2009年01月19日
【情報処理】「情報力」橋本大也
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日一旦まとめて記事にしてしまった、橋本大也さんの、「ハック」本。同じシリーズで、一足先に単独で記事にした佐々木正悟さんのご本と同じく、「厚さは薄いものの中身は濃い」出来に仕上がっています。
この手の「デジタルハック系」の書籍としては、かなりクオリティが高いと思われ。
「予想以上に使える」1冊です!
【目次】
1 情報力とは何か
情報は膨大だフィルターをかけろ!
分類/収納の時代から検索の時代へ
ハイパー個人のためのツール ほか
2 情報収集
自分専用の「情報センター」をつくろう!
検索の達人が使っているフレーズとは
信頼できる情報だけを見つけ出せ ほか
3 情報整理
電子スクラップ帳に情報を集約せよ
情報の要約と評価こそが情報パーツ作成の極意
情報パーツはビジュアル化しよう ほか
4 情報分析
情報は立体的に分析せよ!
消えた情報や人物の情報も分析できる!?
その情報はメジャーなのか? ほか
5 情報活用
情報を芋づる式に引き出す
連想で情報のつながりを抽出する
情報パーツを組み合わせてストーリーをつくる ほか
【ポイント】
■ツール選びの経験から学んだことは、「興味を持ったソフトは、しばらく使ってみる」ことたとえば電子スクラップ帳は100個とか200個はスクラップしてみないと情報蓄積としての価値が出てこない。デスクトップ検索ソフトも検索対象となるデータファイルが少量のうちは、フォルダで管理した方が便利だと感じられるだろう。だが、それを使って処理した情報量がある臨界点を超えると、突然に驚くほどの便利さに感動することがこの手のツールには多いのだ。
■メモや読んだ本、ボツになったネタなどの思考過程や作業ログは、徹底的に見える形で残しておくべき
少なくともあなたが何をしていたかを同僚や上司に説明できる。そして、そのログを見て、誰かが行き詰った思考を打開するアイデアをくれたり、誰かがその思考を引き継いでくれるかもしれない。
■検索の達人が使っているフレーズ(抜粋):
●「長年のご愛顧」・・・失敗事例を探す追加後
●「当選は〜発送をもって」・・・懸賞プレゼント情報を探す追加後
●「といえば」・・・連想関係を見つけるための接尾後
■情報はそのままスクラップとして登録するのではなく、一手間かける
●印象に残った箇所だけを抜き出す
●複雑な内容を短く要約しておく
●表や図にしておく
■情報のパーツ化に有効な作業(抜粋):
●評価の星や点数をつける
●ベスト3化
1位は簡単に決まるものだが、2位と3位の差をつけるには理由が必要になる。(中略)
ベスト3という情報のまとまりは、バラバラの3つよりも忘れにくい。人に語りやすいネタにもなる。そしてベスト3程度にとどめておくのもコツだ。ベスト5やベスト10では軸がはっきりしないし、思い出せないから。
■自分の書いたブログにある情報は、一度しっかり咀嚼し、消化したものだから、読み返せば内容が細部までよみがえってくる、つまり「他者への説明が未来の自分への説明になる」
■バイブレーション機能付きの小型タイマーでセルフマネジメント
アイデアを10分で10個出す、30分と時間を決めてWebで情報を探すなどセルフマネジメントが容易になる。私は読書ペースの確認によく使っている。1時間で100ページ読むと決めたら30分目にバイブレーターを設定しておく。途中で速度を意識するだけで、自然に早く読めるものなのだ。
■デジタルペンを使うと、オフラインでノートを相手にした思考内容と、コンピュータに残した思考内容を統合できる
●エアペン
●MVPen
■1枚企画書の8つの掟(抜粋):
●タイトル・・・企画全体を簡潔に定義する
●目的・・・企画の意図を言い表す
●理由・・・提案する行動が必要とされる根拠を説明する
●予算・・・お金の問題に触れる
【感想】
◆本書の著者の橋本さんとは、「忘年会議」の懇親会や、聖幸さん上京時のランチで、2度ほどお会いしたことがあります。ブログでは、考えをまとめられた上で、テキストに落とし込んでいるせいか、「理路整然」とした印象があるのですが、リアルではどちらかというと、「アイデア発散型」の面白いタイプ。
こんな姿をYouTubeにアップされるなんて・・・。
◆そもそも橋本さんは、大学時代にシンクタンクから依頼を受け、「米国シリコンバレーの有望なITベンチャー企業を自分で見つけた上で、会社概要と事業内容を整理し、市場性と競合関係を分析する」という、まさに「情報処理」作業によってお金を稼がれていたのだそうです。
このことは、本書を読むまで、私は知りませんでした。
私が大学時代にテニスと麻雀に明け暮れていたのとはえらい違いだな、と。
しかも橋本さんは、その後も「調査とコンサルティングのプロ」として働かれてきたワケですから、とんでもない「量稽古」をこなしてきたことになります。
本書のようなテーマでクオリティの高い本が書けてしまうのも、思わず納得。
◆さて、橋本さんが、本書でうたっている「ハイパー個人」とは、「ITとネットワークで武装して、情報処理能力を飛躍的に高めた個人」のこと。
そしてそれはそのまま、「橋本さんが大学時代から歩んできた道」の延長線上にあるものに他なりません。
実際、私たちがいきなり手を出して失敗する可能性もあったところ、橋本さんが、ヒトバシラとなって試されてきたツールも多々あるわけです。
つまり本書は、量稽古をこなした先輩の、「オススメ」部分だけいただける、「極めて効率のよいコンテンツ」ということかと。
◆また見開き右ページの下には、「使えるツール39選」ということで、ソフトやウェブサービス、グッズの簡単な紹介があり、これも見逃せません。
書評ブロガーとして知られながらも、コツコツとこういったツールもブログでご紹介されている、橋本さんの本領発揮といったところ。
私も超多用している「あとで読む」ですとか、たまに、実家に子どもたちの画像を送る際に使っている「SkyDrive」も紹介されています。
気になるものがあれば、これまたお試しアレ。
◆もちろん、本文で紹介されているものも含めて、こういったツール系は、もっと良いものが出たり、サービスが停止したりする可能性があります。
ですから、本のコンテンツとしては、今後劣化する可能性もなきにしもあらず。
ただし、「今現在」において、「情報処理」というテーマに立ち向かうに当たって、「ベストな布陣」を組むのなら、当然あってしかるべきものばかり。
そういう意味も含めて、今、すぐに読んで、2009年に活用したい1冊です。
旬なうちに、是非お召し上がり下さい!
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【編集後記】
◆今日の気になる1冊。タイトルがあまりに「新書チック」なもんで。
なるほど、「3分」で終わらせるのではなくて、「3分」で判断するわけですな。意先に媚びを売り、高級店で派手に騒ぐのが接待じゃない。酒の席を借りたセールス、
プレゼン、そして情報収集が真のねらいだ。その目的を果たすためには、相手をどう誘い、どんな店に連れていき、いかなる会話をするのが効果的なのか。
あなたの素顔や日ごろの生活ぶりがはからずも露呈する。いっしょに仕事をしたいかしたくないか、3分もあれば相手は判断するのだ。
ご声援ありがとうございました!
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遅くなりましたが、先日は素晴らしいランチありがとうございました!
「情報力」表紙だけのイメージで、手に取ってなかったのですが、ぜひ読んでみようと思います。
これからも、書評楽しみにしています!
先日は有難うございました。
「情報力」は個人的にも有用でした。
少しずつですが、紹介されたネット情報などを試しているところです。
私にとっては読みやすい手頃な厚さでしたが、中味は厚いかったです。
こちらこそお付き合い頂き、ありがとうございました。
この本、薄いので、リアル書店で手に取ると迷っちゃうのですが、実際に中身はかなり濃いです。
ぜひご活用下さいませ。
>ケイエムさん
先日はどうも(笑)。
色々な意味で出不精でスイマセン(汗)。
ケイエムさんは既に活用中ですか!
確かに薄さの割には中身は濃いですよね〜。
>しんさん
コメントありがとうございます。
「話し方」ということだと、当ブログはそれほど数はないのですが、カテゴリ「プレゼンテーション」でどうでしょうか?
http://smoothfoxxx.livedoor.biz/archives/cat_50000932.html