2009年02月03日
【オススメ!】「できる新人指導者の躾けるチカラ」落合文四郎
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、昨年「Yes,Boss!のすすめ」という隠れた名著(失礼(汗))をお出しになった、落合文四郎さんの最新作。参考記事:【オススメ仕事術】「Yes、Boss!のすすめ」落合文四郎(2008年07月10日)
あ、でもこの本、あまり知られてませんけど、上記紹介記事をご覧頂ければお分かりのように、仕事術系の本としては「激オススメ」です(マジで)。
そんな落合さんの新作のテーマは「新人教育」。
一人でも部下がいらっしゃる方、今年4月から新人が入りそうな職場のな方なら必見です!
いつも応援ありがとうございます!
【目次】
第1章 プロローグ
・プロローグ
・育たないのは「今どきの新人が原因」?
・昔から変わらない「OJT=放置」の図式
第2章 新人への「躾のすすめ」
・与えられる側から与える側への意識変革を迫る
・最初の三年間で社会人としての礎を築く
・新人指導は管理職への登竜門
第3章 最初の三年間で社会人としての「型」を身につけさせよ
・「心・技・体」の「型」を身につけさせよ
・社会人の「心」の四大原則
・最初の三年間で最低限習得させるべき「技」
・成長し続ける「体」力をつける
第4章 新人指導の技術と心構え
・新人指導の「三種の神器」と「三つの心構え」
・ティーチングの技術
・コーチングの技術
・フィードバックの技術
第5章 新人をすくすく育てる人の習慣
・新人を大きく育てる10の哲学
・新人との信頼関係を醸成するコミュニケーションTIPS(コツ)
第6章 エピローグ
【ポイント】
■学生時代は、試験に代表されるように「正解」が存在するものが多くあるが、社会人には「これをやっていればいつも百点」という類の正解は存在しない「こういう場面ではこういう行動をするのが最適」というようなマニュアルをいくら読み込んで覚えても、何の意味もありません。
もっと本質的なことが重要なのです。社会人として生き抜いていく基本的な価値観を身につけることが重要なのです。そのような基本的な価値観を身につけることなしに、いくら知識やスキルを身につけようとしても、それは砂上の楼閣にすぎません。何かの拍子に、もろくも崩れ去ってしまうのです。
■社会人である以上「与えられる側」から「与える側」にならなければならない
⇒与えられる側と与える側の本質的な2つの違い
●「与える側」であれば何もしないのは悪(主体性が求められる)
●「与えられる側」であれば基準は自分でいいが、「与える側」ならば基準は相手
■社会人の「心」の四大原則(抜粋):
●大原則二<相手ありきの発想>
ビジネスにおいて、成果の良し悪しを判断するのは自分ではなく相手ですから、「自分ありき」ではなく「相手ありき」の発想が大切なのです。
●大原則三<自己責任の捉え方>
「自己責任の捉え方」の反対は、「他者責任の捉え方」です。
■「BAD NEWS FIRST」(良くない出来事こそ、早くホウ・レン・ソウせよ)
特に、本人が原因となって問題を起こした場面では、本人からすると上司に報告しづらいと感じることがあります。しかし、これは誤りであって、良からぬ情報こそ、なるべく早く上司に報告させるべきなのです。問題を起こしてしまった本人にとっては、その問題はとてつもなく大きいことに感じますが、大抵の場合、早急に応急処置をすれば、会社全体にとっては大した問題ではありません。
■ビジネスのコミュニケーションはプライベートのコミュニケーションと異なり、「関係性が薄い相手」と「目的を達成する」ためのものであり、「相手ありき」の心が重要になってくる
⇒習得すべきは、相手ありきの「読む・聞く・書く・話す」(抜粋)
●相手ありきの「聞く」
ビジネスにおける「相手ありき」の「聞く」とは、「みずから相手の目的の全体像を押さえる」ということを意味します。
●相手ありきの「書く」
ビジネスにおける「相手ありき」の「書く」とは、「1回で相手からの即OKを引き出す」ということです。もう少し具体的に言えば、「読む人の立場に立って徹底的に『考え抜いて』書く」ということです。
■配属された新人がこれから育つか否かは、「才能」や「学歴」ではなく、「経験量」で決まる
ここで言う「経験量」というのは、「過ごした時間の量」ではありません。「経験量」というのは、「新人がみずから、ありたい姿に向かってチャレンジした経験と、そこから得た学びの量」のことです。ですから、たくさんの時間を会社で過ごしたとしても、みずから、ありたい姿に向かってチャレンジしたことが1つもなければ、経験量はゼロとなります。
■継続的に成長させる2つのポイント
●チャレンジの数をたくさん積ませること
●1つひとつのチャレンジからたくさんのことを学ばせること
■成長する新人は、同じことを聞いていても他の人の2倍以上のメモをとることができる
ポイントは「質」ではなく「量」である、ということです。すくすく成長する新人の書くメモの質は、そうではない新人が書くものと大して変わりありません。でも、その「量」が違うのです。
■新人を指導するときには、新人にとって「変えられるもの」と「変えられないもの」を見極め、「変えられないもの」に執着するのではなく、「変えられるもの」に優先的に取り組むことをすすめる
■新人が身につけるべきは、「ボールを遠くに投げる習慣」
「ボールを遠くに投げる」というのは、一歩先を常に考えて、より上位の目的を意識するということです。(中略)
営業のときに、「受注をもらおう」と思って活動していると、なかなか受注はもらえない。なぜなら、「ボールは手前に落ちる」という法則があるから。受注のさらに向こうを見据えて、「お客様に、こういう貢献をしよう」と思って活動をしていると、「ボールが手前に落ちても」受注をとることができる。
【感想】
◆ずいぶん飛ばしたんですが、ここまででまだ第3章。次の第4章では、新人指導に関してかなりテクニカルな内容が展開されます。
付箋を貼ったところからいくつか選んでも・・・
●新人指導の「MUST/CAN/WILLの輪」
●ティーチングとコーチングの使い分け
●適切な「お詫びの仕方」とその指導例
●質問をする際の「GROWモデル」
●「プラスはたくさん、改善点は絞る」
●フィードバックの4つの伝え方の使い分け
なんてところが。
これは、マジで「新人(含む部下)指導の際の必読書」と言えそうな充実振りです。
◆よくよく考えてみたら、私も新人時代、最初の人事部による新人研修期間にはキチンと指導を受けていたものの、実際に配属されてからは、なし崩し的に働いていました(遠い目)。
具体的な「個々の仕事のやり方」については教わった記憶はありましたが、上記ポイントに挙げたような「社会人としてもっと根底にあるべきもの」のような類の話は、ついぞや聞いたこともなく。
・・・と、いきなり禁断の「他者責任の論理」を振りかざしてみるテストw
それより何より、「自分が新人時代に指導されなかった」という話以前に、自分も「新人の指導の仕方」なんて教わったことなかったですよ。
私はたまたま、後輩を指導する世代になる直前に脱サラしてしまったのですが、おそらく元いた会社では、今でも個々の職場レベルでそれぞれ独自に指導していると思われ。
◆また、本書を読んで実感したのが、最初の研修期間だけでなく、実際の業務を通じてこそ、新人は育つということ。
ただし、一般的に言われる「OJT(On the Job Training)」も、実際には『OJTという名のもとの「放置」状態』である可能性も否定できません。
本書の第1章に「OJTが機能している会社/機能していない会社」の比較があるのですが、その筆頭に上げられていたのが、「新人各人の成長度合いの違い」。
機能していない会社が「新人の中でも成長している人と成長していない人との差が大きい」のに対し、機能している会社は「多少の差はあるものの、新人全員が成長しており、底上げされている」と、その差は歴然です。
◆「そんなこと言っても新人なんてピンキリだ」と言う話もごもっとも。
ただ、本書で展開されているのはどのレベルの新人であっても有益な、「新人を成長させるために適切な指導方法(ノウハウ)」。
実践した場合としなかった場合の成長の差は、入社当時のそれぞれの新人たちのレベルの差よりも大きくなるであろうことが容易に想像できます。
このように、「成り行き」とは違った形で成長させることこそが、本当の教育なのではないか、と。
◆また、自分自身がそうだから思うのかもしれませんが、ビジネス書読んだり、セミナー行ったりする人の中には、自分のスキルを高めることは得意であっても、人のスキルを高めることには、それほど得意でない人が多いような(偏見?)。
そんな方でも、入社後何年か経てば部下が入ってきますし、ある程度の職歴になると部下育成能力も評価の対象になってきます。
私は幸か不幸か(?)部下がおりませんが、もし部下がいたら本書は絶対熟読決定。
誰も教えてくれないからこそ、自分で読んで学ぶ必要があると思います。
この内容と250ページ超の厚さで1,260円って安杉w
【関連記事】
【Amazonキャンペーン有】「超!部下マネジメント術」石田 淳(2009年01月23日)【Amazonキャンペーン有】『部下の「やる気」を育てる!』小林英二(2008年09月24日)
【Amazonキャンペーン有】「上司という仕事のつとめ方」松山 淳(2008年09月18日)
【五者たれ!】「できる人の教え方」安河内哲也(2007年07月24日)
「だから、部下がついてこない!」嶋津良智(2006年09月30日)
【編集後記】
◆冒頭でもご紹介した、落合さんの第1作がこちら。お読みいただいたMasterさんの記事。
Yes、Boss!のすすめ:オンライン書評図書館 -Blue Sky Horizon-
私は入社●十年ですが、オススメwこの本は入社3年目の仕事論として本当に良くまとまっている。精神論だけではなく、コンサルタントらしい仕事の発想や行動習慣もかなり具体的に示されている。自分の中ではこれは確実に殿堂入り本。今後一年はこれを何度も読み返して、示されていることをやっているかどうかを確認する必要がある。
ご声援ありがとうございました!
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質問の前提がわからないので、答えようがありません(涙)。
それと当ブログは質問コーナーではないので、ご紹介した本と無関係なご質問は、一般的な掲示板やYahoo!知恵袋等でお願いしますネ。
http://chiebukuro.yahoo.co.jp/
『Yes,Boss』本で取り上げていただき、ありがとうございます!!
この本は本当に今読み返してみても、なるほどなぁと思うことが多いです。
また、『躾け本』、Amazonアタックさせていただきます!!
『Yes,Boss』本の自分のブログの記事へのリンクURLが正しく設定されていないようです。。。
以下、自分のブログの書評記事は↓です。
http://bookdiary.livedoor.biz/archives/51495912.html
お手数ですが、正しく設定していただけると、とても嬉しいです。。
アマゾンアタックありがとうございます!
なのに・・・。
リンク漏れしててスイマセン!
今入れなおしましたのでお許しを。