2008年11月25日
【オススメ】「アイデアのちから」が予想以上に面白かった件
*Kindle版アリ
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日「速報」をお送りしていた、「アイデアのちから」。背景やら何やらは、その時に書き連ねておりますので、さっそく本編を。
ぶっちゃけ、かなり面白かったです!
いつも応援ありがとうございます!
【目次】
序章 アイデアのちから(WHAT STICKS?)
ポップコーンの真実
「記憶に焼きつく」とは?
ハロウィーンを台なしに ほか
第1章 単純明快である(SIMPLE)
サウスウェスト航空の「核となる部分」の見きわめ方
リードの埋没
「三つ言うのは、何も言わないのに等しい」 ほか
第2章 意外性がある(UNEXPECTED)
関心をつかむ
誰も予想しない
驚きの眉 ほか
第三章 具体的である(CONCRETE)
引き算の理解
具体的であると覚えやすい
記憶のマジックテープ理論 ほか
第四章 信頼性がある(CREDIBLE)
信頼性を見出す
パム・ラフィンは反権威者
細部の威力 ほか
第5章 感情に訴える(EMOTIONAL)
真実
意味の拡張と関連づけの効果
意味拡張との戦い:「スポーツマン精神」のケース ほか
第6章 物語性(STORIES)
ゼロックス社員の職場の会話
受け身ではない聴き手
■アイデア・クリニック 問題のある学生への対応 ほか
終章(WHAT STICS)
記憶に焼きつく要素
発見力
話し手と記憶に焼きつく要素 ほか
アイデアを記憶に焼きつけるための手引き
解説 私も実践している優れたフレームワーク:勝間和代
【ポイント】
・記憶に焼きつくアイデアの六原則:●単純明快である(Simple)
→アイデアの核となる部分を見極めるために、きっぱりと優先順位を決める(理想はことわざ)
●意外性がある(Unexpected)
→アイデアに関心をもってもらうためには、予想を裏切る必要がある
●具体的である(Concrete)
→アイデアをきちんと理解してもらうために、人間の行動や五感を通じてアイデアを説明する
●信頼性がある(Credible)
→アイデアを信じてもらうには、発信者に権威があるか、アイデア自体に信頼性が必要
●感情に訴える(Emotional)
→アイデアを心にかけてもらうには、相手の感情を掻き立てればよい
●物語性(Story)
→アイデアを行動に移してもらうには、物語を伝えればよい
・サウスウエスト航空の「核となる部分」は『当社は最格安航空会社である
・パーム・パイロットの開発チームのリーダー、ジェフ・ホーキンスは、パームと同サイズの木片を常に携帯し、「機能のつめこみ」と戦った「営業部門のトレーシーが君のオフィスにやって来て、こう言ったとする。調査の結果、ヒューストン―ラスベガス間で軽い機内食を出すと喜ばれそうなことがわかりました。今はピーナッツしか出していませんが、チキンシーザーサラダなら乗客の多くが喜ぶでしょう、と。さて君はどう答えるかね?」
相手がしばし口ごもっていると、ケレハーは答えた。
「こう言うんだよ。『トレーシー、チキンシーザーサラダを追加すれば、当社はヒューストン―ラスベガス間で最格安航空会社になれるのかな?無敵の格安航空会社となるのに役立たないなら、チキンサラダなんて出さないよ』とね」
・ハリウッドでは、「明確なコンセプトの企画」という核となるアイデアが用いられ、たとえば、映画『スピード』は「バスを舞台にした『ダイ・ハード』」
・『影響力の武器』の著者、ロバート・チャルディーニは、数年前、科学者が素人向けに書いた本を分析し、「優れた文章は、すべて謎かけで始まる」ことに気づいた
・行動経済学者のジョージ・ローウェンスタインによると、「好奇心が生じるのは、自分の知識に隙間を感じたとき」謎には威力があると、チャルディーニは言う。結末を知りたいという欲求を生み出すからだ。
「『なるほど』と思わせることが大事なことは、知っているだろう。実は、その前に『はあ?』と思わせておくと、『なるほど』の満足度がぐっと増す」
・細部を鮮明に描写すると、たとえそれが本質的な部分とは無関係であったとしても、意見の信頼性を高めるローウェンスタインによると、隙間は苦痛を生む。何かを知りたいのに知らないというのは、どこかが痒くて掻きたくなるのと同じだ。その苦痛を取り除くためには、知識の隙間を埋めなければならない。
・いったん分析的思考を求められた人は、その後に感情に訴えられたときの反応が変わって「感じる」能力がそがれてしまう
・たいていの人は、他人は皆マズローのピラミッドの底辺にいる(自分は最上階)と思っているが、マズローのピラミッドの底辺層にばかり訴えていると、多くの人を動機づけるチャンスを逃しかねない
・問題に対処するシミュレーションの実験では、「問題の経緯を再現したグループ」と「悩みが好ましい結果に終わるシミュレーションをしたグループ」では、前者の方がほぼ全ての面で勝っていた
・記憶に焼きつくアイデアは、必ずしも自分で生み出す必要はなく、たいていの場合、「発見する」方が簡単だし役に立つこの結果は、ちょっと意外かもしれない。巷に溢れる一般向けの心理学の本の多くは、成功した自分をイメージしなさいと勧めている。だが実際には、ポジティブ思考だけでは解決にならない。お金持ちになる方法を指南するなら、「リッチになった自分を想像しよう」と勧めるより、「貧乏になった経緯を思い出そう」と勧めるべきかもしれない。
・人を励ます物語の筋書きの80%以上が、「挑戦」「絆」「創造性」の3つに分類される
【感想】
◆前回の記事でも書いたように、本書は、マルコム・グラッドウェルの『ティッピング・ポイント』(文庫版は『急に売れ始めるにはワケがある』)に触発されたものなのだそうですが、こちらの方が、より実践できる印象を持ちました。一つには、『ティッピング・ポイント』は、流行に至る過程もさることながら、その流行した『モノ』や流行らせた『ヒト』にフォーカスされているのに対し、本書は、その『ハナシ(物語)』が主人公だからではないか、と。
たとえば、本書にはいくつかの「アイデア・クリニック」と名づけられた「例題」があり、そこでは「答え」として、「メッセージ」や「プレゼンテーション内容」考えることになります。
通常のアプローチと、本書の要旨に沿った形でのアプローチが、それぞれ上記の「6原則」に沿って採点されており、その差は一目瞭然。
「問題対象」や、その「目的」(説得する、反論する、興味を持たせる等)は同じなのに、その効果は明らかに違ってくるわけですから、「これは仕事にも使えます罠!」
私のように、「『ティッピング・ポイント』は話としては面白かったけど、マーケターでもないしなー」なんて考えた方なら、読むだけ以上のリターンが望めると思われ。
◆「使える」という意味では、ちょこっと著者が(笑)出てきたこの本にも通ずるところがありますね。
もう1冊、この本からの話も取り上げられていて、ファンとしてはニヤニヤ・・・。
◆小飼 弾さんは
とおっしゃってますが、私が個人的にハゲシク「目からウロコ」だったのが、ポイントでもサラっと挙げた「分析的思考を求められた人は、感じる能力がそがれてしまう」というお話。良質のノンフィクションをあえて二分すると、「目から鱗」か「我が意を得たり」のどちらかとなるが、本書は後者。
人を動かす際に「感情に訴える」というのは、よく用いられる手法なんですが、「計算させる」「分析させる」ような作業を行わせると、その効果が落ちるのだそう。
これは知りませんでした(汗)!
◆同じく「目からウロコ」だったのが、シミュレーション実験のお話。
本書では、「お金持ちになる方法を指南するなら、「リッチになった自分を想像しよう」と勧めるより、「貧乏になった経緯を思い出そう」と勧めるべきかもしれない。」とまとめちゃっていますが、これは極端な例で、要は「問題解決には、妄想(?)よりもシミュレーションが効果的」ということ。
そしてシミュレーションが効果があるということは、「適切な物語」も、他人の体験のシミュレーションなワケですから、同様に効果があってしかるべき。
なるほど、納得です(笑)。
◆本書は、豊富な事例で、その主張を裏付けているのですが、いかんせん、一つ一つがまとめに適していないので、思いっきり割愛してしまいました(スイマセン(汗))。
そこで面白かった(記憶に焼きついた(笑))事例をいくつか。
●「エンクレープ」という「架空のミニバン」で作られたテレビコマーシャルの効果
●脚本家、ノラ・エフロンがジャーナリストを志すきっかけとなった、高校のジャーナリズムの教師の教え
●ローカルなスポーツ番組でしかなかった大学のアメフトの試合が、全米規模の人気番組になったきっかけ
●「食べられる布地」を使った家具の工場の排水からは、何も化学物質が検出されなかった話(製造の過程で、繊維が水道水をさらに浄化した)
●6つの原則を全て満たした「サブウェイ・ダイエット・キャンペーン」etcetc...
◆今回の記事も、本当は、この6つの原則に沿って書こうかと思ったのですが、タダでさえイッパイイッパイなので、断念(涙)。
されはさておいても本書は、知的好奇心を満たしたい方から、人を動かしたい方、モノを売りたい方、さらには、自ら(もしくは自らの会社)をブランディングされたい方まで、必読かと。
面白くて役に立つことは保証します。
当然、激プッシュ!
【関連記事】
【速報】「知らぬ間に勝間さんの解説本『アイデアのちから』が出ていた件」&「勝間本新刊情報」(2008年11月20日)【フツウにスゴ本】「ザ・コピーライティング」ジョン・ケープルズ (著), 神田昌典 (監修)(2008年10月20日)
【ティッピング・ポイント】「急に売れ始めるにはワケがある」マルコム・グラッドウェル(2007年07月18日)
「究極のマーケティングプラン」ダン・ケネディ(著)、神田昌典(監訳)(2007年04月16日)
「ヤバい経済学 」スティーヴン・レヴィット&スティーヴン・ダブナー (著)(2006年05月07日)
【編集後記】
◆この本、小飼さんのところで紹介されちゃいましたね(笑)。以前、「『日本語が滅びる時』騒動」の際に、聖幸さんからメールもらった時に言及されてて、おもしろいな、と思ってたんですが。
ご声援ありがとうございました!
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本日退院してまいりました。
好きなだけ本を読めるのは嬉しいことでしたが、他にやることも無いというのは少々寂しい気がしないでもなかったです。
ブログもボチボチ再開しますので、今後ともよろしくお願いしますね。
さて、本書ですが、6つの原則に従った文章の例を僕も読みたくなったので早速購入させてもらいますね。うーん、新刊に飢えてる(笑)
退院おめでとうございます!
読書三昧だったご様子で、個人的にはうらやましいのですが、確かにそればかりだと飽きちゃうのかもしれませんね。
そして、アマゾンアタックありがとうございます。
この本はマジで面白かったです。
楽しめることウケアイです!