2009年04月18日
【人心掌握】有吉弘行の人心掌握術がスゴすぐる件
【はじめに】
◆昨日の記事の編集後記でご紹介した、「竜兵会―僕たちいわばサラリーマンです。出世術のすべてがここに」。一応、「竜兵会」のメンバーのインタビューで構成されているのですが、その中でも特に、元猿岩石の有吉弘行(以下記事内すべて敬称略で)のパートがすこぶる勉強になったので、取り上げてみたいと思います。
単なる「お笑い」というより、もはや「人心掌握術」と言ってもいいのではないか、と。
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【目次】
第1章 広報部長・土田晃之に学ぶナンバー2の美学
第2章 新入社員・インスタントジョンソン・すぎに学ぶ下っ端として生きる方法
第3章 リストラ候補・デンジャラス・ノッチに学ぶリストラされない方法
第4章 チンピラ社員・有吉弘行に学ぶ上司の転がし方
第5章 総務部長・デンジャラス・安田和博に学ぶ組織を冷静に見る方法
第6章 独立成功のヤリ手・劇団ひとりに学ぶ組織に頼らない“ひとり力”
第7章 庶務担当課長・ヤマザキモータースに学ぶ組織との上手な付き合い方
第8章 副社長・ダチョウ倶楽部・肥後克広に学ぶ“なんくるないさー”的処世術
第9章 社長・ダチョウ倶楽部・上島竜兵に学ぶ組織のトップに必要な本当の資質
【有吉弘行に学ぶ上司の転がし方】
■1.大勢でいるときと、二人きりのときで態度を変える◆有吉は上島竜兵に対しては、大先輩であるにもかかわらず、タメ口はおろか、「タクシー代をせびったり、出された金をひったくるように取ったりする」のだそう。
それなのに、上島は有吉が可愛くてしょうがないのだとか。
そこまでしておきながら、上島から可愛がられる秘訣は、「接する態度の違い」にあると、有吉はいいます。
竜さんが僕をどうしてかわいいかというと、実は僕、竜兵会のみんなでいるときと、竜さんと2人きりでいるときと、接し方が全然違うんですよ。みんなでいるときは、それこそ「チンピラ」とか「場あらし」的な傍若無人な振る舞いで、竜さんにも平気で「お前はつまんねーんだよ!」とかタメ口以上のツッコミしたりしますけど、竜さんと2人きりのときには、ひたすら竜さんのことを持ち上げるんです。それはもう
誰よりもヨイショしまくります。
本当に他の人が見たら「お前、そこまでやるか」ってぐらいに徹底的にこびへつらいます。
テラスゴスwww
しかもこの話が記載されている下の注の欄には、上島竜兵の証言があって、そこの見出しが「騙され続ける上島」www
■2.ディテールにこだわる
◆その「こびへつらう」にも芸が細かい!
高校時代、深夜番組でやっていた『怪傑!ダチョウ三銃士』を見て、上島のようなリアクション芸人になりたい、と思ってこの世界に入った、と言い、上島を喜ばせたものの、これも当然全部ウソ。
……この発言をしている時の嬉しそうな顔と言ったらww
◆ただし、普通にウソをつくだけではありません。
この場合注目すべきは、『怪傑!ダチョウ三銃士』という小ネタにあります。
・・・なるほど、そういう細部へのこだわりが効果があるんですね。相手を信じ込ませるには、ただ憧れていましたとか、「○○さんみたいになりたいと思ってたんです」だけじゃダメなんです。もう少し細かいディテールというか情報を入れ込まないと、相手もなかなか信用してくれないんですよ。
さらに、もう一つ手を加えているのですが、これ以上はネタバレ自重で。
とにかく、もはや有吉が何をしようと、上島は信じきっているのがスゴイです。
■3.相手によって手段を変える
◆さらに有吉は、竜兵会の陰のトップと言われる土田晃之には、別のアプローチ方法を。
これは、実社会でも役に立ちそうなテクでは?土田さんにはぼくのこびへつらいヨイショ作戦は効かないので、別の方法をとるしかない。となると、土田さんの場合は真っ向から「技術論」で気に入ってもらうしかないんです。芸人としてのお笑いの技術論みたいなもので、「へえ、こいつもなかなかやるじゃん」的に気に入ってもらえないと、土田さんみたいに技術のある人(つまり仕事のできる人)には通用しません。下手に人情話をしてヨイショなんかすれば、逆効果になったりすることもあるし。
私の記憶でも、キレ者と言われるような人ほど、ベタベタのお世辞は嫌っていたような気がします。
そこで逆に「認めてもらえる」部分を見せるのがポイントのよう。
◆それでは、ダチョウ倶楽部のリーダーでもある、肥後克広に対するアプローチ法は?
これは実際にはやってないわけなんですけど、有吉は肥後の目の前で別の破天荒スグルことをやってのけます。あの人は、頭がイっちゃってるみたいな人が好きなんですよ。江頭さんとか、タコ八郎さんみたいな。もともとストリップ劇場のコントで育っている人なんで、そういう破天荒な人が好きなんですね。それがわかったんで、後は簡単、「僕、破天荒ですよ」ってところを見せてあげればいい。
「昨日、銭湯のぞき見してたら捕まっちゃいました」「お前、凄いな!もっと聞かせろ、聞かせろ」とか、破天荒な芸人がやりそうだなと思うことを、教科書どおり、それをやりましたって言うと、「凄いな、お前!」ってなる。
ただこれも本の中ではドデカいフォントで書かれていたので、自重www
◆また、上島と肥後は有吉を奪い合ったことがあるらしく、「いくら払えば水揚げできるんだ?」と言われたとか(芸者かYO!)。
実際、欄外の肥後の発言によると有吉に「お前、養子にならないか?」とまで言ったことがあるそう。
恐るべき人心掌握力!
■4.悪口と陰口は違う
◆そんな言いたい放題の有吉でも、一つ徹底しているのが、「当人のいないところでは罵倒しない」ということ。
欄外で指摘されてるんですが、「当人の前ではニコニコ」「当人がいないと罵倒」しまくる上島は、真逆ですねw竜さんがいないときに、竜さんの悪口は言わない。それだけは絶対に守ります。その人がいない席で、その人の悪口を言うのは、それは"陰口"になるんで。絶対にやっちゃいけない。人間、陰口を言われているのを知ったら本気で嫌な気分になる。だから徹底して言わない。
でも、この本では有吉は上島のこと散々言いまくっているような・・・って、公の場というか書籍だからいいのか?
◆ただ、有吉も上島の凄いところは認めているという。
とか言いつつ、その後の部分で、「頼りになるのは、リアクション系の番組だけ」とバッサリ切ってますがwみんな困るのは「オチどうする?」ってところなんですよ。その一番重要なところを、竜さんに丸投げしちゃえば、なんとかしてくれるから。スベったらスベったで、僕らはそれに対して「おもしろくないだろ!」って言えば、スベったことにはならないし、おもしろかったらおもしろかったで、「おもしろいじゃねーか」って偉そうに言えばいいし。そういう意味では使い勝手がいい。
うちの上島は、芸能界でもトップクラスで"オチをまかせられる人"なんで、それは本当に凄いことなんですよ。どこに出しても恥ずかしくない。
■5.やりっぱなし、言いっぱなしはダメ
◆他にも有吉の意外な(?)一面だと思ったのが、竜兵会のみんなを個別にフォローしているところ。
サシで飲んで相手に「有吉はホントはイイ奴だ」と思わせておく、というのもありますが、日頃からみんなのブログをチェックしているのだとか。
そういうきめ細かいフォローがあればこその、傍若無人ぶりなんだな、と。すぎなんてブログ見てると、「これちょっとヤバいな!悩んでるな」とかすぐわかるんですよ。「こいつ、ストレス溜まってるな」みたいなことがあると、すぐに電話入れたりしますし。みんなのブログを読んで何かあるな、「あれ、いつもと違うな」とか「これヘコんでるな」っていうのを見つけると、すぐフォロー。それは細々とやってますね。
アメとムチじゃないですが、中間管理職の方は、取り入れてみてはいかがでしょうか?
・・・ってブログじゃなくて、リアルで観察してですけどねw
【感想】
◆いやー、他にも爆笑モノのエピソードが満載なのですが、この辺で。紹介してない中にも戦略的なヨイショ法が数々あるのですが、単に持ち上げるだけではなくて、キチンと考えた上でその方法を取っているのが凄いな、と。
また、上記のブログの話や上島&肥後両氏に取り入った話も、いずれも「観察力」のなせる技であることが、本書を読むとよくわかります。
これって、恋愛にも応用できそうな(本書では色気のある話は一切出てきませんが)。
◆そもそも、本書を買うに至ったのは、はてブ界隈でも話題になった、いくつかの有吉ネタがあったから。
有吉弘行はNHKでも毒を吐く:てれびのスキマ
⇒NHKのネイルアートの初心者向け趣味・実用講座で柳原可奈子をいじりまくり
有吉弘行が見たギリギリの芸能界:はてなでテレビの土踏まず
⇒アリエナイくらいきわどい質問に答えまくり
有吉弘行のブレイク論:てれびのスキマ
⇒「ブレイクするっていうのはバカに見つかるってことなんですよ」という名言を吐く
有吉弘行がダウンタウンら先輩芸人へ悪口三昧:はてなでテレビの土踏まず
⇒TBS系「リンカーン」レギュラーを罵倒しまくり
これらが全て、ここ1〜2ヶ月での出来事、というのがスゴイな、と。
◆そこで発売されたのが本書なわけですよ。
その辺の期待に十分応えてくれたと個人的には思ってます。
何せ、夜中にこの本読んでてこらえきれずに爆笑してたら、ヨメが何が起こったかとわざわざ見に来たというくらい。
◆なお、本書の他の芸人さんのパートで、面白いかどうかというよりも、学ぶところがあると言う意味では、やはり土田晃之と劇団ひとりですかね?
特に土田の「出る番組によってポジションを変える」という話(役割的な意味で)は秀逸。
さすがヒナ壇の神と言われるだけのことはあります(マジで)。
ホントはそれも書きたかったのですが、有吉ネタだけで一杯になってしまった・・・。
◆また、付録のDVDは上記のキャプチャー画像のように「テロップ入り」で長さも80分あります。
内容は、基本は本書のネタとなったインタビューのようなのですが、土田に至っては、携帯電話でメモった上島&肥後のエピソードの紹介だけ(それも本書未収録ネタが多々!)で終わってる・・・ってどんだけの量メモってるんだ、っていうw
一方上島は、構成を考えないで喋っているので収拾がつかなくなっていたりw
ツッコム意味でのテロップもいい感じで入っていて、とにかく笑えました。
これで税込み1470円ならお買い得では?
【関連商品】
◆同じお笑い系で勉強になったのが、こちらのDVD(当ブログの常連さんにはお馴染みですが、一応)。見所は、この中に収録されている2007年3月の「特別限定授業」。
その後、紳助が実際にいくつものプロデュースや企画を成功させていることを踏まえて観ると、より一層凄さが際立つかと。
参考記事:【紳助のヒミツ】「紳竜の研究」はスゴかった(2008年03月14日)
【編集後記】
◆アマゾンで総合1位という快挙を成し遂げたこの本。当ブログでも発売前に勉強本のまとめ記事で触れただけなのに、実は結構お買い上げ頂いておりました。
干場社長の記事でも、初速の勢いが10万部超作品のペースだとか。
こ、これは大ヒット確定か?
ご声援ありがとうございました!
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それにしても、軽口、下手にたたけませんね。いえ、10万部、行くとは思いますが…たぶん…よ、よろしくお願いします!
えー、何か知らぬ間に「はてブフィーバー」状態になってしまいました。
そちらにも興味のある方がお邪魔していると思いますので、ディスカヴァーさんのご本でもお買い上げ頂けたら幸いだな、と。
そして「マインドマップ資格勉強法」も10万部いきましょう!
・・・スイマセン、まだ読んでないのですが(汗)。
またすごい本を発掘してきましたね(・_・;
芸能人の方は人脈で食べてる面もあるので、
コミュニケーションに一家言ある人がおおいでしょうね。
紹介記事を読んで、この本が欲しくなりました。
※マキャベリ「君主論」、「韓非子」と重量級の本を買ったので、
新刊書の購入は封印モードです(−−;
そうそう。
「Yes,Bossのすすめ!」買いました。
会社で悩んでたので、すごく役に立ちそうです。
上司からのフィードバックのもらい方は、
早速月曜から使ってみます。
封印しないで、ぜひお買い求め下さい(笑)。
てか、この記事に書いてない部分も結構スゴかったりするんで。
「Yes,Bossのすすめ!」、いいでしょう(笑)。
新人のうちにあの本が読めるのはラッキーだと思いますよ。
タイトルつけ直してキチンと宣伝打てば、そこそこヒットしそうな気がしますが・・・って、私は関係者じゃないですけどね(笑)。
爆笑&はてぶ即させていただきました^^
早速発注www
レス漏れ失礼しました!
お楽しみ頂き感謝です。
今後ともよろしくお願いします。
>トーニャハーディングさん
お買い上げありがとうございます(涙)。
私自身、この本は買ってよかったとマジで思いました。
お楽しみいただければ幸いです。
今後ともよろしくお願いします。
全部分かった上で、それでも有吉を見守れるのは、「竜ちゃんの器の大きさ」ゆえかもしれませんね。
そんなに興味なかったのに
ほしくなっちゃいました
見所が奇才すぎますね笑
こんばんは、はじめまして。
コメントありがとうございます。
ホントは笑いがお好きな方だったら、全般的に楽しめる本だと思うんですが、一応ビジネス書ブログなので、有吉氏にしぼってみました。
DVDも付いてますし、お買い得だと思います。
それとそちらにお邪魔したんですけど、息子さん、かわいいですね〜(笑)。
ウチのムスコにもそういう時代があったような(遠い目)。
両親に似ず、やたらビッグな赤ちゃんだったので、ふにゃふにゃしてた期間は一瞬でしたね(笑)。
それとフライヤー拝見して、かつてはこういうのに埋もれるような(笑)生活送っていたことを思い出しました。
今後ともよろしくお願いします。
コメントありがとうございます。
何やら有吉氏は、完全にブレイクしちゃいましたね〜。
今に冠番組とか持ちそうです。