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2009年04月25日

【Web1.374?】「ウェブはバカと暇人のもの」中川淳一郎


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ウェブはバカと暇人のもの (光文社新書)

【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、ちょっと辛口(?)のネット論

本の存在は、結構前から知っていたのですが、タイトルが挑発的がゆえに、スルーしていたワタクシ。

ただ、最近結構各地話題のようなので読んでみたところ、いちブロガーとして参考になる点が多々ありました。

また、身も蓋もないところは、個人的にむしろ好きだったりw

著者の中川さんは先週1週間「Book Lovers」にお出になっていただけに、要チェックです!←でも聞き逃しますた!


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【目次】

第1章 ネットのヘビーユーザーは、やっぱり「暇人」
 品行方正で怒りっぽいネット住民
 ネット界のセレブ「オナホ王子」 ほか

第2章 現場で学んだ「ネットユーザーとのつきあい方」
 もしもナンシー関がブログをやっていたら…
 「堂本剛にお詫びしてください」 ほか

第3章 ネットで流行るのは結局「テレビネタ」
 テレビの時代は本当に終わったのか?
 ブログでもテレビネタは大人気 ほか

第4章 企業はネットに期待しすぎるな
 企業がネットでうまくやるための5箇条
 ブロガーイベントに参加する人はロイヤルカスタマーか? ほか

第5章 ネットはあなたの人生をなにも変えない


【ポイント】

■「コンサルタント・研究者・ITジャーナリスト」と「運営当事者」のネットに対するスタンスの違い

 ●梅田望夫氏(「コンサルタント・研究者・ITジャーナリスト」)

同氏は一大ブームを巻き起こしたキーワード「Web2.0」について、「ネット上の不特定多数の人々(や企業)を、受動的なサービス享受者ではなく能動的な表現者と認めて積極的に巻き込んでいくための技術やサービス開発姿勢」と説明し、その可能性を高らかに宣言している。

 ●河野武 氏(「運営当事者」)

『そんなんじゃクチコミしないよ。』(技術評論社)のなかで、著者の河野武氏は、「インターネット万能論を多くの人が唱えています。はっきり言います。そんなものは夢物語です。ウソと言ってもいい」「通常、ネットの一部で話題になっているだけでは世間的な影響はありません」と、ネット関連業務をやり続けてきた自身の経験から語っている。


■ネットでは「『誰が言うか』ではなく『何を言うか』が重要だ」という説があるが、これは大ウソ

 たぶん、ドラマや映画の子役のように、嫌われる要素が少ない子どもが少々やんちゃなことを書いても、好意的な意見で(ブログのコメントが)埋まることだろう。100歳の元気でかわいい老人もおそらくは叩かれない。
 その一方、何を言っても非難される人が存在する。そこで大きな要素となるのは、嫉妬感情の有無だ。


■ネットで叩かれやすい10項目(抜粋):

 ●上からものを言う、主張が見える

「○○すべし!」「××は許せない!」などと書くと、何を偉そうに!と反応される。(中略)

何かを主張してくる新聞の「社説」的なものはネットではウケない。問題提起や主張はしないほうが得策。

 ●頑張っている人をおちょくる、特定個人をバカにする

 週刊誌や夕刊紙では、スポーツ選手や芸能人を揶揄することが多いが、ネットではこれはやらないほうがいい。「そんなことを言うと失礼です!」となるか「良識を疑います」となる。

 ●誰かの手間をかけさせることをやる

「コンビニでアイスクリームをチンしてもらう」実験を行ったブログを紹介すると、「忙しいコンビニの店員さんに迷惑です。いい加減にしてください。こんな記事やめなさい」となる。

 ●強い調子のことばを使う

 同じ意味の言葉を言うにしても、強い調子のことばを使うと非難される。「ショボい」「パクる」「恫喝」などは強いことばのため、反感を買う。


■さんまやSMAPは、たぶんブログをやらない

たぶん真実としては、「これからもまだ伸びしろのある人はブログをやったほうが利点が多いが、完成された大御所はブログをやる必要がない」ということである。(中略)

 その理由は簡単で、「やる必要がないし、やるインセンティブがない」からである。


■ネットが自由な表現の場と考えられる人は、失うものがない人だけである


■ネットでウケる9つのネタ(抜粋):

 ●話題にしたい部分があるもの、突っ込みどころがあるもの

 ●身近であるもの(含む、B級感があるもの)

 ●テレビで一度紹介されているもの、テレビで人気があるもの、ヤフートピックスが選ぶもの

 ●芸能人関係のもの

 ●エロ

 これはあくまでも私がこの2年半、ほぼ毎日のようにネット用のニュース記事を編集し続けたうえで結論づけたものだが、これらの則れば確実に高いPVを稼ぎ出してくれる。

 
■王道は「テレビで見た→ネットで検索&書き込み」

ニュースサイトの編集者をしている関係で、私はよく「何をいちばんの情報源にしていますか?」と聞かれるが、そこで答えるのは「テレビ」だ。(中略)

 その一方で参考にしないのは雑誌だ。雑誌で何が流行ろうと、ネットに対して影響はない。


■ネットに向いている商品は、納豆、チロルチョコ、ガリガリ君

また店舗に関しては「マクドナルド」「ユニクロ」「モスバーガー」が御三家だ。いずれも、「高感度な人が好む」というよりは、「親しみやすい」「ふだんからよく目にする」商品や店舗が人気なのである。


■クチコミの発生原理は「おもしろいから書く」「突っ込みどころがあるから書く」「好きだから書く」

 ネットにはフェアな部分もあり、おもしろいものはおもしろいと書く人が必ず出てくる。そして、その人は勝手に広めてくれる。カネの力や強制によって書かせざるをえないほど突っ込みどころがない商品・サービスは、ネットでプロモーションをするのに向いていないのである。
 たとえば、「スッキリしながらもコクのあるビール」という商品の最大の特徴をメーカーが押しつけようとしても、それでは誰もクチコミはしない。「100枚に1枚だけラベルが違う」や「中川翔子がCMタレントになった」などであれば書いてくれる。


■「Web1.374」を身につける

ネットの書き込みを恐れている人間が、「これからはWeb2.0の時代ですなぁ、ガハハ」などと言うのは噴飯モノである。もし本気で「これからはWeb2.0の時代ですなぁ、ガハハ」と言いたいのであれば、その前にWeb1.374くらい身につけろ、と言いたい。
 Web1.374とは今ここで思いついた適当な数字でしかないが、「ネットの書き込みに対する耐性をつけ、スルー力を身につけるレベル」ということである。


■B級ネタでヤフートピックスの関連リンクを狙う

 ヤフートピックス担当者は、ヤフー読者(=一般的なネットユーザー)の多くがB級ネタを欲していることを知っている。そのため、彼らの嗜好に合っている関連リンクを選ぶことも、ユーザーへのサービスとなるのだ。
 企業も、その先にいるユーザーを見据え、ヤフートピックス担当者に良いネタを提供するつもりでB級ネットプロモーションを行うと良いだろう。そして、業界に先んじてB級ネタをやることによって、「アイツらわかってる」という評判をネットユーザーから獲得することができる。


【感想】

◆お気づきの方も多いと思うのですが、先週の今日、私が投稿したこの記事は、かなりのアクセスを集めました。

【人心掌握】有吉弘行の人心掌握術がスゴすぐる件はてなユーザーの評価


「集めました」と言いますか、厳密には「まだ集めている」最中(さすがに沈静化しつつありますが)。

通常であれば、いくつかのサイトで紹介されるにしても、投稿後数日で盛り上がりが終わるハズが、今回はたまたま「はてブホッテントリまとめサイト別のまとめサイト」という風に「延焼につぐ延焼」を起こしております。

この記事なぞは、典型的に上記「ネットでウケる9つのネタ」の1つである「芸能人関係」ネタ。

まぁ、それ以上に有吉弘行というトリックスターの言動がおもしろすぐるせいかもしれませんが。


◆一方注意しなくてはならないのが、やはりポイントで挙げた「ネットで叩かれやすい10項目」

これも、アクセスが少ないうちは、それほど神経質にならなくてもよいのですが、ある程度アクセスがあり、かつ反感を持つ人の逆鱗に触れてしまうとあら大変。

無記名のネガティブなコメントくらいならまだしも、2ちゃんに転記されたりしようものなら、あっつーまに炎上してしまいます。

その辺、ネガティブなコメントでも華麗にスルーするのが、上記にもある「Web1.374」(?)。

名称はさておき、こういう「スルーする能力」は長期間ネットをやるには、大事なのかもしれませんね。


◆また、本書で強調されているのは、未だに大きな「テレビの影響力」

「テレビ広告は終わった」と言った論調もよく目にしますが、実際にはそうではなく、テレビのネタをネットで再消費しているだけである、と。

実際、ネットで検索されるものも、テレビで話題になったものが多く、純然たるネットのみで話題を集めたケースは少ないとか。

つまり「テレビで放映」「ネットで検索」というパターンが本命中の本命

確かに、アマゾンの和書ランキングでも、テレビに登場したり、紹介された書籍はいきなり1位とかになりますもんね。


◆個人的には、第4章の「企業はネットに期待しすぎるな」ツボでした。

バズマーケティングを目的としたブロガーイベントにおける、企業参加ブロガーの意識の差。

そして「なぜネットでブランドを構築するのが難しい」のか・・・。

企業のネットPR担当の方や、ネットの広告会社の方は、この章は必見かもしれません。


◆そしてもちろん、本書を一番読まねばならないのは、このブログの読者で実際にブログをおやりになっている皆さんかと。

「タイトルの重要性」や、「おカネを取って書く文章の難しさ」あたりは、将来のアルファブロガーを目指す方なら、赤線引いて読んで頂きたいくらいです。

私も当然付箋貼りまくりでございました。

ウェブはバカと暇人のもの






ぶっちゃけすぎですが、かなり本質突いてますぜ!

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ウェブはバカと暇人のもの (光文社新書)


【関連記事】

【必読!】「新世紀メディア論-新聞・雑誌が死ぬ前に」小林弘人(2009年04月16日)

【blog】書評ブログを運営する上で頭においておきたい3つのこと(2008年05月29日)

【本】ネガティブ書評の5つのデメリット(私の場合)(2008年01月05日)

「アルファブロガー」 徳力基彦、渡辺聡、佐藤匡彦、上原 仁(2005年11月07日)

「ブログスフィア」ロバート・スコーブル(2006年08月08日)


【編集後記】

◆昨日のお買い物。

4/27発売となっていたので油断していたら、いつのまにか発売されていた、藤田さんの新刊。


「アソシエの連載をまとめたもの」ということで、読みやすそうです!


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

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この記事へのコメント
               
smoothさん、こんにちは。
これもブロガーには必見ですね。
この前の話し方本と一緒にアマゾンアタック!させて頂きました!
Posted by わんわん at 2009年04月25日 20:49
               
>わんわんさん

アマゾンアタックありがとうございます(涙)。
マジでこの本は、結構参考になりましたよ。
本選びもさることながら、やはりタイトルは大事だな、とか。
ぜひ活用してみてくださいマセ。

Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2009年04月26日 02:15