2008年12月28日
【勉強法】「ユダヤ人に学ぶ速学術」濱野成秋
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、一応勉強法の本なのですが、どちらかというと、ビジネスパーソンのための「知的生産術」的な内容もある1冊。アマゾンでは星が少なめだったのでどんなものかと読んでみたところ、確かにレビュアーの方が書かれているように、「本筋と関係ない部分」(笑)でポイント下げてる印象が大(汗)。
ただし、内容的には、あまり類書で見ない内容も展開されていたので、「勉強本オタク」としては、見過ごせないかな、と(笑)。
自分自身の勉強法と比較して、面白い発見(?)もありました!
いつも応援ありがとうございます!
【目次】
1章 ユダヤ的速学術の基本
活性知識を身につけるニューヨーク・ジュウ
集中時間4分30秒は感情記憶に ほか
2章 ユダヤ的スキルアップの実際
満員電車はわが仕事部屋
まず、当面の課題を見つける ほか
3章 ユダヤ的活性知識のそろえ方
自分だけのインデックスは使えるぞ!
満員電車でもやれる自家製インデックス ほか
4章 知識は「溜めるもの」です
歩留まり80パーセントの記憶術
知識活量はショパンの指と想起術 ほか
5章 覚え方のユダヤ的コーチ
気取った書斎より、ユダヤタイプの仕事部屋
仕事部屋のキャパ、小さいとだめか? ほか
6章 ユダヤ的英語記憶法
ユダヤ系アメリカ人の学者たちの工夫は?
ユダヤ人的上級英語構築力 ほか
7章 活性知識の増やし方
仕事部屋で打ち込む
ユダヤ人学者のデータ吊り下げ方式 ほか
8章 ユダヤ人は肉体に覚えさせる
鉛筆を握ってみる
ユダヤ人は指先を大事にする ほか
【ポイント】
■単位時間に自分に対して一定量の記憶を強いるのが「速学」の技法の第一歩■本の中身を覚えるときは、唇や舌をしっかり動かし、自分に言い聞かせるように行を音読し、それから本を閉じて、同じ事を口ずさむ
できなきゃ悔しい、できたら喜ぶ。そうやって毎回、心理学でいうところの、感情知能(emotional intelligence)に置き換えていく
■色彩そのものは、表層的な目立ちをうながすだけで、本にあれこれ線引きをしたり、ノートに赤や黄でやたら囲みを入れたりするのは、連鎖法記憶をするのに絶対にマイナス
■テキストの中身を吸収するには、ここぞと思った行の頭の部分に、読み込みから浮かび上がったキーワードを書く
マーカーを本に塗りたくる作業をする時間があるなら、ポイントごとに、たった1文字Qと書いてみよう。もちろん、Q&A方式のQであって、その答えは文中の、小さくカギカッコで囲んだ部分。そこに、Aと書いておく。
■本を読むときには、見返しに自家製インデックス(ページ数とキーワード)を書き、本文中には頭部にキーワードかimp.と書き添えておく
インデックスを見て、その箇所をすぐ開くのではなく、まず何が書いてあったか、口頭で声に出して言ってみる。それから、答え合わせをするかのように、該当ページを開いて確認するわけです。
■スクラップブックにも見出しやコメントやキーワード集を入れるのが、忘れない工夫であり、知識増殖のポイント
■毎日、「声だし、書き出し、思い出し」というフィジカルな繰り返しシステムを10分ずつでもいいので実践する
あなたも、そうやって、漢字でも単語でも人名、年代、事件名、キーワード、何でもQ&A方式で自問自答式に問いかけ、自分で声を出したり図を描いたりして、肉体的に覚え込み、さらに定期的に再チェック、再々チェックをしてください。
■知識量を確実に増殖させるノウハウ:
「箇条書き技法」
「関連項目集中技法」
「連鎖想起法」(詳細は本書を)
■サブノートのまとめ方:(抜粋)
●大項目と中項目に分け、大項目には最大公約数的に意味の分かるキーワードを書き、中項目では、Q&A方式のQに該当する質問形式の問いの部分とする
●ノートは大学ノートを使用し、各ページごと、向かって中央に縦線を引いて左右振り分けるようにし、大項目を書くために、左端約1.5センチぐらいの幅でも1本縦線を引いておく(詳細は本書に図があります)
●書いた時点で暗記し、1週間後に向かって右半分に当て紙を当て、左側のQの部分だけを音読して、右側に記載した内容を細大漏らさず言えるかやってみる
■「記憶に時間をかけるな。思い出しに時間をかけるな」という習慣をつければ、想起の瞬発力はおのずとついてくる
■英語勉強法の基本:(抜粋)
●速習がよく、じっくり学んでいたのでは実力にならない
●発音をしっかりやって声出しに徹する
●英文解釈では単語の意味をわきに書くことは絶対にしない
■英語速読の技術:(抜粋)
●ワンパラグラフをじっくり読んで、大意をつかみ、途中で文頭に戻って読み直しをすることはできるだけ避ける
●英文の構造に神経を走らせないで、著者が何を言わんとしているか、その論旨をつかむようにする
■英語は英語のまま理解し、その内容を覚えたら、それをそっくり英語で書けるかどうか、やってみる
先日、開成高校の英語主任と雑談していて、僕の英作文は日本語から英語への翻訳型ではなく、ネイティヴの書いた格調の高い英語を全部、何も見ないでかけるかどうか、教師になってからでも、それを学生にやらせていますよと言ったら、なんと、開成高校でも同じことをやらせていますと言われた。
■勉強法というと、具体的には記憶法とか文章道とか思うかもしれないが、まず、鉛筆の握り方
あなたの理解と記憶をはじき出すあなたの肉体は、いいですか、精神じゃなく肉体は、ほかならぬあなたの手先の運動神経に集中しているのです。(中略)
大事なのは指先の神経なのです。
【感想】
◆リアル書店で見た際に、本の帯に「人生勝敗のカギは、こまぎれ時間にある。」と書いてあったので、「またかよー(涙)」と思いながらパラパラめくったのですが、最近の勉強法の本とはちょっと毛色が違いました。その「こまぎれ時間」というのも、「単語1つ覚えましょう」的ななまやさしい使い方ではなくて、もっと「ハードコア」(笑)。
基本的に、覚えたものは、どんどん「想起」するトレーニングを強いています。
「瞬発力4分30秒を1日10回やる」なんて書かれているわけですから、かえって机に向かって覚えるよりもキツそうな(汗)。
◆「ユダヤ人に学ぶ」という部分で言うなら、特に第8章を丸々充てているように、「肉体を用いる点」が挙げられるかと。
とにかく「頭の中だけで完結」するやり方とは無縁。
「声出して、耳で聞いて、手で書いて」、とユダヤ人がトーラ(律法)やタルムード(トーラの解説書)を読むのと同じで「肉体的動作を採り入れて印象付ける」ことを心がけています。
◆実は以前どこかで書いたと思うのですが、私自身は、税理士試験で理論を暗記する際に、「書いて覚える」のではなく、「読んで覚える」派でした。
「読む」と言っても、黙読ではなく、もちろん「ブツブツ口に出して言っていた」ので、一応「肉体は使っていた」と言えますが(笑)。
ただし、「書く」という行為はインプットには全く使えず、私にとっては「書く=書き写す」に過ぎませんでした。
ふと思ったのですが、「書く」と言う行為と、上記ポイントで挙げた「鉛筆の持ち方が大事」というお話、さらには「私自身が鉛筆の持ち方が悪い」というのは、何か関係があるのかな、とか。
◆また、濱野先生は、「マーキング」についてもバッサリ否定されています。
一方私は、「超多色使いのマーキング」無くしては、理論は暗記できなかったと思うので、この点でも結構異なっているわけで(もっとも私ほど多色使いの人は他に見たことありませんでしたが(笑))。
やはり人によって「得意なインプット方法」というか、「得意な入力器官」に違いがあるのかも。
ゆえに、私とやり方が違う、というだけで否定するツモリはさらさらございませんし、ますます勉強法というのは奥が深いな、と思った次第。
◆なお、「英語勉強法」については、濱野先生自身は「ニューヨーク州立大客員教授」ということで、アメリカ人相手にアメリカ文学の講義をされたそう。
ディクテーションやシャドウイングを重視されているところからも、結構「王道系」なのかもしれません。
私が英語勉強法についてあまり詳しくないので、どのくらい効果があるのかは分かりかねますが、英語学習に興味のある方なら、第6章だけでもご覧いただければ、と。
特に「英語速読術は構造論から入るな」という部分は面白かったです。
◆さて、今まで避けてきましたが(笑)、本書の最大の弱点は濱野先生の論調。
語尾が「です・ます」と「だ・である」が併用されていたり、「自慢話系」が多かったりと、私のようにポイントだけ拾うタイプならいいんですけど、フツウに読書される方だとちょっときついかも。
それでも個人的には冒頭に書いたように、やはり「見過ごせない」内容でした。
・・・今から鉛筆の持ち方直してみようかな(笑)?
「書いて覚える派」の方にはハマるかも!
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【編集後記】
◆今日の「併せて買いたい」(笑)。年末&クリスマスですっかり忘れてましたよ、「月刊ビジネスアスキー」。
ご声援ありがとうございました!
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サーセン、私フェルミの本って、ちゃんと読んでないんですよ。
答えがはっきりわからないとストレス溜まるんで(笑)。
お役に立てずスイマセン。