2009年06月10日
【スゴ本】「影響力の武器 実践編」がやっぱりスゴかった件
影響力の武器 実践編
*現在こちらの[第二版]しかアマゾンにないようです。
影響力の武器 実践編[第二版]「イエス!」を引き出す60の秘訣
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、一昨日の夜に購入をご報告したところ、すでに多くの方にお買い求め頂いた、「影響力の武器 実践編」。遠方への行き帰りの間、むさぼるように読んでみたら、やっぱりスゴかったです。
その「スゴさ」が少しでも伝わりやすいように、ポイントをサクサク列挙してみようかと。
いつも応援ありがとうございます!
【目次】
前回に引き続き出版社さんのページから引用します。1 不便を感じさせて高める説得力
2 バンドワゴン効果をパワーアップ
3 社会的証明の思わぬ落とし穴
4 「平均値の磁石効果」を防ぐには?
5 選択肢が多すぎると買う気が失せる
6 特典のありがたみが薄れるとき
7 上位商品の発売によって従来品が売れ出す不思議
8 恐怖を呼び起こす説得の微妙な効果
9 チェスに学ぶ、うまい一手
10 影響力をしっかり貼り付けるオフィス用品
11 ミントキャンディーの置き場所再考
12 与えることが人を動かす
13 感謝の気持ちを蘇らせる一言
14 千里の道も一歩から
15 ラベリング・テクニックの上手な使い方
16 簡単な質問が相手の協力を引き出す
17 人を目標に結びつける積極的コミットメント
18 一貫性をもって一貫性を制す
19 フランクリンから学ぶ説得のコツ
20 小さなお願いが引き出す大きな成果
21 安くする?高くする?オークションの売り出し価格
22 さりげなく能力を際立たせる
23 優れたリーダーの力を最大限発揮させるには
24 機長症候群の教訓
25 集団思考の落とし穴
26 悪魔の代弁者の効用
27 最良の教材は過去の失敗例
28 短所を長所に変える最善策
29 弱点も見せ方次第
30 過ちを認めて防止に全力投球
31 システム障害発生、でも責任者は救われる
32 類似点が導く大きな力
33 名前の響きの意外な効果
34 ウエイターから学ぶ説得術
35 人の気持ちを変える本物の笑顔
36 日付間違いのマグカップが完売した理由
37 損失回避と希少性の原理から得られる教訓
38 説得を後押しする決めの一言
39 想像しやすさが成否を分ける
40 読みやすく簡潔に、が鉄則
41 韻を踏むことで増す影響力
42 バットリングと知覚コントラストの関係
43 一足早いスタートでロイヤルティを勝ち取る
44 クレヨン箱の中にある説得のヒント
45 どこまでも、どこまでも伝わるメッセージ
46 鏡のなかの「望ましい自分」が人を導く
47 交渉ごとに悲しみは御法度
48 注意を鈍らせる感情の高まり
49 明晰な意思決定は睡眠から
50 トリメチル・ラボで手に入れる影響力増強薬
二十一世紀における影響力
倫理的な影響力
影響力の実例
【ポイント】
■ホテルのタオルの再利用を促すメッセージの工夫データを分析してみたところ、ほとんどの客がタオルを再利用している(社会的証明による訴求)と知らされた宿泊客は、ふつうの環境保護メッセージを見せられた宿泊客よりも26%もタオル再利用率が高いことがわかりました。
■選択肢が多すぎると買う気が失せる
たとえば、プロクター・アンド・ギャンブルは洗濯洗剤から処方薬まで幅広い商品を揃えていますが、26種類あった売れ筋のシャンプー「ヘッド・アンド・ショルダーズ」をたったの15種類(これでも十分多い気もしますが・・・)に減らしたとたん、あっという間に売り上げが10%も伸びました。
■恐怖に訴えるメッセージは、それを取り除く情報と一緒に与える
たとえば、宣伝キャンペーンをを行って、潜在顧客に対しあなたの会社の商品やサービスを使えば危険を軽減できると訴えるときには、必ず危険を減らすための明確で、具体的、効果的な方法を一緒に伝える必要があります。単に顧客の恐怖につけこんで、あなたの商品やサービスがあれば問題解決が可能だと信じ込ませようとしても、かえって逆効果となって、何の行動もとらないという反応に追い込んでしまいかねません。
■人に書面で何かを依頼して承諾をもらう際に効果のある方法は?
まず、ある調査票に依頼状を沿えて対象者に送りました。送り方は、(1)調査票の記入をお願いしますと手書きで記した付箋をカバーレターに貼ったもの、(2)直接カバーレターに同じメッセージを手書きで記したもの、(3)カバーレターと調査票のみ、という3種類でした。(その結果は本書にて)
■ラベリング・テクニックの上手な使い方
映画スターウォーズ・シリーズの完結編『ジェダイの帰還』のなかに、ルーク・スカイウォーカーがダース・ベイダーに向かって「僕には分かっている、父さんには善の心が残っているって。父さんの善の心を、僕は感じるんだ」と叫ぶ場面があります。果たしてこのような単純なフレーズが、悪の塊のようなダース・ベイダーに正義の心をよみがえらせる効力(少なくともそのきっかけ)をもつのでしょうか。社会心理学の研究によれば、この問いに対する答えはイエスです。
■選挙の投票率を上げるための簡単な方法
その方法とは、有権者に自分が投票日に投票に行くかどうかを予測してもらうこと、そしてなぜそう思うのか、その理由を挙げてもらうことです。社会科学者のアンソニー・グリーンワールドらが、ある投票日の前日に有権者に対してこのテクニックを試してみたところ、事前予測を求められた人は求められなかった人と比べて25%も投票率が高くなりました(86.7%と61.5%)。(その理由は本書にて)
■書き記すかたちのコミットメント(積極的コミットメント)の威力
ボランティアを希望した人の割合は、与えられた教示による同意の仕方が積極的だったか消極的だったかで、差はありませんでした。しかし、数日後、実際に会場に現れた人の割合には、驚くほどの差が出たのです。同意の仕方が消極的だった人たちのうち、約束どおり来たのはわずか17%でした。一方、積極的なやり方で同意した人たちは、実に49%が約束を守ったのです。全体としては、予定どおり現れた人の大多数(74%)は、ボランティアを行うことに積極的な同意をした人たちでした。
■高齢者等、一貫性につよくこだわる人の考えを変えさせる方法
こちらのメッセージを最大限説得力のあるものにするには、相手を前のコミットメントから解放するとともに、前の判断は誤りだったという見方を避ける必要があります。おそらくいちばん生産的な方法は、以前の相手の判断を褒めて「その時点では」間違っていなかったと伝えることでしょう。「そのとき得られた根拠と情報からすれば」以前の選択は正しかったと指摘することで、相手が昔のコミットメントに縛られず、また、面子を失ったり一貫性を欠いたりせずに、新しい提案に注目するよう促せるのです。
■「どんなにわずかな額でも助けになる」と伝えて、少額の寄付を正当化する方法の効果
結果を分析したところ、この小さな銅と亜鉛でできた1ペニー硬貨は、説得の効果においては金貨にも値することがわかりました。仮説どおり、「1ペニーでも助かります」と言われたグループでは、もう一方のほぼ2倍の人たちが寄付に協力したのです(50%対28.6%)。
■自己宣伝を避けて自分の知識・能力を伝える方法
一つは、自分の代わりに誰かほかの人に話してもらうことです。この方法は、昔から講演者、作家、アーティストなど公の場で話をする人たちがよく使っています。(中略)
理想的なのは、心からあなたの技術や知識を信頼してくれている人が、自ら進んで、あなたが大変優秀な人で世の中の役に立つことをみんなに説いてくれることです。
【感想】
◆久しぶりに引用しまくってみました。ただ、恐ろしいのが、こんだけ抜いたのに、最初からたった90ページ程度しかこなせていないこと(余裕で半分未満)。
しかもこれでも付箋貼ったところ全部じゃありません。
一応選んでるんですけど、通常の抜き出すレベルで考えたら、これ以上は外せない・・・って、後半丸々外れちゃってますが。
◆さらに、「50の秘訣」の後にある、26ページほどの「二十一世紀における影響力」という章が、これまた強烈!
ここだけで記事が1本かけるくらいです(マジで)。
まずは前半部分が「インターネットにおける影響力」。
「Eメールによるコミュニケーションの問題」や、「価格比較機能を持ったサイトの効能」といった、非常に興味深い論点が扱われています。
さらには本書らしい(?)「ウェブサイトの背景の威力」なんて項目も。
たとえば、背景が自動車事故を連想させる赤とオレンジ色のときには、安全性の低い(低価格の)車よりも、安全性の高い(高価な)車を選ぶ参加者が多かったのです。
◆「え?マジ?」と思われた方は、本書でご確認を。
もっとえげつない(?)実験の結果も載っていますから。
・・・「1セント硬貨の背景」ってナンだよって言う。
まさに前作にも何度か出てきた、「潜在意識への働きかけ」なわけですね。これらの結果について特に注目されるのは、こうした手掛かりが人の行動におよぼす影響がいかに強力で、しかも目立たないかという点です。実際、いずれの実験でも、参加者たちは自分の選択にウェブページの背景は全く関係ないと主張しました。しかし、すでに明らかなように、そうした見方はまるで現実を無視したものです。
◆後半部分の「国際化」の話も実は見逃せません。
特に「個人主義」と「集団主義」の文化的差異のお話は思わず納得。
ちなみに「個人主義的な国」とは、イギリスやアメリカ・カナダなどで、「集団主義的な国」とは、日本を含めアジアなど。個人主義的な文化では、個人の経験が重視されるため、自分の以前の経験と一貫性を保つということが、強力な動機づけになるわけです。反対に、集団主義的な文化では、自分の親しい人たちの経験が重視されるため、そうした人たちの行動が動機づけとして強く働く傾向があります。
私が思ったのは、たとえばこの本を人に薦めるにも、相手がアメリカ人だったら「前作同様、オススメです!」にして、日本人だったら「皆さんお読みですよ!」とすればいいのかな、とかw
日米で比較した数字を知ってるわけじゃないのですが、私たちの「ランキング依存」というのも、「集団主義」ゆえなのかも。
◆なお、扱っているテーマとは別に、本書の際立った特徴として、「実践を促している」ことが挙げられると思います。
とにかく各章ごとに実生活(特にビジネスシーン)で「どう活用するか」のアドバイスが付されているのがありがたいところ。
上記で挙げた「1ペニーでも助かります」というテクについてはこんな感じです。
私が管理職だったら、部下に本書を配ってミーティングでもやって、一人ひとりに「業務の中でどれができるか(やりたいか)」を挙げさせて、「ホワイトボードに書かせたい」(←積極的コミットメントw)くらいです。「1ペニーでも」作戦は、職場でもいろいろな応用の仕方が考えられます。たとえば、地域プロジェクトに関して同僚の助けが要るなら「1時間だけでも割いてもらえたら大助かりだけど」、字が汚い人には「もう少しだけ読みやすく書いてくれるとありがたいな」という具合です。忙しい見込み客のニーズをもっとよく知りたい場合には、「まずは手短に電話でお話しさせていただくだけでも結構なのですが」と言ってみましょう。
◆上記で書いたことと異なって、「個人主義的」かもしれませんが、やはり前作をお読みの方なら、無条件でオススメ。
また、前作をお読みでない方であっても、全く問題なく入り込むことができる面白さですし、「ビジネスシーン」を意識しているのは、むしろ本書の方じゃないか、と。
私は生理的に本に書き込みができないのですが、本書は「事例」と「実践法」をそれぞれ色を分けてマーカーして、使い倒したい気分です。
当然、激オススメ!!
影響力の武器 実践編
前作ももちろん激オススメ!
影響力の武器[第二版]―なぜ、人は動かされるのか
参考記事:【速報!】最強のビジネス本「影響力の武器」の[第二版]がいよいよ登場!!(2007年08月18日)
【関連記事】
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【フツウにスゴ本】「ザ・コピーライティング」ジョン・ケープルズ (著), 神田昌典 (監修)(2008年10月20日)
【名著!】「売れるもマーケ 当たるもマーケ―マーケティング22の法則」アル・ライ, ジャック・トラウト(2008年04月08日)
【編集後記】
◆まだ予約段階ですが、アマゾンからこんな本のDMが届きました。内容紹介にあった『本当に必要な人脈は「引き寄せ」て作る!』というのは、確かに言えるかも。
ご声援ありがとうございました!
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影響力の武器も良書だったので
こちらも楽しみたいと思います!
というわけで、アマゾンアタック!
アマゾンアタックありがとうございます(涙)。
いや、前作もでしたけど、本書もかなりキテますのでお楽しみに!
ご飯3杯は楽勝ですよ(笑)!