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2009年05月16日

【オススメ】『合格力 仕事や勉強の「正念場」で発揮する力』井上幸治




【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、MBAホルダーであり、コンサルティングファームで働いた経験もある井上幸治さんの新刊。

タイトルからは「勉強本」のようですが、ガチな勉強方法の本ではなく、広い意味での自己啓発的なニュアンスが強いです。

人生における、節目節目の大事なポイントで、井上さんがどのように準備し、又は勉強し、そして目的を達成したのか。

本書から得られる知恵は、きっと私たちにも役に立つはず!


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【目次】

第1部 ステップ1 まずはシゴト力をアップさせる!
 ロジック力
 マネル力
 プロマネ力
 リフレッシュ力

第2部 ステップ2 中間的にシゴト力もニンゲン力もバランスさせる!
 テンカツ力
 ガイシ力
 シカク力
 カンドー力
 グチョク力

第3部 ステップ3 長い目で見てニンゲン力も向上させる!
 エイゴ力
 ジブン力


【ポイント】

■自分の身の丈を知る

◆ご自分では「必ずしもエリートコースを走ってきたわけではない」、と断言する井上さんが、自分の強みとして1つだけあげているのが、「自分の身の丈を知っている」ということ。

毎回100点を取れるわけではないが、必ず合格点である80点を取れるような地道な努力をしてきた。いや正確に言えば、他人が決めた100点というモノサシを追い求めてはいない。むしろ自分で自分のモノサシを設定し、そのハードルを1つひとつ乗り越えてきた。

本書を読み進めていくにつれて、「興銀内定」「フルブライト奨学金取得」「転職」といったハードルを越える際に井上さんがなさった努力が、かなり技術論レベルまで落とし込まれており、参考になります。

ただし個人的な感想ですけど、経歴を拝見する限り「エリートコース」なような気もw


■ロジック力向上のための「ちょこっと努力」

◆仕事の現場で欠かせない能力の1つが「ロジック力」

一気に向上させることは難しくとも、その力を構成するいくつかのテクニックを日々の「習慣」レベルに落とし込めれば、ロジック力は養うことができます。

まず最初に「ナンデ?」と常に問うこと。

そして「ナンデ?」に加えて「ダカラ?(SO WHAT?)」と畳み掛けること。

 たとえば、消費者アンケートや個別のフォーカスインタビューを実施し、「商品Aは消費者から60%の支持を得ている」という結果が出たとする。その結果を綺麗なグラフにまとめることは「コンサルティング」と名のついていない人であってもできること。だが、出てきた結果を用いて「それは一体なぜなのか?」、そして「だから何なのか?」と問いかけ、その答えとしての「カセツ(仮の答え)」を出すことが、戦略コンサルの存在意義でもある。

「何で?」までは問えても「だから?」まで問い続けている人は、それほどいないような。

だからこその「コンサルタント」かもしれませんが。


■「書く」だけでなく「整理し直す」議事録のコツ

◆井上さんによると、会議の議事録等のポイントは「書き記す」ことと「整理し直す」ことの2つ。

つまり「まずは情報を漏れなく書き出す」事が大事で、整理は後からまとめ直せばよいということ。

そもそもミーティング中は議論が行ったり来たりすることが多いので、発言内容を整理しながら書き記すことなど土台無理な話なのだ。だから、議事の内容を文字に落とすのはミーティング中にするが、それをまとめ直すのはあくまでミーティング後になる。


◆ただしミーティングの時点から工夫することは可能です。

例えばノートのページを真ん中で折り、左側には「ファクト(事実、数字、発言内容など)」を書き、右側には「インプリケーション(ファクトから導き出された自分なりの意見、仮説、考え方など)」を書くようにする、という方法があるそう。

これも一種のノート術ですね!


■リフレッシュの時間は「作る」もの

◆コンサルティング・ファームのお仕事のハードさは、前々から存じておりましたが、井上さんも零時前に帰宅できたことはほとんどなかったそうです。

そんな多忙を極める中で、井上さんはエアロビ(実はインストラクターの資格もあるそう)でリフレッシュを図っていました。

そして時間は「自ら作るもの」

何と言っても「土日が3ヵ月続けてつぶれていても、日曜の午後に2時間抜けて、エアロビのレッスンに1本だけでも行くようにしていた」というのには脱帽です。

私のようにマンションのすぐそばにスポーツクラブがあるのに、未だ1度も行ってない人間はどうしたものかと・・・。


■転職希望者は自分を「商品」と自覚する

◆以前、本田直之さん「本田式サバイバル・キャリア術 」を読んだ際にも転職エージェントのことが書かれていましたが、本書でもエージェントとの付き合い方について記載がありました。

そしてエージェントにとっては、転職志望者は「商品と同じ」

その人がダメでも他の志望者を転職させれば良いだけのことです。

それを自覚した上で、「どのようなエージェントが頼りになるのか」についても触れられていますが、その辺は本書をお読み頂きたく。


◆一応、「10人の転職エージェントに声をかけても、その中の1人か2人しか優秀なエージェントはいない」とのことです。

そういえば、「優秀な転職エージェント」で思い出したのですが、先日、こんな本を注文したのでした。


著者は「週刊モーニングに連載中の転職エージェント漫画、『エンゼルバンク』の“カリスマ転職代理人、海老沢康生”のモデル」だそう。

本書とは直接関係無いものの、この本も楽しみ。


■「コスト」と「コスト・パフォーマンス」は似て非なるもの

◆資格試験を受けることに関して、井上さんは「コスト・パフォーマンス」を重視するがゆえに、予備校(専門学校)を勧められています。

確かに「独学」だとコストはかかりませんが、それによって合格できなければ、「パフォーマンス」としては最悪。

「コスト・パフォーマンス」というのは、価格だけを意味しない。「パフォーマンス」とある以上、コスト1単位当たりのメリットの量が大きくなければならない。つまり「より早く、より確実に合格する可能性が高まるというメリット」を「そのためのコスト」で割ってみると、予備校に通った方が実は分母は高いながらも分子も高くなることがわかる。コストでなく、コスト・パフォーマンスで見た場合、独学が圧倒的に有利だとは言えないのだ。

これについては、私も税理士試験の専門学校に通った経験から深く同意

たまに専門学校の先生の質に文句を言うベテラン受験生さんもいますが、基本的に専門学校の受験システムは、先生のパフォーマンスをものともしないほど(ちょっと言いすぎw)完成されているものです。

井上さんも『これこそ「お金をかけるべき投資」なのである』と言われているくらい。

やはり「餅は餅屋」ではないか、と。


■英語こそ総合的なコミュニケーション言語だ

◆本書はそれまでの部分においても「妥協」とは縁遠い内容でしたが、実は「英語」に関してが一番厳しいお言葉が。

「断言しよう。日本人の英語は、アメリカ人からバカにされている」

 言語の習得に「努力しなくていい」という考えが入り込む余地はないし、「発音なんて気にしなくていい」という発言自体が、むしろ発音を気にしている証拠だ。コンプレックス以外の何者でもない。ならば、発音がきれいになるよう努力するのが、最も素直なことではないだろうか。

この「発音」に関しては、井上さん曰く「r」「th」の発音を上達させることにより、「ずっとアメリカに住んでいた人みたいな発音」と評されるようになったそう。

その練習方法については、本書にてご確認を(サーセン)。

予想以上に地道で唖然としました。


【感想】

◆本書を通じて描かれているのは、まず「目標」があって、それをクリアするための「努力」をいかに井上さんがなさってきたか、ということ。

漠然と「いい会社に就職したいな」「転職したいな」「勉強しなくちゃな」といったものではなく、「目標」に対して、自分に「足りないもの」を見いだし、それを「埋める工夫」を続けてこられたわけです。

そしてその「目標」というのも、「興銀内定」「MBA合格」「フルブライト奨学生合格」「外資系戦略コンサルファーム内定」等々のかなり高いハードル(「お子さんのお受験」もかなり高いハードルだった模様)。

「行き当たりばったり」では絶対ムリであり、「合理的思考」又は「たゆまざる努力」が必要とされるものばかりです。


◆例えば本書で『「ナガラ時間」「コマギレ時間」を活用しよう!』という箇所があって、「ハイハイ、いつものアレね」と思ったのですが、思いがけずこれが結構ハード!

戦略コンサル時代の「細切れ時間活用」の例として、

すでに午前3時、タクシーに乗っている20分でさえ睡眠をとりたいと思うが、それでも私は本を読む。

なんてあってビックリ。

さらには、「ながら時間活用」として「歯磨きの時間こそ、ビジネス書や経済誌を読む時間に当てている」そうで、やはり夜中の3時に帰ったときも、必ず歯磨きをし、必ず何かを読んでいたそう。

テラスゴス!


◆そんな「自己啓発の鬼(?)」のような面をもちながらも、上記の「エアロビ」以外にも、ヤマハの「大人のレッスン」(ピアノ)に通われたり、映画を観たり、小説を読んだりなさっているとのこと。

この辺の人間としての幅の広さは、是非見習いたいところです。

何たって第8章は「カンドー力」ですし。

・・・私も涙もろいんですけどね(一応言ってみたかったw)。


◆以前、波頭亮さんの「プロフェッショナル原論」を読んだとき、も圧倒されましたが、本書も同様。

ただし、「技術論への落とし込み」の点では、本書の方が一枚上手かも(新書と単行本の違いもありますが)。

「のんびり勉強とかしてみたい」という方には向きませんけど、気合が入ることウケアイです。


今年こそ目標達成したい方に!



【関連記事】

【オススメ】「キャリア・ショック」高橋俊介(2009年04月11日)

【キャリア育成】「本田式サバイバル・キャリア術」本田直之(2009年03月21日)

【個人ブランディング】「抜擢される人の人脈力」岡島悦子(2008年12月18日)

【マル秘転職術】「外資系キャリアの転職術」シンシア・シャピロ(2008年11月16日)

「プロフェッショナル原論」波頭 亮(2006年12月15日)


【編集後記】

◆毎日のようにアマゾンのランキングをチェックしているのですが、延々と100位以内に入り続けているのがこの本。


1ページ目とかではないのでバカ売れではないものの、毎日コンスタントに売れているのだと思われ。

参考記事:【モテ】「また会いたくなる人 婚活のためのモテ講座」大橋清朗(2009年01月27日)


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この記事へのコメント
               
転職エージェントはボランティアじゃないということを重々理解しないといけませんね(汗
Posted by シンジ at 2009年05月16日 12:21
               
>シンジさん

そうですねー。
向こうもお仕事ですからねー(汗)。
まぁこちらも10人とか話聞いてるので、お互い様、という話もありますけど・・・。
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2009年05月17日 10:22
               
こんにちは、その井上幸治です。

まさか自分の本が書評されているとは思わずちょっとびっくりでしたが、あまりにもうまくまとまった書評なので、ダブルでびっくりでした。

色々な本を読まれているようで、こちらこそ脱帽です。ぜひ見習いたいと思っています。

内容のまとめのみならず、感想まで書いて下さって、このブログエントリーを書くだけでの相当のお時間を使って下さったことと思います。

ありがとうございました。
また遊びに来させて頂きますね♪

Koji
Posted by 井上幸治 at 2009年05月20日 12:59
               
>井上幸治様

著者様直々のコメントありがとうございます。
記事が良かったとしたら、それは本が良かったおかげだと思います。

記事にも書かせていただいた、「ナガラ」「コマギレ」に関しても、私はまだまだ甘かったな、と思うばかりです。

記事を書くのには確かに時間はかかっておりますが、著者の皆さんが何ヶ月もかけて書かれたものを、1回の記事で済ませてしまっている関係上、できるだけ妥協はしたくないと、思っております。

よろしければ、またお越しくださいマセ。
ウチは結構「濃い」読者さんが集まっていますので、次回作以降の参考になるかもしれません(笑)。
今後ともよろしくお願いします。

Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2009年05月21日 02:26