2009年03月14日
【超「仕組み」】『小飼弾の「仕組み」進化論』
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、待望の小飼 弾さんの最新刊。昨日都内某店にていち早くゲットしますた!
タイトルに「仕組み」とはありますが、世間に溢れる「仕組み本」とはひと味違った切り口。
「なるほど、そう来ましたか!」
いつも応援ありがとうございます!
【目次】
Part0 仕組み作りが仕事になる
●仕組み化が進んだ社会
・高度に進化した仕組みがあなたのクビを絞める!
●仕組みづくりを仕事にするための「新20%ルール」
・生き残るために必要なのは“本当の”20%ルール
Part1 仕組みの仕組み 仕組みを作る前に知っておきたいこと
●仕組みはどんなふうにできているのか
・あらゆる仕組みは、「テコ」と「奴隷」でできている
・見えないテコ=公式が仕事を効率化する
●身近にある「テコ」と「奴隷」を使った仕組み
・ディズニーランドのサービスの秘密は、マニュアル=テコにある
・テコの力をコントロールできるFXの仕組み
Part2 仕組みを作り直す 目の前の仕事を20%の力でこなす仕組み
●プログラマーに学ぶ「仕組み作り」の基本
●プログラマーの三大美徳「怠慢」「短気」「傲慢」
・同じ作業の重複を嫌がる「怠慢」
・先回りして仕組みを作る「短気」
・プロ意識から仕組みのメンテナンスを容易にする「傲慢」
●日常業務を仕組み化してみよう
・仕事を定量化する
・事例1 無駄な繰り返しを減らす仕組みを考える
・事例2 すべての記録を保存して再利用
Part3 仕組みを使う 仕組みのコストとテストを考える
●仕組みは使ってなんぼ
・何回使えば元がとれるか
・残りの80%で遊ばなければならない理由
●「使わないでなんぼ」な仕組み
Part4 仕組みを合わせる チームで仕組み合うために
●仕組みを合わせる基本ルール
・仕組みの中のボトルネックを見つける
・生き残るためには安全性の高い並列的な仕組みに
●上手に仕組みを合わせる
・次の工程を見せて自分の役割を理解させる
・仕組みの位相・タイミングを合わせる
・泥縄的なマニュアル=最新のマニュアル
●安全に“仕組み合う”ための仕組み
・非常時に力を発揮するために「緊張しなくてよい」状況を示す
・保守担当者には、金銭的なモチベーションも必要
・意識させずに安全性を高める「自動化」と「自働化」
・リーダーの笑顔は義務である
・問題は自分よりふたつ上のレイヤーで考える
・コミュニケーションコストを減らす「モックアップ」
Part5 仕組みと生物 「新しい仕組み」を作るヒント
●生き残りの名人「生物」という仕組みに学ぶ
・どうやって生き残るかを考えるときが来た
・生き残るコツは、「生物」にあり
・突然変異を誘発するブレインストーミング
●生き残るための仕組みを作る
・レッド・オーシャンの隙間のブルー・オーシャンを狙え
・隙間を見つけるには、「遠くを見過ぎない」こと
・仕掛品をたくさん作り、最後の1ピースを待つ
Part6 仕組みの未来
●「リソース重視」の仕組み作りが格差をなくす
・持てる者と持たざる者のギャップ
●新しい仕組み作りへリソースを投じよう
・あなたは本当に働いているのか
・怠け者のアリが社会を豊かにする
・“ending concern”やオープンソース
【ポイント】
■今後やるべきことは、"新しい仕組み"を作ること従来の仕組みは崩壊し、自分の仕事は、いつ機械に置き換えられてしまうかわかりません。だからこそ、自分が今利用している仕組みがなくなったときのことを考えておかなければならないのです。(中略)
新しい仕組みとは、今までになかったビジネスや商品、従来とは異なる組織の仕組みなど、あらゆるものを含みます。こうした仕事は、機械に取って代わられることはありません。仕組みを作ることこそ、今後あなたがやるべき仕事なのです。
■最も効果的なのは、"本当の"20%ルール
グーグルは、「20%ルール」を従業員に課していると言われます。これは、勤務時間のうち20%を自分の好きなプロジェクトに費やせ、というものです。
このグーグルの20%ルールは先進的な取り組みのように思われていますが、これではまったく不十分だと私は考えています。
("本当の"20%ルールの詳細についてはネタバレ自重します)
■あらゆる仕組みは「テコ」と「奴隷」(「他力」)でできている
ここで言う奴隷とは自分以外の力を他から借りてくること、すなわち「他力」と言い換えてもよいでしょう。そして、奴隷は自分で考えたり、自律して動けるという特徴を持っています。
これに対して、テコは自分の力を別の形に変換する道具を指します。(中略)
もっと高度な仕組みを作るなら、奴隷にテコを使わせることもできます。複数の奴隷にテコを使わせれば、あなたひとりで岩をどけるより、はるかに多くの仕事をこなせることになります。
■プログラマーの三大美徳を仕事に応用すると?
●「怠慢」=繰り返しの仕事を「仕組み化」する
●「短気」=今後起こり得る問題を想定して仕事をする繰り返しを仕組み化するうえで最も一般的なのは、パソコンで作った文書やフォーマットの再利用でしょう。(中略)
そのとき必要なのは、あとで必要になったときにすぐに取り出せるようにすることです。ただし、そこで整理してはいけません。大事なのは、検索できるようにしておくこと。
1.変更される部分と変更されない部分を見極める
2.変更される部分は仕組みを使う人が変えられるようにする
●「傲慢」=人様に対して恥ずかしくない仕事をし、保守する
仕組みを上手にメンテナンスするコツは、作った仕組みを機能ごとに保存しておくことです。
(詳細は本書を)
■日常業務を仕組み化してみる(抜粋):
●仕事を定量化する
●無駄な「車輪の再発明」を防ぐ成果は必ずしも明確に数値化できるとは限りませんが、何か自分なりのルールを作って、できるだけ数値で表すようにします。(中略)
なお、こうしたものは日報として書いておくと、チームとしての生産性も高まると思います。もし、今まで日報を書くという習慣がなかったら、これをきっかけに詳細な記録を付けるとよいでしょう。
プログラミングの世界では、すでにある機能を自分で改めて作ってしまうことを「車輪の再発明」と言って戒めています。(中略)
物事を仕組み化するのであれば、自分の欲しい機能がすでに存在するかどうかを、まず調べたほうが効率的です。
■仕組み作りのコストを考える
仕組みというのは、ある程度繰り返し使ってはじめて元がとれるものなのです。このことは、身近な例においても同様です。
何かを仕組み化するときに真っ先に考えるべきなのは、「あと何回使えば元がとれるか」。そして先述の日本の自動車会社のように「総費用をいかに抑えるか」ということでしょう。
■日報を活用する
●日報用メーリングリストをつくり、部署内で日報を共有
●トラブルがあったときに担当者にレポートを書かせてメーリングリストで共有日報の共有は、仕組みをスムーズにつなぐ、最も効果的でかつ低コストな手法と言えるでしょう。
メーリングリストでやりとりされた内容はすべて保存しますので、全文検索システムを導入しておけば、必要な情報をすぐに入手できます。
こうすれば、マニュアルをメンテナンスする手間はほとんどかかりません。常に最新のマニュアルを全員が閲覧できるような仕組みになりました。
■仕組みがどうしてもうまく回らないときは、レイヤーを上げて考えてみる
個人でうまくいかなければ、チームではどうか、部署全体で見たらどうなのか。さらに大きく会社から見てどうか、市場から見てどうか、という発想もときには必要でしょう。一回り、二回り大きな仕組みから見れば、そこに何らかのヒントがあるはずです。
■アウトソーシングの判断基準
最初に言っておきたいのは、アウトソーシングには常に大きなリスクがあるということです。アウトソーシングは、自分でコントロールできる要素を減らすということなのですから。よほど安価であるか、よほど信頼性が高くない限り、基本的に凶と考えておいたほうが安全です。
■どのような仕組みを作れば生き残れるのか?
先述したように、何が正しいかではなく、生き残ったものが正しいのです。そのためには、自分自身や組織の目的、あるいは自分たちに求められている(と思っている)本質的なコトを疑ってみましょう。それが生き残り戦略につながります。
たとえば、ネジを作っている会社なら、よりよいネジを作るということだけではなく、モノとモノをくっつけるコトを求められていると考えてみるのです。もしかしたらネジではなく。接着剤、あるいはまったく別のくっつけるモノやサービスが解になるかもしれません。
■新しい仕組み作りへリソースを投じる
では問いますが、あなたは本当に働いていますか?働いているつもりで、たんに既存の仕組みを回しているだけということはありませんか?(中略)
工場のオーナーというのは、見方によってはまるで働いていません。いったん機械や組織などの仕組みができたら、あとはそれを回すだけです。それ以外の時間は、何もしていないように見えることもあります。
けれど、優秀な工場オーナーは、そうやって既存の仕事を片手間に回しながら、新しい仕組みを模索し続けています。これが、仕事をしている、働いているということです。
【感想】
◆相変わらず長文書きまくりでスイマセン!これでもかなり大胆にカットしております。
ただ、雰囲気的に、小飼さんがおっしゃりたかったことをかなり割愛してしまっている悪寒。
いかにも小飼さんらしいPart5&6からは少なめなんで。
◆さて、本書に関する小飼さんの先行記事や目次から、ある程度の内容については推測できたのですが、想定外だったのが、本書の読みやすさと、さらに言うなら、実際の日々の仕事への落とし込み易さ。
この辺は、上記記事で小飼さんも言われているように、日実の多根さんと「弾言」の共著者でもある山路さんのお力によるところが大きいのかも。
特に個々のテーマについて、わかりやすい事例が豊富に付されているのはありがたかったです(長くなるので上記のポイントでは少なめですが)。
私自身も、「断言」は正直消化し切れなかった部分があったのですけど、本書ではそういう感じは受けませんでした。
これで、「アルファブロガー・小飼 弾」という人物を知らなかったり、「ブログ 404 Blog Not Found」を読んだことがない方でも、本書を十分楽しめるのではないでしょうか?
◆ただし、書かれている本質や、それを読んだ上で実践しなくてはならないことについては手加減なし。
従来のビジネス書で謳われていたように「仕組みを使って仕事をする」だけではなく、「仕組みを作ること自体が仕事」である、と。
そしてそのために提言されているのが、"本当の"20%ルール。
先に他の方が解説してくれていれば、私も後追いで書いちゃうのですが、とりあえずフックがかかったフレーズが公開されていない場合は自重がデフォルトとなっております。
気になる方は、本書でご確認を。
◆なお、今回抜き漏らした中で興味深かったのが、「レッド。オーシャン戦略/ブルー・オーシャン戦略」のくだり。
キモである「ブルー・オーシャンを見つけるために」というところに、上記の「20%ルール」が絡んでくるので割愛したのですが、そこに、小飼さんご自身の「ブログ」についてのお話が出てきます。
アルファブロガーの中では比較的後発に属する小飼さんが「本当の成功理由は私にもよくわからない」とおっしゃられているのが、面白いトコロ。
その「よくわからない」小飼さんの後塵を拝しているワタクシたちにとっては、面白がってもいられませんが。
◆今や書評系ブログも完全な「レッド・オーシャン」になってしまった感がありますが、私もそれを承知でリソース突っ込みまくりであります。
それもこれも、「本の購入」という行為が、今後「ネット」という「仕組み」にシフトしていく、という読み(賭け?)があってこそ(個人的に)。
ただし、この「ネットショッピング」という「仕組み」自体廃れる可能性もありますし、「本以外のメディア」が取って代わる可能性もあります。
もちろん、私というブロガーが取って代られる(ry
◆「仕組みを作る」という点から言うと、最後の「優秀な工場のオーナー」のお話は象徴的です。
日本人の特性なのか、熱心に働いているかどうかを重視しがちですが、本質はそこにはないわけで。
私の場合、本業に余裕があっても、勤務時間中はついつい仕事する「フリ」をしているだけで、仕組み作りはおろか、ブログ執筆もしておりません(←当たり前)。
ただ、税理士という「仕組み」自体も、将来的にあるのかどうかわかりませんし、ここはひとつ「"本当の"20%ルール」で「新しい仕組みを作らねば」、と思った次第。
小飼流「仕組み作り仕事術」とも言えるスゴ本です!
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【編集後記】
◆最近出た「仕組み」本の1つ。なるほど、できるものならそうなりたいものです(遠い目)。習慣とは、たとえば歯磨きのように、それをしないと気持ち悪い状態のこと。コンサルタントの「習慣マネジメント」術を学べば、三日坊主を脱して、自然に頭が鍛えられ、ビジネス力を高める習慣が身につく。
ご声援ありがとうございました!
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早いですね。
小飼さんのブログで発売されると知って、おもしろそうだな、読んでみようかなと思っていました。
読んでみようと思います。
この本、おもしろそうですね。
ぜひ読んでみたいと思います。
これからも更新楽しみにしています。
もう速攻で買ってきましたよ(笑)。
しかも仕事終わってから読み始めて、それからこの記事を4時間くらいかけて書きました(涙)。
人生ボロボロ(笑)。
>kenbookさん
弾さんの本にしては分かりやすかったと思います。
機会があれば、ぜひ!
そして応援ありがとうございます。
今後ともよろしくお願いします。
再び、参りました。
勝間さん、小飼氏(2冊)、本田氏、小宮氏と、
皆さん同時期に … って感じです。(涙)
でも、どれもいいですね。
で、再び、トラックバックさせて頂きます。
さすがにこれらの大御所は、出たら買わないといけないですよね(笑)。
確かにどれもクオリティは高かったです。
おっと、小飼さんの「決弾」は先越されちゃいましたね。
明日投稿するつもりです!