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2009年07月20日

【超仕事術?】「仕事するのにオフィスはいらない」佐々木俊尚




【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、相変わらず精力的に著作を出し続けている佐々木俊尚さんの新刊。

本書では、その量産のヒミツが、かなり具体的に述べられています。

と言っても、作家さんのライティングノウハウではなく、私たちオフィスワーカーにも活用できる「仕事術」であるのがありがたいところ。


◆本書のキーワードは、サブタイトルにもある「ノマド」

 言ってみれば「オフィスのない会社」「働く場所を自由に選択する会社員」といったワークスタイルを実践している人たちのことです。

佐々木さんの主張だと「オフィスはいらない」のかもしれませんが、「オフィスでも使えるネタ」が満載でした!


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【目次】

第1章 ノマドワーキングのすすめ
 フリーランス・マーケットプレイス
 不況を逆手にとった働き方
 "王侯貴族生活"よりも家族との時間 ほか

第2章 アテンションコントロール
 3つのコントロール
 他社のオフィスを借りて仕事
 ウェブサイトを完成途中で公表する意味
 さすらいのバックパッカープログラマー ほか

第3章 情報コントロール
 「気が散らないように頑張る」ことによる疲れ
 電話ではなくメールで

第4章 コラボレーション
 サスティナビリティを前進させるために必要なこと
 スカイプチャットの活用 
 「どこでもオフィス」の日

第5章 クラウドを使いこなす
 クラウドを使う4つの意味
 セクション1 スマートフォンを使いこなす
 セクション2 クラウドでニュースを読む ほか

第6章 ノマドライフスタイルの時代へ
 個人のフラット化
 ホモ・モーベンス
 ドゥルーズ/ガタリの提唱したノマド ほか


【ポイント】

■ある人材コンサルタント企業の経営者の言葉

「自社の業務を徹底的に分析し、オンリーワンで他には譲れないようなコアな部分だけを社員の仕事として残し、それ以外のコモディティ(日用品)化した業務については外部委託してフリーランスに任せてしまうのがよい。もうこれまでのように30年も同僚と机を並べて、永続勤務表彰で金時計をもらうような時代は終わりを告げたんだ」


■ノマドワークスタイルの3つのインフラ

 ●ブロードバンド
 ●サードプレイス
 ●クラウド



■ノマドワークスタイルの課題である「3つのコントロール」

 ●アテンション(注意力、集中力)をコントロールする
 ●情報をコントロールする
 ●仲間とのコラボレーション(連携、協調)をコントロールする



■「ボボズ」の著者ブルックスによる「成功した人たちの2つの大きな能力」

1.「明日は今日よりもずっと良くなる。そしてわたしは明日を実現するパワーを持っている」という強い信念を持っている

2.成功者はアテンションを意識的に集中させる驚異的な能力を持っている

(2008年暮のニューヨークタイムズ紙にブルックスが書いたコラムより)

アメリカ新上流階級 ボボズ―ニューリッチたちの優雅な生き方
光文社
David Brooks(原著)セビル楓(翻訳)
発売日:2002-08
おすすめ度:4.5


■アテンションが高まるタイミングをうまくとらえ、メリハリを付ける

 A(取得)とC(整理)は、アテンションがなくてもリラックスしながらできる作業です。直感的なカンで行える、単純作業でもあります。
 でもD(掘り下げ)とC(連携)は、高いアテンションが必要です。論理的、かつ複雑な思考が必要になってきます。(中略)

 そこで次のような方法を採ります。
 集中力のある時を「アテンション」と名付け、DやCの作業をします。また気分がだらけてしまって集中できない時は、「リラックス」として、集中しなくてもできる単純作業のAやCに取りかかることにします。


■集中力をいかに温存するか

 山登りで温存すべきなのは「体力」でしたが、ノマドワークスタイルで温存しなければならないのは「集中力」です。
 体力を温存するために、歩く時間と休む時間をうまく組み合わせて身体に良いサイクルを作り出したように、集中力を温存するためには、リラックスとアテンションをうまく組み合わせて、身体にリズムを作ることです。
 1日のスケジュールの中で、リラックスとアテンションをうまく組み合わせることができれば、頭の中に疲れはたまらず、仕事の途中からどんよりと疲労がたまってくるということはなくなります。


■Gメールの6つの最強ラボ:(抜粋)

●返信定型文

毎回同じような返事を書くケースがある場合、ここに文章を登録しておけば、次からはコピーアンドペーストの必要がなくなります。

●別スタイルで署名 ⇒ 署名を引用部分の上に持ってきてくれる


■情報コントロール力が飛躍的に高まる「5つの最強ファイヤーフォックス用アドオン」:(抜粋)

オートページャライズ

このAutopagerizeは、自動的にページをめくってくれるアドオンです。

イッツ・オール・テキスト

 このイッツ・オール・テキストというアドオンをインストールすると、ウェブブラウザの入力フォームで、外部のワープロソフトやエディタソフトが使えるようになります。


■佐々木さんのオンラインストレージの使い分け:(抜粋)

★Syncplicity:オフィスのデスクトップパソコンと、ノマドで持ち歩くノートパソコンのマイドキュメントの内容をリアルタイムで同期する。

★JungleDisk:オフィスのデスクトップパソコンのマイドキュメントの内容を、つねに自動バックアップする。


■蔵書の管理に「メディアマーカー」

 現時点で最も最良のアプローチは、本のタイトルや著者名、読書メモなどをきちんと管理しておくことです。そしてこれは無料の蔵書管理クラウドで完璧に実現可能です。
 私がイチオシなのは、メディアマーカーです。このクラウドが素晴らしく最強なのは、書籍を登録するありとあらゆる方法が用意されていることです。このような強力なツールが日本の小さなベンチャーから登場してきたのは驚嘆としか言いようがありません。


【感想】

◆冒頭から途中まで読んでいた限りでは、「ノマドワークスタイル」というものの解説や、日本や海外におけるその実践者の紹介が本書のメインコンテンツかと思っていましたがあにはからんや

第5章では、80ページ超を費やして佐々木さんご自身が実践されている「仕事術」「知的生産術」細かいノウハウが炸裂。

これがもう、その辺の「ハック本」真っ青濃さなんですよ(先進的な方なら既に導入済みかもしれませんが)。

さすが多忙で知られる佐々木さんが、実践しているやり方だけのことはあります。


◆というか、こういった仕事の方の忙しさは、ある程度わかっていました。

 私は毎月8本の雑誌連載と4本のウェブ連載を抱え、それ以外に年間4〜5冊の書籍も刊行しています。また折に触れ、論壇誌や経済誌、週刊誌などにも寄稿しており、こうした単発の執筆原稿は年間20〜30本程度に上がっています。

ただし、それより「スゴイ!」と思ったのは、家事もしっかりなさっていること。

 さらにいえば、私は妻と2匹の犬と暮らしていて、毎日の食事は私がすべて担当しています。30代の終わりに脳腫瘍という大病をして以来、無農薬有機野菜を使った和食が基本で、米は合鴨農法で作られた玄米を取り寄せ、自家精米して鉄釜で炊いています。(中略)

そうして朝と夜、1日2回の食事は「一汁三菜」を基本にしてじっくり、それぞれ1時間近くもかけて調理し、食事も30分以上ゆったりと楽しみます。後片付けやゴミ出しまでも含めれば、1日に家事に割いている時間は、おそらく2時間以上になるでしょう。

テラスゴス!

おまけに「毎朝5キロ走っている」そうですから、私が「時間がない」と泣き言言っているのとは、次元が違います

私とほぼ同年代なのにえらい違いww

結局は「短時間にいかに集中して成果を出すか」にかかっているのだと思われ。


◆よくネット上の記事で、ツールやサービスを紹介する「オススメ○○10選」というようなものがありますが、佐々木さんのそういう状況を踏まえた上で、第5章で紹介されたものを眺めると、また印象が違ってくるかと。

私もさっそく、Gメールの「最強ラボ」のうち、上記でご紹介した2つは導入しました(残りは本書をご参照のこと)。

「返信定型文」は、主に「献本辞退関係」のメールで活躍する予定。

また、「別スタイルで署名」の方は、今まで返信メールの本文の直後に署名を出すため、引用部分を全部削除するか、署名をコピペしていたのが、かなり楽になりそう。

地味ですがありがたい機能です。


◆一方、第2章の「アテンション(注意力、集中力)のコントロール」のやり方も、「佐々木流ライフハック」とも言うべき興味深い内容でした。

上記でも触れたように「短時間に成果を出す」ためには、「外的なもの」(ツール、サービス等)だけではダメで、こうした「内的なもの」も必要なのかと。

「ノマドワークスタイル」の場合、「周りの目」、という強制力がない分、より一層「仕組み化」して、アテンションをコントロールされているようです。

一応当ブログとしては、こういう本を激プッシュしておりますが。

最強の集中術
エクスナレッジ
森田 由美(翻訳)
発売日:2008-03-27
おすすめ度:4.5

参考記事:【スゴ本】「最強の集中術」はキテます!(2008年04月02日)


◆本書のメインテーマからすると、「仕事は会社の自分の机でやるもの」という従来の働き方が、もはや時代遅れである、ということを主張されたいのだと思いますが、実際に本書で展開されている「ノマド」な働き方が制度的に可能な人は、まだまだ少ないと思います。

ただし、後数年後には、少なくとも現在よりは、はるかに一般化されている可能性は高いハズ。

私がかつてGmailの導入に二の足を踏んでいたように、精神的に抵抗がある方も、本書を一読すれば、多少は考えが変わるかもしれません。

これからの時代、生産性を高めるためには、「何でも貪欲に取り入れる」必要性があるのではないでしょうか?


今、できるだけ早く読みたい1冊!



【関連記事】

【整理術】「整理HACKS!」小山龍介(2009年06月29日)

【モバイル】「仕事ができる人はなぜレッツノートを使っているのか?」山田祥平(2009年02月17日)

【情報処理】「情報力」橋本大也(2009年01月19日)

【仕組み】『「仕組み」整理術』泉 正人(2008年09月29日)

【超】『超「超」整理法』野口悠紀雄(2008年09月25日)


【編集後記】

◆同じ佐々木俊尚さんの新刊。


こうして同じ月に2冊も出せるのも、本書で展開されているテクニックのおかげなのかも。


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

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Posted by smoothfoxxx at 10:00
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