2009年06月08日
【黄金の羽根】『貧乏はお金持ち──「雇われない生き方」で格差社会を逆転する』橘 玲
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、私が大好きな著者さんの一人である、橘玲さんの最新刊。主たるコンテンツ的には、名作「お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方」の内容を、現在の社会情勢や税制に当てはめ直した感じかと。
基本的に、「お金本」「会計本」「税務本」を対象としていない当ブログとしては、扱いに困るわけでして・・・。
いつも応援ありがとうございます!
【目次】
まえがき
第1章 楽園を追われて――フリーエージェントとマイクロ法人の未来
1.この国にはなぜ希望がないのか?
2.フリーエージェント化する世界
第2章 もうひとつの人格――マイクロ法人という奇妙な生き物
3.ふたつの運命
4.「ひと」と「もの」
5.株式会社という「人格」
6.マイクロ法人をつくる
コラム1会社を設立しよう
第3章 スターウォーズ物語――自由に生きるための会計
7.資本主義とデス・スター
8.自由に生きるための会計
第4章 磯野家の節税――マイクロ法人と税金
9.マスオさん、人生最大の決断
10.節税と脱税のあいまいな境界
コラム2法人税を申告する
コラム3事業所得を使ったサラリーマンの節税
第5章 生き残るためのキャッシュフロー管理――マイクロ法人のファイナンス
11.フラワーチルドレンのファイナンス革命
12.キャッシュフロー計算書で資金繰りを理解する
13.奇跡のファイナンス
コラム4公的融資制度を利用してみよう
コラム5節税とファイナンス
コラム6担保と連帯保証
あとがき
【所感】
◆上記の目次をご覧いただければお分かりのように、3章以降は、完全に「会計」「税務」の内容です。今まで、色々な方から献本依頼やら、ご紹介依頼を頂いていて、この手のジャンルのご本は、それだけで辞退させて頂いている関係上、今回は超手短に。
本書の「キモ」の1つは、著者の橘さんも書かれているように、「法人を使った節税」にあります。
曰く、その基本は次の3つにまとめられる、と。
1.法人で生活経費を損金とし、個人で給与所得控除を受けることで、経費を二重に控除する。
2.家族を役員や従業員にして、役員報酬や給与を法人の損金にしつつ給与所得控除を得る。
3.自営業者や中小企業向けに日本国が用意した優遇税制を活用する。
◆この3つの内容については、上記で触れたように、橘さん自身、「お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方」にて解説済みです。
ただし、本書では第4章において、お馴染みサザエさんの「磯野家」を舞台に、「会社勤め」であるマスオさんが、同じ仕事を続けながらも「マイクロ法人」と呼ばれる、取締役と株主が一人しか存在しない法人を設立して、「いかに節税できるか」を検証。
さらに、この法人設立によって、「年金」や「健康保険」といった社会保険料をも節約できることを明らかにしています(具体的な金額については、本書をご参照のこと)。
◆こういった手法は、理論的に正しい(倫理的にどうかは別として)、というか、似たようなことをやってる人は、とっくの昔からやっているのですが、通常のビジネスパーソンは、やりたくてもできない方がほとんどです。
それは、現在努めている法人と、「業務委託契約」を結んで、雇用から外れる必要があるから。
こればっかりは、自分の意志で何とかできない可能性が高いかと。
◆もっとも、本書のあとがきでは、会社側から社員に「サラリーマン法人化」を提案した二代目社長のお話が出てきます。
結局、社員さんたちは、「雇用の安定が失われるのを恐れた」模様。希望する社員は雇用契約から業務委託契約に変更できるが、仕事内容も含めそれ以外の条件はこれまでと変わらず、法人化のメリットだけを享受できるという有利な提案だったが、なんど説明しても一人の応募者もなかったという。
橘さんが、この社長さんからお話を聞いたのは、「何年か前」ということですが、今のような情勢だと、さらに「雇用」を選んでしまうのかも。
◆私は一応、「本業が本業w」なんで、本書のやり方を積極的に肯定することは難しいです。
というか、内容的に「ちょっとこりは・・・」と思う部分もなきにしもあらず。
ただ、著者が言うところの「黄金の羽根」(税制や社会保障制度の「歪み」)という考え方。
これは普通のビジネスパーソンの方には、あまり馴染みがないかもしれませんが、一種の「ファイナンシャルリテラシー」だと思いますので、概略だけでも知っておいた方が良いと思われ。
「税理士という立場を離れて言う。この本は面白い!」⇒ネタ元
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【編集後記】
◆昨日は天気もよかったので、家族で「夢の島公園」に行きました。画像は、植物園の前にあった超広いスペース。
ムスメが豆粒のような小ささで写っておりますw
ご声援ありがとうございました!
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思考実験を通じた日本社会批判:貧乏はお金持ち──「雇われない生き方」で格差社会を逆転する【本読みの記録】at 2010年05月26日 23:07
この記事へのコメント
>「業務委託契約」
すき屋やスターロジックみたいになるのが関の山ではないでしょうか?
すき屋やスターロジックみたいになるのが関の山ではないでしょうか?
Posted by コボちゃん at 2009年06月08日 10:47
>コボちゃんさん
コメントありがとうございます。
すき屋はまだしも(?)、スターロジックの件は、ホントつい最近ですよね。
日本の場合、元々社員のクビを切るのが難しいので、こういう契約だったら、確かに切りたいときにいつでも切っちゃいそうな・・・。
コメントありがとうございます。
すき屋はまだしも(?)、スターロジックの件は、ホントつい最近ですよね。
日本の場合、元々社員のクビを切るのが難しいので、こういう契約だったら、確かに切りたいときにいつでも切っちゃいそうな・・・。
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2009年06月09日 01:58
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