2009年06月17日
【スゴ本】「全脳思考」神田昌典
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、神田昌典さんの最新刊、「全脳思考」。既にアマゾンでも上位に付けており、お読みになった方も多いのではないでしょうか?←出遅れている
アマゾンの内容紹介で、
とあるのですが、まさに今までの著作におけるノウハウが実務レベルにまで落とし込まれている点がスゴイな、と。多大な影響をビジネスに与えてきた経営コンサルタントの、10年間が凝縮された思考テクニックを遂に公開!
知的生産系の本が好きな方なら、まさに「マスト!」な1冊です!
いつも応援ありがとうございます!
【目次】
はじめに
なぜ今、「思考クオリティ」を引き上げることが急務なのか?
数々の成功を生み出した、過去10年間の思考を結晶化 ほか
第1章 見えない、触れられない、感じられない世界で
見えない水槽
理解できない、485社からの企画 ほか
第2章 論理的に正しい提案は、なぜ実行されないのか?
あなたはどんな思考モデルを使っているか?
今までの戦略立案の定石が使えない!? ほか
第3章 営業せずとも顧客が集まる、五つの新原則
成功する会社の不可解な特徴
東京マラソンに出たいという衝動 ほか
第4章 全能思考モデル――クイック・スタート
真空の力
ストーリー・ストリーミング・コンセプト(SSC) ほか
第5章 発想・行動・結果を生み出すストーリーの法則
論理+物語=∞
戦略構築フレームワーク vs 全脳思考モデル ほか
第6章 行動するための、ロジカル思考とは?
考えることは、しんどい?
目的とツールの食い違い ほか
第7章 行き詰まりを突破するCPS
高校生を交えての週末ミーティング
未来を生み出す現場 ほか
第8章 社会変革のためのマーケティング
瞬間を表現する
力を持つのは言葉ではなく、言葉の裏にある背景である ほか
【ポイント】
■「情報社会」と「知識社会」の違い私の見解では、情報社会とは、情報を収集・整理することが付加価値となる社会。それに対して知識社会とは、収集・整理された情報から生み出された新しい気づき・アイデアを実際に行動に移すことが付加価値となる社会だ。
■事業成長のための5つの新原則
1.指名検索
2.検索を促すネーミング
3.自己投影型消費を支える物語
4.物語にスムーズに入り込める導線
5.サブエピソードを共有する場 (詳細は本書を)
■話題となるネーミングの真髄の例・本田直之氏の「レバレッジ」
一度聞けば、わかりすぎてしまうのでは、それ以上興味を持たれない。しかし、ちょっと説明すれば、「なるほど、そういうことだったのか!」というカタルシスを感じられる概念であれば、あたかもクイズを繰り返すように、それは人づてに広がっていく。
「レバレッジ」とはまさに、そのようなカタルシスを感じられる言葉だ。本来、「てこの原理」という意味であるが、仕事において最少努力で最大の結果を出すことの大切さを強調するために、この言葉を本田氏はキーワードとして持ち出した。
■人間の「3つの脳」が協調し合うプロセス
人間脳がやるべきことを命令すると、哺乳類脳はそれを「好き・嫌い」について判断。「好き」となると爬虫類脳は本能的な欲求によって、行動に向けて猛烈にドライブをかけていくという具合だ。
■ひとりの顧客へ真の共感を寄せることは、多くの人を巻き込む力を持つ
オバマ大統領は、106歳のアン・ニクソン・クーパーさんひとりを深く理解した。そして106年間をさかのぼった「過去」と、「現在」、そして106年後の「未来」を、言葉の力によって、ひとつに繋げた。その瞬間、会場は興奮のるつぼになった。
20万人は、クーパーさんをきっかけにして、ひとつのイメージを共有し、行動に向けて結束したのだ。
■自分自身のオリジナル・マトリックスをつくる上での役立つヒント
まず、縦軸、つまり2番目の軸を設定する際には、1番目とまったく無関係な軸を持ってくるといい。(中略)
はじめに設定した軸は「年齢」であったが、これがうまくいかなかったのは、「学習」「生活」「仕事」という軸と相関関係があったからだ。
■「スピーチの結晶」の6つの要素
「オープニング」(つかみ)
「テーマ」(主題)
「プレミス」(前提)
「バックグラウンド」(背景)
「プルーフ1〜3」(論拠)
「コンクルージョン」(結論) (詳細は本書を)
■マネジメントの桃太郎理論
実は、プロジェクトが進行する過程で、チームメンバーに宿る役割は、桃太郎に登場する「桃太郎」「イヌ」「サル」「キジ」の4つのキャラクターの特徴をそのまま表している。言い換えれば、桃太郎の4つのキャラクターを理解すれば、あなたは、プロジェクトを進める過程で生じるさまざまな課題に適切に対処できるようになる。『桃太郎』は、マネジメントの最適な教科書なのだ。
■創造的問題解決手法CPS(Creative Problem Solving Method)
CPSのアプローチを極めて簡単に説明すれば、質問に対してイメージで答える方法である。なぜ言葉ではなくイメージで答えるのかと言えば、思い込みによる思考から自由になるためである。(中略)
ウェンガー博士によると、本質的な答えは、実は、言葉の中にあるのではなく、言葉にならないモヤモヤしているもの、すなわちイメージの中にあるというのである。
参考記事:【速報】勝間さん&神田さん推薦の「頭脳の果て」が「アインシュタイン・ファクター」として再復刊!(2009年05月08日)
■出会いの深層背景
人が集まる場には、そもそも場が持ったテーマがあり、そのテーマに共鳴した人たちが自然に集まってくると考えるのである。200万人が集まる空間にこそ意味がある。200万人は自分の意志で集まったように見えるが、意志があるのは、その瞬間に出現する空間、すなわち場であり、200万人は、ただその場に、単に引き寄せられたと考えるのである。
【感想】
◆いつもながら、というか、いつも以上にカットしまくり。さすがに480ページもありますから、付箋も貼りまくります罠。
たとえ今回の記事でよくわからない部分があったとしても、それは引用するボリュームの関係であって、本の中身としては、かなり詳しく書き込まれています(CPSの部分なんて、ホントかなり細かく書かれていたんですけどね)。
というか、キチンと書いたが故の480ページなんでしょうけど。
◆それにしても、この厚さ&この濃さなのに、すこぶる読みやすかったというのがスゴイです。
実際に読まれた方なら、納得して頂けると思うのですけれど、グイグイ引き込まれて、意外と短時間に読みきってしまいました。
トイレとか、スーパーのレジに並んでいる時とかにも読んでいたので、具体的な時間は分からないのですが、普通の300ページない本と変わらないくらいの感覚。
これも意図的にそう設計されているのだとしたら、改めて神田さんのライティングスキルに脱帽です。
◆内容について言うなら、今までの神田さんの著作をお読みの方ならお馴染みの「桃太郎モデル」や「物語の構造」「ニーズ・ウォンツ分析チャート」「事業のライフサイクル理論」といったお話から、ウィン・ウェンガー博士考案の「CPS(Creative Problem Solving Method)」。
さらには最近神田さんが影響を受けたと言われている「U理論」まで、まさにてんこ盛り。
Theory U: Leading from the Future as It Emerges : The Social Technology of Presencing (BK Business)
1つ1つのテーマが、下手したら「本1冊分」あるので、今回はある程度「目的」にフォーカスした上で取り込んだのではないか、と。
◆そしてその目的とは、「実践してもらう」こと。
とにかく、神田さんご自身のケースも含めて、「事例が豊富」なんですよ。
まるで「読んだだけで満足しないで、実践して!」と言われているかのよう。
しかも時系列的に順を追ってくれているものも多く、腑に落ち易いのもありがたかったです。
ポイントでは丸々カットしてしまった、「全脳思考モデル」も、事例を使って詳細に解説されていますので、詳しくはそちらをご覧頂きたく。
◆おそらく抵抗があるとしたら、今までやってきたロジカルなアプローチとの違いによる「心理的な壁」かも。
ただし、ロジカルな思考を放棄するのではなく、両者をミックスすることが大事です。
そう、皆さんが探し求めていた「問題解決のカギ」が、この本にあるのかもしれません。つまり、CPSによってアイデアが拡散し、ロジカル思考によって、広がったアイデアが結論へと収束していく。その結果、ロジカル思考とCPSの長所・短所を組み合わせることによって、仮説と検証のプロセスは非常に効果的となる。
神田さんのこの10年を集約した、超お買い得な1冊!
神田 昌典 ¥ 2,100 |
【関連記事】
【オススメ】「超ビジュアルシンキング」ダン・ローム(2009年05月25日)【速報】勝間さん&神田さん推薦の「頭脳の果て」が「アインシュタイン・ファクター」として再復刊!(2009年05月08日)
【新しい問題解決の手法】「プロデュース能力 ビジョンを形にする問題解決の思考と行動」佐々木直彦(2009年04月28日)
【仕事術】『「見える化」仕事術』石川和幸(2008年12月23日)
【強力!】「勝間和代のビジネス頭を創る7つのフレームワーク力」勝間和代(2008年06月15日)
【編集後記】
◆今回の神田さんの本では、上記では触れておりませんが、「物語の重要性」についても力説してらっしゃいます。というわけで、最近出た「物語の活用」に関する1冊。
前作、「仕事はストーリーで動かそう」がツボだった方にはお薦めかと。
ご声援ありがとうございました!
この記事のカテゴリー:「ビジネススキル」へ
この記事のカテゴリー:「マーケティング」へ
「マインドマップ的読書感想文」のトップへ
スポンサーリンク
この記事へのトラックバックURL
●スパム防止のため、個別記事へのリンクのないトラックバックは受け付けておりません。
●トラックバックは承認後反映されます。
明日には届くと思います。
さっと立ち読みしましたけど、
ページ数のわりに、ページ内の文章が
さほど多くなかったので、読みやすそうでした。
あとsmoothさんもご指摘のとおり
本書ではU理論や物語構造など神田先生が
オーディオセミナーで語っていることも
結構書かれているので、頭の整理には
よさそうです。
また遊びに来ます♪
コメントありがとうございます。
そろそろご本、届く頃でしょうか?
かなりコンテンツ的には広範囲なのですが、おっしゃるように読みやすいので、抵抗感なく読みきれると思いますよ!
ちなみに自腹仲間なんですね(笑)。
お互い頑張りましょう!
「全脳思考」早速読んでみました。
個人的には、
・1枚チャートの描き方
・CPS(クリエイティブ・プロブレムソルビング)
は、面白かったです。
チャートは、自分でも書いてみました。
はじめは、半信半疑でしたが、
本著で書かれている通り、
「最後をイメージする」
を実践してみるとまた新たな発想が
どこからか沸いて来ました。
この方法なかなか使えそうです。
この方法を他の課題で試してみて、
マインドマップの様に私の生活に
組み込めるようにしたいです。
>ちなみに自腹仲間なんですね(笑)。
私は本に思いっきり書き込みをするので
図書館でなく、自腹で買って読んでます。
おかげで、毎月の出費が、、、、。
>お互い頑張りましょう!
ありがとうございます!
またお邪魔します♪(応援ポチっ)
お!さっそくチャートやられたんですね!
今後もご活用されるようで、流石だと思います。
私の場合、次から次へと食いついているので、あまりモノにはならないというジレンマが(涙)。
ところで記事拝読しましたが、神田さん、動画まで出されていたとは(汗)。
また、ビジネス関係の本、色々出して欲しいですね。
>私は本に思いっきり書き込みをするので
>図書館でなく、自腹で買って読んでます。
なるほど、それは自腹で当然ですね(笑)。
私は結構綺麗に読んでるほうですが、それでも自腹という(笑)。
それと応援ありがとうございます。
今後ともよろしくお願いします。