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2009年02月23日

【モテ】「非モテ!―男性受難の時代」三浦 展




【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、連日となる「モテ本」

bestbookさんの記事を見て、速攻で近所の書店で買ってきた1冊です。

著者の三浦さんによると、本書執筆のきっかけとなったのが、昨年6月の「アキバ事件」だそう。

容疑者の犯行の動機の一つに、自らが「非モテ」であることを自認していた点に三浦さんは注目し、「モテ」「他要因」との関連性について、「Y世代」(25歳〜32歳)と「Z世代」(15歳〜22歳)へのアンケートによって分析し、本書を執筆。

さらに、菅原勝寿、佐藤留美両氏がそれぞれ1章を担当する構成になっています。


◆アマゾンの内容紹介から。

若者への調査から男性の「非モテ」と経済階層の相関が明らかに。なぜモテが格差の原因になるのか?背景には、非正規雇用の増加やコミュニケーション力重視の社会、そして女性の"肉食化"などが―。

三浦さんの「結論」には賛否両論ありそうですが、「モテ」とその他の要因との関連性について言及しているのが、大変興味深かったです。


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【目次】

第1章 「非モテ」男が絶望する社会
 非モテ男の犯罪
 派遣社員と正社員の格差 ほか

第2章 モテと容姿の格差社会
 正社員と非正社員はどちらが人間的に成長しやすいか
 男が顔を履歴書にできない時代 ほか

第3章 どんな男女がモテるのか?
 性格格差
 性格格差は年と共に拡大する ほか

第4章 モテない男は「正社員力」がないのか?
 性格、欲求で分類される男性6タイプ
 クラスタ別の容姿とモテ ほか

第5章 なぜモテと性格がこれほど重要になったのか?
 (1)SMAPコンプレックス
(2)ノレないとモテない ほか

第6章 女が男を選ぶ時代―雑誌「an・an」から見た変化 佐藤留美
 80年代、女は「選ばれる女」になりたくて必死だった
 ワルな男に惹かれた時代 ほか
 
第7章 「男性保護法」のすすめ
 肉食系女性が草食系男性に要求してばかりの社会
 セクハラをしているのは女性のほう ほか


【ポイント】

■派遣社員と正社員の格差の分析より(抜粋):

⇒派遣社員の年収は300万円〜500万円未満でほぼ頭打ちであり、40代になっても年収は増えない

⇒正社員は30代後半で33.8%まで未婚率が低下するが、派遣社員は70.7%までしか下がらない

⇒モテについては、正社員が「モテない」が16.4%しかないのに、非正社員では36.5%


■モテないこと、容姿に自信がないことが階層意識の低下に結びついている

 Z世代の男子では容姿に自信のない者、モテない者、非正社員は共に階層意識「下」が約74%である。つまり、Z世代、Y世代共に、経済状態並みかそれ以上に容姿やモテは階層意識を規定しているのである。


■「三高」(高身長・高学歴・高収入)+「三低」(低姿勢・低依存・低リスク)

 時代は「三高」から「三低」に変わったという人がいるが、それは間違いである。「三高」が否定されて「三低」になったわけではない。「三低」が決して「低身長・低学歴・低収入」を意味するわけではないところがミソで、女性の理想が「三高」だけにとどまらず、そこに「三低」が加わったと見るべきだというのが私の説である。


■現代の恋愛は自由競争市場であり、特に男性にとっては「優勝劣敗」「弱肉強食」「適者生存」の社会ダーウィニズム的様相を呈している

 昔の見合い結婚制度は様々な規制や商習慣に縛られた市場のようなものであり、自由が少ないかわりに誰もが少しずつ恩恵をこうむる、すなわち誰もが結婚できるというメリットがあった。
 ところが恋愛結婚が中心になると、誰もが自由に恋愛をする権利を与えられるが、しかし自分の好む相手と自由に恋愛をして自由に結婚するには能力が必要である。だが誰もがそういう能力を持っているわけではないので、自由恋愛市場においては恋愛能力の高い者はいくつもの恋愛を経験した上で結婚相手を選ぶことができるが、能力が低い者は一度も恋愛できぬまま終わる危険性も高い。また恋愛能力の高い者であっても、相手を獲得するための競争は昔よりも激しい。


■男性は癒し系を求めるが女性は自分の考えを主張したい

 男性の54.4%が「やさしい」女性を求めているが、18〜37歳の未婚女性で自分が「やさしい」と回答したのは14.9%にすぎない。(中略)

 逆に、男性が期待する以上に女性で多いのは「自分の考えをしっかり持っている」と「個性的」である。そういう女性が男性に対するとどうなるか。自分の考えや個性を認めて欲しいと考えるだろう。


■なぜモテと性格がこれほど重要になったのか(抜粋):

●SMAPコンプレックス

(「アキバ事件」の加藤容疑者がブサイクと回答した男性に)じゃあ、いったいなぜKや君の世代はそれほどモテや容姿にこだわるのか、いろいろ聞いていると、男性はこう言った。
「SMAPですね。歌って、踊れて、イケメンで、お笑いもできる。キムタクが動物の着ぐるみでコントしたら、いったい普通のオレたちはどうしたらいいのかって思いましたよ」


●コミュニケーション・ワークス(サービス業)がモテと容姿を必要とする

人間には、コミュニケーションワークスが得意な人もいれば、人間とは一切ふれあわず、じっとモノを作ったり、情報を分析したりする仕事がしたいという人もいる。ところが現在の日本では、モノを作る仕事は海外に移転してしまったので、国内には減ってしまった。その代わりに増えたのがコミュニケーション・ワークスだ。どちらかと言えば男性よりも女性のほうがコミュニケーション・ワークスは得意だ。求人もコミュニケーション・ワークスは女性が多い。必然的に男性の雇用先は減っていく。モノを作る仕事は得意だが人と会話をする仕事は苦手だという男性にとって非常に苦痛な社会になったのだ。


●選べないことに絶えられず、その選択でよかったという確信も持てない

恋愛結婚が珍しい時代には結婚相手は自由に選択できるものではなかった。これが戦後、自由恋愛、恋愛結婚が当たり前になった。そのことによって多くの人は幸せになった。
 が、完全に満足できるわけではない。なぜなら、選択の自由という観念が広がると、どんな選択をしても、その選択でよかったという確信が持てなくなるからだ。


■団塊ジュニア世代の女性が結婚できない理由(佐藤留美氏パートより)

 我々団塊ジュニア世代は、どんなにいきがっていようが、親が団塊世代だけあって、どこかでまだ保守的な思想――男は一家の大黒柱であり、女は良妻賢母であるべきという思考パターン――から抜けきっていない。従って、男が経済的に苦しいからといって、女は「私が食べさせてやろう」という発想にはなかなかならない。だからこそ、時代のせいで「下流化」していく男たちを、女たちは簡単に受け入れることができない。つまり、身近な「青い鳥」が、時代のせいで一人前の男として羽ばたけなくなってしまったことが、団塊ジュニア世代の多くがいまだに未婚でいる大きな要因になっているわけだ。


【感想】

◆1つ1つのパートで長めに引用してしまったのでこの辺で。

実は第7章の『「男性保護法」のすすめ』という本書のある意味キモである部分は、丸ごと割愛しております。

なぜならば、あまりにも大胆すぎるから(「正社員は男性を優先すべき」とか)。

下手に部分部分を抜き出しても、男女双方から誤解されちゃいそうな(マジで)。

気になる方は、ぜひ本書の方でご確認下さい。


◆というワケで、私が主に注目したのは、冒頭でも書いた「データ分析」を中心としたところ。

三浦さんと言えば、ヒット作「下流社会」で、その論説の根拠となったサンプル数が少ないことが一部で問題視されましたが、本書で用いられている調査では軒並み1000件超

その点では問題はないと思います。

あとはそのデータから「何をどう読み取るか」


◆例えば同じ加藤容疑者を見て、三浦さん世代(私もですが)はそのルックスは「普通」と感じますが、ジェネレーションY&Z世代だと「ブサイク」だったりします。

実は私も、「そんな悲観するほどひどくないんじゃ」と思ったクチ。

というか、私の世代も、「見た目はパッとしてなくても、真面目に勉強して、就職して、働いていればそこそこ幸せになれる」とマジで思っておりました。

それが「どうも通用しないらしい」、というのが本書を通じて切に感じたことだったり。


◆恋愛一つとっても、例えば私が学生の頃はケータイどころかポケベルもありませんでした。

ゆえに、当時そういうものがあったら「どんだけ女の子の連絡先聞けたことか」、とか自分では思っていたのですが、皆等しく同じツールがあったら、それはそれで「Winner Take All」だった可能性も大。

つまり下手したら、私の決して多くない恋愛経験が、さらに少なかった可能性もあるんですよね。

まるで、「ウチは小さいからネットで売ろう」とネット進出したお店が、それまで地域で健闘していたのに、全国を相手にすると全く歯が立たなかったというような感じ。

「恋愛資本主義」が、かくも過酷だったとは。


◆さらにもう1点、「選択に自信が持てない」というのは、つい最近記事にした『「R25」のつくりかた』でも読んだばかり。

参考記事:【メディア関係者必読!】『「R25」のつくりかた』藤井大輔(2009年02月15日)

まさに上記参考記事で言うところの「マキシマイザー」(情報がありすぎ、かつ行動した後で評価がわかってしまうので、満足度が低い)ですよ。

例えば、自分が付き合っている異性は、「自分が満足しているなら」、本来は何ら問題がないハズなのに、今や情報が過剰なまでに与えられてしまうがため、「やっぱ違うんじゃないか」と不安になってしまうという。

・・・逆に、その辺の情報に疎い子をさらに洗脳(?)して、自分の世界に引きずり込んでいるのが、一部の「だめんず」なのですが。

結局本書では、昔に比べて「結婚すること」がどんどん難しくなってきている、という現状が「これでもか」とばかりに描かれているわけです。


◆それに対する解決方法は、上記で触れた「男性保護法」がそうだと言えばそうなのですが、それはあくまで社会に対しての提言であって、当事者自身が何かしらできるというお話ではありません。

うーん、最終的には見てくれを改善して、コミュニケーションスキルを付けるしかないんですかね・・・?

かつて、「恋愛系メルマガ」を発行していたモノとしては(しつこいw)、そういったニーズがある、という前提で、今後もこれらのテーマのご本も扱っていこうかと思った次第。


該当するY,Z世代よりも、その上の世代にこそ読んで欲しい問題作です!



【関連記事】

理系のための「だから、男と女はすれ違う」入門(2009年02月16日)

【モテ】「また会いたくなる人 婚活のためのモテ講座」大橋清朗(2009年01月27日)

【格差】「セックス格差社会」門倉貴史(2008年12月02日)

【モテ】「草食系男子の恋愛学」森岡正博(2008年09月21日)

【独身必読?】『「婚活」時代』山田 昌弘,白河 桃子(2008年03月17日)


【編集後記】

◆今日もメインコンテンツに合わせて(?)「モテ本」を。

「モテ男=紳士」という鉄則。
賢く誠実な男であれば、仕事も恋もうまくいく。今、女性の心を惹きつけるのは、紳士としての気遣いや思いやりや立ち振る舞いだ。
最近まで、モテる男といえば「ちょいワル」な男とされていた。
超まじめな男さえもここぞとばかりにワルぶっていた。
しかし、それはもう過去の話なのである。
もはや「ちょいワル」ではなく、「ちょい紳士」がモテる時代となったのです ! 
女は「賢く、誠実な男性」=「紳士」を求めるようになったのだ。

◆以前、をご紹介させて頂いたことのある壇れみさんの新作(?)。

「テッパン男」自体、近所のブックファーストではランクインしてますからねー。

それにしても帯の藤田 晋さんの言葉は、奥菜(ry


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この記事へのコメント
               
smoothさん、こんばんは。記事をご紹介いただき、ありがとうございます。

本書で提案されている「男性保護法」は、話としては納得いく面があるのですが、「男女平等」という時代の流れに反しており、強くなった女性の大反対にも遭うので、実現は難しそうですね。

個人でできることは、ご紹介されているようなモテ本を参考にしつつ現場で恋愛力を高めるしかないのかもしれませんが、やはり実践する人としない人の格差が開きそうです。
Posted by bestbook at 2009年02月23日 23:02
               
>bestbookさん

「男性保護法」はどう考えても無理でしょうね〜。
そもそも上の世代は「男が弱い」なんて考えもしないでしょうし。
その点で、本書は団塊世代の方とかに読んで欲しいですね。

それと格差については今後も広がることはあっても、縮まるとは思えませんね。
私がここで恋愛に役に立つ本を紹介して、格差が縮まるのに貢献できるかというと、むしろ逆になる可能性も(汗)。

Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2009年02月24日 02:33
               
smoothさん、どうもごぶさたしてます(^^;)。高齢毒男のきくです。

p68からの「インタビュー:時代と女性についていけない男たち」を読んでると、とても人ごととは思えません、というか、これは自分がインタビューされてもたぶん同じコト言うかと(苦笑)。

「個人でできること」にフォーカスしますと、bestobookさんが上で書かれている「ちゃんと恋愛力を高めなさい」という王道は、そもそも自分を含む非モテにはハードル高すぎるかなと感じます(^_^;)。

というのは、「コミュニュケーション力」は、多少後天的な努力でなんとかリカバーできるにしても、「容姿」「財力」は実質どうにもならないからです。

※ strengts finder好きとしては「コミュニケーション力」もかなり先天的な要素が多いかなと感じます

むしろ、毒男が毒男なりに、ちまちま幸せを感じられるか、いっそのこと幸不幸を超越できるような生き方を模索した方がいいような気はします。

参考文献;池田清彦『がんばらない生き方』(http://www.amazon.co.jp/dp/4806132845)、諸富祥彦『偶然をチャンスに変える生き方』(http://www.amazon.co.jp/dp/4478004277)、小池龍之介『煩悩リセット稽古帖』(http://www.amazon.co.jp//dp/4887596820)
Posted by きく at 2009年03月01日 01:19
               
>きくさん

あそこのインタビューですが、もっと後ろに女性陣のインタビューがあるじゃないですか。
意図的なのか何なのか、「肉食系女子」みたいなのばかりピックアップしていて、どうなの、と思いましたよ。
でも、今のあの世代の女性が、皆あんな感じだったら、私だって毒男だと思います。

ただ、「容姿」と「財力」については、それぞれ「それなりに」ですけれど、改善はできそうな。
私のように、結婚して子供が生まれて、いずれも「改悪」しちゃうケースはありますけど。

あと、ストレングスファインダーで言うなら、私も5番目に「コミュニケーション」が入っていたのですけれど、某専門家の方曰く、「コミュニケーションは、自分の内側にあるものを、言葉という道具を使って表現したい、という強い欲求資質です」とあったので、一般的なコミュニケーションとはちょっと違うのかな、と。

もちろん、無いよりあった方が、対人関係は何となく良さそうですけどね。

ご紹介頂いたご本、機会があればチェックしてみます!
・・・日ごろ行く棚になさそうなラインアップなんですが(汗)。
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2009年03月01日 03:42
               
smoothさんこんにちは

「肉食系?女子」インタビューについては、年齢(26〜30歳)というのがキーポイントと感じています(強気に出れる)。ただし、高齢毒男として周りの同年代毒男毒女を見回すと、意外とこの発言の構図は崩れないようです。つまり、10年後も(強気率は多少変われど)男女とも同じインタビュー内容に終始してしまいそうです(^_^;)。

『また会いたくなる人』も読んでますが、ストレングスファインダーで「関係資質」(コミュニケーション 共感性 親密性 包含 個別化 責任感 調和性)が低く出た場合、早くも第1章の「愛される基本」のところで挫折する(正確には「自分の改善に気合いが入らない」か「的はずれになる」)可能性があるかもと憂慮してます。

なお、さきのコメントに書いた3つの本のうち、真ん中の諸富先生の本『偶然をチャンスに変える生き方』は、ビジネス書の近くにある可能性が高いですよ。内容が、クランボルツの「キャリア心理学」をベースにしているのと、版元がダイヤモンドさんなので。
Posted by きく at 2009年03月01日 12:24
               
>きくさん

>つまり、10年後も(強気率は多少変われど)男女とも同じインタビュー内容に終始してしまいそうです(^_^;)。

以前、自分の記事にも書いた先輩(今年49歳独身で、まだあきらめてない)を思い出します。
「ここまで来たら妥協できない」とのことです。

ストレングスファインダーの件は、あきらめるために用いるのではなく、強みを見つけて頂きたいような(笑)。
私は有料でやってないので、上位5つしか知らないのですが、ひょっとして全項目ご覧になって、関係資質が軒並み下だったとかでしたら、おっしゃるような可能性はありますね。

それでも、「周りが放っておかない」くらいの魅力があればいいんですけどねー。

それと、ご本の件、了解しました。
機会があればチェックしてみます!
ありがとうございました。



Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2009年03月02日 01:16