2009年05月25日
【オススメ】「超ビジュアルシンキング」ダン・ローム
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、「文房具好き」、「図解好き」ならビビビと来そうな1冊。原題が「The Back of the Napkin」ということで、まさに「ナプキンの裏」にでも書けちゃうような図で「問題解決してしまおう」という内容。
丁度、表紙でテーブルに置かれている本が、原書ですねw
◆今まで何冊か「図解してみましょう!」という本を読んでみたものの、それで実際に描けたか、というと、正直ぁゃιぃワタクシ。
ただ本書がすごいのは、見やすい手描きの図が満載な上に、「どういう時」に「どういう図を使うか」が詳しく解説されているところ。
原書が
に輝いたのも伊達ではありません!「amazon.comのBest Book of 2008 (ビジネス・投資部門)5位
Business Week誌のBest Innovation & Design Books of 2008」
著者がGoogleで講演をした際の動画(必見です!)もあわせてご紹介しておきます。

【目次】
第1部 はじめに 絵を使って解決しよう
第1章 まったく新しいビジネスのとらえかた
第2章 なにが問題なのか、どんな絵を描くのか? 「わたしたち」は何者なのか?
第3章 負けるはずのないギャンブル ビジュアルシンキングの4つのステップ
第2部 アイデアを発見する
第4章 まずは見ることから
第5章 6つの方法で〈視る〉
第6章 SQVID:想像力を使うための実践的なレッスン
第7章 〈見せる〉ためのフレームワーク
第3部 アイデアを発展させる
第8章 〈見せる〉こととビジュアルシンキングMBA
第9章 わたしたちの顧客は? 〈誰/なに〉の問題を解決する絵
第10章 どれくらい多くの人が買っているのか? 〈どれだけの量〉の問題を解決する絵
第11章 わが社のビジネスの行方 絵で〈どこ〉の問題を解く
第12章 いつ修正作業を実行できるのか? 〈いつ〉の問題を解決する絵
第13章 わが社の事業をどのように発展させるのか? 〈どのように〉の問題を絵で解決する
第14章 なぜ、その必要があるのか? 〈なぜ〉の問題を絵で解決する。
第4部 アイデアを売り込む
第15章 ビジネスについてわたしが知っていることは、すべてショー・アンド・テルで学んだ
第16章 結論を描く
【ポイント】
■問題を6つに分解する◆まずは問題を「6つのカテゴリー」に分解します。
1.<誰>whoが、<なに>whatが問題なのか
⇒もの、人、役割との関連
2.<どれだけの量>how muchの問題なのか
⇒計測と計算との関連
3.<いつ>whenの問題なのか
⇒計画とタイミングとの関連
4.<どこ>whereの問題なのか
⇒方向、そして複数のものごとのつながりとの関連
5.<どのように>howという問題
⇒ものごとは互いにどのように影響し合うのか、との関連
6.<なぜ>whyという問題
⇒全体図との関連
読んでいくとわかりますが、この6つのカテゴリーに落とし込むことで、実際に問題が解決していきます。わたしは長年、この6つのカテゴリーに問題を分解して解決するお手伝いをしてきた。もちろん絵を見たり描いたりしながら。これまでに取り組んだ問題のほぼすべてをこのシンプルな「6つのW」でカバーすることが可能だった。
■ビジュアルシンキングの4つのプロセス
◆ビジュアルシンキングは、順に以下の「4つのステップ」を踏むことにより行われます。
1.見る
2.視る
3.想像する
4.見せる
実はこれらは実際に、「仕事のレポートを作成する場合」にも行われていること。
まず話し合いのための材料を見る。そのうちいちばん興味深いもの、関連性があるもの、役に立つものを探すために視る。自分のメッセージを伝える最良の方法を想像する。作成したレポートを同僚に見せる。
◆ここで注意しなくてはいけないのが、ビジネスで絵を活用する場合に、このプロセスを経ないで、いきなり<見せる>の部分を実行してしまう人が多いこと。
ただ、本書では懇切丁寧に手順を指導してくれていますので、熟読すればマスターできると思われ。
■5つのSQVIDの問いかけ
◆実際に絵を描く際に注意しなくてはならないのが、「SQVID」と著者が呼ぶ5つの問いかけです。
その5つとは
「Simple(簡素)」
「Quality(質)」
「Vision(構想)」
「Individual attributes(個性)」
「Δ(デルタ)(変化)」。
その5つの質問をもとに、自分にとってなにがいちばん重要なのか、観衆にとってなにがいちばん重要なのかを軸としてアイデアをもっとも明確な形で絵にあらわし、焦点を絞る。SQVIDを利用して、まずは自分が視覚的にどんなメッセージを伝えたいのかを考える。どんな絵を描こうかということについて心配するのはその<後>だ。
実はこの5つには、相対するものとして、それぞれ「精巧」「量」「実現」「比較」「現状」とが存在します。
これにより、例えばSQVIDをイコライザーのように使うことも可能。
たとえば、自社のプロジェクト・マネージャーにアイデアを伝えたい場合は、量と実現を重視した絵にすべきだと考えるだろう。だが、マスコミ向けに発表するのであれば、構想を重視した簡潔な絵にしようと思うかもしれない。
◆本書ではそれぞれの項目について、詳しい解説と、具体的な絵も提示されています。
たとえばこれは、著者のダン・ロームがGoogleで講演した際の動画(後でご紹介します)から持ってきたのですが、「個性」か「比較」か、というお話で(本書の絵では、基本的に全部和訳されています)。

こちらが「個性」。
「テキサスで最も有名な紙ナプキン」と言われる、サウスウエスト航空を始めることとなったスケッチです。
一方「比較」を見てみます。

他の航空会社(真ん中がアメリカン航空で、右端がコンチネンタル航空)との比較。
こんな感じで、他の航空会社のルートと比べて、いかにサウスウエスト航空の考え方が他と異なっていたか、がよくわかるというわけ。
■6つのフレームワークで見せる
◆上記の「6つのカテゴリー」に対応して、実は描くべき絵も「根本的な6つのフレームワーク」で基本的には事足ります。
「誰、なに」は「ポートレート」(質を重視)
「どれだけの量」は「グラフ」(量を重視)
「どこ」は「マップ」(空間内の位置)
以下、「いつ」「どのように」「なぜ」についても同様に「適したフレームワーク」で描けばよいそう(残りはネタバレ自重)。
◆そして最後に、それぞれのフレームワークに上記の「SQVID」の5つの質問を組み合わせれば、「問題解決のマスターリスト」が出来上がる、という。
本書では、「6×5のマトリックス表」(実際にはSQVIDの相対する概念がそれぞれあるので、さらに×2)と、その使い方をステップを踏んで指導。
「絵を描く」なんて言うと一見抽象的な印象を持ってましたが、かなりロジカルなのではないか、と。
この辺は図もなしに説明するのは難しいので、できれば実際に本書でご確認頂きたいところです(サーセン)。
■ビジュアルシンキングMBA
◆本書では第3部の8章から14章までをまるまる使って、具体的なケーススタディを行っています。
ページにして何と114ページ!危機に陥っている架空のソフトウェア会社を設定し、そこから立ち直るためにこれまで話したビジュアルシンキングのプロセス、SQVID、<6-6>モデル、コーデックスのすべてを使ってみる。ビジュアルシンキングは複雑なビジネスの問題を理解する際に大変効果的だ。それをわかっていただくために、こうしたツールを活用して、ビジネススクールのセミナーに匹敵する内容をカバーする絵を作成する。
かなり詳細に分析を行っていますので、ぶっちゃけここだけ立ち読み(ヲイ!)しただけでも圧倒されるかと。
問題の概要を簡単に説明すると、こんな感じです。
●会計ソフト会社SAX社は、大組織向けに専門的な会計ソフトを設計・販売している
●主なライバル会社は5社で、各社とも独自のアプローチを行っている
●過去2年、他社は売上を伸ばしてきたのに、わが社は横ばいだった
●最近は「オープンソースの無料ソフト」が台頭し、高価なソフトウエアは苦戦している
●当社の特徴あるソフトに匹敵するオープンソースの無料ソフトが出てくるのも時間の問題だろう
●マーケットシェアを失う前にどんな手を打てばいいのか・・・?
分析を行っていくと、さらなる事実が出てきたりするのですが、それは本書にて。
題材的にニタさん必読でw
【感想】
◆本書の場合、文章でダラダラ説明するよりも、実際に「絵」を見て頂いた方が、話は速そう。「百聞は一見にしかず」。
いつもなら、本の画像を携帯でパシャパシャやるところなのですが、今回は上記で触れたように、著者のダン・ロームの動画がYouTubeありましたので、そこからいくつかピックアップしてみます。
注:動画削除されました💦
Googleでの講演の様子のよう。
【マップ】

◆これは、「どこで」を分析する際のマップです。
まさに今回の「ビジュアルシンキングMBA」に登場したSAX社の「クライアント企業の構造マップ」。
ちなみに道みたいなのは、道路ではなくて(それじゃホントの地図です)、「影響」を表しているので、お間違いなく。
【プロット】

◆こちらは、本には載っていない、おそらくこの講演のための絵ですね。
動画を見る限り、右側のバブルがマイクロソフトで、左側がGoogleのよう(多分)。
この図は開始26分くらいで登場しますので、興味のおありの方は動画の方でご確認くださいマセ。
・・・それにしても、YouTubeに55分の動画があるとは思いませんでした(10分が限度ではなかったのか?)。
この動画を観るだけでも、かなり勉強になりますね。
◆と言うわけで。
本書は、絵を描くのがゴールではなく、それによって、「問題解決を図る」ことが目的です。
実際、登場するどの事例も「問題解決」ばかり。
第3部は特別ですけど、それ以外にも、「なるほど」と思わせられる事例がいくつもありました。
◆特に本書をまとめるきっかけとなった出来事
―急病の同僚の代わりに、「売り込みの助っ人」として送り込まれたものの、演題すら詳しく聞いておらず、かつパワーポイントの資料も無い状態で、50人の専門家を前に絵を描いてプレゼンテーションを行った―
くだりは秀逸です。
著者が担当者と打ち合わせをしながら、英国鉄道の中でとった朝食の紙ナプキン。
この「紙ナプキンに描いた絵」こそが、「契約を獲得」し、ロンドン事務所開設以来、最も長期間にわたるプロジェクトを呼び込んだのだそう。
本書にはもちろん、その時の絵が、白紙の状態から順を追って完成するまで全て収録されていますので、ぜひご確認を。
YouTubeの動画を見て「やっぱ日本語で・・・」と思ったら、即買い推奨!
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【編集後記】
◆今日のご本に関連して。37万部突破のベストセラー、「世界一やさしい問題解決の授業」の続編が登場です。
ページ数は2.6倍の大増量(120P⇒312P)なのに、お値段は3割ちょっと増し。
これはお買い得かと。
先日の聖幸さんとの書店巡りでも話題に登ったのですが、紹介し忘れておりました。

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先日からウォッチさせていただいております。今日のこの記事は「あ、読まなきゃいけない!見なきゃ!」って、初ブックマークです(^^)o
昨日の記事で触れていた絵本もアタックしました!
私の読書生活は、smoothさんからの影響、ホントに大きいですネ(^v^)v
今後とも期待しておりますので!!
p.s
今日になってようやく、マグロ本をご紹介いただいていることに気づきましたm(_ _)m
マグロキャンペーンについて、顔文字で
ご紹介いただいて光栄です!
笑ってしまいました。マグロは来週、
当選者に送られてしまいます。
おかげさまで5刷まできました。
お礼が遅れてすみません。
また、心よりお礼申し上げます。
早いタイミングでのコメント&ブクマありがとうございます!
皆さんがどういう反応をされるかドキドキだったのですが、励まされました。
本、お買いになられたら、ぜひ記事にしてみてくださいね〜!
今後ともよろしくお願いします。
>川田先生
いつもいつもアマゾンアタックありがとうございます(涙)。
この本に反応されるとは、さすがお目が高い。
絵本、サブダの方は私は2冊買ってしまいました(笑)。
ムスコがもうちょっと大きくなったら与えようかと。
もう1冊はプレゼントにでも(笑)。
>齊藤正明さん
本は、キャンペーンがウケたのでそちらでご紹介しました。
ランキングには載れませんでしたが、実はギリギリだったので、それなりにお買い上げ頂いています。
当時はこんなにマスコミに取り上げられるとは思ってませんでしたよ(失礼しました)。
もう5刷ですか〜。
すごいですね。
ひょっとしてあの新書シリーズではトップの売れ行きなのでは?
今後のご活躍も期待しております!