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2008年12月24日

【理系的コミュニケーション術?】「ブリッジマンの技術」鎌田浩毅


ブリッジマンの技術 (講談社現代新書)
ブリッジマンの技術 (講談社現代新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、「ラクして成果が上がる理系的仕事術」がアマゾンでも大評判だった、鎌田浩毅先生の新刊。

タイトルにある「ブリッジマン」とは、お互いの「フレームワーク」(考え方の枠組み)の橋渡しが上手にできる人のことを言います。

 本書は、名ブリッジマンたちの頭の中にあることを、バラバラに分解して解読した本である。私が研究所から大学に移籍して、"オタク研究者"から"オモロい教授"に変身するまでの試行錯誤の中から見えてきたものだ。

同時に鎌田先生曰く

 この本は「フレームワークの橋わたし」のドリルブックである。読み進むと同時に、上手なコミュニケーションの方法論が身につくようになっている。

のだとか。

これは、コミュニケーション系の本として期待できそうです!


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【目次】

第1章 フレームワークは人間関係の基本原理
 「大金」はいくらか?
 蝉の声はホントに静かか?
 人は見たいものしか見ていない ほか

第2章 相手を知る
 相手の関心に関心を持つ 
 相手の言葉から探る
 非言語メッセージから探る ほか

第3章 自分を知り自分を変える
 自分の体の感覚を点検する
 負けカードを出すと円滑に進む
 「翻訳機法」 ほか

第4章 ブリッジマンになる
 まず相手の心に沿う
 指示するときは丁寧な口調で話す
 安全で気楽な「ゼミ・カウンセリング」 ほか

第5章 フレームワークを使ってむずかしい内容を読み解く
 専門家のフレームワーク
 解説やあとがきから読め
 「棚上げ法」 ほか


【ポイント】

■広告戦略の基本は「時代のフレームワーク」「受け手のフレームワーク」を十分につかんでいること


■読書とは、実は自分のフレームワークを確認する行為

 このため読者は、自分のフレームワークに合った文章を気に入った文章だと思う。逆に言えば、印刷された文章を構成するフレームワークと同じフレームワークを持つ人にだけ、文章派訴えかけるのである。したがって、フレームワークの合わない人には、どんな優れた文章も魅力的には映らない。(中略)

 実は、まったく新しい考え方を得る読書というのは、ほとんどありえない。1冊の本9割ほどが、既に自分が持っている知識の強化なのであり、そこへ1割だけ新しいことを付け足すのである。


■ブリッジマンになるために最も基本的な考え方は「相手の関心に関心を持つ」ということ

これは、相手の好きなこと、嫌いなことを察知して、それに応じて自分の行動を決めることである。「関心に」という一言を加えただけで、まったく違う状況が表れるのだ。


■相手の話を聞きながらこれは「事実」として起きたことなのか、もしくは相手の個人的な「意見」なのかを判断する


■人は、他人から自分へ向けて言って欲しい言葉を、自分から発している場合がよくあるので、そこから相手の関心を知ることもできる

 たとえば、「私って優しいでしょう?」「僕は役に立っているかなぁ?」(中略)などと、口癖のように言う人がいる。注意していないと聞き飛ばしてしまうような言葉だが、いったん気づくとよくわかる。
 これはまさしく「そのような言葉を自分に対して言って欲しい」と、サインを出しているのである。


■ボディランゲージから相手のフレームワークを判断するには、「目の表情」といった古典的なもののほかに以下のようなものがある

 ●「ご機嫌反応」・・・こちらが提供した話題に対して、相手が楽しく笑い出す等のポジティブな反応

 ●「胸にぐさり反応」・・・「ご機嫌反応」とは逆に、笑顔が消えて不快な表情になる反応


■言葉もふくめた全ての情報の中で、行動だけが真実に近いので、行動を丁寧に観察していけば、相手の欲することが推量できる


■聴き上手な人の共通した美点:


 →相手の話の腰を折らない

 →肯定する言葉を合いの手のように入れる

「なるほど」は、新しいことを聞いた喜びや相手に尊敬の気持ちを伝える効果がある。
「そうだね」は、正解だよ、OKだよという是認の言葉である。この2つは相手を受け止めるときの基本的な言葉がけである。すなわち、人に受け入れて欲しいという原初的な欲求を満たす「嬉しくなる」言葉なのである。


■自分の好みややりたいことを確認するときに便利な方法の1つが「声を出してもう1度確認する」ということ

「声に出す」という効用をご存知だろうか?やりたいことを他人の前で声に出して宣言する方法である。そして目の前の人に、「本当にそれがやりたいの?」と聞き返してもらう。「もちろんそうです」と答えることができれば、本物である。


■相手と自分が違うということに気がついたときには、自分の方が変わってから、初めて相手が変わってくれる可能性が開ける


■自分を変えるといっても、性格の全部を変える必要はなく、1点だけ譲歩して変えるという「1点だけ譲歩法」というテクニックを用いる
(詳細は本書を)


■感情や体調に左右されない、自分では努力しなくとも自分以外のものがやってくれるようなシステム(「理系的システム」)を前もって作っておく

例:「翻訳機法」「水入り法」「別件から処理法」etc...(これまた、詳細は本書を!)


■文系の人から、「理系的な考え方の特徴は何ですか?」と聞かれた場合に答えているのが「棚上げ法」

「棚上げ法」とは、何かを調べていてわからないときに、それを一時的に棚上げにして先へ進むことをいう。中身の不明なブラックボックスをひとまず置いて、次の仕事に取りかかるという方法である。
 新しい発想やイメージがどんどん湧き出てくるさなかでも、考えが行き詰ることはよくある。ここで無理にそのアイデアを推し進めようとせず、壁にぶつかった問題の解決に力を注がず一度ストップし、もう少し先を眺めてみるのだ。


【感想】

◆抜き出ししすぎて、途中から飛ばし気味になってしまいました(汗)。

第4章までは、他人との「コミュニケーション」が中心なのですが、第5章ではその対象が「むずかしい文章や本」へと変わります。

つまり、著者や書物の「フレームワーク」を分析し、対処していくわけですね。

特に歴史モノの場合、「その時代のフレームワークを知っていると、誤読のおそれがなく、かつ理解しやすい」というのに、納得。

逆に、私のように歴史が苦手な(ry


◆そもそも著者の鎌田先生が、この「ブリッジマン」修行を始めるようになったのは、2000年の有珠山の噴火について、テレビ番組に生出演して解説した際の大失敗が発端だそう。

表情が硬く、早口で専門用語をテレビでまくし立てる鎌田先生を見て、視聴者の多くが「学者があんなに緊張してしゃべっているからきっと大変なことが起きる」と思ったのだとか。

まあ、緊張は仕方ない。問題だったのは、私が、視聴者のことを、つまり一般市民のフレームワークをまったく考えていなかったということだ。
 結局、視聴者に一番伝わったのは、この緊張感だけだったと思う。すなわち、火山の噴火など見たこともない視聴者に、言い知れぬ恐怖感を与えてしまったのである。

ちなみに、実際に鎌田先生が述べたことは、結論的には「今後の動きは観測データを見ていれば何も心配ありません」ということだったとか。

テラ真逆www


◆その後先生は修行の甲斐あって(?)、今では一般市民への講演で、1986年の伊豆大島の噴火の時に、火山弾に追いかけられ命からがら逃げた話を、インディ・ジョーンズばりの冒険譚として面白おかしく話すそうです。

・・・有珠山の生放送のときとえらい違いですね(笑)。


「面白おかしく」といえば、本の帯に映っている鎌田先生の格好も大学教授らしからぬ風情かと(汗)。

これも実は、イマドキの大学生の「フレームワーク」に合わせたものなのだとか。

初めは他の教授たちと同じようなドブネズミ色のジャケットで講義をしていたのですが、ある日、授業のあとでレセプションパーティに行く予定があり、おしゃれな服を着て教壇に立ったところ、学生たちの食いつきがまったく違ったのだそう。

同じ講義をしながらこれほどまで異なるのかと、次の週からまず服装に気をつかうことにしたのである。


◆その後も段々と奇抜なデザインの服にのめり込んで、新聞・雑誌に取り上げられた・・・って、何か違うっ(笑)!

ちなみにセンセイ、地方の年配の方が集まる公開講座にこの格好で臨んで、大顰蹙を買ったらしいです。

ご自身で「フレームワークを相手に合わせることの重要性」を立証されたわけですね(笑)。


◆個人的に本書で一番「ツボ」だったのは、「相手の関心に関心を持つ」というくだり。

本書の中でも触れられているんですが、これは「恋愛」に関しても同じことです。

恋愛で上手く行かない人の多くが「相手に関心を持つ」ばかり。

これでは恋は成就しません。

 恋する相手から気に入られたいときに見つめるのは、自分の気持ちではない。はやる自分の気持ちを抑えて、冷静になって相手の気持ちを推し量るのである。相手は何を欲しがっているのかを考えてみよう。「相手の関心に関心を持つ」ことができて初めて、片思いから両思いへと進展させることができるのだ。

・・・何だか恋愛でも大失敗されたような含蓄のあるお言葉ですね(汗)。


◆おそらく、「コミュニケーション」がもとから得意な方ではなかったからこその、「問題意識」「細かな解決法の列挙」ではないか、と思うワタクシ。

この辺は、「ラクして成果が上がる理系的仕事術」に通ずるところがあります。

上記「ラクして成果が〜」や、ハック系の本がお好きな方なら、本書もハマルかもしれません。


これぞ「コミュニケーション・ハック」と呼ばせて頂きます!

ブリッジマンの技術 (講談社現代新書)
ブリッジマンの技術 (講談社現代新書)


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「ラクして成果が上がる理系的仕事術」 鎌田浩毅(著)(2006年06月04日)


【編集後記】

◆完全に出遅れて、昨日リアル書店で買った本。


lifehacking.jpの堀 E. 正岳さんのご本。

現時点で、3〜5週間待ちとな(汗)。


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自分では読んでないのだけど(汗) この方がすすめるなら間違いは無い! 【理系的コミュニケーション術?】「ブリッジマンの技術」鎌田浩毮..
理系コミュニケーションに役立ちそうな本【若だんなの新宿通信】at 2008年12月24日 10:08
                               
この記事へのコメント
               
smoothさん、こんにちは。

恋愛にもっていくあたり、流石です(笑)
でもビジネスネタでも恋愛に置き換えると
わかりやすい、ということも多いですからね。
Posted by LuckyUS@フォトリーダー at 2008年12月24日 14:22
               
>LuckyUSさん

あ、いえ「恋愛」に関しては、本書でもシッカリ触れられていますから(笑)。

でも慣れないと、つい「相手に関心」持っちゃいますよね〜。
この辺が難しいところ。
私自身も若い頃はそうでしたし(汗)。

Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2008年12月25日 03:01