2009年03月06日
【英語】「楽しく、ラクに、シンプルに! 英語ハックス」佐々木正悟,堀 E. 正岳
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、以前、未読本の記事で取り上げておきながら、なかなか読むことのできなかった「英語勉強本」。自分自身、どうしても英語アレルギーと言いますか、食わず嫌いな面があって、なかなか手をつけることができずに、半月以上経ってしまいました。
やっと最近になって、本業の合間に職場でパラパラ眺めてみたら、面白そうじゃないですか!←今さらw
ひょっとしたら「ハック」というスタイルは、「英語学習」が最も適しているのでは?と思わされた快作デス!

【目次】
第1章 一番簡単に覚えられる「英単語記憶」術
1日1語、「超頻出」単語だけを100日で覚える
脳にやさしい「連想的に」覚える方法
「記録」すれば、続けられるようになる!?
第2章 とにかく口に出してみる「スピーキング」術
「日本人の耳」は気にしないと決める
「カタカナ英語」で発音してみる
英語で「九九」を言えますか? ほか
第3章 いつどこでも耳を浸らせる「リスニング」術
通勤時間にただ「聞いているだけ」でいい!?
「自分で使えるフレーズ」と「対話」を身につける
毎晩、英語で夢を見るための方法 ほか
第4章 心地よくすらすら読める「リーディング」術
まずは「英語マンガ」を100冊読む
「翻訳+原著+オーディオ」の3点活用術
1冊の原著を繰り返し読む理由 ほか
第5章 迷わず一気に書き出せる「ライティング」術
朝一番に思いついた英語をとにかく書いてみる
「シソーラス」で"喜怒哀楽"の表現を集める
アメリカ人のブログにコメントをつける ほか
第6章 直前にスコアを引き上げる「TOEICテスト」術
「TOEIC」は何のためのテスト?
膨大な英語経験をたたき込む「写経メソッド」
iPodの「ランダム再生」でリスニング力を鍛える ほか
第7章 実践的な英語力を駆使する「TOEFLテスト」術
目標を決めれば「TOEFL」はむずかしくない?
「流し読み力」が問われるリーディング問題
リスニング問題のカギは「キャンパス英語」!? ほか
巻末付録 英語学習で意外に使える便利ツール集
【ポイント】
■脳の性質を最大限に活かすには、「単語を忘れかけていたタイミングで覚えなおす」ことあの「のどまで出かかる」状態(TOT状態)になった頃に、覚えているかどうかの単語テストでもしてみるのが、もっともよいことになります。
■英語で考える具体的な方法としては、『英語ベストセラー本の研究』の中で著者の晴山陽一さんは「九九をすべて英語で言えるようになり、それを英語で暗唱する」ことを挙げている
■考え事を英語で声に出す
特にリーディングを集中的に勉強した人に多いのですが、「英語を読む」ときには、すっかり「黙読」ができ、頭の中で意味を汲み取っているのに、同レベルの文章を「発話する」となると、まるでグワン式(朝起きてから夜寝るまでの行動すべてについて英語で言ってみる練習方法)レベルしか出てこないのです。
思考の道具として、抽象的な内容を英語で理解することはできるのに、音声コミュニケーションの道具として、英語を使うことができないのです。
こうした人にとっては、学習順序が逆になりますが、ひどくやさしいレベルの「子どもっぽい英語」を話してトレーニングを積むのが最善です。
■ネイティブが近くにいると、スピーキングができるようになる理由
「生徒に教えるときでも意識していることですが、「受け手がいる」環境とそうでない環境とでは、伸びる力が全然違うんです。人は情報を受信する相手を意識するからこそ、発信する気になるんでしょう。ですから、受け手を意識したスピーキングが重要です」(奥住 桂さん)
■「話す」ということを念頭に置きつつ、「聞く」ための力を伸ばす勉強のための3つの教材(抜粋):
この本が特にいいと感じられるのは、「とっさの言い回し」より「答える姿勢」を教えてくれることです。(中略)
著者に言わせると、「少なからぬ日本人が、流暢な英語を使っているが、聞かれたことに答えない」らしいのです。理由はさまざまでしょうが、やはり私たちは、流暢に話したいという意識が強すぎるのかもしれません。
『Full Metal Jacket』は、ベトナム戦争をテーマにした映画。監督はスタンリー・キューブリック。自分で使える英語表現は多くないが、紙で書かれた英語の「リズム」まえ考えるのに、これほど適した教材はない。これを見た直後は、「英文の風景」が変わる。
■「英文法」もリスニングで学んでしまう
●オススメサイト:『ESL podgast』英文法を優先的に勉強するのがよい理由は、効率的だからです。理解しなければならない基本的な英文法のルールは、知っておいたほうがいい英単語の数に比べて、驚くほど少ないのです。(中略)
ここでは、英文法の勉強をリスニングでやってしまう方法を提案します。リスニングで文法を学ぶとは、簡単にいえば、「アメリカ人にグラマーを耳で教えてもらう」ということです。
■「翻訳+原著+オーディオ」の3点活用術
1.おもしろい翻訳本を読む
2.原著とオーディオブックを手に入れる
3.オーディオブックを聞きながら、最後まで原著を読み通す
(オススメ本他、詳細は本書を)
■TOEICテスト術より
●膨大な英語経験をたたき込む「写経」メソッド
もっとも手っ取り早い方法、それはまるで「写経」をするように、「模擬試験を端から端まで筆写しつつ、口で音読する」という方法です。(中略)
模擬試験を二つ見比べてみれば、毎回必ず登場するフレーズ、構文、状況が非常に多く含まれていることに気づくと思います。「素読・筆写」をすることは、この貴重な経験を理屈ではなく、感覚にたたき込んでしまうという意味もあるのです。
●まずは「5W1H」の疑問詞の文章に取り組む
日本語と違い、英語の疑問文は最初の一語で何についての質問かが理解できるので、最初の一語を聞いた瞬間に答えを限定していくという、日本語にはない思考ルートを開発することがリスニングの点数の大きな底上げになります。
●リーディング問題は"4段階変則ギア"で駆け抜ける(詳細は本書を)
●最終手段は、本場アメリカ仕込みの7つの「マークシートハック」(抜粋):
・他の選択肢が具体的なら、一番漠然とした答えを選ぶ
・相反する答えが2つあるなら、そのどちらかを選ぶ
■TOEFLテスト術より
●スピーキング問題は、最初から返答の形式を決めておく
●ライティング問題は「5段×4文」の型に流し込む
●リスニング問題は「●●●●●ッ●」をつくりながら(ネタバレ自重)
■「英語学習で意外に使える便利ツール集」より
●NHKラジオ講座ファンにおすすめ「ラジオサーバー」
●「防水オーディオ」でお風呂リスニング
【感想】
◆本書は、1章から5章までが、佐々木正悟さん、6章、7章が堀 E. 正岳さんがご担当。佐々木さんは大学時代に、アメリカに留学している一方、堀さんはアメリカのハイスクールに通っていたそう。
ちなみに堀さんは、TOEIC975点(990点満点中)、TOEFL113点(120点満点中)という記録を持つツワモノでいらっしゃいます。
◆その堀さんが担当された6章7章は、ガチでテスト仕様。
残念ながら、私はこういった試験の攻略本は読んだことがないので、どのくらい効果的なのかはわからないのですが、「ゴールから逆算する」という、勉強本業界(?)では「王道」のスタイルであることは、間違いなさそうです。
とかいいつつ、最後の「マークシートハック」は「超裏ワザ」w
もっとも、中高からマークシートが利用されているアメリカでは「常識」として流通しているのだとか。
◆そしてTOEFLの方も、TOEICと同じく実践的。
ただ英語の勉強をするのではなく、事前に「型」を用意しておく、ということ自体、優れたハックかと。
さらには、リスニングの本番で●●●●●ッ●を使って解く、というやり方にはたまげました。
本書には問題文を●ッ●化したものが収録されているのですが、自宅で勉強に使うのではなく、何らかの試験の本番で●●●●●ッ●を使うというスタイルは、私は初めて見ましたよ。
◆逆に、佐々木さんご担当部分は、佐々木さんお得意の「脳科学」や「心理学」を用いたアプローチで、スキルの底上げを図ってくれています。
「考え事を英語で声に出す」というのは、私もイギリスに短期留学した際には、やっていました。
声に出すだけでなく、一日中、頭の中では「英語で独り言を言っていた」ような。
ただ、これにしても、頭の中ではなく、もっと口に出していれば、より上達したのかと思うと、今更ながら残念。
◆また佐々木さんのパートでは、本やグッズ、サイト等が数多く紹介されていたのですが、記事の分量の関係で、今回は大胆にカットせざるをえず。
登場した中で意外だったのが、上記にも挙げた『フルメタル・ジャケット』。
ご存じない方のために、こんなエントリをご紹介しておきます(一応言っときますけど、ネタですからね)。
フルはてなジャケット(Full Hatena Jacket):インターネットください
・・・さりげなく小飼さんも登場されているというw
◆ポイントには挙げませんでしたが、「家族との団らん」と「自分の勉強時間」の両方を満たす方法として、『「NHK英語講座」に家族と一緒に取り組む』というものがありました。
そこで例に挙げられていたのが、『リトル・チャロ』
どこかで見た事あるなー、と思ったら、橋本大也さんのところでした。
リトル・チャロ Vol.1 ロスト・イン・ニューヨーク:情報考学 Passion For The Future
既にご家族ではまっている模様(さすがです)。
◆通常の勉強に比べると、英語の勉強は、昨今の技術革新の恩恵をモロに受けている、と言えます。
実際、5年前、10年前だったら、もっと低い次元か、同じ次元であれば、もっと費用がかかったであろうコンテンツが手軽に入手できるワケで。
そういう意味では、今の時代に、こうしたツール等を活用しないのはもったいないですし、また、英語を勉強しないのももったいないかと。
そして本書は、幅広い層に対して、こうした役立つ情報を豊富に提供して下さっているスゴ本だと思います。
英語勉強したい人には、激オススメ!
【関連記事】
【iKnow!の秘密】「最強の記憶術 暗記のパワーが世界を変える」(2008年12月12日)【英語】「レバレッジ英語勉強法」本田直之(2008年04月04日)
【英語学習】「留学なしでTOEIC985点 彼女は何を選んで勉強したのか」&「カリスマ税理士のオススメ英語書籍」(2008年03月19日)
【英語勉強法】「できる人の英語勉強法」安河内哲也(2007年12月21日)
【英語】「英語学習7つの誤解」大津由紀雄(2007年08月19日)
【編集後記】
◆「英語つながり」でこの本も。「速読勉強術」や「速読・多読でビジネス力が高まる!スピード読書術 」と言ったご本で、当ブログではお馴染みの宇都出雅巳さんの新作です。
・・・これも気になりますね。

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こんにちは。わんわんです。
記事の内容の“濃さ”にいつも圧倒されております。スゴイです!
smoothさんはマインドマップについても詳しいと思うのですが何かよい本などが紹介された記事などありましたら教えてください。
私の記事からリンクして、トラバさせて頂きました。
ちょっとこの記事は時間かけすぎました(涙)。
結果が出なくて、「労多くして・・・」に終わってしまいましたが。
マインドマップのご本については、本来ならブザンさんの「ザ・マインドマップ」を読んでください、と言いたいところですが、ぶっちゃけこっちの方がコストパフォーマンスは高いです(暴言?)。
「マインドマップ(R)が本当に使いこなせる本」http://smoothfoxxx.livedoor.biz/archives/51458111.html
ブザン・ワールドワイド・ジャパン監修なので、中身的には正式なものです。
>コウスケさん
私のほうは、濃いというより、単にダラダラ長いだけに終わってしまいました(涙)。
コウスケさんの記事の方が、自分の庭に落としこんでいて、意義があるエントリだと思いますよ!
ご紹介ありがとうございました!
苦手だといいながらも、すごい熱弁でじぃぃと見入ってしまいました。
とても実践的な本と伺えて読んでみたいです^^
ところで紹介されていたラジオサーバーは友人宅にあり、友人はそれを重宝がってます。英語力もやはりすばらしい(^^)
ラジオが入らない建物には引っ越したくないというほどです。
でも実は今年の4月10日からNHKはネットで講座を聴けるようになるそうです。
参考URL http://www.nhk.or.jp/gogaku/
http://www.nhk.or.jp/gogaku/pop-streaming.html
引用文
4月6日(月)午前10時から、ほとんどのラジオ講座(新作)がPCでも聴くことができるようになります。
今、音声配信が行われている入門ビジネス英語や実践ビジネス英語と同じく、 放送の1週遅れで1週間掲載されます。
あのラジオサーバーとNHKがてっきり癒着・・じゃない提携しているからずっとNHKはネットで配信しないのだなーんて思ってたら・・・大きな勘違いだったみたいですー(笑)今年大躍進のNHKです。(もちろん私もうれしい。)ラジオサーバーもってる人はどんな気持ちだろうか・・・高いのよねアレ(汗)
んとー、専門家に記事チェックされると非常に困るんですがー(汗)。
よくわからないなりに熱が入ってしまっておりますので。
ラジオ講座の件もURLありがとうございます。
先日、グーグル・ジャパンの英語本の記事で、ラジオ講座がネットで聴ける、という話は聞いてたのですが、いよいよですね!
ネット配信については、癒着というよりも、タレントさん等の出演者のギャラ配分が難しいからではないか、と。
つい最近まで、ネットでテレビ番組が配信できなかったのと同じですね。
これも徐々に変わっていきそうなので、ますますラジオも存在意義が薄れちゃいそうな・・・。