2009年06月21日
【読書】「ほんとうに読んでほしい本150冊」は結構キテます!
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、昨日の記事に登場した、プレジデントのムック本、「ほんとうに読んでほしい本150冊」。登場する本もさることながら、巻頭の「三浦展さんと勝間和代さんの対談」や、「ヒットしたビジネス書の背景」、さらには「書店のビジネス書担当店員さんの奮闘ぶり」等、興味深いコンテンツが多々ありました。
これはビジネス書好きなら読んでおかねば!
いつも応援ありがとうございます!
【目次】
◆アマゾンのページの情報が少ないので、出版社さんのサイトから。「進化させた著者」と「進化した読者」の初対談!
三浦展×勝間和代
お手軽本よりも、「原材料」の本を読もう!
special report 1
『夢をかなえるゾウ』『ストレス・フリーの整理術』『情報は1冊のノートにまとめなさい』……
今、読まれる本のキーワードは「成功より成長」 ●久保田正伸
special report 2
エキナカ、郊外、TSUTAYA……腕っこき書店員の奮戦記
この店で売って見せます! ビジネス書 ●三田村蕗子
special report 3
時代を代表するベストセラーの秘密
齋藤孝、野口悠紀雄、中谷彰宏、石ノ森章太郎……
あなたの先輩・上司に影響を与えた著者に訊く ●山川 徹
本は漢方薬である。1日30ページ、1年かけて読むくらいでちょうどいい
三浦展厳選!
脳と心の筋トレ課題図書20 ●三浦 展
考える脳を鍛える本
・現代社会の正体を理解するための名著
・ほんとうは今、何が起きているかを知るために
・自分が何者なのか知りたい若者のために
・格差社会について語る前に
35人のプロフェッショナルが選び抜く
世の中が読めるようになる名著100冊
・おカネと経済の読み方
田中秀臣/田村正紀/浜辺陽一郎/大竹文雄/大西洋平
・働き方とスキルの読み方
鎌田浩毅/丸山 学/新保信長/牛窪 恵/神川貴実彦/海馬タカシ
・若者の読み方
大久保幸夫/オバタカズユキ/岡原正幸/鈴木謙介/宇野常寛
・リスクの読み方
大橋智樹/高嶋哲夫/諏訪裕美子/山本太郎
・ニッポンの読み方
五十嵐太郎/橋爪紳也/武田 徹/吉岡 忍/樺嶋秀吉/磯田道史/山田昌弘
・世界の読み方
佐藤 優/田中友義/枝川公一/手嶋龍一
・知性の読み方
田坂広志/泉 麻人/渡辺 裕/和田 竜
書名索引
【ポイント】
■三浦展×勝間和代対談『お手軽本よりも、「原材料」の本を読もう!』◆巻頭の記事がこちら。
勝間さんの発言によると、勝間さんは三浦さんの本はほとんど買っているそう。
この本については、こう言われています。
この本を読んで非常にありがたかったのは、自分が本を書くときにどの世代を中心に打てばいいのかということが明確にわかったことです。そこに集中してメッセージを送り出してきました。
◆一方、勝間さんから『下流社会』より『下流社会 第2章』の方が面白いのに部数が出ていないことについて、三浦さんはこう言われています。
これに関連することで、別の箇所でも勝間さんがこう言われています。大胆な仮説を提示したほうが売れるし、仮説を細かく検証したもののほうが売れないってことでしょう。それでいながら、仮説提示のための本と検証の本を混同した批判がされるところが困ったもので。
確かにこの2冊に関しては、色々な批判が勃発したもんです。いろんな人が三浦さんの本を勘違いしていると思うのは、仮説出しのためアンケート調査と、実際に仮説を検証するための統計的有意性があるアンケート調査はまったく違うのに、それを混同していることなんです。
私自身の「下流社会」の過去の記事を読むと、結構高評価してましたが。
参考記事:「下流社会 新たな階層集団の出現」 三浦 展 (著)【マインドマップ付】(2005年11月21日)
それでも、続編は読んでませんしね。←ダメじゃん!
◆また、勝間さんは「教えて君」(考え方のプロセスではなくて、答えや結果だけを求める人)に関して、こんなことも言われています。
んで、そのデッドラインはというと。手本がなければ探せない人たちもいる――ということは、私も理解しているんです。特に若年層の人たちはそれでもいいと思ってるんです。10代後半から20代前半で、まだ資金がなくて、試行錯誤できない人たちに対しては、せっかく資金力がある私たちが培って得た結果をどんどん紹介してあげることは大切だと思う。だから、その若い人たちに対しては投資を惜しまないんです。
テラ手遅れ!!!_| ̄|○ ガックシ30代後半から冷たくなりますね。40代になるともう遅いから、30代前半くらいまでがぎりぎりなんじゃないかと思いますけど。
◆一方、お二人に共通していたのが、家計調査にかねてから注目していたこと。
勝間さんの発言。
それに対する三浦さんの発言。私はマッキンゼーにいたころから、家計調査はよく見ていましたよ。だいたい33万円ぐらいの収入があれば、何にいくら使って、ここ何十年のトレンドでどう変化しているのかと。家計調査を見ていないと、市場の大きさがわからないので。
この後、活用の仕方等にもふれられているので、ドキッとされた方は、本書必読で。そうそう。僕も家計調査と国勢調査を見たら、雑誌の企画が5本ひらめきましたよ。でも、マーケッターでもコンサルタントでも、国勢調査をさわったことがない人がいっぱいいるんですよね。
■今、読まれる本のキーワードは「成功より成長」
◆このコーナーでは、3冊のヒット書籍に関して、著者(&監訳者)からその裏話等が語られており、これまた面白い!
まずは、「夢をかなえるゾウ」。
出た当初、渋谷では「埃をかぶっていた」というこの本が、大阪ではバカ売れしていたそう。
私もブログで、紀伊國屋の大阪梅田店のランキング等を紹介していた時期に、やたらとこの本がランクに居座り続けて不思議に思っていたのですが、裏にはこんなヒミツが。
そしてこの件に関する、水野さんの発言。たとえば、ガネーシャが話す関西弁。水野は愛知県出身なので、その関西弁がおかしくないかと考えた。そこで、学生時代に京都に住んでいた畑(smooth注:この本の編集者さんです)や、大阪、神戸の人にチェックしてもらい、関西人以外の人が読んでもわかり、関西人が読んでも違和感のない関西弁にした。
「読者に対して誠実にできることは全部やろうと考えたんです。実際には、そんなディテールにまで読者は気づかないだろうと思っていました。ところが、関西ではガネーシャの関西弁がとにかくほめられた」
◆他にも「全国165の書店を回り3000人の読者と話した」という全国行脚の裏話も興味深いです。
サイン会をやっても人が集まらず、書店で即興のトークライブをやったりだとか。
直接話をした読者は3000人近く、サインだけなら万に届くそう。
一見非効率な方法が、170万部達成の秘訣なのかもしれませんね。
参考記事:【最強のメンター?】「夢をかなえるゾウ」水野敬也(2007年08月30日)
◆次は、これまた大ヒットとなった、「情報は1冊のノートにまとめなさい」。
この本、初めて知ったのですが、企画があちこち(20社)で断られたそう。
現在31万部というこの本、企画を断った各出版社の担当の方々は、今、どう思われているのか。
・・・って、私が本の連絡等をもらって存じ上げている編集者さんもその中にいたりして。
◆ただ、私も出版社の人間だったら、「ちょっとこりは・・・」と思ったかも。
何たって、私の好きなデジタルグッズは出てこないし、よく使う常套句もあまり出てこないし・・・。
とオモタら、著者の奥野さんには、こんなポリシーがあるそう。
あくまで「地に足の着いた」スタンスでやられたのが、読者の共感を得られたのかも。「1万回に1回でも壊れるものは信用できないんです。デジタルに手も足も預けたくはない」
「100%うまくいく、年収が1000万円になるといったウソをつかない。フレームワーク、プライオリティなんてカタカナも使わない。記者時代に、役所がそういう言葉を使うたび『騙されないぞ』と思っていましたから」
参考記事:【100円ノート式】「情報は1冊のノートにまとめなさい」奥野宣之(2008年03月18日)
◆最後に登場するのが、「ストレスフリーの整理術」。
「百式」、「IDEA*IDEA」といったサイトでお馴染みの田口元さんが、監訳者として登場されています(といっても、もちろんお顔は出ず)。
強力なブログを持っているのに、「なぜ本なのか」、という質問に対して田口さん曰く、
私もライフハック系の記事をよく「あとで読む」で自分のGmailのメアドに送ってストックしていますが、本を読んで付箋を貼った方が、身につく気がしております。「読み手に長時間集中してほしいときは、『本』なんです。ウェブを見ているときは、まわりにコンテンツがありすぎる。ツイッターで呼びかけられるし、メールも来る。でも、あの2冊はGTDの教科書です。GTDの理論を理解してもらうには、1〜2時間集中してもらえる『本』だと考えたんです」
・・・私の場合は、「気がしているだけ」、という話もありますが。←口先番長
◆また、最後の部分ではこんな発言も。
田口さん、カッコ良杉www(実物モナー)「本を書いて名を残したいという気持ちもない。本業のほうでも、株式公開とかにも興味はないし、そもそも組織に興味がないんです。あまりにも身軽ですね。今やっていることは、いつでも辞めることができるし」
私は辞めたくても、家族がいるので辞められないっすー。
参考記事:【整理術】「はじめてのGTD ストレスフリーの整理術」デビッド・アレン (著)田口 元(監修)(2009年01月26日)
■この店で売って見せます! ビジネス書
◆このコーナーでは、「TSUTAYA」「エキナカ」「郊外」とタイプの違う3つの書店で奮闘する書店員さん3人に迫ります。
TSUTAYA 東京上野店
BOOK EXPRESS 東京北口店
リブロ港北東急SC店
◆私なんか、よく「リアル書店」と「十把一からげ」にしがちなのですが、実際は千差万別。
同じTSUTAYAでも、店によって全然傾向が違うそうです。
例えば上記のTSUTAYA東京上野店の傾向。
うーん、自分の場合、「TSUTAYAフェア」の選書はどこをターゲットにしたと言えるのか。「いかに楽して儲けるかといった反語的表現のタイトルが受けますね。絶対ダメなのがA5版のハードカバーかな。よそではよく売れているダイヤモンド社の『ザ・マインドマップ』(トニー・ブザンほか、05年)みたいな本は難しい。仕掛けても効果はないですね。今、無茶苦茶売れている勝間和代さんの本も、ウチではいまいちなんですよ」
◆傾向が違う、というのは、エキナカ書店も同様。
同じ東京駅内に「BOOK EXPRESS ディラ東京店」がある、「BOOK EXPRESS 東京北口店」も、独自の工夫をされています(何たって、蔵書数が倍以上違いますもんね)。
また、リブロの郊外タイプである、港北東急SC店は「ビジネス書を売る店」とみなされておらず、「配本格差」に悩まされているそう。
そんなハンディをどう乗り越えていくか等のお話は、ビジネス書好きならきっとツボにはまるハズ!
■三浦展厳選!脳と心の筋トレ課題図書20
◆実は、こちらのコーナーが本書のキモのような。
コーナーの冒頭の文章をそのまま引用します。
若い人たちが「本物志向の読書」を始めている。
目先のスキルだけでは生き抜いていけないと、無意識のうちに気づいているのだ。
そんなあなたのために、三浦さんが20冊の本を選んだ。
「最終的に本の内容を理解できなくても問題はない」
「毎月1冊、2年間かけてすべて読めば、読者の知力が相当向上することは請け合いである」と三浦さんが語る、ほんとうに面白くてためになるブックレビュー。
◆ちなみに、挙がっている20冊、私は1冊も読んでませんでした!!(サーセン!!)
結構古い本も多いので、ブログでご紹介できるかどうかはわかりませんが、将来の自分のために読んでおきたいところ。
知らない本をここで挙げてもアレですが、比較的新しめで面白そうなものを・・・。
とにかく、それぞれの書籍について、かなりの文字数が費やされているので、実際の本は読めなくとも、本書の三浦さんの解説だけでもぜひご一読を!
【感想】
◆ホントは、この後に「35人のプロフェッショナルが選び抜く 世の中が読めるようになる名著100冊」というコーナーがあって、おひとり3冊程度の選書がされているのですが、まとめて割愛。さすがプレジデントさんだけあって(?)、当ブログでご紹介している本はほとんどないのですが、各分野でのプロフェッショナルが選んだだけあって、これまた見逃せないところです。
ただ1点残念なのが、このコーナーはプレジデント書評欄内の「世の中の読み方」から再録したものであるということ。
2005年の掲載分等もあり、文章が書かれたその背景を考えると、現在とは結構違っていて、違和感があったりもしました。
ただ、選ばれているそれぞれの本は、手堅いですし、こちらも眺めているだけでお腹一杯です。
◆もちろん個人的には、最後の100冊以外の部分で、十二分に元は取ったつもり。
カツマーはもちろん、本好き、ビジネス書好き、さらにはマーケティング関係や、出版、執筆等の方々にもお薦めできる内容です。
先日の「セブンイレブンのムック」といい、プレジデントさんのムックはコストパフォーマンスが高くて、今後も要チェックですね。
思わず付箋貼りまくりましたよ!
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【超強力ガイド本】「10年後あなたの本棚に残るビジネス書100」神田昌典&勝間和代(2008年10月31日)
【本】土井英司氏の「成功するビジネス書読書習慣」はビジネス書好きなら必見!(2008年02月03日)
【読書】本200%活用ブック(2007年10月02日)
【編集後記】
◆アマゾンで見つけた1冊。最近では、『ゆうメンタルクリニック』院長としての方が有名になりつつありますが、私の自虐キャラはこの方の影響を強く受けております。
「草食系対応」らしいので、非常に気になるところw
ご声援ありがとうございました!
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