2008年10月23日
【個人ブランド】「あなたブランドを高める12のステップ」斎藤広達
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、当ブログでは秘かな人気のパーソナル・ブランディングのご本。ブランディングについて語る本は多いものの、そのほとんどが「会社・商品のブランディング」なので、いざ個人レベルで実践しようとすると、なかなか難しかったりします。
その点本書は、事例からしてビジネスパーソン向けになっており、すんなり応用できそう。
尖った人材に興味がおありなら、ぜひ!

【目次】
はじめに
第1章 輝ける"あなた"ブランド戦略を構築せよ!
「理想の姿」を自分に問いかける
現在の"あなた"ブランドを分析する
自分ブランドを構成要素に分解する
第2章 あなただけの武器を作れ!
「強み」を「尖り」に変えて、強力な武器にする
「弱み」を矯正する
"あなた"ブランドの哲学を注入する
第3章 宣言し、証明することでブランドは構築される!
自分を表す「キーワード」を作る
"あなた"ブランドをアピールする
宣言を実行していく
"あなた"ブランドの成長を調査する
第4章 さらなる成長と進化を繰り返すブランドへ!
「限りない成長」のために「タネ」をまく
"あなた"ブランドをさらに進化させる
あとがき
【ポイント】
・"あなた"ブランドのゴールを思い描く上で大切なこと:「とにかく現実離れしているほど壮大な"あなた"ブランド を思い描く」
「その姿をいくつかのライフ・ステージで分解してみる」
・ブランド構築に必要なものは「能力」と「尊敬」の2つ
・自分ブランドの分析には「社内での評価」「仕事仲間のちょっとした一言」などを参考にし、収集した材料を「能力」と「尊敬」に分解するその2つを手に入れて、ブランドとしての評価が高まれば、おのずとその期待に応えるべく「能力」をさらに磨き、より「尊敬」されるブランドになるために研鑽を重ねるようになる。そして、その努力が形になり、さらなる評価を生み出す。このスパイラルが続くことで、ブランド価値はどんどん高まっていくのである。
・そして自分の認識と周囲の評価との間にどれだけギャップがあるのか、冷徹に比較してみる
・ブランド価値を高める2つの方法:
「強みをさらに伸ばして、他者に負けない"尖り"に育てる」
「足りない部分を補う」
・「強み」と「弱み」を考える前に、自分が一体どのフィールドでどんなライバルと競うのかを明確にする
・「自分の中の強みを、強烈に磨き上げる」ことで、尖りにまで昇華させれば、その尖りは、絶対的な個性を主張する"あなた"ブランドの核になる
・強みを尖りに昇華させるには、強みを手にした「過程や理由」をしっかり把握しておくことが重要相手を圧倒するほど魅了させるには、単なる強みでは不十分なのだ。絶対的に誰にも負けない、あなただけの武器。強烈なまでのエッジで、見るものを魅惑するぐらいでなければ、せっかくの強みも、ちょっとした「長所」で終わってしまう。
尖るとはそういうことなのだ。
・強みを磨くステップ:強みが強みたるには、必ず理由が存在する。それを理解することなしに強みを磨いても、尖りにまでは昇華できない。
そして次に、意識的に尖りを手に入れる「研鑽の積み方」を理解しておくこと。そうすれば、あとは行動を起こすのみだ。
「ライバルの分析」
「磨いていく『強み』の選定
「具体的方策の決定」
・弱みの矯正の2つのポイント:
「どの程度矯正すれば弱みが平均値になるか」
「そのためにはどのような努力が必要か」
・弱みを矯正する資格があるのは、あくまで尖っている者だけであり、尖りを持ち得ない者は、弱みについて考える必要すらない
・"あなた"ブランドに強力な哲学やイデオロギーがあって、なおかつ、いつまでも尖り続けていられるのであれば、必ずファンは拡大していき、かつ、彼らの高い期待値をいつでも超える凄みを提供し続ければ、ファンはやがて信仰者になってくれる
・「ブランドのキーワード化」の第一歩が、ブランド構築の4つの要素(「立ち位置を明確にする」「尖りの形成」「弱みの補強」「エモーションの注入」)をまとめた「ブランド・ステートメント」の作成
<例1>
キーワード:
「絶対に問題解決をあきらめない」
ステートメント:
・電子メールの最後に"あなた"ブランドの哲学を一言添えるのも、簡単だが効果の高いメッセージ発信方法「わたしのブランドは、本社経営企画部において、問題解決力で絶対的な尖りを発揮し、どんな難問でも必ず答えを出す。
弱みであるプレゼンテーション力では、経営企画部平均レベルまで達する。そして何よりも、絶対に難問から逃げない。毅然とした態度を持って、日々の仕事に取り組んでいく」
・過去・現在の成功者の手法について、その尖りや哲学・姿勢から学ぶのは有意義だが、その成功の裏にある理由「なぜ成功したのか」「時代のどのようなニーズに合致して、輝くことができたのか」というポイントを抽出することが大切
【感想】
◆実は本書は、斎藤さんの2003年の単行本、「会社の中で自分をブランド化する戦略」を文庫化するにあたって、加筆・再編集したもの。ただし書籍内で展開されている手法は、5年経っても色あせることはないですし、むしろ当時よりも今の方が「個人ブランディング」が重要視されているように思われます。
登場する企業(アップル、BMW、ルイ・ヴィトン等)の大部分も、当時と変わらず「ブランド」をしっかり維持しており、あらためて、これらの企業の底力を思い知らされたとも言えるわけで。
◆上記ポイントでは1箇所だけ引用できませんでしたが、本書ではそのテーマ通り、「個人ブランド」("あなた"ブランド)のケーススタディも豊富に収録されています。
「営業マン」「企画職」「リサーチャー」等々、ビジネスパーソンが社内でいかに「ブランド」を確立していくかについて、段階ごとに詳細に解説。
それらの事例の主人公や、登場する人物にも名前を付して、「ペルソナ」のように扱っているところなど、「代理店のプレゼン」のような(笑)。
◆そういえば、ところどころに挿入されている図も、プレゼンのパワポ資料チックで、何だか「セミナーを受けている気分」になったワタクシ(笑)。
もっとも、当ブログの読者さん的には、こういうテイストは決して嫌いではないと思われ。
「レーダーチャート」や、「フローチャート」がバシバシでございます(汗)。
例えばこんな感じ・・・。

◆上記ポイントにもあるように、「弱点うんぬん」以前に、まず「尖り」。
そしてその「尖り」となるべき、「強み」を認識すること。
さらには、その「強み」を手にした「過程や理由」をしっかり把握しておくこと。
そうそう、「強み」と言えば、コレをお忘れなく!
(参考記事:【自分の"強み"を調べてみました】「さあ、才能(じぶん)に目覚めよう」マーカス・バッキンガム)
◆読んですぐ効果が出る、というタイプの本だとは思いませんが、そもそも「ブランド」というものは、時間をかけて熟成していくもの。
このブログだって、メディアでとりあげられるようになったのは、3年目の終わりくらいでしたし。
ただし、何らかの方策を施すことにより、その時間を短縮することは十分可能だと思います。
そして本書は、そのヒントを与えてくれるかもしれません。
パーソナルブランディングを考える方にオススメ!
【関連記事】
【自分の"強み"を調べてみました】「さあ、才能(じぶん)に目覚めよう」マーカス・バッキンガム(2008年06月26日)【自分ドメイン】「会社を替えても、あなたは変わらない」海老根智仁(2008年04月26日)
【伝説】『「伝説の社員」になれ!』土井英司(2007年07月10日)
平野友朗先生のブランディングセミナーに行ってきました(2005年08月11日)
「パーソナルブランディング」 ピーター・モトンヤ (著) 本田直之 (訳)(2005年06月09日)
【編集後記】
◆先週末に撮ったムスコの画像。
川べりにいた仔犬に釘付けであります(汗)!

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