2008年12月23日
【仕事術】『「見える化」仕事術』石川和幸
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日のディスカヴァーさんのパーティで実物を拝見して、「ぜってー買う」と決めていた1冊。何でもこの本、あとがきによると、そのディスカヴァーの干場社長から「『見える化』を個人の仕事で書いてみたら面白いのではないか」というアイデアを受けてスタートしたものなのだとか。
果たして出来上がった本書は、コンサルタントである著者の石川さんが、手の内を明かしたモノに!
「仕事のプロ」と聞いては黙っちゃいられません罠!ここで書いたことは、すべて私が仕事で実行していることです。実際に仕事で使っていることしか書いていないと言っても差し支えないかもしれません。私は、ここに書いてある項目だけで必要十分だと思っていますし、ここに書いてある手法を極めれば、仕事のプロになれるとも思っています。
いつも応援ありがとうございます!
【目次】
(ディスカヴァーさんのサイトより一部引用)第1章 「見える化」仕事術 3つの効用
1 仕事の「見える化」って何だ?
「見える化」は仕事のブースター
「見える化」は、自分とのコミュニケーションの質と速さを高める ほか
2 「見える化」仕事術 3つの効用
理解させ、納得させることのむずかしさ
1 仕事の「底上げ」ができる
2 思考を活性化する ほか
第2章 「見える化」仕事術[初級編] ルーチン仕事の「見える化」
1 何をすべきかを「見える化」する
2 チェックシートで、必要最低限の仕事のレベルを維持する ほか
第3章 「見える化」仕事術[中級編]
思考の「見える化」
思考の「見える化」4プラス1の効用
思考の「見える化」仕事術 4つの型
1 分類型「見える化」で、思考を細分化する
2 関連型「見える化」で、「流れ」を見る
3 自由型「見える化」で、思考プロセスを「見える化」する
4 ガイド型「見える化」で、変革へと誘導する
第4章 「見える化」仕事術[上級編]
計画と実行の「見える化」
仕事は、PDCAマネジメント
1 プランの「見える化」が、人を動き出させる
2 チェックの「見える化」が、実行の確実性を下支えする
第5章 「見える化」のためのデバイス類
1 ホワイトボード(できればコピーボード)
2 紙媒体(ノート、裏紙、スケッチブック、ナプキン、「封筒の裏」) ほか
【ポイント】
■仕事の「見える化」の定義仕事の「見える化」とは仕事の中身とその中身を考える道筋を「明示化」し「可視化」して、コミュニケーションを成り立たせる方法です。
■ルーチン業務等で、どんな人が行っても、仕事の結果がある一定以上のレベルになるように、やるべきことを「見える化」することにより、「仕事が底上げ」できる
ルーチン業務の「見える化」とは、チェックシートやマニュアルなど、決まりきった仕事をガイドする手法一般です。何を実行すればよいのか、仕事で何に気をつければよいのかを明らかにすることで、仕事を「見える化」するのです。
■思考の「見える化」とは、考えている対象(思考内容)と思考過程(プロセス)を「見える」ようにすること
考えている内容を「見える化」すると、自分の考えているロジックの全体像、網羅性が確認できるようになるのです。頭の中でぐるぐる考えているとまとまらないことも、絵にすることで、考えていることを客体化して、改善し、思考を深めることができるのです。
■チェックシートとマニュアルの4つの利点:
1.必要最低限のレベルが維持される(ポカよけ)
2.毎回何が必要か考える手間が省ける(エフェメラライゼーション)(後略)
■To-Doリストで大事なのは「習慣化すること」であり、そのためにはハードルの低いTo-Doリストを使うべき(石川さんはポストイットに手書きでTo-Do項目を書いてリスト化しているだけだそう)
■「箇条書き」は、考えを「見える化」するもっとも単純なツールで、それだけでも効果抜群
バカにしてはいけません。自分では考えているつもりで、人にいろいろ話していても、よくわからないとか言われたときに、伝えるべき項目を箇条書きで書き出すとすっきりすることがよくあるはずです。
■「見える化」ツールである「マトリックス」の留意点(抜粋):
→相関をもたない2軸で考える
→軸の基準は適切か、よく検討する
■「要素分解」によって考える場合に必要な前提:
→スコープ(議論の範囲)により、範囲が特定されている
→部分と集合から成り立っている
■「フロー図」の留意点(抜粋):
→時間軸で描けるので、前後関係から生じる問題点が「見える化」する
→空間軸で描けるので、組織間や拠点間の関係から生じる問題点が「見える化」する
→「現状」と「あるべき」の流れが対比でき、業務の変革が一目でわかる
■仕事における「先読み」とは、単にリスク対応ではなく、すべてのタスクを整頓して、タスクの流れをきれいに清流化して仕事を流せるように準備し、そのうえで、その仕事の流れを妨げるリスクに対応できるよう準備するもの
■WBS(Work Breakdown Structure)は、タスクとして実行可能なレベルまで展開することで、この後のDo=実行を確実なものとする
たとえば、「決算して、税務申告をする」という作業があるとしましょう。これを分解すると、
1 信憑類を集める
2 仕訳を締め切る
3 試算表を作る
4 決算書を作る(中略)
となります。
ここで、たとえば「3 試算表を作る」をさらにタスク分解すると、「3.1 仕訳の修正を入れる 3.2 決算仕訳を切る 3.3 試算表を締め切る」となります。
【感想】
◆こうして「言葉」で書いていて、ちょっともどかしくなるようなご本でした(笑)。とにかく、ほぼ全編を通じて、『内容の「見える化」』が図られていて、図解が満載。
しかも聞いたところによると、元の図自体も著者の石川さんが描かれたそう。
さすがコンサルタントさんは、こういうスキルも身につけられているのだな、と(汗)。
◆たとえば、「AS-ISモデル」の図、というのがあったのですが、こんな感じです。
要は「手書き伝票が行き来している」という問題点が、この図を見ると、一発でわかるワケですね。
まさに「見える化」(汗)!
◆他にも上級編に行くにつれて、見事な図がドカスカ出てくるのですが、ホント「百聞は一見にしかず」状態。
日本の製造業は生産性が高いと言われるのもなるほどもっともです。
ホントは「画像貼りまくり」で記事を作ろうとしましたが、それはさすがに自重(汗)。
◆個人的には、マトリックス図くらいは使いこなしたいところ。
特に、「これからの当ブログの方向性」を考える上でも、一度現状把握しておきたいな、と思っておりました(相変わらず本業はスルー(汗))。
ちなみに第2章で紹介されている「見える化」のツールをマトリックスで「見える化」したのがこちら。
ポジショニングが良く分かりますね(笑)。
◆本書では、途中、物語形式の事例を含め、こうした「見える化」の効能やその具体的な手法をわかりやすく解説してくれています。
もっとも、それぞれのツールの「描き方ドリル」ではありませんので、本書によって「すぐ図が描ける」というわけではありません。
ただし、私たち普通のビジネスパーソンと、コンサルタントさんとの間の「非常に大きい溝」が、本書によって、少しでも縮まるのではないか、と。
「コンサルタント的仕事術」に憧れる方にオススメ!
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【編集後記】
◆今日の1冊。リアル書店で見かけたのですが、気になってしょうがありません(汗)!
思わず大きな画像で(笑)。
ご声援ありがとうございました!
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はじめまして。
コメントありがとうございます。
ご質問の件、私自身がコンサルさんとは縁遠い生活を送っておりますので、断言はできませんが、見た感じこの本は結構「コンサル業界」について詳しかったです。
逆に内容がニッチ過ぎて、ブログではご紹介できなかったのですが(汗)。
ご参考まで。
「コンサルティングの基本」
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4534043864/ref=nosim
なお、著者の神川さんの本は、こちらをブログでご紹介しています。
「年収2000万円の転職術」
http://smoothfoxxx.livedoor.biz/archives/51445956.html
妻が管理職になって、チーム統制に悩んでいるので、クリスマスプレゼントにしました。
斜め読みしましたが、かなり実践的でオススメですね。
と思いつつ、年末恒例の様々な雑事のため、お礼も書けず、自分のブログの更新もできず、ともかく、遅くなりました!
スムースさんに、気に入っていただけて、著者共々、ほっ、です。
スンマセン、レス漏れしてますた(汗)。
こういう本を奥さんと読まれるなんて、うらやましいです。
ヨメはヨメで専門書読んでるんですが、医学系(?)なんで、こちらは分からず。
(´・ω・`)ショボーン
>干場さん
いえいえ、お気になさらず。
そもそも、売れっ子の社長さんがいちいちコメントする、というのもどうなのかな、と(笑)。
このご本も、ディスカヴァーさんらしく、作りに抜かりがなかったです。
コンテンツを読む前に、手に取ったら欲しくなるという(笑)。
個人の仕事を「見える化」という軸で体系化して、書いてみました。
図表満載で、できるだけシンプルに書いたつもりです。
コンテンツよりも、確かに題名やデザインが目に飛び込んでくるので、私もたじたじです。
良い本に育って、みんなの仕事の底上げに役立つことを願います。これからも宜しくお願いいたします。
著者様直々のコメントありがとうございます。
おかげさまで、当ブログでも大好評でございます(笑)。
お会いした際に申し上げたように、手に取らせたらこっちのもの。
後はいかに実践できるかですね〜(笑)。
今後ともよろしくお願いします!
また、ぜひ、引用させて頂きます。よろしくお願いします。
私の書評は,一個だけ・・アクションという自分本位な書評なんで。(^_^;;
とっても勉強になりました。ありがとうございます。