2008年12月17日
【文章術】「<不良>のための文章術」永江 朗
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、これまた久しぶりのライティング関係のご本。私が愛読しているdainさんのブログで知り、アマゾンアタックいたしました。
平凡なわたしが非凡な文章を書くために「不良のための文章術」:わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる
◆タイトルの冒頭の「不良」は、まえがきのルビにふりがなが振ってあって「プロ」とも読ませるよう。
そして、著者の永江さん曰く「プロが書く文章は、貨幣と交換されるためのものです。下世話にいうなら、おカネになる文章。」
そな、ストレートな(笑)。
というワケで、「人を惹き付ける文章」を書きたい方なら、必見です(汗)!

【目次】
1 「不良」になるための心がまえ
「不良の文章」ができるまで
投稿上手とプロはここが違う ほか
2 本の紹介文を書こう
イントロダクション―本を紹介するための5つの鉄則
『窓ぎわのトットちゃん』を例に
・切り口を考える
・地図的感覚と年表的感覚
・文章をどう読みやすくするか ほか
『帝国』を例に
・「むずかしい本」を紹介するには
・補助線を導入する
・読者層と文章の関係
・若者向け雑誌の原則) ほか
3 取材して書く
イントロダクション―「まずい店」をどう紹介するか
グルメ記事を書くための鉄則
B級グルメ篇「とんかつ屋」を書く―味覚をどう表現するか ほか
4 コラム・エッセイを書く
イントロダクション―署名原稿の7つの鉄則
「モノ」コラム―自由作文型への取りくみ方
辛口人物評―課題作文型への取りくみ方
【ポイント】
・編集者が投稿欄に採用するのは、「文章が魅力的だから」とか「お金を払いたくなるような文章だから」という理由ではなく、それが投稿欄にふさわしい文章だから・投稿上手の「いい文章」が陥りやすい最大の落とし穴は、書き手を主体にして考えてしまうこと
・誰に向けて書くかによって、テーマ、使う言葉、使う文字、文体、センテンスの長さ、句読点の打ち方、改行の仕方などが決まる
だから文章を書くときは、たった一人に向けて書けばいいのです。
問題は、その「たった一人」をどのような人にするか、です。
・文章を削るときは、あちこちから少しずつ削って全体を縮めるより、1つの段落、1つのブロックを思い切って削ってしまったほうが面白くなる
・読者に対して親切な論理的な文章を書くためには、「5W1H」に象徴される「事実の論理性」よりも、「なぜ」「なに」に着目した「意味の論理性」に重きをおくこと
こういうことをいうと何やら難しそうですが、要は、「いつ、どこで、だれが、なにをしたか」ということも大事だけれども、それよりも「どうしてそんなことになったのか」のほうがもっと重要だ、ということです。
・一般に、一行の字数が少ないときは、センテンスも短くして、読点も多くすると読みやすくなる
・一行の字数が多くなったからといって、必ずしもセンテンスを長くする必要はないが、読点があまり多くなると読みにくくなる
センテンスの長さと読点はリズムを作ります。リズムは文章の大事な要素です。
・紹介文で必要なのは、その本がどのような本であるのかを伝えることであり、さらにいうなら、その本がどのような価値を持つのかを伝えること
紹介文の書き手が有名人だったり権威ある人ならば、「おもしろかった」「感動した」「つまらなかった」でも情報の価値はありますが、名もなく権威もない人の感想など、一般の読者にとってはそれほど意味はありません。それよりもどんな本なのかが知りたい。
どんな本であるのかを書くためには切り口が必要です。たんなる内容要約ではおもしろくもなんともない。
しかし、切り口は無限にあります。
・文章の中で最悪なのは、読者にとっては面白くもおかしくもないことがらを、筆者が「これはとても面白い」と信じこんで書いている場合
・グルメ記事でも客観的で具体的な言葉があれば、「まずい」と書かなくても、まずいことを語ることはできる
「ここのとんかつはまずい」と書かなくても、「ころもがややべたついている」「つけ合わせのキャベツに元気がない」「なかなか噛みごたえのある肉である」などと書けばわかるのですから。(中略)
そしてこの、「まずいと書かずに、まずいことを読者に伝える」という考え方と方法は、他のあらゆる文章にも通じるものです。
・「さすがに」「こだわりの」は便利な言葉だが、使ってはいけない(理由は本書を(汗))
【感想】
◆ポイントをまとめていて「これはしまった」と思ったのですが(今さら)、本書の本当のキモは、上記リンク先でdainさんも書かれているように、「カネのとれない」文章を、永江さんが手を加えていって、「カネになる文章」に変えていくサマです。これはもうポイントとして列挙するのは不可能なので、直接本書をご覧頂きたく(汗)。
◆例えば『窓ぎわのトットちゃん』の紹介文を、まず凡庸に書いた上で、「体を使って」文学散歩風にアレンジ(作品の舞台となった土地を訪れてみる)。
又は、「地図的な感覚」でアレンジ(他の場所との関係においてとらえる)。
もしくは、「年表的な感覚」でアレンジ(時間の流れに視点をおいてとらえる)。
それぞれが、「他とはひと味違った作品」に生まれ変わっているわけです。
◆また、本の紹介文を書く際に、「補助線となるような別の本も取り上げて、その対比で紹介する」といったテクも使えそう。
これは、小飼 弾さんのブログではお馴染みかと。
ただし、ある程度本に関する知識が豊富でないと、「なるほど!」と唸るような、いい「補助線」は出てこないような(汗)。
私の場合「関連記事」「関連書籍」として、挙げるのが精一杯なわけですが(汗)。
◆一方で、「読者層を意識した記事を書く」、というのも大事な点。
本書では、「B級グルメ記事」を「20代、30代の男性サラリーマン」向けに書いたりですとか、「A級グルメ記事」を「30代、40代の女性ファッション誌読者」に向けて書く、なんてワザも披露しています。
さすがに570ページ超の「<帝国>」(私も読んだことないです)を、「『週刊プレイボーイ』バージョン」でアレンジしたのは、チカラワザだと思いますがー(汗)。
◆この「読者層」というのは、ブログ運営では結構重要なことでして、例えば当ブログで、「資産運用の本」なんぞ紹介しても、アクセスが集まらないわけですよ(笑)。
逆に、カツマーの方が多いせいもあって、「勉強本」とか「仕事術」なんてのは、コンスタントな人気があるのは、皆さんもご承知かと。
・・・この間の「宝島」の書評欄では、その辺余り考えずに選んでしまってちょっと反省(汗)。
あんな選書&文体で良かったんでしょうか?←今さら
◆ただ・・・。
実はこの間の聖幸さんのこの記事を読んで、本書を購入することを決意したワタクシ。
ダカーポ特別編集 今年最高の本 2008 (マガジンハウスムック)に登場してます:俺と100冊の成功本
聖幸さん、男前スグルwwwwダカーポの「今年最高の本」という特集に自分が登場したのも単純に素直に嬉しいですが、「この人が取り上げるとホントに売れる!」として、紹介されているのが嬉しいですね。
・著者が本当に言いたかった事をうまく汲み取った本質をついた書評
とか、言われるより(それも、もちろん嬉しいけど)嬉しいです。
◆ですから私も、献本のご提案を頂いたり(断ってますがw)、ご連絡を受けている以上、微力ながらも、少しでも本の売上に貢献できたら、光栄だな、と。
そのためには、この本の教えを実践して、少しでも「尖った」「プロの文章」を目指したい、と思うわけです。
何たって本書は、本当の意味で「お金をもらって文章を書いている方の思考法」が書かれてますから(笑)。
もちろん、ご自身のブログをバージョンアップさせたい方も読んで損なし!
アウトプットで結果を出したい全ての方に!
【関連記事】
【フツウにスゴ本】「ザ・コピーライティング」ジョン・ケープルズ (著), 神田昌典 (監修)(2008年10月20日)【ハーバード流】『読み手志向の「書く技術」で成果をつかみ取る』デボラ・デュメーヌ(2008年05月05日)
【文章術!】「文章のみがき方」辰濃和男(2008年02月13日)
【スゴ本!】「広告コピーってこう書くんだ!読本」谷山雅計(2008年01月15日)
【Webライティング】「だから御社のWebは二度と読む気がしない」戸田 覚(2007年07月31日)
【編集後記】
◆今日のアマゾンアタック。発売はまだ先なんですが、これは見逃せませんね!

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今回の書評は、いつも以上にググッとくる本の紹介でした。まさに求めていた本でした!
早速購入してしまいました。これで私も「不良」の仲間入り?
今後ともよろしくお願い申し上げます。
アマゾンアタックありがとうございます(涙)。
実際、ご本、気に入って頂けてうれしいです(笑)。
これも、記事を書く前に読んだこの本おかげだと思います。
ブログを拝見する限り、hikawa55さんの書かれる文章は、確かにお上手ですし上品なので、この本を読んでちょっぴり不良になるのも良いかもしれません(笑)。