2008年10月30日
【アイデア】『「考え方」の考え方』指南役
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、読みやすいアイデア本。著者の「指南役」さんは、ホイチョイ・プロダクションズのブレーンでもあるクリエイティブ集団。
本書もホイチョイに通じる「ユニークさ」がそこここに感じられます(笑)。
◆上記オフィシャルサイトから本書について。
"指南役流"の「アイデア製造法」をどうぞお楽しみ下さい。知ってました?
企画に必要なのは才能ではなく、ノウハウだってことを。
映画監督のビリー・ワイルダーは煮詰まると、こんな呪文を唱えたらしい。
「ルビッチならどうする?」
そんなアイデアを生むノウハウを18編収録!
いつも応援ありがとうございます!
【目次】
1章 始動
はじめにゴールを見る
とりあえず書き始める
ルビッチならどうする?
必ず正解がある
アイデアはある日突然ノックする
2章 環境
制約はチャンス
立ち位置は関係ない
アイデアは夜作られる
機は熟す
3章 技術
笑えること
具体的であれ
逆転の発想
引き算の美学
積極的に模倣する
ネーミングのコツ
4章 品質
タイムリミットは30秒
アイデアは美しい
最後に勝つのはオリジナル
【ポイント】
・「彼はアイデアマンだ」と言われる人がいたら、その人はアイデアの「考え方」を知っているだけ・「映画は1つのスタジアムみたいなもので、制作チームがピッチで戦っていて、それをお客様が観客席から見ています。プロデューサーはその様子を空から見ているのです」(「映画のプロデューサー」についてのフジテレビ亀山千広の氏言葉)
・アイデアを考えるときは、まず平凡な消費者の目線になって、ゴールシーンを見据えること
・あれこれ悩むより、とにかく書き始めると、腕組みして悩んでいたときに比べ、格段にアイデアが浮かぶ確率が高まる
・あらゆる命題には必ず正解があり、そして胸騒ぎを覚えたら、正解はすぐそこまで来ていると思って間違いない
・「アイデアとは、既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」(ジェームズ・W・ヤング『アイデアのつくり方』より)
・「人間は制約の下でこそ、知性という翼を自由に羽ばたかせる」(佐藤雅彦氏の言葉)
<制約下で作られた名作例>
・CIAの情報源の95%は、実は新聞記事に過ぎない戦時下の昭和15年の東京。検閲官・向坂は劇団「笑の大学」の座付き作家・椿に次々と無理難題をふっかけ、直せなければ上演中止だと脚本の書き直しを迫る。が、椿はその要求を聞いてさらに素晴らしい脚本を作りあげていく。そんな2人が、ガチンコ対決を通して次第に不思議なきずなを芽生えさせていく様を描く。
・すぐれたアイデアは修羅場から生まれる
<修羅場から生まれた例>
2ちゃんねる最大の危機、2001年8月25日
・アイデアを考える際には、身近な「誰か」のために考えるようにすると、自然と言い回しやたとえが具体的になり、面白くなる
・考えたネーミングが「ベター」かどうか効果的に判断するには、何の利害関係もない赤の他人に聞く
・「機動戦士ガンダム」の富野由悠季監督は、普段から新聞等でいい語感の外国人の名前を目にしたら、それをメモして、いつか使える日のためにストックしていたネーミングというのは袋小路に陥りやすい。考えているうちに段々と難しく、複雑な意味になりがちである。それを避ける意味でも第三者の反応は大事なのだ。
・何かアイデアを思いついて、それがすぐれたアイデアかどうかを判定する最も簡単な方法は、それが"美しい"かどうか
<美しいアイデアの例>
・すぐれたアイデアは、あしたの普通2006年暮れに銀座の博品館劇場で上演されたミュージカル「ガールフレンズ」も、美しいアイデアにあふれた作品だった。
それは、こんなミュージカルだ。
ユーミンこと松任谷由実の膨大なタイトルの中から30数曲をセレクトし、ジグソーパズルのように、ある順番に並べて3時間のストーリーに仕立て上げる。新たに書き起こされた台詞は1行もない。
たとえばソニーのウォークマンは創業者の井深 大さんが発案者ですが、再生専用の小型カセットデッキに小型ヘッドホンを組み合わせる発想は、その気になれば小学生でも発想できました。でも、井深さんが思いつくまで誰も思いつかなかった。それが今ではiPodなどの携帯音楽プレーヤーは、誰もが"普通"に使っています。
【感想】
◆本書の著者である指南役さんの作品をご紹介するのは、「キミがこの本を買ったワケ」以来なのですが、実はこの間に発表されたこの2冊も読破しております。「キミがこの本を買ったわけ」も含め、いずれもライトな味わい(笑)。
◆ただし、どうしても「面白いね」止まり(というか、「面白い」だけでも十分ですが)であり、その本を読んで実行に移せるかという部分でちょっと弱かったかな、とか。
・・・口先大臣のワタクシが言えた義理ではないのですが(汗)。
その点、本書は「アイデアを生み出すノウハウ」をわかりやすく展開されていて、ノウハウマニア(笑)の私としても、ありがたかったです。
◆もっとも本書のキモは、あちこちにちりばめられた事例の豊富さにあるのかもしれません。
この本、もしウェブで展開したとしたら、リンク張りまくりになりそうな(笑)。
私自身、マスメディアやコンテンツ(番組等)に疎いこともあったので、上記で挙げた作品等は自分用の備忘録みたいなものです(時間があれば観たいな、と)。
ちなみに、上記ポイントの亀山さんの話を読んで、コレ観たくなりました(今さら(笑))。
◆また、ポイントでは挙げなかったものの、目次にはある「推敲に9割の力を注ぐ」というお話は、ブロガーとして心がけたいところ(汗)。
指南役さんの本が、どれもスラスラ読めるのは、こういう理由があったのか(汗)。出来上がった原稿を何度も何度も読み返し、何度も何度も修正を加える。
推敲のいいところは、僕みたいに平凡な才能しか持ち合わせていない人間でも、努力すればした分だけ、ちゃんと見返りがあるところである。
「ダブりの表現はないか?」「文章がスムーズに流れているか?」「読みやすいように改行されているか?」―何度も何度もチェックして、手を加えれば加えるほど、文章は簡潔に、読みやすく、完成度が高まる。
◆アイデア本の難しいところは、読んで実践しても、上達というか成長が可視化しにくいところ。
本書も、読んですぐに「効果が出た!」とはなりえないと思います。
ただ、こうしたアイデアの「型」を知識として持っておけば、いつかどこかでアウトプットに繋がると思われ。
目先の小さな結果より、将来への投資として!
【関連記事】
【脳内経験】『案本 「ユニーク」な「アイディア」の「提案」のための「脳内経験」』山本高史(2008年04月10日)【アイデア思考法】『ビジネスマンのための「儲かる発想」』鳥井シンゴ(2008年02月27日)
【スゴ本!】「広告コピーってこう書くんだ!読本」谷山雅計(2008年01月15日)
「IDEA HACKS!」原尻淳一 ・小山龍介(著)(2006年07月29日)
「アイデアのつくり方」 ジェームス・W・ヤング (著)(2006年04月14日)
【編集後記】
◆アマゾンで見かけた1冊。・・・えーっと、これってオフィシャルなんでしょうかね(汗)?米国ブザンセンター唯一の元上級マスタートレーナーが、マインドマップをより実践的で使いやすい形に改良。一度ルールとテクニックを身につければ、あとはそれにこだわらず自分なりの方法でマップが作れるようになる新メソッドを解説・指導。実例31点オールカラー収録。
まぁ、私も現BWJのオフィシャルセミナーを受けてませんがー(汗)。
ご声援ありがとうございました!
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弊社は企画に携わる会社なので一度
手にとって見てみます。
なかなかこの手の人たちはどう
企画を作っているのかわからないので
読む価値は十分ありますね。
教えていただきまして、ありがとうございました。
確かにdougさんのお仕事からしたら、要注目パーソンですよね。
本書は軽く書いてありますが、実は結構重い内容ではないか、と。
事例を相当ご存知でない限りは、楽しめると思いますよ!