2009年05月20日
【ブザン式速読術】「マインドマップ読書術」トニー・ブザン
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、タイトル的には「まさにこのブログにピッタリ」の1冊。もっとも、「本を読んでマインドマップを描きましょう」という内容を予想して本をめくり始めたらあらビックリ!
7章あるうち、最初の4章は「ガチな速読術の本」そのものでした。
ここまでの部分でも、ぶっちゃけ「買い」だと思われ。
マインドマップに興味がなくとも、「速読好き」なら見逃せません!

【目次】
「ブザン式読書術」は学習の達人への道
第1章 あなたは4倍速く読める! Speed Reading and Your Brain
第2章 問題点を逆手に取るBeat Reading‘Problems’
第3章 新たな目の使い方を学ぶ Your Amazing Eyes
第4章 さまざまな読み方を使いこなす Super Charge Your Speed Reading
第5章 集中力をコントロールする Improving Concentration
第6章 マインドマップ有機的学習法MMOST Mind Map Organic Study Technique
第7章 マインドマップノート術 The Ultimate Note-Making & Note-Taking Technique
マインドマップ読書ノート
【ポイント】
■読む速度を遅くしている「思い込み」を見直す◆まずは以下の4つの質問にお答え頂きたく。
ブザン氏によると、これらはいずれも「まちがい」。1 文章をきちんと理解するには、ていねいに一字一句読むひつようがある。
2 文章を速く読むほど理解度は低くなる。
3 文章を速く読むほど集中力は低くなる。
4 自分の理解力にあった自然なスピードで読むのがよい。
詳しくは本書を見ていただくとして、2番目の思い込みについての解説を引用しておきます。
後の部分に出てくるのですが、「思考の速度は毎分1000~12000字以上」だそう。思い込み2 速く読むほど理解度は低くなる
速く読むほうが、集中力が高まり、内容をよく理解できるようになる。また、速く読むことで、特に興味を引かれたり重要だと感じる部分を読み返す時間もとれるようになり、さらに理解度を高めることができる。
ゆっくり読んでいては、かえって「書き手の思考をつかむ」ことは困難になってしまうわけですね。
■内的音声化を利用する
◆内的音声化とは「声には出さないが、音読しているように、脳内で音声を感じながら読む」ことであり、読書スピードを遅くする問題点の1つ。
ただし本書では内的音声化について、2つのヒントを提示しています。
●内的音声化のスピードを上げて読書スピードを上げる
これは確かに。内的音声化のクセがあるのならば、そのスピードを上げればよいのだ。読書速度が毎分5000字に達してから心配しても遅くはない。
内的音声化が止めらない方にとっては、良いアプローチ法かと。
●内的音声化で記憶を高める
さらには「読み方をコントロールする」ことにより、記憶を高めることも可能だとか。内的音声化は、実は記憶を助けるというメリットがある。視覚の機能に加えて、脳の別の機能も合わせて使うことになるからだ。
そういえば、私も税理士試験の理論暗記の時は、声には出さなくとも、唇を軽く動かして理論を唱えていました。
アレも脳の別の機能を使った記憶補助だったのか!
■速く読める人と読めない人の違い
◆まずは「読書が遅い人の特徴」を抜粋。
・1回に読む文字の数が少ない
・視線が後戻りする
ここで特に問題としたいのが、「後戻り」。
「情報を間違って取り込んだ」と脳が感じるときに、必要な情報を取り込もうとして、こうした後戻りが起こるそう。
こうした後戻りには、厳密には「戻り読み(Regression)」と「後戻り(Backskip)」があり、その対処法も本書には収録されていますので、お楽しみに。
■偉大な速読家の技術 ソフトフォーカス
◆視点の中心部分に焦点を合わせる機能を「中心視」といい、それ以外の周りを見ることを「周辺視」と言います。
通常より目と本の距離を離して、ぼんやりと全体を読むと、こんな風に周辺視を上手く使うことができるそう。
以前、勝間さんは、お出になった「王様のブランチ」でも、速読のコツとして「ボーっと読む」と言われてましたが、まさにソレですね。この状態になると、中心視が1行~3行に集中すると同時に周辺視がその前後の行を捉えて既に読んだところを復習し、これから読むところを予習する。
参考記事:【祝!特集】「王様のブランチ」での勝間和代さんの特集ダイジェスト(2008年02月18日)
■プレビューは読書の万能薬
◆プレビュー(下読み)とは読書の前にざっと一覧し、下調べしておくこと。
そしてその目的は「本の構造を事前に知ること」。
本書ではお馴染みの「スキャニング」「スキミング」と言ったテクニックも登場します。
プレビューをうまく活用して、効率的に読書をすれば、さらに多くの本を短時間で読むことができるハズ。プレビューにスキミングをうまく使うには文章の構造に注目するといい。
著者が結論や要点を述べている部分や、それまでのまとめをしている部分を見つけて、そこに注目して読み進めるのである。
■学習のための究極の読書法MMOST
◆「MMOST」とは、「Mind Map Organic Study Technique=マインドマップ有機的学習法」のこと。
本書では第6章において、この「MMOST」を詳しく解説しています。
一般的に「マインドマップと読書」と言えば、普通に考えれば「読んだ後、マインドマップで内容をまとめる」ということになりそうですが、あにはからんや。
具体的なやり方は、一応「ネタバレ自重」しますけれど、「読む前からマップを描く」というのが特徴かと。
■ジグソーパズルを組み立てるように本を読む
◆実は本書の中で一番「腑に落ちた」のがこの部分。
ブザン氏曰く、「効率的な読書は、ジグソーパズルを上手に組み立てることに例えると、そのコツが理解しやすいだろう」とのこと。
これは確かに言えますね。ジグソーパズルをすばやく効率的に組み立てるにはどうしたらよいだろうか?ジグソーパズルのピースの山を目の前に積上げて、いきなり手近なピースをひとつずつ手に取って組み立てるだろうか?
◆本書では「読書」ではなく、「効率的なジグソーパズルの組み立て方」の方が紹介されています。
「1 最終的な完成写真を見て、絵柄を頭に入れる。」
ですとか、
「3 すべてのピースを上向きにしながら、角のピース、枠のピース、色や形がはっきりして、組み立てやすそうなピースを選り分ける。」
なんて、読書法そのものかと。
いきなり最初のページから読み始める方は、ぜひ参考にして頂きたいところです。ジグソーパズルの最初のステップでは、完成図の写真を見て、角と枠、そして分かりやすいピースを探す。読書の最初のステップでも、いきなり本文を読むのではなく、その本の中から「全体像を把握できるところ」をスキミングしていこう。
つまり、まずは全体像を把握し、分かりやすいところ、重要なところから手をつけ、次第に細部に迫っていくのだ。
【感想】
◆冒頭でも書いたように、本書の前半は、モロに「速読法」関係のお話で占められています。「トニー・ブザン=マインドマップ」のように思われがちですが、あとがきによると、「速読法のセミナー」も実施されているそう。
本書も「ブザン式速読法」というタイトルで、もし出ていたとしても、何ら違和感がないくらいです。
今現在のアマゾンのページで見える本の帯の最初にも「4倍以上速く本が読める!」とうたっているくらいですし。
◆この「4倍」という数字は、適当にでっち上げたものではなく、次のような根拠に基づくもの。
ちなみに、ここで言う「静止時間」とは、読書する際の目の動きが動いたり止まったりする際(目はスムーズに動き続けているのではない)の「止まっている状態」のこと。「1回の静止時間を2分の1、一度に読む文字数を2倍にできれば、合わせて4倍のスピードになる」。
確かに止まる回数が減って、一度に読む文字数が増えれば、読むスピードも上がります。
さらには上記でも挙げた「後戻り」のクセのある人なら、これを改善しただけで、かなりのスピードアップが望めるかと。
◆ただし、「速く読むこと」や「マインドマップを描くこと」が目的となっていない点にも留意して頂きたいところ。
これらはあくまで「情報をより活用するため」に行うのであって、「単に本を読むだけで良い」人には、不必要とも言えます。
さらには、適切なタイミングで短時間で復習をすれば、より一層「自分の血となり肉となる」・・・って、ブログで書いて書きっぱなしの私に言う資格はないのかもしれませんけど。
◆なお、本書は、『マインドマップ超入門』についで出版された、「トニー・ブザン天才養成講座」の2冊目であり、具体的なマインドマップの描き方等については触れられておりませんので、あしからず。
マインドマップの書き方については当ブログでもご紹介済みの「マインドマップ(R)が本当に使いこなせる本」がオススメ。
参考記事:【MindMap】「マインドマップ(R)が本当に使いこなせる本」がかなりキテる件(2008年07月04日)
そしてこのシリーズの次回作は、出版元のディスカヴァーの干場社長のお話によると「マインドマップ記憶術」なのだとか。
・・・これかな?
こちらも楽しみです。
速読&読書好きならば、避けては通れない1冊!
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【編集後記】
◆昨日のアマゾンアタック。「ナプキンの裏に走り書き」なんて、「成功本そのまんま」じゃないですか!このフレームワークがビジネスを変える!
パワーポイントなんか、もういらない!
ナプキンの裏にささっと走り書きするだけで、思考は明確、きっちりと伝わり、ビジネスは大成功!
紙とペンがあれば誰でもできるフレームワーク!!

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