2009年02月28日
【濃縮】「新超高速勉強法」椋木修三
【本の概要】
◆今日お送りするのは、以前ご紹介して大人気だった「図解超高速勉強法」の著者である、椋木修三先生の新作。同じ出版社から出た本書はタイトルは似ていますが、単行本の新書化、というわけではないようです。
本書では、成績のいい人、試験に合格する人の持つ能力を、「勉強力」として7つに集約。
「効率力」「集中力」「記憶力」「継続力」「計画力」「得点力」「本番力」
これらの強化方法を各章ごとにまとめています。
正直、新書とは思えない内容の濃さに、ちょっとビックリ!
【目次】
1章 「わからない時は先に進む」のが高速化の基本―効率力の強化
2章 「自分に勝つ」努力はしないほうがいい―集中力の強化
3章 長い時間より「多くの時間」をつくろう―記憶力の強化
4章 厚い教材を選ぶな―継続力の強化
5章 「ワンパターン勉強」が最強だ―計画力の強化
6章 合格に「必要なこと」だけをやりなさい―得点力の強化
7章 呼吸と暗示で「万一の恐怖」を防ぎきる―本番力の強化
【ポイント】
■わからなくてもいいから先に進み、執着するならくり返しまわすことに執着するわからないことはわからないままに勉強を進めていくと、断片的な知識が、点、点、点、と蓄積されていきます。(中略)
ところが、さらに勉強を進めると、点だった知識の断片が、突然、線でスーッと結ばれるようになるのです。点、点、点だった知識が線で結ばれ、脳内ネットワーク化されていくのです。(中略)
だから、勉強は止まってはならないのです。効率を考え、合格を願うなら、進み続けることが大切なのです。
■テキストの勉強が不充分で基礎知識が不足している人は、解説が詳しい問題集を選ぶとよい
極端に言えば、合格率の比較的ラクな試験の場合は、テキストを読まず、解説の詳しい問題集をやれば充分だと思います。分厚いテキストを隅々まで読むより、問題集に出てくる要点だけを読むにとどめ、あとは解説の詳しい問題集を何度もまわしたほうが手っ取り早いと思います。
■付箋活用の最も簡単な方法
解答をして不正解だった時、「なぜ間違ったのか」の注意点を付箋にメモして、その問題のページに貼っておくのです。そうすると、2回、3回・・・とくり返すたびに注意が喚起されますので、間違いをしなくなります。
■試験に必要な速読は1.5〜2倍速
試験本番での速度は、分速500字から600字で充分であり、そのためには1.5倍から2倍の速読が必要だということです。10倍、20倍の速読力は必要ないのです。
■練習ゼロで力を伸ばす4つの「速読み」法
●ながら読み
●サラサラ読み
●超音読
●指さし読み(指差し法) (詳細は本書を)
■2種類の復習、「完全再生」と「確認」
「確認」復習は、授業で書き写したノートを見ながら、解答の手順を確認していきます。
「完全再生」復習は、ノートを見ずに別の用紙に手順を書き出しますから、時間がかかります。しかし、「確認」復習は、ノートを見ながら流れをなぞっていくだけですから、時間がかからず復習できるわけです。
■一瞬にして集中力を全開にする勉強法
勉強に集中できないと思っている人は、すぐに集中力が高まる状態、すなわち「声を出す勉強」から始めるとよいです。
たとえば英文、古文、漢文や、おぼえるべき条文を音読する、あるいはテキストの必要個所を声を出して読むというところから始めるとよいです。
これが、一瞬にして集中力を全開にする勉強法です。
■集中力が高まる環境づくり4大ポイント(抜粋):
●部屋を片づける
●部屋の香りをよくする部屋がスッキリきれいになると、「さあ、やろう!」とモチベーションが上がるのがはっきりわかります。いわば集中しやすい環境ができあがるというわけです。
香りが人間の精神作用に大きな影響を与えていることは科学的に立証されています。
■勉強する上で重要なのは、どんなにがんばっても大半は絶対忘れるという事実を念頭におくこと
当たり前のことなのですが、この事実を受け入れられない人が非常に多いようです。(中略)
「人間は絶対忘れるものだ」と素直に事実を受け入れれば、「じゃ、反復すればいいや」とか、「忘れにくい方法を考えよう」「忘れない仕組みをつくればいいんだ」とポジティブになれます。
■記憶するための6つの整理法(抜粋):
●分解する
●色で分ける
●法則や規則性を見つける (詳細は本書を)
■どんな状況であろうと、「これだけは絶対に毎日やる」というものを、少なくとも1つ、勉強の中に組み込む
ポイントは、難しいことはしないでよい、ということです。(中略)
合格の大敵は、勉強する時としない時の差が激しいことです。
する時は1日10時間もするけれど、しない時は2日も3日も、あるいは1週間以上も何もしない・・・といった勉強では、合格はおぼつきません。
【感想】
◆新書なんで、なめて(?)記事を書いていたら、ほとんど第3章までで終わってしまいました。椋木先生は、文庫本でも濃い本を出されてはいますが、この新書も相当のもの。
というか、私が今まで出会ってきた勉強本の中でも、「新書」という形式なら、最も「ガチ」な内容だと思われ。
ちなみに、ここで言う「ガチ」とは、何らかしらの「試験」を対象とした勉強という意味です。
手軽に楽しみべき(?)「新書」にしては、ちょっとオーバースペックのような。
◆もちろん、過去の著作とかぶる部分も散見されます。
ただ、それを補って余りある濃縮ぶり。
少なくとも、今まで1冊も椋木先生の本をお持ちでない方なら、とりあえずこの本を買われると良いかも。
もちろん、私のように先生の本を何冊も買うのも手ですけど。
◆そう言えば、先日の吉永先生の記事(【記憶ハック】「東大家庭教師が教える 頭が良くなる記憶法」)では、私(というか、税理士試験受験生)が、「繰り返し理論を暗記した」ことを述べましたが、その際、1点大事なことを書き漏らしていました。
それは、各理論は一回覚えたとしても、次の回転時期が来るまでは、「全く忘れてしまっている」ということです。
今回、本書のポイントを挙げている際、「人間は絶対忘れるものだ」というフレーズを見て、思い出した次第。
というか、「忘れないと、次の理論が覚えられない」んですよ。
◆そして覚えてから1ヵ月後くらいに、月例テストがあって、その時に再度覚えなおすのですが、「怖いくらい」見事に忘れてます。
ただし、2回目に覚えるときには、1回目の半分以下の時間で覚えられるので、テストの時には、何とか同時に4つとか6つの理論を頭の中に保持している状態に。
これが「実力判定試験」「全国統一試験」等々、大きな試験があるたびに、また覚えなおすことによって、最終的に本試験には必要な全部の理論を持って臨めました。
まさに「くり返し」のチカラ。
◆また、理論を「ブツブツ口で言って覚える」という行為も、五感を使ったほうが覚えられるという点にだけ着目していましたが、本書読んで、「集中力」も高めていたことを知りました。
実は、理論を覚える際に「書いて覚える」人と「読んで覚える」人と2種類いたのですが、私は書いて覚えようとしても、単に書き写すだけになってしまい、頭の中では違う事を考えてしまうタイプだったという。
もともと雑念が湧きやすいタイプだったのが、「ブツブツ口で言う」ことによって、雑念を押さえられた模様。
うーん、知りませんでした。
◆ちょっと面白いのが、自分がどのくらい集中力がついたかチェックする意味で、「喫茶店で過去問を解く」というもの。
つまり「劣悪な環境でも平常心で解けるか」を確認するわけですね。
それで思い出したのが、私が初めて税理士試験を受けた際に、前の席の人が「最初から最後まで貧乏ゆすり」をしていたこと。
普通の机ならよかったのですが、その教室の机は、「前の席の背もたれの後ろに、天板が据えつけられている」タイプ。
私は試験が終わるまで、揺れる机と格闘して、結果打ち破れますた。
(´;ω;`)ブワッ
◆それはさておき。
そもそも、楠木先生の本を最初に勧めてくださったのは、この記事の冒頭にもあるように、現職の専門学校の先生だったんでした。
その後、実際に司法試験に合格されたsunさん(今はブログをお止めになってますが)も、この「図解 超高速勉強法」を「最も参考にした」と評されていたり。
勉強方法を考える上で役立った本:新・単なる勉強記録
そういう意味でも、椋木先生は、こと「試験向け」という点では、かなり真っ当な勉強法を推奨されているのだと思ってます。
努力を無駄にしたくない方にオススメ!
【関連記事】
【記憶ハック】「東大家庭教師が教える 頭が良くなる記憶法」吉永賢一(2009年02月21日)【記憶系】「一発記憶!図解 超高速勉強法〈2〉」椋木修三(2008年05月20日)
【記憶&速読】「図解超高速勉強法」椋木修三(2008年05月04日)
【スタディ・ハック】「最短で結果が出る超勉強法」荘司雅彦(2007年07月02日)
「速読勉強術」宇都出雅巳(2007年02月03日)
【編集後記】
◆最近のアマゾンのランキングは、「おくりびと」ブームで、この本が大人気。でもこの本も、ある意味オスカー受賞作品。
ウチは子どもが小さいので、こっちかな?
ご声援ありがとうございました!
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久々に遊びにきました。
いつもながらのコメントはさすがです!smoothさんが紹介すると、その本を買いたくなってしまいますね。
それにしても新書の情報が早いですね。どのようにしてチェックされているのですか?
記事を書く際に一番いいのは、自分が心からオススメできる本を選ぶ、ということ、つまり、選書の時点から頑張ることなんですよね。
本の情報は、私の場合あまりネットには頼ってなくて、むしろリアル書店で偶然出会うものが多かったりします。
この本もいきつけの書店で見つけました。
でも、それだと予約段階の本はムリなので、ホントはもっと情報収集しないといけないんですけどねー。