2009年04月20日
【速読】「だから速読できへんねん!」呉 真由美
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、なぜか最近立て続けに出版されているような気がする速読のご本。著者の呉さんも、速読のインストラクターです。
表紙でニッコリしながら金属バットを担いでらっしゃるのは、てっきり「教え方がスパルタ式」なのかと思っていましたがあにはからんや。
速読トレーニングをすると、バッティングセンターの150キロの速球を打つことができるんだとか(記事内に動画アリ)。
それは読まざるをえないでしょう(スポーツ的な意味でw)!
いつも応援ありがとうございます!
【目次】
第1章 なぜ速読で150キロバッティングができるのか
第2章 あなたが速読できない理由
第3章 脳を活性化する速読トレーニング
第4章 「あやしい」速読なんでも相談室
第5章 脳力開発のメソッド
第6章 速読マスターへの道
【ポイント】
■速読で150キロが打てる理屈理屈はこうです。
まず飛んでくるボールを見ると、目から視神経を伝わって脳に信号が行きます(1)。
これで脳はボールが来た、とわかります。次にそれを受けて、脳は「バットを振れ」という命令を手の筋肉に出します(2)。これも神経を通じて信号が行きます。そして実際に手の筋肉が動いてバットが動きます(3)。
速読をして脳が活性化している状態だと、この(1)と(2)のスピードが、普通の人と比較すると早いので、ボールにバットを当てることができるのです。
■速読できなかった大きな要因
●教材に書いてある言葉の意味や意図がわからなかった
●アドバイスをくれる人がいなかったたとえば「速く見てください」とテキストには書いてあるのですが、「見る」という言葉もいろんな場面で、いろんな使われ方をしています。環境や状況が違えば、同じ言葉でも受け取り方はさまざまです。
一人でトレーニングをしていても多少読書速度は上がりますが、すぐに停滞期に入ります。その停滞期に入ったときに、「次のステップに上がる」ためのトレーニングが必要なのですが、そのための各自にあったアドバイスは本ではしてくれません。
■速読とは「受け取り力」
広い視野でたくさんの情報を受け取って読んでいるときが「速読」できている状態で、視野が狭くなり本来はたくさん入ってきている情報でさえ十分に受け取ることができずに読んでいるのが従来の読書です。
■脳も使わなければ、脳力を発揮できなくなる
昔は自分の頭や脳を使って電話番号を覚えたり、漢字を書いたりしていましたが、今は自分の脳をちゃんと使っていないんです。
体を使わなければどんどん体力や筋力が落ちていくように、脳も使わなければ脳力を発揮できなくなってくるんです。(中略)
ということは、脳も準備運動したほうが最大のパフォーマンスを発揮できると思いませんか。その準備運動にあたるのが速読トレーニングなのです。
■読書とは総合的な知的活動
一口に読書と言っても、これを細かく見ると、次頁の図のように、見る、感じる、理解する、思考する、記憶する、ということが含まれています。たとえば「見る」速度以上に、「理解する」ことはできません。
読書を速くするには、これらのすべてのスピードをアップしなければなりません。
だから、速読をマスターするということは、多くの知的活動のスピードアップをマスターすることでもあるのです。
■本を読むのは目ではない
本を読むのは目ではありません。まず目から入ってきた情報が脳に送られて、その情報を脳が処理していっている状態(理解や思考、想像など)が「読んでいる」という状態です。
■速読で成績は良くなるか?
速読しただけでは勉強ができるようになるわけではないのですが、できる問題であれば同じ試験時間でより多くの問題を読んで解くことができることにより、テストの点数は上がります。
■速読で記憶力は上がるか?
「覚える」というのは、繰り返しを重ねることにより記憶として定着します。
その繰り返しにかかる時間を短縮することにより、忘れる前にさらに記憶の上書きをしていくので、トータルでは同じ時間で覚えられることは多くなります。また、短時間で繰り返せることにより、記憶効率も上がります。
■問題集を使った具体的な記憶法
例題で学習するとしましょう。問題集を2冊買ってきて、1冊は答えを書き込み、例題集にします。例題集を3〜5回繰り返し読んだあと、もう1冊の問題集を解いてみます。そして解けた問題と解けない問題に分類します。コツは1分間考えても解き方がわからないときはあきらめて、解けない問題に分類します。(続きは本書で)
■速読トレーニングによるいろいろな効果(ビジネス面)(抜粋):
●(今までと同じ量の)仕事が、今までの半分の時間でできるようになった。
●考えをまとめる時間が短くなった。
●仕事の能率もよくなったような気がする。
●予定がどんどん入ってきても、こなせる自分にビックリした。
【感想】
◆本書を読んで感じたのは、昨今の速読法のスタイルの中では、比較的正統派かな、ということ。図解が表現できないので割愛しましたが、本書の中にはエクササイズも含まれています。
「眼筋トレーニング」ですとか、「毛様体筋トレーニング」、さらには「両手で丸と三角を空間に書く」「目と脳のネットワーク強化」などなど。
実際に文章を読むトレーニングもありますが、どちらかというと、「目から入った情報に対する脳の処理能力を上げる」タイプが多いようです。
◆つまり、「本を速く読む」手法として、アプリケーションを追加するのではなく、マシンの処理速度を上げる感じ。
その結果、著者の呉さんのみならず、生徒さんでも「150キロの速球を打てる」ようになる、と。
ホントに150キロ出てるのかわかりませんが、バットにボールが当たっているのがスゴイです(しかも野球未経験者が)。
それにしても本書の第1章の小見出しにある「打てない気がしない150キロ」って、どこの野球選手ですかwww?
◆そこでこんな話も。
テラ不気味www野球やバスケットボールのチームで速読を導入しているところもあります。そこでは、試合前に頁をめくる練習をしています。ちょっと不思議な光景です。あるとき、偶然にも対戦するチーム同士に速読指導をしていたことがあり、両チームともウォーミングアップ時に速読トレーニングをしていることもありました。他のチームから見るとかなり異様な光景ですね(笑)。
異様というか、もはや「肉体」ではなく、その肉体を動かす「脳」の戦いになってきたような。
また、本書では出てきてないものの、例えばサッカーでも、視野が広いとプレーの選択肢が多くなるため、良いプレーができる、という話を聞いたことがあります。
そういえば、中田ヒデはそのタイプだったハズ。
◆この「視野を広くする」というのは、速読本には良く出てくるお話。
そして視野を広くするには、ある程度ぼんやり見ることも必要だったりします。
自分も確かに、一字ずつハッキリ見る、なんてことは絶対してませんし、読書とは本来そういうもの(ある程度まとめて見るもの)だと思っていました。
それが今、ムスメが本を読むのに、ちゃんと一字一字声を出して読んでいるのを見ると、「あー、自分も最初はこうだったんだ」と思い出したわけでして。
結局速く読むには、「どれだけ情報をまとめて処理できるか」、がカギなのかもしれません。
◆上記で言及したように、呉さんのスタイルは、「飛ばし読み」「スキミング」と言った、「考え方を変える」やり方ではなく、「スキル」というか「技術系」と言えると思います。
となると、本だけでその全てをマスターするのは難しいのではないか、と(フォトリー等もそうですが)。
それでも一通りの概要は理解できましたし、また4章(『「あやしい」速読なんでも相談室』)を丸々使って、速読に関する「よくある質問・疑問」に回答しているのは好印象でした。
心配な方は、ここだけでも立ち読みをw
「技術としての速読」をマスターしたい方へ!
【関連記事】
【速読】「本がどんどん読める本 記憶が脳に定着する速習法!」園 善博(2009年04月15日)【速読】「究極の速読法 リーディングハニー6つのステップ」松崎久純(2009年04月09日)
【試験仕様】「キャリアが高まる1日15分 速読勉強法」(2008年11月08日)
【オススメ速読本】「王様の速読術」斉藤英治(2008年06月29日)
【速読勉強】『「速読」で頭がよくなるすごい勉強法』若桜木 虔(2008年03月03日)
【編集後記】
◆私は見逃したのですが、昨夜のテレビ番組「エチカの鏡」に登場されたため、久保田 競先生のご本が、アマゾンで大フィーバー中です。昨日の深夜の時点で、100位以内に5冊もランクイン!
0~4才・脳が育つこの時期にやってあげられるのは親だけです。赤ちゃんの発達に合わせてちょうどいい時期にふさわしい刺激を!手、運動、感覚、社会性、知能…各分野の脳を、バランスよく鍛えます。早くできることより一つ一つ段階を追って基礎をしっかり身につけましょう。じょうずにできたら必ずほめてあげましょう。
脳は、0~4才ごろにもっともめざましく発達します。この大切な時期にふさわしい刺激を与えると、感覚・感性が磨かれ、脳が鍛えられます。理論とカリキュラム、実物大教材つき充実の1冊です。
いま最も信頼できる「脳を鍛える本」として話題をまいた、『バカはなおせる 脳を鍛(きた)える習慣、悪くする習慣』の絵でみてわかる版が、最新情報を追加して登場しました!!
図解だからこそよりわかりやすく、読みやすく、印象に残ります。
脳を効果的に発達させるノウハウ書籍の究極の決定版、ついに現わる!! あの川島隆太教授の師である脳機能の最高権威が、ついに語る!!! 世の中の脳の情報、脳の本のほとんどは信用できない! 『バカの壁』の養老孟司氏、TVなどで話題のゲーム脳/ネット脳、「脳を鍛える大人のDSトレーニング」の川島隆太氏など多彩な話題について、脳の働きの分野の最高権威がついにその真相を語る!
赤ちゃんの簡単な体操や手遊びなど、日常の動作による手と指のトレーニングを紹介した、画期的な育児書。
これだけ盛り上がっているということは、よほどインパクトのあるコンテンツだったんでしょうね。
うーん、番組を観てみたかった・・・。
ご声援ありがとうございました!
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エチカの鏡は興味深い内容でした。久保田さんのパワフルな喋りにもひきこまれました。
かなり放送日から時間がたってしまいましたが、メモを取りながら番組を見ていたので、簡単ですがレポします。
0歳児の育児法について、7つの習慣を紹介していました。
1.オムツを替える時は話しかける
→0歳児でも言葉を覚える脳機能が働いているので、早く言葉を覚える効果あり。
2.「いないいないばあ」は1度に5回以上行う
→前頭連合野を鍛える効果あり。あきるまでやる。
3.子供にカラフルな色の服を着せる
→色彩感覚を鍛える効果あり。
4.おんぶをよくする
→平衡感覚を鍛えて、運動神経がよくなる。
5.幼児語を使わない
→大人語を最初から教える事で、言葉を教える二度手間を省ける。幼児語→大人語の順で教えていく時間がもったいない。
6.箸や鉛筆は最初から正しいやり方を教える
→正しいフォームを最初から身につけることで、二度手間にならない。5と同じ理由です。
7.常にどちらが好きか聞く
→人生は常に選択の連続だから。
おまけとして、子供が歩くようになってからの育児法も2つ紹介されていました。
1.0の感覚を鍛える
→数学のセンスを鍛える。
2.子どもとの約束は守る
→大人でも約束を破れば罰を受けるし、その姿をきちんと見せる。
以上ですが、詳しくは久保田さんの著書を読まなければならないと思います。
smoothさんにとって、何か参考になれば幸いです。
コメント&レポありがとうございます!
残念ながら我が家にはもはやゼロ歳児はいないのですが、これから義兄姉夫婦にそれぞれ赤ちゃんが生まれるので、機会があれば、本を買ってプレゼントしたいと思いました!
なるほど、子どもにはカラフルな服着せた方がいいんですかー。
親がモノトーン好きでも、それはダメなんですね(汗)。
あと、後半の歩くようになってからの方は、ウチの子ども二人に当てはめてみます。
ムスメはどうも算数苦手みたいだけど、何とかなるかなぁ・・・?
長文のメモ、ありがとうございました!
カラフルな服装に関しては、細かい条件について久保田さんに直接聞いてみないと何とも言えませんよね。お子さんがどう感じるかどうかの問題になるとかと・・・
それと、久保田さんのお子さんは他の子供に比べて、言葉を覚えるスピードが格段に早かったことも紹介されていましたし、二男の方は東大に合格されているそうです。
番組のコメンテーターとして、茂木健一郎さんが出演されていましたが、「確かに、脳科学的には理に適っているとは思いますけど、それよりも久保田さんの子育てに強い関心を持っている事に注目してほしいし、久保田さんのやり方をそのまま真似るのではなく、「我が家の子育て七カ条」を作って、子育てへの関心を強める方が重要」という趣旨の事を発言していたと思います。
子育ては本当に奥深いですね。
子ども達の服については、ヨメの兄姉それぞれから、お古をもらっており、それらが普通にカラフルなので、今のところ問題はないようです(笑)。
むしろ、モノトーンの子供服の方が高そうですし。
それと、茂木さんの言われている「子育てに強い関心」というのは、なるほどですね。
昔の日本は、母親に子育ては任せっぱなしのお父さんが多かったですが、私もそうならないようにしなくては。
・・・って、残業&休出と偽ってブログやってる時点でアウトですが〜(涙)。