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2009年06月05日

【セブンの凄さ】「なぜ、セブンでバイトをすると3カ月で経営学を語れるのか?」勝見 明




【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、セブン-イレブン会長兼CEOの鈴木敏文さんに迫った図解本。

具太郎さんの記事を見て気になっていたものの、ぶっちゃけ、当ブログでは経営本は、それほど人気がないので、いったんステイ。

その後リアル書店で確認して「こりはスゴイ」と購入した次第(具太郎さん、スマソ)。

図解本だけあって、厚さは薄いんですけど、中身はマジで濃いです!


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【目次】

セブン&アイ鈴木敏文会長兼CEO緊急インタビュー―2800万人の財布から見えた「売れる秘密」

1 鈴木流「逆転の発想術」を学ぶ
 競合の出現はチャンス―ピンチをチャンスに変える逆転発想とは?
 競争相手は顧客ニーズ―同業他社は「真の競争相手」ではない ほか

2 鈴木流「マーケティングの極意」を学ぶ
 市場の体感温度を知る―社内にいると社外の温度がわからない
 市場を輪切りにする―なぜ、「多様化」しているように見えるのか? ほか

3 鈴木流「ビジネス心理学」を学ぶ
 商売は感情で動く―なぜ、ガソリン割引券がヒットしたのか?
 顧客心理は矛盾だらけ―鮮度を求める一方でカット野菜も買う不思議 ほか

4 鈴木流「情報術」を学ぶ
 アンチABC分析―販売データはどう読めばいいか?
 平均値のウソ―データの平均を鵜呑みにしてはならない ほか

5 鈴木流「仮説の立て方」を学ぶ
 仮説と先行情報―仮説はどのように立てればいいのか?
 仮説とは物語づくり―なぜ、海辺の店で梅おにぎりが売れるのか? ほか


【ポイント】

◆本書は、鈴木さんのインタビューを中心に、著者の勝美さんの考察が加えられているスタイルになっています。

私の考えを一緒にそこに書くとわかりにくいと思うので、全編に渡ってインタビューを引用していこうかと。

以下、引用部分は全て鈴木敏文さんの発言からです。


■値引きではなく「キャッシュバック」「下取り」が大ヒットした理由

 「1万円の商品を8000円で買うのと、一度払った1万円から2000円が現金で戻るのとでは心理的な効果がまったく違います。下取りもそうです。タンスの中の着なくなった服は価値はないのに捨てられない。それは本能的なものです。でも下取りであれば価値が生まれる。ならば、お金に換えて買い物をしようと思う。それが人間の心理です」


■「顧客のために」と「顧客の立場で」は違う

 「例えば、ヨーカ堂で売る正月用のお節用品はかつては大きなパック詰めで売るのが恒例でした。家庭では家族団らんで正月を過ごす習慣がまだ残っていました。スーパーも正月は休みで、まとめ買いをしておく必要がありました。それが、今は365日営業になり、家庭での団らんもなくなりつつあります。
 ところが、売るほうは以前、大パックのほうがお買い得で、"顧客のために"なると考えていました。結果、売上はどんどん落ちていきました。"顧客の立場で"考えれば、手間がかかっても量り売りにするか、小パックのほうがいいとわかる。実際、売り方を変えただけで売り上げは何倍にも増えました。大切なのは視点の180度転換です」


■オリジナル高級アイスクリームをメーカーと組んで開発した際に、「できない」「やったことがない」とメーカーに言われたものの、最終的に完成し大ヒットしたことに関して

「売り手の都合の範囲内で、制約に縛られたままどんなに努力しても、顧客から見て正しくなければ、成果には結びつきません。"一生懸命やる"のと"正しいことをやる"のとはまったく意味が違うことを肝に銘ずべきでしょう」


■ボーリングブームやバブル期の不動産投資ブームに乗らなかったことに関して

 「みんなが"いい"と賛成することはたいてい失敗し、みんなから"無理だ"といわれ、反対されることはなぜか成功する。
 反対が大きいほど実現できたときにはほかにない新しい付加価値を生み出すことができるため、逆に成功も大きくなるのでしょう」


■「見える損失」より「見えない損失」が重要

 「コンビニのオーナーの場合、廃棄ロスに関心のないオーナーさんはいません。廃棄ロスは実際に目に見え、数字にダイレクトに表れるロスだからです。(中略)

 これに対し、目に見えない機会ロスにも意識を向けるオーナーはこれを最小化しようと、売れ筋商品を探し出す努力をします。棚の面積は限られるので、その分、売れない死に筋商品は排除していかなければなりません。
 こうして売れ筋商品や見込みのある新規商品に絞り込んで品揃えしていけば、機会ロスも、廃棄ロスもともに減少し、売り上げも利益も必ず伸びる。拡大均衡(需要が拡大し供給も増大させる)が可能になります」


■鮮度を求める一方でカット野菜も買うという顧客心理の矛盾について

 「買い手市場になれば、顧客はますますわがままになり、欲求は矛盾したものになる。
 顧客はその矛盾をどのように解消してくれるかを見ている。その解消の仕方に共感すれば、商品を買い、店に足を運んでくれる。われわれの仕事は顧客心理の矛盾を解消することであり、そこに価値が生まれるのです」


■現代の消費は心理学で考える

 「セブン-イレブンでこだわりおむすびを開発する前にアンケート調査を行い、"200円近い高級おにぎりをコンビニで買いますか?"と質問すれば、ほとんどの人が"そんなものは買わない"と答えたでしょう。現代の消費者は、今ないものについては聞かれても答えられず、現物を目の前に見せられて初めて、"こんなものが欲しかった"といって買っていくのです。(中略)

だから、現代の消費は心理学で考えなければならないのです。明日の顧客が求めるものは見えません。でも、それは顧客の心理の中に潜んでいる。この潜在的ニーズを掘り起こす。必要なのは仮説と検証です」


■メタ認知を習慣づける

 「一度刷り込まれた成功体験を否定的に問い直し、もう一度挑戦する意欲を呼び覚ますには、どうすればいいのか。必要なのは、"もう一人の自分"を置いて、自分を客観的に見つめ直す視点です。
 私は社員たちにも、"常に自分自身を客観的に見ろ"といい続けていますが、"客観的に見る"とは"もう一人の自分"から自分を見ることです。(中略)
 口で言うほど簡単ではありませんが、常にそのような視点で自分をとらえるクセをつけないと、人間はなかなか挑戦できない。そのくらい人間は過去の経験に縛られやすいのです」


【感想】

◆タイトルにもある「セブンでバイトをすると経営学が語れるのか」

これについては、本書の冒頭のインタビューで、鈴木さんはこのように言われています。

 セブン-イレブンでは学生アルバイトでも主体的に取り組む人は始めてしばらくすると、経営感覚が身についてきます。発注分担といって、パートタイマーもアルバイトも担当商品ごとに明日の売れ筋商品について仮説を立て、発注し、結果をPOS(販売時点情報管理)データで検証する。その日々の実践を通して力をつけ、育っていくのです。

本書で具体例として出てくるお話の一つが「なぜ、海辺の店で梅おにぎりが売れるのか?」

理由は「ネタバレ自重」しますが、こういう「仮説」を立て、「ストーリー」を考え、そして「メッセージ」として伝えるのが「セブン-イレブンのやり方」なんだな、と。


◆私も一応、このブログを運営する上に置いて、その日の記事ごとにある程度の「仮説」のようなものを立てております。

ざっくり言うと、「こういう本を、こういう紹介の仕方で、こういうタイトルつけたら、どのくらいの結果が出るか」みたいなことですね。

結果というのは、「アクセス数」だったり、「ブックマーク数」だったり、「売上=アサマシ(ry」

もっとも最後の「売上」については、ブログ始めて3年くらいは「数字が低すぎて、仮説の立てようもなかった」のですが。


◆また、アフィリエイト以外でも、「アクセス数」というのは、ブログをおやりになられている方なら、結構励みになると思います。

その際、単純にその日ごとのアクセス数だけで一喜一憂しないで、GoogleAnalytics等を導入してこの方のように分析するのが宜しいのではないか、と。

私の場合は、「勉強本」「モテ本」といった、「過去の成功体験」に捉われまくっている気がしないでもなく(最近イマイチですし)。

ホントはもっと積極的にご紹介すべきジャンルがあるのかもしれませんね。


◆それにしても、本書を読むと、鈴木さんがかなり「顧客心理」というか、「心理学的アプローチ」を意識されていることがよくわかります。

特に「われわれの仕事は顧客心理の矛盾を解消することであり、そこに価値が生まれるのです」という一節には、凄みを感じました。

「思考停止」とは程遠い、「セブン-イレブン」の考え方。

確かに、ここで揉まれていたら、「経営センス」も身につきそうです。


◆なお、本書のもう1つのお楽しみ(?)が、欄外のコラム。

CMでお馴染みの「あいててよかった!!」という台詞を考えたのが鈴木さん本人だったとか、「冷やし中華のスープが季節によって変えられている」と言った

( ・∀・)つ〃∩ヘェーヘェーヘェー

を連発しそうなネタもあります。

もちろん、一番のキモは、ここでご紹介できなかった分も含めて、「鈴木さんご自身の珠玉の言葉」なのは間違いありませんけどネ!


薄い本なのに、付箋貼りまくりました!



【関連記事】

【枯れた技術の水平思考】「任天堂 “驚き”を生む方程式」井上 理(2009年05月15日)

【超・仕組み系】「Hot Pepperミラクル・ストーリー」平尾 勇司(2008年06月04日)

【節約!】「会社の電気はいちいち消すな」坂口孝則(2009年03月31日)

【ザ・商人】「ご飯を大盛りにするオバチャンの店は必ず繁盛する」島田紳助(2007年06月08日)

「小さな飲食店 成功のバイブル」鬼頭宏昌(2007年02月06日)


【編集後記】

◆今日ご紹介した本と、あわせて読んでみたいのがコチラ。

人は勘定より感情で決める ~直感のワナを味方に変える行動経済学7つのフレームワーク
人は勘定より感情で決める ~直感のワナを味方に変える行動経済学7つのフレームワーク

MBAを持つ意思決定のプロが、話題の行動経済学を7つの視点で独自に体系化。豊富な実例とともに、ロジカルシンキングだけではわからない“非合理のロジック”を解き明かします。

「ネガティブなメールを3秒で好印象に変えるコツ」から「200万円がなぜか安く感じられてしまうマジック」まで、今日から役立つ実例満載。世界初のフレームワーク体系図で行動経済学の全体像がひと目でわかります。

私も大好物の「行動経済学」の新刊。

消費者行動こそ、まさに行動経済学の最たるものかと。


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この記事へのコメント
               
こんばんわん!
ご紹介ありがとうございます!

やはりsmoothさんのブログで経営書は違和感ありますね〜。

次回は当店にてお買い上げくださいね(笑)
Posted by 具太郎 at 2009年06月05日 22:09
               
>具太郎さん

>やはりsmoothさんのブログで経営書は違和感ありますね〜。

やはりwwwww
いや、たまにはいいかと。
でも図解本という(笑)。


>次回は当店にてお買い上げくださいね(笑)

サーセン、今度こそは!!
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2009年06月06日 04:18
               
様々な店で買い物をしているだけで
分かるように成りますよ!

是非、私のブログを参考にして見てください。

Posted by 桐生 和也 at 2009年06月07日 15:51
               
>桐生和也さん

はじめまして。
コメントありがとうございます。
そうなんですよね、問題意識持って買い物しないとダメですよね。

ブログ、今行ったのですが、重くて開けませんでした(涙)。
Seesaaガンバレ!
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2009年06月08日 01:58