2009年01月16日
【実践的経営法】「レバレッジ・マネジメント」本田直之
【本の概要】
◆今日お送りするのは、前回の記事に続いて、本田直之さんの新刊。「面倒くさがりやのあなたがうまくいく55の法則」が、自己啓発系で、比較的若者向けっぽいのに比べると、本書はかなり骨太。
アマゾンの内容説明に『試行錯誤の中から作り上げてきた「実践的」経営論』とあるように、実際に本田さんが、会社経営において自ら体験したこと、実践したことをベースに書かれています。
◆また、本書の「はじめに」にはこうあります。
将来、経営幹部になりたい方、起業したい方も、必読です!なお、本書でいう経営者とは、経営幹部(役員、マネージャークラス)も含む。規模にもよるが、経営に参画しているメンバー全員が、「社長の目」で会社を見据え、「社長の頭」で考え、「社長のやり方」で行動しなければ、社員や会社を率いることは不可能だからである。
いつも応援ありがとうございます!
【目次】
第1章 経営者のレバレッジ
考える時間の余裕はあるか?
学んでいるか?
内部要因思考を持っているか? ほか
第2章 戦略のレバレッジ
舵取りをしているか?
売上は積上げ継続型か?
事業はフォーカスしているか? ほか
第3章 営業のレバレッジ
「お願い営業」になっていないか?
経営者がすべき営業を理解しているか?
商品・サービスの手離れはよいか? ほか
第4章 ブランドのレバレッジ
ブランドは大企業だけのものと思っていないか?
会社のキャッチフレーズは何か?
経営者のブランディングはできているか? ほか
第5章 仕組み化のレバレッジ
経営者と社員の仕事を切り分けているか?
仕組み化できるものは何か?
アクティブ・ルーチンになっているか? ほか
第6章 組織のレバレッジ
社員に武器を持たせているか?
共通言語・共通認識はあるか?
情報共有はできているか? ほか
【ポイント】
■「お金の投資」より先にすべきが「時間の投資」そして「考え、意思決定すること」こそ、時間を投資する行為であり、読書や人脈作りもまた、投資であるというのが私の意見だ。
■経営者がやるべきことは、自社の商品・サービスだけでなく(M&A的な意味ではなく)会社そのものを買ってもらえるようにすること
なぜ会社を商品として捉えるのがよいかというと、体系立って客観視できるようになるからである。会社を商品として見ると、「この商品を買ってもらうには、どうすればよいのか」と、あたかも商品の販売サイクルと同じように、体系立って考えられるようになるのだ。
■経営者が常に行うべき問いかけ⇒「自分がやっていることの中で、やらなくてもよいことは何か?」
■うまくいっていない会社は、「一過性」の売上がベースだが、うまくいっている会社は「積上げ継続型」の売上がベースとなっている
そこで、会社の事業やビジネスモデルを決める際には、「積上げ継続型」で売り上げていけるものを柱とすべきだ。選ぶ目安としては、「自分の会社の中で、一度顧客と取引が始まれば、基本的には長期にわたって取引が続くような事業は何か?」と考えるとよいだろう。
■1つの事業にフォーカスした場合のビジネス上の5つの実利(抜粋):
●経営資源を集中できる
●時間に余裕ができる
●会社がブランド化しやすくなる
■方向性は1つに絞っても、方策は複数用意しておかなければならない
■経営者は、ゼロから発明するのではなく、いつでもまねできるものを探し、応用する力を持たなくてはならない
経営の多くの課題には必ず前例がある。しかし、それを探す努力をしない経営者があまりにも多いのは驚きである。
■「誰が売っても売れる状態」にする4つのポイント(抜粋):
●売るものが明確かつシンプルであること
●商品の資料など説明のためのツールをしっかり作ること
■すべての人が同じように求めているたった一つのものが、「盛況感」
メディアの露出が多ければ、「あの会社は注目されているな」と思ってもらえる。(中略)
逆に言うと、パラパラとしか人が集まらないような説明会は開催してはいけないということであり、ここにも人間心理がある。
■小さな会社こそ、マーケットを創り出す意識で社名を決め、カテゴリーを絞るキャッチフレーズを作るようなブランディングを考えるべき
■会社の業務を仕組み化する際の二大原則:
●仕組み化には時間と労力を費やす必要があるので、やるべきものとそうでないものを区別する
●効率や成果の追求と仕組み作りは別問題なので、長期的な視点で業務を見る
■情報の共有は、受ける側・出す側の双方にとって良い訓練になる
うまくいった方法を人に話そうとするときは、体系的に説明しなくてはならない。するとノウハウを出す側は、自分の成功の手順を客観的に整理して振り返ることになり、自分自身にも再現性を持たせることができる。たまたまうまくいったものは説明できないが、体系立てて説明できれば、また同じようにできるということだ。
【感想】
◆本書は派手に付箋を貼りまくり、かつ、大量に割愛してしまった1冊でした。今回はその中からポイントとして抜き出す際に、「従来の本田さんの本のコンテンツとできるだけ毛色が違うもの」を優先。
それでも「俯瞰逆算会計法」ですとか、「経営者のブランディング」ですとか、「上位20%のケアをする」といった興味深い内容は、記事のボリュームの関係から泣く泣くカットしております。
まぁ目次を見て頂いてもおわかりのように、今回レバレッジをかけた対象は、従来と異なり「企業経営に関するものばかり」ですから、目新しい内容ばかりなのも当然かもしれません。
◆もちろん(抜き出しませんでしたが)、「本を読む」ですとか、「学ぶ」「人と会う」「コントリビューションする」というような、従来から推奨されてきたアクションも掲載されてはいるのですが、それらも皆、「経営者(幹部)としての目的を果たすため」と位置づけられています。
つまり本書は、ビジネスパーソンが「自分のスキルを高めるための本」というよりは、まさに「高めたスキルを実践するための本」と言えるものかと。
本書の「はじめに」にもこうあります。
つまり、本書は読み終えて「ああ良かった。ためになった」として終了するものではないということだ。全六章にわたって続く1つひとつの質問を自らに問いかけ、自分の会社の現状と今後の方向を考えていただきたい。そして巻末の質問リストも活用し、メモを片手に質問について答えを書いていくくらいの意識で、しっかりと取り組んでほしい。
◆私も今年から、「今までとはちょっと違ったジャンルの本」にも挑戦しようと思っていたところ。
中でも「経営」は避けて通れないジャンルだと思っていましたので、本書はまさにうってつけでした。
しかも、「理論だけの経営書」や、「著名経営者の大企業向け経営書」ではなく、もともとその「思考法」が、こちら側として理解できている本田さんの、「ご自身の経営・投資先を事例として書かれている」コンテンツですから、非常に分かりやすかったです。
◆「経営」という内容ゆえ、自分の本業としてはすぐに実践できるワケではないのですが、私の場合であれば、顧問先に対するアドバイスとして実践できそう。
また、一般のビジネスパーソンであっても、2、4、5章あたりは、非常にタメになります。
中でも、「日本ファイナンシャルアカデミー(JFA)」が、現在の名前になった経緯(特に考え方)には、深く納得。
私も、「いいかげん、今のブログ名でいいのか」、という従来からの懸案事項に改めて直面することになりました(ちょっと違いますがw)。
◆いずれにせよ本書は、昨日の「面倒くさがりやのあなたがうまくいく55の法則」とは違った意味で、お買い得感たっぷりと言えます。
装丁からコンテンツまで、まさに渾身の1冊。
巻末には久々に「おすすめブックリスト」もアリ。
1月の「指定読書本」に決定です!
【おすすめブックリストから】
◆全部で12冊紹介されていますが、当ブログでご紹介済み、もしくは私が読んでいるものor持っているものを中心にピックアップしてみます。なお、本書には本田さんの解説が付いてますので、ぜひそちらもお読みください!
◆昨今の「仕組みブーム」の本家本元。
参考記事:【号外】『「仕組み」仕事術』アマゾンキャンペーンのお知らせ(2008年03月03日)
◆この本はあまり知られていない(?)ようですが、かなりキテます。
参考記事:【超・仕組み系】「Hot Pepperミラクル・ストーリー」平尾 勇司(2008年06月04日)
◆これは以前読みましたが、かなりエグイです。
◆この本は、以前本田さんに薦められて買ったものの、読みにくくて(スイマセン)積読状態。
◆先日の鮒谷周史さんの旬放談の会でも推奨されていましたが、これまた積読状態。
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【編集後記】
◆昨日は、一昨日の服装の記事についたはてブホッテントリのおかげで、久々に1日のユニークアクセスが5000を超えました。ちなみに、私の次の目標が、この「ユニーク5000」。
それにしても、自分の目標が、こんなに大層なものだったとは・・・。
ご声援ありがとうございました!
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またビジネス本を読みだしています。
特にレバレッジ・マネジメントは最近よんだなかでもすごく良かったです。
大事なことが読みやすく書かれているので、おいらも線引きまくりでした!
ご無沙汰しております。
本田さんの渾身の力作だけあって、この本は読み応えたっぷりですよね。
私もこの本にはヤラレました。
ビジネス書、また読み始められたとのこと。
お時間があるときにでもココへお立ち寄りくださいね〜!