汗は無駄にならない
 一期一会
 理系のサービス
 相手を立てる

4章 技能―Skill!

 隠さない
 ミスをゆるす
 災い転じて福となす
 お客扱いしない
 サービスに王道はない


【ポイント】

■サービスの基本は、相手の目線に立って考えること

 1954年、かのウォルト・ディズニーはディズニーランドをロサンゼルス郊外のアナハイムに作る際、たびたび建設現場に足を運んでは、かがんで子どもの目線になって指示して回ったという。


■テレビ好きなTBS安住紳一郎アナ

 三度の食事よりもテレビを見るのが好き。生まれついてのテレビファン――そんな人にこそ、テレビを作ってほしいものである。ちなみにTBSの安住紳一郎アナウンサーは「テレビ好き」を公言し、自宅にテレビが7,8台あり、地上波の全チャンネルを同時に見られるようにしているとか。彼の人気は、そんな大衆目線を忘れないところにもあるのかもしれない。


■CMプランナー・佐藤雅彦さんの友人が、外国の博覧会の人気パビリオンで並んでいたときのこと

曲がりくねりながら延々と続く長い行列に、その友人はいい加減うんざりしていた。だが、行列の先頭のほうを見ると、なぜか皆、振り返って笑顔を見せているという。
 不思議に思いながらも友人が行列を進んでいくと、やがて階段を登り始めた。そのパビリオンは入口が2階にあるからだ。そして階段の中段にさしかかったとき、ふと後ろを振り返ると――なんと、今まで自分が並んでいた行列が動物の一筆書きのイラストになっていたのである。


■できる店の特徴

 それは、少なくともお客の見えるところでは、常連客と一見客を区別しないこと。
 どの客にも皆、同じ距離感で接する。それで一見客は安心し、常連客は感心する。そう、常連客を露骨に贔屓する姿勢は、実は常連客も好まないのだ。


■4000枚の年賀状にプライベートメッセージを書いていたホイチョイプロ

 そう、汗をかいたサービスは、必ず相手に伝わる。
 一見、その作業は効率が悪いようにも見える。しかし、実はこれほど効率のいい方法もないのである。
 手書きの年賀状なら、1枚あたり10秒ほど汗をかけば、確実にその思いは相手に伝わる。でも、年賀状以外の方法で相手の心を掴もうとしても――10秒程度の汗じゃ、とても足りない。


■サービスの基本は、率直に謝り、隠さないこと

 何か事が起きたら、けっして他人のせいにしてはいけない。そして、自分が不利になる情報でも積極的に開示する。
 そうすることで相手はこちら側を信用し、その後の処置を任せてくれる。そのうえでリカバリーすれば、クライアントとの関係は必ずや良好になる。


■幻冬舎社長・見城徹氏が五木寛之氏を口説いた方法

 当時、見城さんは角川の編集者で、五木さんは一度も角川と仕事をしたことがなかった。そこで、見城さんはある決心をする。それは、五木さんが発表するエッセーや対談、小説などのすべての著作物に対し、必ず発表して5日以内に感想を本人に送ること。それも凡庸な感想ではなく、五木さんにとって新しい発見や刺激になる内容で――。(中略)

 そして、努力は報われる。
 18通目で五木さんから返事が来て、25通目を出したとき、遂に本人との面会が実現したのだ。


■お客をもてなすためには、時に「断る勇気」も必要になる

 山形県米沢市にある、新緑の森に囲まれた旅館「時の宿 すみれ」は、"おふたり様専用宿"をコンセプトに、徹底的に2人客にこだわったサービスを展開している。
 客室はすべて2人部屋。ロビーの椅子もレストランのテーブルもすべて2人用で、旅館内には日常の喧騒を忘れさせる静かな時間が流れている。
 2人の時間を大切にしてもらうため、ここでは3人以上の客は受け付けていないという。知り合い同士の2組の夫婦もNG。なぜなら、2人と4人の会話では声の大きさが違うかららしい。


■身内を大切にする

 かの田中角栄は、彼に近い人間ほど熱烈な支持者が多かったという。
 運転手や書生、女将、秘書、官僚、田中派議員――角さんは、自分の手足となって動いてくれる人たちを決して足蹴にしなかった。たとえば、運転手には車の降り際に、周囲にわからぬよう、ドアの隙間からチップを滑り込ませていたという。


【感想】

◆本書は、指南役さんが考えるサービスのノウハウが19通り展開されており、それぞれについて、具体例となるエピソードが複数収録されています。

それはそれで全然いいのですが、それらエピソードが、印象深かったり、意表をつかれたりで、持ち味を失わないように引用するのが、これがまた大変でした。

結論のみズバっと言い切るのではなくて、エピソード全体を通して、心に染み入る感じ。

結果、ある程度のボリュームで納まるモノのみが選ばれてしまっていますが、実は泣く泣くカットしたものが結構ございます。


◆特に、ポイントの最後で登場した、故・田中角栄元総理。

本書の中では数回登場し、いずれも鮮烈な印象を与えるようなものばかりでした。

「自らの派閥の議員だけでなく、他の派閥の議員にも選挙資金を配っていた」

「野党議員にさえ、選挙資金に困っている、という話を聞いたらお金を届けさせた」(「しかも、土下座しながらお金を渡させた」)

「遊説中に、田植え中のお年寄りが手を振っているのを見つけて、革靴のまま田んぼに入っていった」
等々・・・。

これも、「"角さん"流」「サービス」なんですね。


◆本書のノウハウの根底に流れているのは、「相手をもてなす心」です。

それは、「近道」「抜け道」とはちょっと違う、ある意味「王道」とも言えるもの。

「デジタル」「アナログ」かで言ったら、おそらく「アナログ」でしょう。

丁度、かつて時計は、デジタルがアナログを駆逐したのに、またアナログが見直されてきたように、「合理性」だけでは「相手の心までは刺さらない」ことが認識されつつあるかのような。


◆きっと、自ら、もしくは自らが提供するものが「コモディティ」から脱却するためには、凡庸な次元の「サービス」ではなく、「突き抜けた何か」が必要なのだと思います。

本書で紹介されているものは、必ずしも全てが実践できるとは思えませんでしたが、そういう「ものの考え方」を踏まえた上で、自らの「サービス」について考えると良いのではないでしょうか?

自分自身の「ブランディング」や、商品開発」「販売促進」、そしてもちろん、「一般的なサービス業」においても、きっと本書に書かれている内容は応用可能ですから。


「サービス」という言葉の裏側にある魅力的な世界を垣間見れる1冊!

「サービス」をサービス!
大和書房
発売日:2009-07-17
おすすめ度:4.5


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「これ、知ってました?集客に、お金はかからないのです。」藤村 正宏 (著)(2006年05月21日)


【編集後記】

◆昨夜は、築地本願寺の盆踊りに家族で出かけてきました。

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着ぐるみが何体かいたのですが、寄っていったムスコが無視される事が何度か。

暗い上に、ムスコが小さすぎて、視界になかなか入らなかった模様w

そりゃ、2歳児があの暗闇にいてもナー。


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