2009年06月24日
【ロジカルライティング】「仕事ができる人の論理的に考え、書く技術」小野田博一
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、一連の「論理的な著作」でお馴染みの小野田博一さんの最新刊。今までビジネス書畑以外で活躍されてきたと思うのですが、昨今のビジネス書ブームのトレンドゆえか、本書も東洋経済さんからの出版です。
上記サイトからの引用。
日頃から、あまり論理的ではない文章を書いている私には耳痛い1冊でしたよ!仕事ができる人は論理的表現がうまい! レポート、ビジネス文書を書く際に、論理的要素をちりばめれば見違えるほど良いできになる。そのノウハウをイラストを交え解説!

【目次】
はじめに
第1章 論理性とは何か
論理的って何?
文章が論理的であるために必要な3つの条件
「結論」と「結論を支えるもの」 ほか
第2章 結論
結論を明言しよう
主張は、伝えたい主張そのものを書け
結論としての主張と結論のありかた ほか
第3章 支柱―結論を支えるもの
理由(主張を支えるもの)を必ず書こう
理由を支える事実を書こう
直接支えよ ほか
第4章 しっかり支えている感じ
理由がある―ただそれだけでは論理的にならない
論理のギャップを置くな
確かなもので支えること ほか
第5章 構成・表現
スタイルが必要
何を伝えたいのかが、相手に伝わるように述べよ
「何を伝えたいのか」をダイレクトに表現 ほか
【ポイント】
■文章が論理的であるために必要な3つの条件・結論
・結論を支える理由
・論理の標識(詳細は本書を)
日常的に、よく、次のようなものに接する人は多いでしょうが、これらは論理的な発言・記述でないことはもうわかりますね。
・意見を聞かれたときに一言の主張のみ
・結論の書かれていないコラム(例「現状は云々である。なんとかならないものだろうか」)
・結論を支えるものがない小論文
■わかりやすく、隅々まではっきり見えるように書け
「この文章はよくわからないけれど、納得がいく」などと読み手が思うことはありません。わからないことに対して納得のいく人はいないのです。論理的な文章であるためには、わかりやすく、隅々まではっきり見えるように書くことが必須です。
■異なる意見や逆の意見をもつ人に読ませるための文章を書こう
あなたが意見を述べねばならないのは、あなたと異なる意見や逆の意見をもつ人に対してです。それらの人びとを納得させるために、理屈が必要で、文章に論理性が必要なのです。
■自分の結論をチェックする方法
討論のシーンを頭の中で思い描いてください。
・あなたが結論を述べます。
・それに対し、別の1人が「あなたの結論を否定形にした発言」を述べます。
そして以上が、議論としてまともになっているかをチェックします。まともならOKです。馬鹿げた対話になっているなら、あなたの述べた結論は「要するに何を述べたいのか」を述べていない発言です。
■結論が「提唱・呼びかけ」では不適切
結論部分は「提唱・呼びかけ」では不適切です。
「提唱・呼びかけ」の前に結論を述べる必要があります。(中略)
つまり、「高校生は小説をもっと読もう」とあなたが呼びかけたいのならば、「高校生は小説をもっと読むべきだ(読むほうがよい)」という主張(これが結論)とそれを支える理由を述べたあとにおまけとして呼びかけを置くべきなのです。
■結論のつもりで直接疑問文を書くな
結論のつもりで「〜ではないだろうか」と書いてはいけません。それでは結論ではありませんから。疑問文は結論にはなりえないからです。結論は肯定形あるいは否定形の平叙文で書きましょう。
■結論を支えるために提示するものは、結論を直接支えなければならない
たとえば
いま、円安だ。だからA株を買うべきだ。
これを聞いた人、読んだ人は「は?」と思うだけでしょう。「円安のときにA株を買うべき(買うとよい)理由」が欠けているからです。
■感情とは離れて書け
これは、感情的に反応していることがらについて書く場合です。
たとえば、あなたが重税に憤慨しているなら、あなたは「重税をやめるべきだ」という主張と、重税をやめるべき理由を書きましょう。あなたが憤慨しているか否かは、重税をやめるべき理由とはなりえないので余分です。
■「知性に対する威嚇表現」を使わない
「〜はもってのほかである」や「〜は論外である」や「〜はあきらかだ」という「知性に対する威嚇表現」を使う人は、通常、支えようという意思がありません。
例えば、「○○に税を課すなど、もってのほかである」と書いて、○○に税を課すのがなぜ悪いのかの理由を書かない。それではダメです。
■字面の意味で表現しよう
「〜では困る」という表現は新聞の社説などでよく使われます。「風見鶏しているだけでは困る」と述べているものの、実は困るか困らないかの話ではなく「風見鶏しているのではよくない」の意であるような文はよく見かけられますね。
このような字面の意味でない表現を使うのは避け、すべての表現を字面の意味で使いましょう。
【感想】
◆本書は各項目がシンプルに(「論理的ゆえ」か?)まとまっており、読むこと自体は非常に楽でした。ただし、その内容は極めてディープ。
通常私たち(私?)が何気なく使っている表現の多くが、「論理的か否か」で考えた場合、問題があることが明らかにされています。
・・・というか、こういう内容の本を紹介する場合には、「どこまで"論理的"に書かねばならないのか」が、気になってしまうのですが(でも結局いつも通りw)。
◆実際、このブログで用いてきた表現で「ダウト」なものが多々ありました。
「結論なし」「提唱・呼びかけ」「〜ではないだろうか」「感情を込めて書く」「〜はあきらかだ」等々、全部やっちゃってるヨカン。
しいてやってないものを挙げるとすれば「人へのアタックをしない」(「そんなことがわからないのか?(バカ?)」等)くらいかも。
「論理的」じゃなくてスイマセンでした!
◆なお、本書に「これぞ駄文だ!」という図解(挿絵?)があって、これがまたグサグサと来たわけで。
参考までにフレーズを引用します。
・・・「それ何て俺?」状態ですよっ!「与えられたテーマで思いつくことをただ書き並べて」
「最後に反対する人がいなさそうな平凡な主張を述べて終わり」
「これがよく見られる駄文の書き方・・・!」
◆この点については、とにかく私自身が、「あまり反論されたくない」という思いがあるが故なのですが、本書ではわざわざ「注書き」でこのような指摘が。
たまに、ブログ(ウチではありませんが)に批判的なコメントが付いて、それへの管理人のレス、さらにそのレスに対してのコメント主のレス、といったレスの応酬を見かけることがあります。【注意】主張したいけれど反論を受けたくないから故意に自信のない書き方をする人がよくいますね。それではダメです。「反論を受けたくない」と思うのがそもそもの間違いなのです。
私自身は、例えば記事に間違いがあって、それを指摘されれば直すべきだとは思いますが、「価値観の相違」をお互いに強制するのはどうかな、と思っているわけでして。
もちろん、このブログで本をオススメしているのも、あくまで「私の価値観」ですから、無理に納得して頂く必要もないと思っております。
・・・という考えから、できるだけ「反論を受けない仕様」を目指しているのですが。←弱腰
◆もっとも、仕事上の文章であれば、話は別。
ほぼ全面的に本書の内容に沿って「論理的に」書いた方が宜しいかと。
「企画書」「提案書」等々、「結論」と、「結論を支えるもの」は欠かせません。
とは言え、仕事であってもセールスレター等であれば、「相手の感情に働きかける書き方」というのもありますので、また別の書籍を参照して頂きたく。
たとえば、こんなのとか。
参考記事:【フツウにスゴ本】「ザ・コピーライティング」ジョン・ケープルズ (著), 神田昌典 (監修)(2008年10月20日)
◆ちなみに本書は、新聞のコラムですらバッサリ斬るという堅めの内容でありながら、ちょっぴり少女マンガチックなイラストが挿入されているのも特徴の1つ。
もちろん、理解を深めるという目的もあるのでしょうが、どちらかと言うと、とっつきやすさを目指しているのではないか、と。
装丁や内容からは想像しにくい部分もありますので、念のためw
心当たりのある方なら、ぜひご一読を!
【関連記事】
【横書き文章術】「説得できる文章・表現200の鉄則 第4版 ネット時代の横書き仕事文はこう書く」(2009年05月19日)【フツウにスゴ本】「ザ・コピーライティング」ジョン・ケープルズ (著), 神田昌典 (監修)(2008年10月20日)
【ハーバード流】『読み手志向の「書く技術」で成果をつかみ取る』デボラ・デュメーヌ(2008年05月05日)
【文章術!】「文章のみがき方」辰濃和男(2008年02月13日)
【文章ハック?】「すぐに使える! ビジネス文章の書き方」高橋昭男(2007年11月24日)
【編集後記】
◆お友達の吉澤大さんが携帯メルマガを始めたと聞いて、こんな本を発掘してきますた。いかがわしい(?)内容ではなく、結構ガチっぽいので、宜しかったら>吉澤さんw本書は、筆者が某大手アパレル企業のモバイル事業に関わり、携帯メルマガの整備を行うことによって、前年より売上を3倍にした秘けつを紹介する本です。
メルマガと言うと「メルマガはちゃんとやってるよ!」と考える方もいるでしょうが、ちょっと待って! それはパソコン(PC)へのメルマガ配信ではありませんか? PCへのメルマガ配信と携帯電話へのメルマガ配信では、その方法や考え方はまったく違います。
携帯メールを利用しない人は少なく、プロモーション・ツールとしての重要性は、PCメールよりはるかに高いものがあります。携帯メルマガは、アプローチしたい個客にアプローチしたい時間にリーチすることが可能です。しかし、ただ送ればいいというものではありません。むやみやたらに送られてくるメールはストーカー行為と言えます! 誤ったメルマガ配信は今すぐ止めて、顧客とより良い関係を築いていける携帯メルマガの配信をはじめましょう。

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