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2009年02月19日

【オススメ】「断る力」勝間和代


断る力 (文春新書)
文藝春秋
発売日:2009-02-19
おすすめ度:3.5


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、いよいよ発売となった勝間和代さんの新刊。

事務所界隈の書店でも、早いところでは昨日午後から並んでいました。

そこで仕事を早めに切り上げて(ヲイ!)、一気読みして記事を仕上げてみた次第。

新書なのにほぼ300ページの大作に知恵熱が出そうでした!


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【目次】

はじめに

第1章 [総論]「断る力」の圧倒的な効用を理解する

 「断る力」がない人たちは自己主張ができない人たち
 「断る力」がないと「2ちゃんねる」で不満をぶちまけてしまう
 正しいかどうかは関係ない。あるのは相手の「認識」だけ ほか

第2章[ホップ]自分の揺るぎない軸を持つ

 自分に責任を持てるのは自分だけ
 ビートたけしさんの「毒舌」の正体とは?
 上手に「断るリスク」を取る具体的なコツを学ぶ ほか

第3章[ステップ]相手への建設的な影響力を発揮する

 「空気」を読んだ上で無視できる力をつける
 「影響の輪」を常に意識しよう
 上司は思いつきでものを言う ほか

第4章[ジャンプ]「断る力」で、自分と周囲の好循環を作る

 「断る力」を身につけると、人間関係が目に見えて変わる!!
 人との関わりの中で「自分の軸」が革新していく
 相手を相対化する ほか

おわりに


【ポイント】

■「断る力」と「実力」は「鶏と卵」の関係

よく、「実力があるから断れる」「力関係で強いから断れる」のだろうと言われます。それはまったくその通りです。その否定はしません。でも、こちらが断るためには、実力をつける必要があります。そして、実力をつけるには十分な研鑽と準備が必要で、そのためには自分の実力の出せないような、余計な仕事をしている暇はないのです。


■アサーティブの4つの考え方:

1.誠実(自分の気持ちに気づいて、ごまかさないこと)

2.率直(気持ちや要求を伝える時は、相手にきちんと伝わる形で行うこと)

3.対等(自分を卑下したり、相手を見下したりしないこと)

4.自己責任(自分の行動の結果をすべて、自分で引き受けること)


■「コモディティ」と「スペシャリティ」の一番の違いは、相手にとって「コモディティ」はコスト勘定で処理されるが、「スペシャリティ」は投資勘定として処理されるということ

すなわち、「コモディティ」とつき合うことはつき合う相手の売上や収入を上げることではないので、なるべく安い相手や使い勝手のいい相手を探すことになります。それに対して「スペシャリティ」になるということは、相手が実行しようとしている仕事の対価そのものを上げるため、たとえ高い対価を払ったとしても、それ以上の利益が得られる場合には、喜んで対価を払おうとすることです。


■「断らないこと」のメリットは「モノを深く考えないで済む」ということ

断らない、人の言うことにしたがっていく、ということは私たちを思考停止にしたとしても、ある程度は成果が出てしまうのです。(中略)

しかし、問題はそのアドバイスをしてくれた親、友人、上司、恋人が間違っていたらどうするのでしょうか?そして残念ながら、よほどの人でない限り、自分以外の人のことは、自分のことほどは真剣に考えていません。しかも、たとえ真剣に考えてくれていたとしても、もちろん、しばしば間違えるのです。


■普段のさりげない行動、生活の中で、いかに「自分を他人に勧めてくれるくらいのファン」を作っていくか

すなわち「人に嫌われない工夫」をするよりは「自分のファンを作っていく工夫」を心がけた方が、中長期的には効果が高くなるのです。なぜなら、中立的な人物には忘れ去られてしまうし、私がずっと言ってきた「コモディティ」から抜けきれなくなります。「スペシャリティ」な人とは、すなわち、NPS(推薦者の正味比率:Net Promoters Score)が高い人なのです。



■嫌われる原因を「自分に起因しているのか、相手に起因しているのか」に大きく分類し、自分が気を使えば直せる部分については、極力気を配り、考え、防いでいく


■私たちが相手からどのように対応して欲しいか、取り扱って欲しいかは、私たちの言動が相手に教えている

史上最強の人生戦略マニュアル
きこ書房
勝間和代(翻訳)
発売日:2008-09-27
おすすめ度:4.5


■私たちの生き方の中で、どの方向に進んで、何を成し遂げるべきか、何について考えるべきかと言うことは「自己評価に始まって、自己評価に終わる」と言い切っても過言ではない

 また、正しい自己評価があるかどうかは、私たちがリスクを取る際にも、適切なリスクを取れるか、取れないかの分かれ目になります。アンダーセンやマッキンゼー時代の同僚が何人か、エグゼクティブ・リサーチャー、いわゆる転職エージェントになっていますが、その複数の人たちが口を揃えて言うのは、

 ◎自己評価が正しくない人は、転職しても高い確率で失敗する

という感想です。その人が客観的に優秀だったとしても、自己評価がそれ以上に高いと、転職が成功しないそうです。


■努力というのはすなわち、「あらゆる人に1日24時間平等に与えられた「時間」という資源をどのくらい、集中して配分するかという「資源配分」の問題

 すなわち、努力については、以下の2点について集約されます。

 ◎自分がそういった時間を配分してもいないのに、他人が得意なことをうらやましがってもしょうがない
 ◎どの分野が得意か不得意かというのは、自分のこれまでの時間配分の結果である


■「欠点」「不得意分野」への対処は、「ちょっとした努力で向上できる部分については改善を心がけるが、あまり時間を使わないようにする、あるいは意図的に放っておく」

 例えば初対面の人とのコミュニケーション能力に難があると指摘された場合には、笑顔の練習をするとか、わかりやすいパターン練習をいくつか繰り返して最低限のレベルをクリアするくらいまでの努力は行いますが、初対面で相手の気持ちをガッチリつかんで放さない、なんてレベルに達するまで努力をすることはあえて避けるということです。


【感想】

◆読む前はタイトルからして、てっきり「勝間和代のインディペンデントな生き方 実践ガイド(以下「インディ」)」にも登場した「アサーティブ」についてのご本だと思っていました。

もちろん、それも大きなテーマとしてあるのですが、本書の特徴として挙げられるのが、「ネット時代における立ち振る舞い方」に関する辺り。

2ちゃんねるやmixi、アマゾンのレビューを見ないという著者さんが多い中、勝間さんはしっかりチェックして、しかもプロファイリングまでされているよう。

『「果たし状」ブロガー』のくだりには、正直驚きました(詳しくは本書を)。


◆もっとも勝間さんをはじめ、著者さんたちがネット上で非難中傷されることがあるのも、「出ている杭」だからこそ。

私たち自身もおそらく、「いじめ」「村八分」を避けるために、周りに気をつかっていたり周りに合わせていたこともあったハズ。

そして今までの日本社会は、さまざまな提案・要求を「断らない(断れない)」ことによって、出るべき杭も出ないようなシステムになっていました。


◆ただし、今後はどうなるかわかりません。

求められる生き方が、「リスク・ミニマイズ」から「リターン・マキシマイズ」へと、変わっていく可能性は高いのではないでしょうか?

それなのに、必要な時に「断れない」でいると、上記で挙げた「コモディティ」となって、切り捨てられてしまう可能性もあります。

ゆえに、「断る力」が必要である、と。


◆そして「断る力」を行使するために大事なのは、適切な「自己評価」

何が得意で、何が不得意かを認識しておかなければなりません。

本書ではいくつかの方法が提示されているのですが、お馴染みのところでは、「さあ、才能(じぶん)に目覚めよう」に出てくる「ストレングスファインダー」が。

参考記事:【自分の"強み"を調べてみました】「さあ、才能(じぶん)に目覚めよう」マーカス・バッキンガム


◆参考記事にも書いたように、私の「強み」は上から

「最上志向」「学習欲」「親密性」「未来志向」「コミュニケーション」

の5つ。

つまり、これらの資質に関与するものに時間を配分していくのが、私の望ましい生き方なワケです。

なお、本書によるとストレングスファインダーは上位5つだけでなく、その他の資質の順位も有料でわかるよう。

それがあれば、逆に順位の低い苦手なものについては、上記ポイントで挙げたようにあきらめる(割り切る)ことも可能ですね。


◆最終的には、第2章にもある「自分の揺るぎない軸を持つ」

これこそが「断る力」を手に入れるためのカギではないかと思います。

ただ、その前の第1章「「断る力」の圧倒的な効用を理解する」だけで110ページもあるのが、やはり「断る力」を行使する際のメンタルブロックの大きさを意味しているような。

「断ることによるリスク」をとることができるか否か・・・。

私はキャラ的「断れない」方が似合ってるんですけどねー。


◆本書の内容は「コミュニケーション」に留まらず、むしろ「ブランディング」や、「働き方(ビジネススキル)」にまで言及しており、カツマーのみならず、「自己啓発書好き」ならきっと満足できるかと。

さらに、その「コミュニケーション」リアルだけでなく、「ネット対応」なのが、おそらくブロガー著者さんにもありがたいハズ。

あえて割愛させて頂きましたが、私は「ロイヤリティの高いファン作り」のあたりに付箋貼りまくりましたよ!

読者さん、(屮゚∀゚)屮 カモーン ←アサマシw


新書でも手加減なしの「破壊力」デス!

断る力 (文春新書)
文藝春秋
発売日:2009-02-19
おすすめ度:3.5


【関連記事】

【勝間式自己啓発本】「起きていることはすべて正しい」勝間和代(2008年11月29日)

【スゴ本】「史上最強の人生戦略マニュアル」フィリップ・マグロー 著・勝間和代 訳(2008年10月01日)

【自分の"強み"を調べてみました】「さあ、才能(じぶん)に目覚めよう」マーカス・バッキンガム(2008年06月26日)

【新インディ】勝間和代のインディペンデントな生き方 実践ガイド(2008年03月01日)

【新ビジネス・ゲーム】「会社でチャンスをつかむ人が実行している本当のルール」福沢 恵子,勝間 和代(2007年06月20日)


【編集後記】

◆当ブログにおける2008年売上年間ランキング、第5位の「脳力200%活用!究極の勉強法」が、なんともう文庫化!


参考記事:【英語学習】「留学なしでTOEIC985点 彼女は何を選んで勉強したのか」&「カリスマ税理士のオススメ英語書籍」(2008年03月19日)

まだお持ちでない方は、この機会にぜひ!


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断る力 ?? 人間は誰しも「誰からもよく思われたい」と思っています。 しかし誰からもよく思われたいという気持ちが逆に 嫌われる結果につながることがよくあります。 特に女性に多く...
誰からも好かれるなんて無理/断る力/感想【Kuwako-Lab.com】at 2009年02月20日 20:18
                               
この記事へのコメント
               
初コメです。
いつも拝見しています。
断る力、
近所の本屋さんを回ってもありませんでした・・・。

自分を知り、価値を出せないところでは安易に引き受けないこと、とても大事ですね。

岡島さんの人脈力にも同じようなことが書いてあったように思います。

明日は全国の書店に並ぶのかしら…
楽しみです!

ご紹介ありがとうございました。
Posted by あきのり♀ at 2009年02月19日 20:17
               
どうも、こんばんわ〜!

ワタクシも勝間さん流アサーティブ論だと思っていた1人です。商品紹介の「34歳で初めて・・・」のくだりが妙に記憶に残っています。

田舎者は黙ってamazonですが、
amazon組の到着は明日です(泣)

ではでは読破した後、また今日のエントリーを読ませていただきますね〜
Posted by ゆきんこ at 2009年02月19日 20:34
               
アサーションに関しては、もう数年以上前に流行った中で
(今となっては流行遅れですよね)
今回この本が出版された意義をどう捉えていらっしゃいますか?
Posted by さやすず at 2009年02月19日 20:37
               
こんにちは^^2度目のコメントです。
『「断らないこと」のメリットは「モノを深く考えないで済む」ということ』というところを読んで、smoothさんオススメの「影響力の武器」のカチッサーを思い出しました。
深く考えないことの恐怖(言いすぎ!?)について深く考えないと。
Posted by orangeee13 at 2009年02月19日 21:58
               
>あきのり♀さん

初めまして、コメントありがとうございます。
ブログ、いつも拝見頂き感謝です。
近所の本屋さんになかったですか〜。
無駄足踏ませてしまったようでスイマセン(汗)。
こちらは事務所が都心にあるため、どうしても新刊が欲しい時は、地下鉄に乗ってオアゾ丸善まで行ったりしております。

岡島さんの本も、実はこの本の中で紹介されているんですよ!
読むのを楽しみになさってくださいマセ。

>ゆきんこさん

ゆきんこさんには、どちらかというと、著者としてのネットでの立ち振る舞いの部分を重点的に読んで頂きたいな、と。
勝間さんほどプロファイリングできる方はマレだと思いますが。
そもそも、アマゾンのレビューすら見ない、という著者さんも多いですし。

>さやすずさん

もうお読みだと思いますのでアレですが、この本は「新インディ」の続編に当たるので、おそらくあの本読んで、「変わりたいけど変われない」人の主要因が「断れない」ことにある、と分析されたんじゃないかと思っています。

後は、今週刊モーニングで連載されているコラム(『誰でもできる』日本支配計画)にも関連しているのかな、とか。

>orangeee13さん

コメントありがとうございます。
ご指摘のように「カチ、サー」ですよね、まさに。
断らないと、考えないで従うだけなので、楽といえば楽なのですが、それではやっぱまずいと思います。

その辺をできるだけ波風立てずにやるのが「アサーティブ」なので、広い意味では「アサーティブ」の本だとは思うのですが、さすが勝間さんらしく、新書らしからぬ濃厚さですよ〜!
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2009年02月20日 00:36
               
smoothさん、こんばんわ。

お昼ごろから記事がでているのは存じておったのですが、
自分で本を読み終わってからこちらを読ませていただこう、と思ってうかがいました。

「インディ」の続編というところに納得
(あとがきを読むまで知らなかったので。)

読んでよかったです。

余談ですが、先日ご紹介の『ヘルスハック』が本屋になくて、(『断る力』と一緒に買おうと思っていたのですが。)
それはこちらからアマゾンアタックさせていただこうと思います☆
Posted by 氷山に登るひと at 2009年02月20日 00:51
               
内容うんぬん以前に、
この表紙じゃ恥ずかしくて
リアル書店では買えない!

いい加減顔出しはやめて欲しいでねぇ。

Posted by 鍋 at 2009年02月20日 01:07
               
>氷山に登るひとさん

そちらの記事も拝見しました!
なーるほど、もともと「素養」がおありのようですね!
私は勝間さんの「割り切り方」が参考になりました。
逆に、あそこまでは割り切れないのですが(汗)。

そして、『ヘルスハック』のアマゾンアタック、ありがとうございます(涙)。
川田先生もお喜びのことと思います。

>なべさん

ご無沙汰です。
顔出しについては、買うだけ買ったら、帯を外せばノープロブレムです!
外で買うのが恥ずかしければ、ぜひとも当ブログにてお買い求めいただければ、と(笑)。

あと、顔出しについては、おそらく出版社(それも上層部レベル)からは強い要望が出ていると思いますよ、常識的に考えて。
一度も顔出ししてない(顔出し不可の)人ならともかく、ここまで売れてたら、顔出した方が売れて当たり前ですし。

逆に、顔出さない方が部数出るなら、勝間さんなら出さないと思いますね。

てか、顔出さない方が売れるなら、勝間さんに限らず、自分が出版社の上の人間だったら、絶対出させないですよ(笑)。
独占的にその著者を抱えるわけじゃない以上、自分ところで出した本が売れるようにするのが、正解ですから・・・。
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2009年02月20日 02:59
               
smoothさん、おはようございます!
こちらも早速読みました。
張り手ポーズが目立つんで、
電車の中で読むのは恥ずかしいです( ̄○ ̄;)

アサーティブな会話法の本かな?
と思ったら、ネタが盛りだくさんでしたね。
お友達の心理学者の方が分析した
「ネガティブコメントの分析」が
個人的にはツボでした。
勝間さんのブログに書き込むと、
こんなところまで分析されるのか・・・。

では!

Posted by じゅにがも at 2009年02月20日 10:35
               
>じゅにがもさん

そこを電車の中でも堂々と読むのが、カツマーなんですよっ!
私もカバーなぞつけずに直立不動でバスの中で読んでて、あやうくコケるところでした(実話)。

私もプロファイリングのところはツボでした(笑)。
今回も2ちゃん絡みのことなんか、わざわざ書く必要もないと思ったのですが、あえて書いて、反応を調査しているのかもしれませんね(笑)。

Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2009年02月21日 02:54