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2009年03月26日

【仕事OS】『「ビジネス基礎力」養成講座』藤田 聰




【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、真っ当な仕事本。

著者の藤田さんは、『組織人事コンサルタントとして、ビジネスパーソンの仕事能力を測る「市場価値測定テスト」を開発し、30万人にのぼる人たちの仕事力(=年収)を測ってきた』というお方。

そのテストの結果によると、どうも近年の若者たちは、仕事をする上での「必須の基礎的能力」、つまり「ビジネス基礎力」が落ちているのだとか。

本書にはそのテストも収録されており、年収レベルでの推定市場価値が算出可能。

・・・果たしてアナタの推定年収は?


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【目次】

第1章 なぜ、若者の仕事力崩壊が起こっているのか

 データが示す若者の仕事力崩壊の現実
 拡大する能力格差
 できる人とできない人を分ける2つの能力 ほか

第2章 あなたの「ビジネス基礎力」はどれくらい?

 成果は心・技・体から創られる
 能力の2重構造――OSとアプリケーション
 4種類の人材 ほか

第3章 「ビジネス基礎力」を伸ばす

 1 ビジネス基礎力養成プログラム
  大学での成功事例―立教大学経済学部藤田ゼミナール

 2 ビジネス基礎力養成プログラム
  企業での成功例―毎日コムネットリーダー職向けプログラム

第4章 あなたの可能性を引き出すキャリア・マネジメントの方法

 「キャリア」とは何か 
 キャリア開発のための4つのステップ
 「経済価値」だけではない「統合的価値」を身につけよ

第5章 必ず目標を実現するモチベーション・マネジメントの方法

 1 モチベーションを維持する方法
 
2 行動習慣は能力である

 3 コーチやメンターを活用する

第6章 本当の能力開発とは何か

 日本の大学教育の問題点
 国民の能力を伸ばすフィンランドの方法
 企業の人事教育はどうあるべきか? ほか

付録 キャリアマネジメント ワークシート


【ポイント】

■自発的に学ぶ意識が能力につながる

 実際に年収400万円以下のビジネスパーソンと、年収800万円以上のビジネスパーソンの自己啓発にかける費用を比較してみると(月刊ビッグ・トゥモロウ07年10月号)、1ヵ月に5001円以上使う割合は、年収400万円以下の人で14%、年収800万円以上の人で36%と倍以上の開きがあります。この結果だけでも、受身で学ぶ知識は身につきにくく、自発的に学ぶ意識が能力につながるということは、年収の違いから実証することができます。


■漠然と与えられた仕事をこなしているだけでは、自身の市場価値は高まらない

 私はこれまで簡易版テストを含め、30万人以上のビジネスパーソンの推定年収を能力的側面より測定してきましたが、社外に出た場合の年収が現在よりも上がるという方は、2割程度しかいませんでした。残りの8割の人は、現状維持か、大幅に下がってしまうというのが現実です。


■自立の3要素、バリュー、ビジョン、ストラテジー

 ●バリュー 

 ⇒あなたが人生や仕事における理念や価値観をどれほどはっきりと持っているのか

 ●ビジョン

 ⇒バリューを基にした、「将来のありたい姿」を指しており、それを具体的なイメージにまで落とし込んだもの

 ●ストラテジー

 ⇒自身の目標に達するまでの道筋、アクションプランを指しており、実現するまでの計画をどれほどしっかりと練っているのかを表わしている


■どこの企業に行っても求められる、ビジネスパーソンの基本6スキル(抜粋):

 ●情報収集能力

 ●プレゼンテーション能力

 ●タイムマネジメント能力

 (詳細は本書を)


■若手ビジネスパーソンにお薦めの44冊(抜粋):

・戦略/マーケティング

戦略サファリ―戦略マネジメント・ガイドブック (Best solution)
東洋経済新報社
Henry Mintzberg(原著)Joseph Lampel(原著)Bruce Ahlstrand(原著)斎藤 嘉則(翻訳)奥沢 朋美(翻訳)木村 充(翻訳)山口 あけも(翻訳)
発売日:1999-10
おすすめ度:4.5

・リーダーシップ/組織論

ドラッカー名著集1 経営者の条件
ダイヤモンド社
発売日:2006-11-10
おすすめ度:5.0

・能力開発/仕事術

企業内人材育成入門
ダイヤモンド社
発売日:2006-10-20
おすすめ度:4.5

・時代性、先見性

フリーエージェント社会の到来―「雇われない生き方」は何を変えるか
ダイヤモンド社
Daniel H. Pink(原著)池村 千秋(翻訳)
発売日:2002-04
おすすめ度:4.5


■能力とは行動習慣そのもの

アクションを起こし習慣づけていくことそれ自体が、もはやその人の能力となっていること。この点を理解した上で、能力開発のための行動習慣を形成していくことが大切です。(中略)

 先伸ばしにしたり、細かなテクニック論に右往左往するのではなく、まずは習慣づける力=習慣力を発揮して、実際に自身のアクションにまで落とし込みましょう。


■バリュー(価値観)を明確化する

 現在のバリューというものは過去の延長から成り立っています。そのため、バリューを明確化する際には、過去から現在までの棚卸しをすることが非常に大切になります。

<価値観チェックシート記入例>

価値観チェックシート







■「経済的価値」だけではない「統合的人間価値」を身につけよ

 これまでキャリアを考える際には、どのような職に就いて、どれほどの給与を得るのかという、経済的価値にばかり目が向きがちでした。
 しかし人生の価値や幸福感は、仕事とお金だけで計れるものではありません。
 私は今後、次の言葉がキーワードとして重要視されるようになると考えています。それは「統合的人間価値」です。
「統合的人間価値」とは、経済的価値、社会的価値、文化的価値の3つの要素を兼ね備えた人間の価値を指します。「人間力」などとも言い換えられるでしょう。

 (詳細は本書を) 


■モチベーションを上げる方法(抜粋):

 ●目標・目的を明確化する

 目標と目的を明確化することには、
1)成功イメージ・到達点が具体的なため、その達成に向けての戦略も具体化される
2)戦略実行のプロセスで、自己評価しやすい(進捗状況管理・成長実感を得やすい)
という効果があります。

●成功実感を得る仕組み作り

 また、自分が目標に向かって成長していると実感できることがモチベーションを上げる上では大切です。実感とは、自分が目標に近づけているのか?目標からぶれていないか?など、自分が確実にゴールに向かって進んでいるかを感じることです。実感を得るためには、
1)目標を細分化すること
2)進捗状況を目に見えるようにすること
の2点が大切です。


■デキる人の6つの行動習慣(抜粋):
 
 ●スピード重視・7割主義

 私の経験上、仕事のできる人ほど仕事のスピードが速くて的確で、早めに仕事に手をつけて締め切り目前には終わらせてしまう先行逃げ切り型の人が多いと感じています。

●手帳を活用して優先順位をつける

 まず手帳のどこでもよいので、目に留まる場所に自分の夢や目標を期限つきで、具体化、数量化して書き込みます。そしてその目標を達成するためには「いつまでに、何を、どのように、どうやって」など5W1Hをはっきりさせた小目標を逆算して1年間、1ヵ月の行動予定に落とし込んでいきます。

●真似をする

 自分が成長するための近道として、常に自分のなりたい像に近い社員、第4章でも説明したロールモデルとなる社員、仕事のできる社員の仕事の進め方や勘どころを真似することは非常に効果的です。


【感想】

◆冒頭で煽った(?)ように、本書のキモは、やはり「市場価値測定テスト」になるんでしょうかね?

第2章は丸々そのテストの解説に当てられており、全部のテストを終えると、実際の推定市場価値(年収)が算出されます(下の画像の右下)。

市場価値測定テスト






・・・何か係数が11個くらいあるんですが、かける数自体は表から選ぶ事になるので、とんでもない金額とかにはならない模様。

また同時にその結果は、上の画像の左ページのような13項目からなるレーダーグラフで表され、バランスも見ることができます。


◆一方、このテストの評価対象項目を改善すること自体が、「ビジネス基礎力」を上げることに他なりません。

それぞれの項目だけでも、深く掘り下げたらかなりのボリュームになってしまうので、本書でも具体的な改善メニューまでには至っていませんが、これは致し方ないところ。

例えば、項目の1つに「プレゼンテーション能力」とかあるのですが、こんなのそれだけで本1冊になってしまいますし。


◆そういう意味では、本書の好ましい使い方というのは、やはり実際にテストをやってみて、自分の弱点を知り、それを強化することではないか、と。

私の場合、本に書き込みができないので、やるとなったらテストの全ページをコピーした上で、時間を作ってやらないと難しそうです。

・・・サーセン、今回はちょっとムリですた


◆また、本書の第3章にあるように、著者の藤田先生は、ご自身のゼミで、この「ビジネス基礎力」を上げるプログラムを、ゼミ生さんたちに実施されています。

本書では、細かいところまでは説明されていないものの、ゼミのそれぞれの年間活動が、「どのようなビジネス基礎力改善に影響しているか」の表を収録。

さらには独自の「藤田式企業選定ワークシート」なるものもあり、この辺も学生さんには参考になりそうです。


◆もちろん、現在ビジネスパーソンとして働いている方でも、ご自身の客観的現状を把握し、今後の自己啓発活動に活かせそうなコンテンツが満載。

特に「モチベーションを上げる方法」の辺りは、キチンと落とし込みがなされています。

もっとも、しつこいようですが、まずは「自分の現状を認識する」のが一番大事なんじゃないでしょうか?

ちなみに藤田さんは、97年に自主廃業した山一證券の社員再就職を支援すべく、山一社員の市場価値の査定を行ったところ、適正年収は平均して30%ダウンだったそう。

・・・アナタもテストやってみます?


「ストレングスファインダー」の次は、コレかも!?



【関連記事】

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【キャリア形成】「キャリアをつくる9つの習慣」高橋俊介(2008年07月28日)

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【編集後記】

昨日の記事で、あえて伏せた押切もえさんの推薦書籍ですが、勝間さんご自身によってアナウンスされておりました!

3月31日号のSPA!には、成功者が薦める「ビジネス教養本」48冊ガイドという特集があります。

この中で、小飼弾さんに「断る力」を、押切もえさんに「起きていることはすべて正しい」を推薦をいただきました。

というか、勝間さんが『SPA!』を読んでいるところが想像できないんですがーw


参考記事:【勝間式自己啓発本】「起きていることはすべて正しい」勝間和代(2008年11月29日)


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