2009年04月17日
【買い手志向】「感性で読むマーケティングのアイデア 買いたい心書」志村ゆう
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、結構昔の本。いつの間にか中古しかなくなっている上に、中古の割りに値段もそれなりにするのですが、内容的には読むべきところが多々ありました。
アマゾンの内容紹介から。
「買う側からの視点が欠けてるかも」とあせった方は要チェックで!マーケティングは「どうしたら売れるのか」という売る側の発想よりも、「買いたい」という買う側の気持ちが大切である。この消費者心理を、バレンタインデーの『義理チョコ』の名付け親である著者が、駄洒落やイラストと共に楽しく解説した異色のマーケティング入門書。

【目次】
第1章 いちばん大切な人に、買いたい気持ちにさせています。
第2章 あなたが心から感じると、心ブランドになっている。
第3章 感性に感じたら感動しているそのときだよ。
第4章 心に感じると心が届き、感性品になっている。
第5章 心をつかみ繁盛する商売の心得理解したらいい。
第6章 売りたい気分より買いたい気分にさせる秘訣。
第7章 縁を感じると縁ができて縁いっぱいになるよ。
【ポイント】
■買望学(かいぼうがく)十ヵ条(抜粋):1.なぜ売れないかを考えるより、なぜ買いたくないのかを考えたら。
2.なぜ買わないのか。その理由は買いたくないから。
4.お客様は安いことより、満足することにお金を出すよ。
5.商品を作った人に聞かないで、買う人に聞いたら。
■インターネットの世界は、どこにいても情報が伝わる
例えば、青森の青荷温泉では、ランプが唯一の照明手段です。「ランプの宿」として、情報発信した人がいます。そこに、普通の温泉に飽きた人や、秘湯を求める人たちが感じたのでしょう。情報が心にひらめけば、ランプの明かりでも、遠くまで届くのです。
■買いたくなる理由を相手にわかりやすく伝える
例えば、「私はそれを必要と感じていない。なぜあなたから買わなければいけないの?」と聞かれたら、何と答えますか。売りたい理由をいくら伝えても、相手は関心がありませんし、買ってくれません。
■お客様をワクワクさせない3つの大罪(抜粋):
●商品や商売の必要性を感じていないとき
●価値づくり、おまけづくりの役割が具体的に出せないとき
■感動名刺の出し方、受け取り方のマナー(抜粋):
●背筋を伸ばして軽く一礼、もたつかないから
●相手の名刺は両手で受け取り、こっそり見ずに堂々と
●挨拶の言葉を、ハッキリと伝えてみよう
●会うたびに情報発信する、感動名刺を出してみよう
■現代のギフトマーケティングにおいては「冠婚葬祭」ならぬ「感混創催」
「感」・・・感謝されたり、感激されたりするからね。
「混」・・・男と女、大人と子どもの境目がないミックスだよ。
「創」・・・新しい組み合わせを感じ、自分で創ってみたら。
「催」・・・それを使って、贈り物や、記念日にしたら。
■答えより応える
あるホテルでの出来事です。タバコの自動販売機に、500円玉が入りませんでした。ボーイさんに「500円玉は使えないのですか」と聞いたところ、「申し訳ありません。偽造硬貨が出回っているため、使用できなくて」と答えました。
これは、問いに対する答えにはなっていますが、タバコを吸いたいと思っているお客様の求めには、応えていないのです。少なくとも、「両替してまいりましょうか」とか、「私が買ってまいりますから」という期待に対する「応え」がほしいのです。
■カタログよりカタロウ
物中心の「カタログ」ではありません。だれかが語る「カタロウ」じゃないと、買う気にさせてくれません。テレビやラジオのショッピング番組では、特定のパーソナリティや信頼できる司会者が情報を伝えてくれるので、買う気になってきます。
物があると「物語」になるように、買いたくなるのはドラマがあってその情報を人に話したくなるからです。昔から物にはココロやコトがついているのですから、シーンを語ればいいのです。
■値引きより気を引く
サービスしておくからと言われて、値引きを思う人は、「値引きより気を引く」の意味に気づかないでしょう。まして、販売する人が売上をつくろうとテクニックで対応したならば、お客様は確実に見破ります。自分だったら、どうしたら得した気持ちになれるか。あなただけのために特別なものを用意させていただきましたというような、真剣に取り組むところに心が満足しますから。
【感想】
◆本書は全てのテーマが見開き2ページで完結。しかも左半分のページは大きめのイラスト(装丁と同じ某ゆきのさん)と、手書き文字の色紙風まとめ(?)が占有。
それゆえ読むだけなら、多分あっつーまに終わっちゃいます。
そもそもページ数も135ページですし。
◆ただし書かれていることはメチャDeep。
わたくしごとで恐縮ですが、最近自分なりにアマゾンの個別ページや、アマゾンキャンペーンの特設ページを見てきて思うのは、「送り手側からは、受けての側は見えにくい」ということ。
著者さんにとっては、出版という行為自体が、一部の量産作家さんを除いてそんなに頻繁に行われるものでもないですし、ある意味しょうがないです。
ただ、逆に「ならば頻繁に行われる出版社さんはどうなのよ?」という話でもあるわけで。
・・・いえ、どこの出版社さんがどう、というわけではないですが。
◆もっとも、出版業界という業界自体が、今までは「良いコンテンツを作る」ことに全力投球してきたわけですし、売ることに関して長けていなくとも、別におかしくはありません。
第一、ネットに占める売上割合がまだそれほど大きくないわけですし。
ただ、今はさておき、今後は徐々にネットへシフトする可能性は高いと思いますし、本書で言われているようなユーザー視点を持つことも大事ではないか、と。
その上で、本書を読むと、また味わい深いものになると思われ。
◆個人的には、「何となく買わなかった」という場合、一見買わない理由は特になさそうですが、顕在意識はさておき、潜在意識のレベルでは、「何かがある」と思ってます。
それを探し出して、丹念に潰す作業を行う事が大事なのではないでしょうか。
例えば、アマゾンで言うなら、各商品ごとの個別ページは、あらゆるブログやサイト、メルマガから送り込まれたアクセスが到達する最終地点です。
そう考えると、たどり着いた読者さんに、満足してもらえるようなサイト作り(デザイン等はデフォルトなんでしょうがないですが)をすることの大切さがわかって頂けると思います。
もちろん、リアルでも同じことなんですが、ネットの場合、レバレッジが恐ろしくかかるので、逆に不手際があると総崩れにもなりかねませんし。
◆私自身も、この本を読み直して、また気づきというか、新たな発見がありました。
多分、数年後に読み返してみたら、また違ったところに付箋貼ってそうですが。
ポイントでも一部挙がっているような「ダジャレ」というか「言葉遊び」みたいなのが好きな人なら、そのままセミナーのアンチョコにできそう。
既にマーケットプレイスでしか手に入らないので、必要と思われる方のみ早い者勝ちで。
【関連書籍&記事】
◆本書に関連した、買い手目線のスゴ本をいくつか。◆リアル店舗をやっている方ならマスト。
なぜかマーケットプレイスで安値放出中。
参考記事:【スゴ本!】「なぜこの店で買ってしまうのか―ショッピングの科学」パコ・アンダーヒル(2007年10月09日)
◆これはホームページをお持ちの方なら必携。
あまり知られてませんが、非常に効果的なテクが紹介されています。
参考記事:【4つのパーツ】「お客のすごい集め方」阪尾圭司(2007年07月13日)
◆こちらは、サイトの見やすさを追求した内容。
私はこの本でアマゾンの強さが理解できました。
参考記事:「ウェブユーザビリティの法則」スティーブ・クルーグ(2007年03月19日)
【編集後記】
◆鼻の利く方は既にチェック済みかもしれませんが。何と言うか、有吉スゴイです、マジで。
最初に有吉のところから読み始めて、びっくらこいてDVDでさらに有吉のパートを見て驚愕しております。
ヤバすぐる!

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