2009年05月23日
【時間管理術】「マニャーナの法則」マーク・フォースター
【本の概要】
◆今日は久しぶりに「時間管理術」の本をご紹介しようかと。この「マニャーナの法則」は、「シゴタノ!」の大橋悦夫さん、佐々木正悟さんのお二人がこぞって絶賛しているご本なのだそう。
何たって本書の帯によると
「数ある時間管理術の本の中で、現在最高の1冊!」
とまでおっしゃっているのですから、えらい惚れこみよう。
発売自体は2年前なのですが、最近『「シゴタノ!」バージョン』の帯に変わって、注目の1冊です!
いつも応援ありがとうございます!
【目次】
第1章 まず脳の特性を知っておこう
第2章 仕事のシステムをつくる7つの原則
第3章 「効率」はあなたの創造力と整理にかかっている!
第4章 あなたのタイム・マネジメントは間違っている?
第5章 忙しいだけの仕事は捨てよう
第6章 緊急の仕事を見分けよう
第7章 最強のマネジメント・ツール「クローズ・リスト」
第8章 究極の仕事術「マニャーナの法則」
第9章 タスク・ダイアリーを使ってみよう
第10章 自主的な仕事は「ファースト・タスク」にする
第11章 「WILL DOリスト」vs「TO DOリスト」
第12章 その日の仕事を終わらせよう
第13章 「ぐずぐず先送り」はこれで防止
第14章 プロジェクトにはこう対処する
第15章 システムを機能させよう
【ポイント】
■「理性の脳」と「衝動の脳」◆本書の「タイムマネジメント」の理論において重要なのが「理性の脳」と「衝動の脳」という考え方。
先送りを防ぎ、物事を達成するためには、「理性の脳」の力の活用が必要です。
そこで、「仕事をしよう」と思ったら、まずは「理性の脳」に、「衝動の脳」にある恐怖感を取り除いてもらうことです。一番簡単な方法は、「この仕事は怖くない!」と自分自身を欺いてしまうこと。「衝動の脳」はそれほど賢くはないので、「理性の脳」のたくらみには気づきません。
◆具体的には、このような方法が考えられます。
この辺の考え方は、以前ご紹介したこの本にも通じるような。たとえば、レポートを書かなければならないのにその気が起きないというとき。「今レポートを書くわけじゃない、書棚からファイルを出すだけだ」と考えてみてください。そうすれば、「衝動の脳」が抱える恐怖感は消えてしまいます。
参考記事:【実践!】「脳が教える! 1つの習慣」ロバート・マウラー(著),本田直之(監修)(2008年07月06日)
■「本当の仕事」と「忙しいだけの仕事」を区別する
◆本書によると、経営者ならこの区別ができないと、「社長失格」なのだとか。
本書には、この2つの対比表が載っており、私の場合経営者(一応)なので、結構グサグサきましたね。「本当の仕事」とは、事業を目標に近づける仕事。そのためには、全知全能を使って立ち向かわねばなりません。つらい目に遭うこともあるし、限界へのチャレンジも必要です。時には、「嫌な仕事だ」と思うこともあるでしょう。反対に、「忙しいだけの仕事」は「本当の仕事」をしない口実にすぎません。
そして、「本当の仕事」をするために、「忙しいだけの仕事」を捨てよ、と。
皆さんも、ぜひ考えてみてください。
■緊急の度合いを3つに分ける
◆「緊急の度合い」は「今すぐ」「今日中に」「明日やる」の3つに分けられます。
本書で特徴的なのが、最後の「明日やる」を基準にしているところ。
逆に「今すぐ」の対応が必要なのは「特殊な職業」の場合か、「本当に至急の仕事」だけだとか。
◆本書では部分部分に「TEST」と称した設問があり、私たちの理解を促してくれているのですが、例えばこの章には『次のうち、「今すぐ」の対応をする必要があるのはどれでしょう』というものがありました。
回答の初っ端が「電話が鳴った」とあり、「そんなの"今すぐ"に決まってるじゃん」と思ったら、答えはこう。
なるほど、単純に考えてはいけないよう。電話に出るのは「今すぐ」の仕事です。ただし、集中したい仕事があり「電話には出ない」と決めたなら別。それもあなたの決断次第です。電話が多すぎて困るなら、それは組織の問題で、改善の必要があります。
また、タイム・マネジメントの専門家によると『「今日中に」の扱いは「今すぐ」より難しい』そうで、この部分は再度読み込んで理解する必要がありそうな・・・。
■最強のマネジメント・ツール「クローズ・リスト」
◆本書のスタンスは、「TO DO リスト」 ではなく、「クローズ・リスト」を使うというもの。
「クローズ・リスト」については、以前佐々木正悟さんの「ルーチン力」でもご紹介しております。
参考記事:【仕組み化時間術】「ルーチン力」佐々木正悟(2009年01月14日)
上記の佐々木さんのご本では「クローズド・リスト」と呼んでいますが、その部分を引用してみます。
もともと、佐々木さんの本でも今回の本を紹介する形で登場しているので、やはり詳しくは大もとである本書をお読み下さい(ネタバレ自重)。クローズドリストは、ToDoリスト(タスクリスト)の反対のリストです。ToDoリストは、やらなければならない仕事が増える度に、書き加えていくリストです。つまりどんどん項目が追加されていきます。
このようなリストを、フォースターはオープンリストと呼んで全体を終わらせることがとてもむずかしいリストになってしまうと指摘しています。
クローズドリストはこの反対に、やらなければならないことの最大量を予め明確にしたものです。このリストの特徴は、どこかの時点でいったんリストを閉じる点です(だからクローズドなのです)。
■究極の仕事術「マニャーナの法則」
◆本書のタイトルにもある「マニャーナ」とは、スペイン語で「明日」のこと。
そして「マニャーナの法則」の根源にあるのは、「明日まで待てないほど、緊急な仕事はない」というもの。
本書では仕事の種類ごとに、そのやり方が記載されています。
例えば「メール」や「書類」に関しては、「翌日にまとめてバッチ(集中)処理」がオススメ。
◆一方「手のかかるタスクは細分化」を推奨。
タスクも大きなものになると「プロジェクト」と呼ぶべきものになります。
これらはタスクへ分解することにより、「取っかかり」を見つけることが可能。
大掛かりな仕事で途方にくれる前に、試しておきたいTIPSかと。どの「プロジェクト」でも、「今、何をすればよいか」の答えが「取っかかり」。
■その日の仕事を終わらせる
◆本書では、仕事が遅れる原因として、次の3つを挙げています。
●仕事の効率が悪い
●仕事を抱えすぎている
●時間が足りない
そしてこの3つそれぞれについて、次のような対処方法が。
●仕事の効率が悪い ⇒ 「クローズ・リスト」を使い、仕事はバッチ処理で
●仕事を抱えすぎている ⇒ 「本当の仕事」を見極める
●時間が足りない ⇒ 白紙の時間は予定にない仕事がつまっていると考える
◆なるほど、全部実践できたら、「その日の仕事が終わらない」という風にはならなさそう。
私の場合は、今現在、原因を3つとも抱えていると言えるので、できるところから実践していきたいと思っております。
■「ダッシュ法」で「ぐずぐず先送り」を防止!
◆本書の13章が「先送り防止」に関する内容で、そこにいくつか防止法が載っていたのですが、一番ツボだったのが「ダッシュ法」なるもの。
これは時間を決めて、『一定時間「ダッシュ」するように働く』方法です。
「短時間だけ集中してやる」というやり方は見たことがありましたが、少しずつ時間を長くして、一番パフォーマンスが良い長さで続ける、というのはなかなか良さげ。たとえば、レポートを書くのが嫌だという場合、まず5分間書いて2分間休憩します。次は10分間書いてみましょう。この調子で40分になるまで5分ずつ書く時間を増やしていきます。抵抗が消えてきたら、一番集中できた長さの「ダッシュ」で仕事を続けてください。
これはぜひ、段々と眠くなってしまう、税法の本を読むときに使(ry
【感想】
◆上記の佐々木さんのご本を読んだ時から「マニャーナの法則」は気になっていたのですが、今般、その全容を知ることができました。ただ、他の時間管理術とは一味違うやり方、特にその本質とも言える「明日やる」というのは、メンタル・ブロックがある方ですと、すぐには実践するのが難しいかも。
実際、仕事のメールを「一晩寝かせて翌日回答」というのも、できる職場(仕事)とそうでない職場がありそうな。
・・・私のように「仕事でメールが1割未満」の人間は別ですけど。
◆ただ、これについても、しっかりシステムを作ったうえで、上記の「本当の仕事」のみに注力すれば、理論的にはできるのではないでしょうか?
「飛び込みで相談の電話が来る」のが常態の職場ならば、その前提で、スケジューリングをすべきなんでしょうし(上記の「白紙の時間は予定にない仕事がつまっている」参照)。
もしくは、仕事の抱え込みすぎか、効率が悪いか・・・ってこれまた上記の「仕事が遅れる原因」そのまんま。
要は、多くの「今すぐ」「今日中」の原因は、その仕事が発生する以前からある、ということかと。
◆また、実践するのに際しても、もっと多くの「本書に書かれたテクニック」が必要。
今回、それほど厚くない本でネタバレを自重した結果、「タスク・ダイアリー」「ファースト・タスク」「WILL DOリスト」といった重要項目について、説明がなされていませんので、できれば直接本書で完全な形でご確認頂きたく。
私自身が、まだ試していないだけに、「これはスゴイ!」とまでは言えないものの、時間管理で今現在悩みを抱えている方でしたら、試してみる価値は十二分にあると思います。
何たって、「シゴタノ!」の主要メンバーお二人のお墨付きですから。←他力本願w
「時間管理術」がお好きな方なら必読!
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【編集後記】
◆私は直接存じ上げていないのですが、心月さんを通じてお話だけはお伺いしているという竹田和平さんの新刊発売に際し、アマゾンキャンペーンが行われています。竹田和平最新刊アマゾンキャンペーン
それにしてもこんなスゴイ方だったとは。
竹田和平
日本の実業家、投資家。「タマゴボーロ」で有名な竹田製菓の代表取締役で、107社の上場企業の大株主でもある(2008年3月現在、四季報調べ)。これは個人が大株主となっている上場企業数で国内一位の数字である。(Wikipediaより)
ご声援ありがとうございました!
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