2009年07月22日
【経営の本質】「徹底のリーダーシップ」ラム・チャラン

徹底のリーダーシップ
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、当ブログにしては珍しい(?)経営に関するご本。著者のラム・チャラン氏は、200万部のベストセラー、『経営は「実行」』という著作を持つ経営アドバイザーです。
アマゾンの内容紹介から。
リーダーならずとも読んでおきたい1冊です!カリスマ経営アドバイザーによる「ぶれない経営」のための本
ベンチャーからフォーチュン500企業まで、世界中の経営者から絶大な支持を受けている経営アドバイザー、ラム・チャランが、未曾有の経済危機に直面しているビジネスリーダーたちに向けて書いた、「ぶれない経営」のための書。いまなによりも大切な「キャッシュ」を確保しつつ、「徹底した経営」を貫き、この不況の先にどこよりも強くなっているために、リーダーたる者、いかに思考し、行動すべきか。「最悪のシナリオ」の下で「最高の結果を出す」ためのエッセンスが詰まっている。
【目次】
序章 六週間で「一〇〇年に一度の危機」に対応した会社
第1章 「キャッシュと情報」こそ命綱である
第2章 本物のリーダーはどう行動するか
第3章 販売、マーケティング責任者のすべきこと
第4章 CFOのすべきこと
第5章 現場のリーダーがすべきこと
第6章 研究開発部門をどうするか
第7章 サプライチェーンをどうするか
第8章 スタッフ部門のトップがすべきこと
第9章 取締役会のすべきこと
【ポイント】
■ファーストリテイリング・柳井氏の解説からいい会社と悪い会社でやっていることは、表面上はほとんど一緒です。やるべきことも一緒です。何が違うかといえば、どの程度までやるのか、どの水準を目指すのか、それだけです。
■経営者は、重点を損益計算書から貸借対照表にシフトさせなくてはならない
今回の危機が発生する前は、ビジネスが成功していることを示す指標は1株あたり利益や、マーケットシェア拡大による増収だった。いま、最も重要なのはキャッシュである。
■成長を定義しなおす
CEOの中には、ライバルの体力が弱っているいまこそ、シェアをとりにいけ、と社員をけしかけている向きもある。それが許されるのは、利益を出せて、キャッシュ効率がいい場合だけだ。つまり、シェア拡大を目指してよいのは、それによって得られる利益が、在庫積み増し、売上代金回収の遅延、または複雑性の増大によって、大幅に目減りすることがないときに限られる。
■消費者の低価格志向が定着した商品については、マーケットシェアに固執してキャッシュを失うよりも、そのマーケットセグメントは切り捨てることが将来の成功に向けた布石を打つことになるかもしれない
■難局においてリーダーに絶対必要な6つの資質
1.誠実であり、信頼できる存在であること
2.社員、部下を鼓舞し、勇気付ける存在であること
3.現実と「生の情報」でつながっていること
4.楽観的な現実主義者であること
5.細部にまで徹底して踏み込んでいくこと
6.未来に打って出る勇気があること (詳細は本書を)
■ブランドを犠牲にしない
いま、顧客の需要はあきらかにブランド製品からPB商品へシフトする傾向があるが、ブランドが価値ある資産であることには変わりはない。顧客のブランドに対する期待を裏切るような商品にしてはいけないのである。製品を安っぽくして、ブランドを犠牲にするという誘惑に負けてはいけない。
■売り上げが減る前にやっておくべきこと
製造業において執行責任者が取り組むべき最大の課題は、売り上げが減る前にキャッシュベースでの損益分岐点を下げることだ。どのようなかたちで生産量を絞るかを迅速に判断し、素早く行動する。シフトを減らすのか、工場そのものを閉めるのか、あるいは生産を一元化するのか?(詳細は本書を)
■アウトソーシングとインソーシング
オペレーションを簡素化するにあたって、何をアウトソースするのかを決めるための業務見直しも行う。(中略)他社との差別化になっている重要な業務は社内に残し、その他についてはすべてアウトソーシングを検討する。(中略)
会社によっては、アウトソーシングとは逆のことを考えてもよいかもしれない。つまり、余剰人員を活用して、他社にアウトソースしていた仕事を社内に戻す。前述したデュポンの場合は、外部の契約社員の仕事を自社の社員にまわし、社内人材の有効活用をはかった。
■賢い研究開発予算の削り方
研究開発部門のリーダーは、まず、予算の削減対象を正しく選ばなくてはならない。そのためには、トップダウンでゼロベース予算を実践すべきである。つまり、過去の実績はいったん白紙にして、どのプロジェクトが不可欠であり、どのプロジェクトは犠牲にすることが可能なのかを再検討するのである。その検討結果をもって、会社の上層部を説得し、最も有効で効率的なかたちの予算削減を実現する。
■人員削減
人員の削減は、覚悟を決めて大胆にやり、一度で終わらせるべきである。犬の尻尾を少しずつ切るようなことをしてはいけない。短期間に人員削減を何度もやると、不信感が広がり、士気が下がり、組織のエネルギーが失われる。
【感想】
◆本書は、原書が出たのが昨年暮れですから、翻訳本としてはかなり早いタイミングで出版されています。ただ、その原書自体も昨年秋の「リーマンショック」を踏まえた上で出されているワケですから、こちらの方が緊急出版の色合いが強そう。
とにかく未曾有の不況で「何をどうしたらいいのか」途方にくれている経営者にとっては、こういうタイトにまとめられた本は有り難いハズ。
理屈がどうこう言うよりも「とりあえず今すぐやるべきこと」にフォーカスされていると言えます。
◆ワタクシごとですが、ウチの顧問先でも、大手メーカーの下請けをやっている会社がありまして。
昨年夏ごろまではかなり好調で、「節税対策をどうするか」みたいな話だったのが、一転して受注激減&売り上げ滅失。
一番ひどい時で、売り上げが通常時の「8割減」(「8割」じゃなくて「8割"減"」)というのですから尋常ではありません。
こういう時には、トップはもちろんのこと、各部門のリーダーがそれぞれ「やるべきことをやる」必要があります。
◆まずは「キャッシュの確保」。
本書の冒頭にユニクロの柳井さんの11ページにも渡る解説があるのですが、そこでキャッシュの重要性に関して、あれだけ現金保有額があるトヨタが「さらに資金調達に動いた」ことを挙げられています。
なお、キャッシュの重要性に関しては、「タイトルからしてモロ」の吉澤さんのこちらの本をお読みいただきたく。
◆さらには、「徹底した経営」(management intensity)と呼ばれるものも。
本書では、ウォルマートにおける「最前線の情報」の例が挙げられているのですが、こういう「ナマの顧客情報」が経営にも大きな影響を及ぼすのだな、と改めて認識した次第です。事業運営および社外環境を細部まで把握し、経営者自らが現場に積極的に関与していく、ということである。
・・・リーダーの果たすべき役割の何と多いことか。
◆個人的には、本書は非常にオーソドックスで「王道系」な印象を受けました。
たとえ自分が経営者やリーダーでないとしても、こういう情勢において、抜き出たビジネスパーソンになるためには、一人ひとりが「経営者マインド」を持つ必要はあるかと。
やはり冒頭の柳井さんのお言葉から。
ユニクロの店長が目指す最終の姿は、社員フランチャイズで自分がオーナーになって、自分の会社で「ユニクロという事業」をやることです。商売の仕組み、数字に対する理解がそのレベルまで行かないと、僕が言っていることの本当の意味はわからないでしょう。
今だからこそ読んでおきたい1冊!

徹底のリーダーシップ
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【編集後記】
◆3連休中の活動から。
「2009講談社:夏のこどもまつり」に行った際の、ヨメイラスト。
ムスコはシンケンジャーよりプリキュアが好きな模様w
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