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2009年02月26日

【処世術】「認められる力 会社で成功する理論と実践」太田 肇




【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、bestbookさんの記事を拝見してアマゾンアタックした1冊。

たまたま「"認められたい"という想い」に関連した本を読んだ直後だったこともあり、内容的に腑に落ちまくりました。

アマゾンの内容紹介から。

お金や権力はいらない、ただ人から評価されたいだけなのに、現実はなかなか思うようには進まない。原因は社員同士の足の引っ張り合いにある。ならば、足を引っ張らなくても済む状況を作ればいいではないか―。組織人の新しい生き方を提言し続ける気鋭の学者が初めて処世術にまで踏み込んで論じた意欲作。

現状分析だけではなく、具体的な方法論にまで踏み込んでいる「処世術」の本です!


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【目次】

理論編 認められたい私たち

 第1章 なぜ認められたいのか

 第2章 「経済人」?実は「承認人」

 第3章 日本人と欧米人、ここが違う

 第4章 「認められたい」と言えない日本人

 第5章 なぜ“表の承認”が大切か

実践編 こうすれば認められる

 第6章 初級コース“職場”で認められるには…

 第7章 中級コース“会社”で認められるには…

 第8章 上級コース“世の中”で認められるには…


【ポイント】

■「無欲な人のほうが認められる」「控えめな人が成功する」の本当の意味

無欲であること、人徳の大切さを説いているようですが、それはあくまでも手段であり、実は「認められる」こと、「成功する」ことが目的となっていることを見逃してはいけません。表向きは体裁のよい言葉を並べ、「認められたい」という思いは心の奥底に潜めている。そこに日本人独特の承認欲求の表し方(表れ方)があるのです。


■欧米人と日本人の承認のされ方(何をどのように認められたいか)の違い

欧米人の仕事ぶりを観察し、また彼らに話を聞くと、彼らは仕事で成果をあげ、認めてもらおうと強く意識していることがわかってきました。周囲の目を意識しなくても、自分の役割をきちっとこなしていれば必ず認めてもらえるという感覚なのだそうです。
 それに対して日本人は成果をあげることと同程度か、あるいはそれよりも仕事のプロセス(というか態度・姿勢)のほうに意識がいっています。がんばっている姿、愛想のよさ、まじめさを認めてもらおうとしているのです。


■「表の承認」と「裏の承認」

●「表の承認」

⇒優れた能力や業績をたたえる、個性を尊重する

⇒加点評価


●「裏の承認」

⇒和を乱さず秩序や序列を守っているか、分をわきまえているかどうかを問題とする

⇒減点評価

日本の組織や社会では人の優れたところを認めるより問題を起こさないことを認める。すなわち<表の承認>より<裏の承認>を重視する傾向があります。本来、両者はバランスがとれていなければならないのですが、日本の組織や社会では、<裏の承認>に大きく偏っているのです。


■"出る杭"を打ってやろう、相手の足を引っぱってやろうという動機が生まれる2つの条件

●そうすることが自分の利益につながること

"出る杭"を打ち、相手の足を引っぱることが自分の利益につながるのは、"ゼロサム"、すなわちお金にしても地位や名誉にしてもその総量が限られていて、だれかがそれを得ると誰かがその機会を失うときです。逆にいうと、だれかの足をひっぱることで自分の収入、地位、名誉などが相対的に上がるか、少なくとも維持できるときです。


●相手が手の届くところにいること

 誰も別世界の人、雲の上の人にはそれほど嫉妬しません。ところが、自分と立場が近い人になると妬みやそねみがわいてくるのです。


■認められるためには「W-W(Win-Win)」「W-I(Win-Indifference="無関心")」「W-L(Win-Lose)」の3つの関係のうち、「W-L」の関係さえ避ければよい

(詳細は本書を)


■見方によれば部下よりも上司の方が、下から認めてもらいたがっている

部下に認められない上司は、上からは「統率力の欠如。リーダーの資格なし」というレッテルが貼られるし、平社員と違って、慰めたり同情したりしてくれる仲間もいません。まさに四面楚歌です。逆に、部下が自分をほめたりおだてたりしてくれると、周囲からは「部下をコントロールできている」と見てもらえます。たとえヨイショだとわかっていても上司が喜ぶのは、このように周囲の目があるからなのです。


■認めてもらうためには相手に自分を売り込むことが必要

 20代半ばで自ら広告会社を興したある女性は、会社で営業の仕事をしているときから2種類の名刺を持ち歩き、2枚一緒に渡すことにしていました。1枚は会社のもの。そしてもう1枚はおしゃれなデザインで、顔写真と自分のPR、連絡先を入れたものです。たかが名刺というなかれ。独立するときには、数千枚も配った名刺の中からたくさんの顧客が仕事を発注してくれたそうです。


■規定路線から脱却できない「優等生」はマネジャーにはなれてもリーダーにはなれない

つねに周りの人のよい高い次元に立って物事を考え、組織と人を率いていくことがリーダーの使命です。したがって高い地位にまで登ろうという人は、早い時期からリーダーとしての姿勢、考え方、能力を身につけておく必要があります。


■出世のための"一点突破"は単なるスペシャリストの勧めではない

ただ何かが得意なだけだと都合よく使われ、「便利屋」になってしまいます。それに対し、ここで言う"一点突破"戦略は、文字どおり戦略的に能力とエネルギーを集中させ、そこから広く展開していきます。


■コンプレックスの強い人は成功する上で有利な点がたくさんある

自分の欠点や劣っているところを強く意識するということは、成長したい、秀でたいという意識が強いことの裏返しです。バネは強く曲げるほど反発力が強くなるのと同じで、コンプレックスが強い人ほど潜在的なモチベーションも強いのです。成功のためにはモチベーション、能力、資質、運、人間関係、その他いろいろな要素が関係しますが、なかでも成功したいというモチベーションほど重要なものはありません。


【感想】

◆本書はそのタイトルの通り「認められる」ことがメインテーマ。

難しい言葉で言うと「承認欲求」ですね(受け売りw)。

いやこれが、大層大事な欲求だということが、本書を読んでよくわかりました。

若者がインターネットの掲示板やブログに夢中になるのも、カラオケで自分の歌を聴かせたがるのも、フェミニストからいくらたたかれようとミスコンがなくならないのも、背後に強烈な承認欲求があるからです。

なるほど納得。


◆この欲求は日本だけではないものの、ややこしいのが日本(日本人?)の特性。

「認められたい」のだけれど、「出る杭になると抜かれてしまう」わけですから。

そこから「KY」やら「嫉妬・妬みによる有名人への中傷」といった現象が起こりうるわけで。


◆上記ポイントの「相手の足を引っぱってやろうという動機が生まれる条件」のひとつとして「相手が手の届くところにいること」というのがあります。

本書では、ヒルズ族や閣僚たちがバッシングされたのは、マスコミによって彼らが庶民の手の届くところに「引きずり下ろしたから」とありましたが、どちらかというと、今はインターネットによって、個々人の「小さな声」にレバレッジがかかったり、大量に集まって炎上したりすることの方が、より「手の届くところ」のように感じた自分。

著名人本人のサイトや、巨大掲示板に書き込みをするといった行為は、一昔前なら不可能というか、やろうとしても、ネットというインフラさえなかったわけですから、今やそういうネガティブな動機が増幅されてしまっているような。

これがさらにリアルでも手が届くのに見えない状態にしてしまうのが、「学校裏サイト」なんでしょうかね・・・?


◆さて、このような風土を前提として、ではどうやって「会社で成功するか」という部分が展開されていくのが、本書の第6章から。

一つ一つのアクションは、特に奇抜なものではないものの、「出る杭にならない」「出たとしても憎まれない」というある意味スマートな出世術。

「職場」「会社」「世の中」と段々と大きくなるステージごとに、「認められる」方法が伝授されていきます。

ポイントは「ゼロサムになることを避けること」

そして「相手(周り)を承認すること」ではないか、と。


◆ところで、たまたま最近読んだ本が、本書とことごとく繋がっているのは、偶然なんでしょうか?

断る力 (文春新書)
文藝春秋
発売日:2009-02-19
おすすめ度:3.0

多分、この本で展開されている「アサーティブ」なスタイルが「ムリ!」という方なら、本書はしっくりきそう。

参考記事:【オススメ】「断る力」勝間和代(2009年02月19日)


◆そして、こちらのご本はまさに、「承認欲求」そのもののお話。


参考記事:【モテ】「非モテ!―男性受難の時代」三浦 展(2009年02月23日)

実は、今回の本の中にも「異性にモテることこそ純粋な承認といえるかもしれません」なんて一節があり、さらに「深い関連性」を感じた次第。


◆なお、上記では挙げなかったのですが、中央大学政策文化総合研究所が2001年に行った調査によると、「感じのよい部下に甘い評価をつけることはないか」という質問に対し、欧米企業では「75%」の人が「ない」と答えているのに対し、日本企業では、わずか「29%」だったそう。

外資系でない限りは、上司を「承認する」のが「正解」ということで。

また、ある民間の保育園では開園して2年間で30人もの保育士が離職していたのに、経営者が職員の仕事ぶりをほめるようにしたところ、離職者がゼロになったとか。

やはり私たちは「承認欲求」が非常に強いのだと、よくわかりました。


叩かれずに出世したい方にオススメ!



【関連記事】

【オススメ】「断る力」勝間和代(2009年02月19日)

【個人ブランディング】「抜擢される人の人脈力」岡島悦子(2008年12月18日)

【キャリア形成】「キャリアをつくる9つの習慣」高橋俊介(2008年07月28日)

【オススメ仕事術】「Yes、Boss!のすすめ」落合文四郎(2008年07月10日)

【モテ】「非モテ!―男性受難の時代」三浦 展(2009年02月23日)


【編集後記】

「SEO激弱」の当ブログでオススメしてもあまり信憑性がないとは思いますが、旬の情報が四半期ごとに読めるこの本は毎号買っております。

SEO SEM Technique Vol.6
翔泳社
SE編集部(編集)
発売日:2009-03-04

特集1 Yahoo!検索SEO対策2009
特集2 躍進するGoogle! 今こそGoogle SEO対策
特集3 今が熱いYahoo!モバイル検索SEO徹底入門
特集4 今が熱いGoogleモバイル検索SEO徹底入門
特集5 モバイルSEO 最低限押さえるべき10箇条
特集6 帰ってきた! Yahoo!カテゴリ対策塾
特集7 米国発SEO事情 最前線!!
特集8 Googleモバイル検索SEOをモバイルブログで攻略!
特集9 アクセス解析すればわかる! 今の「SEO」は間違いだらけ!

ご覧のように、目次だけ見ても面白そうですよね。


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称えられたい症候群なんて書いてたら、早速翌日にいつもチェックしているsmoothさんのマインドマップ的読書感想文のところで発見!【目次】 ...
称えられたいの続き【北岸ズクナ師】at 2009年02月27日 10:25
                               
この記事へのコメント
               
smoothさん、こんばんは。ブログの記事をまたもやご紹介いただき、ありがとうございます。

お書きの通り、本には不思議なところがあり、自分が強く興味を持っている本は、数珠繋ぎになると感じることがあります。

「異性にモテることこそ純粋な承認といえるかもしれません」は共感しやすいです。一般論として、男性の口説きが成功した場合の嬉しさは、実際の行為よりも自分が女性に男として承認されたという要素の方が強い場合があるかもしれません。
Posted by bestbook at 2009年02月26日 23:19
               
>bestbookさん

いえいえ、こちらこそ、いつも出しぬかれているので(爆)、励みになります(笑)。

この本はタイトルからは分からぬ奥深さでした。
よく見つけてこられたな、と(笑)。


>男性の口説きが成功した場合の嬉しさは、
>実際の行為よりも自分が女性に男として
>承認されたという要素の方が強い場合が
>あるかもしれません。

それこそ、かつての"狩猟の血"なんでしょうねー。
最近は「草食系」が大やはりですが・・・。
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2009年02月27日 02:29
               
smoothサンこんにちはー。
ご無沙汰しておりマスm(__)m

収入激減の為ブログ拝見をずぅっとガマンしてたのですがインスピレーション??でご訪問することに
思わず納得!ご訪問大正解デス!!m(__)m
特に『劣等感』の箇所など
自分はバカだから皆が遊んでる間も勉強してなきゃならない、どんな時も気を抜けない〜(T_T)
という悟り(笑)は7歳でしたから今何とかやってけてるのかもですし^^;バネの反発力を人生観に例えて努力を決意したのは14歳だったから何とか生きてこれたのかもデス(涙)ちなみにその一年後、全校からシカトされる覚悟で10年続いてたイジメ止める決意をし被害者と友達になりましたよん(^^)イジメ止まりましたよん♪
Posted by 瑠璃 at 2009年02月28日 15:28
               
>瑠璃さん

こちらこそご無沙汰しております。
お若い(幼い?)頃から、色々なご経験をなさっているようで、それが今の「深み」に繋がっていらっしゃるんでしょうね。

「イジメ」とかも今は「裏サイト」とかアンダーグラウンドに潜ってしまうので、ますます親や学校はわかりにくいみたいですし。

とにかく「出る杭は打たれる」のがわが国なので、本書のようにスマートに生きていきたいものです・・・。
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2009年03月01日 03:29