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2008年10月12日

【読書ハック】「READING HACKS!」原尻淳一




【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、小山龍介氏とともに、一連の「HACK」シリーズで一世を風靡した、原尻淳一さんの「読書本」

いつも通り(?)、89(ハック)のネタが詰まっている「お買い得本」です(笑)。

読書本としての本書の特徴は、サブタイトルにもあるように「アウトプット」にもポイントを置いていること。

読書を単なるインプットで終わらせたくない方なら、必見です!


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【目次】

Chapter1
読書のめりこみハック!―本に恋する、きっかけのマネジメント
 01ウィキペディアで著者のエピソードをたくさん読む
 02本にのめりこむには、まず著者の声を聴く ほか

Chapter2
楽しいビジネス読書ハック!―リーディング・ハック
 15読書における「選択の打率」をあげる
 16ビジネス書はウェブショップで買わない ほか

Chapter3
超速読ハック!―スピード・リーディング・ハック
 35ビジネス書を読む意味は、「教訓の獲得」にある
 36速読術のコツは「高速で何度も目を通すこと」 ほか 

Chapter4
読書体質になるリーディング・ハック!
 47「座右の書」に出会う
 48著者が書いているすべての本を読んでみる ほか

Chapter5
キャリアを作るリーディング・ハック!―ビジネス・マルチ・リーダーを目指して
 58垂直型読書と水平型読書
 59「思考のホーム・グラウンド」を作る ほか

Chapter6
ドキュメントのリーディング・ハック!
 68アウトプットを生むために読む
 69ビジネス資料は、解剖しながら読む ほか

Chapter7
超アウトプット生産のためのデータベース・ハック!
 78多読の罠に気をつけろ!――ショウペンハウエルの警鐘
 79超アウトプットのためのハニカム・データベース・システム ほか

appendix
最強の『読書論』ナビゲーション・リスト
 読書入門
 古典読書論 ほか


【ポイント】

・本を読む前に著者のブログをチェックすることにより経歴や人脈が見えると、文章を読む際の理解度が全く違ってくる

・リサーチで活用するのに有効なのが、本に描かれている現場に行き、リアルと本を並行して行き来しながら内容に肉薄していく手法(「パラレル・リーディング」)

・カスタマーレビューを読む際に重要なのは、レビュアーの意見ではなく、自分の抱えている問題を自覚し、少しでもそれに対応するヒントを探せるか

・本の書評が横断的に検索できる「書評。ブックレビュー検索エンジン」

・類書検索システム「想―IMAGINE Book Search」

・読書投資基準=70:20:10モデル

 既存ビジネスへの書籍投資に70%、既存ビジネスをサポートしうる、あるいは新しいビジネスになりうる領域の参考文献に20%、そして全く未知の書籍に10%を割くように意識しています。

・ビジネス書を読む最重要課題は「他人の経験から紡ぎだされたスキーマ(概念や法則性)」を獲得すべきこと

 大切なのは、獲得した他人の教訓を常に現場検証すること。そして、その結果を自分のビジネスの規則として作りかえることです。他人の教訓を実践で試して、本当に使える教訓を取捨選択し、自分向けにアレンジしていく。この実験を繰り返し、「本当に使える教訓」を身につけることこそ重要です。

・「見出し」と「太字ゴシック部分」の多くは因果関係になっている

・「エクステンシブ・リーディング」・・・できるだけたくさんの情報を集めて、大雑把に内容を把握する読み方で、さらに「スキャニング」と「スキミング」に分かれる

・「インテンシブ・リーディング」・・・読むべき本を精読し、内容を細かく分析しながら、時間をかけて読む方法



・面白くない本は読むのをやめるべきだが、少し寝かせて熟成させると、後で読んで面白いこともある

・方法は人によって向き不向きがあるので、ノウハウ本は実験をして、自分に合ったものだけを吸収する

・「ゼネラリスト」を目指すのであれば、あらゆる専門分野を水平的に読む読書をし、「スペシャリスト」を目指すのであれば、特定分野を垂直に深めていく読書が不可欠

・垂直型読書を徹底的に行って「思考のホーム・グラウンド」を作っておけば、共通点と差異点を考えることで、直面する問題が整理される

 ここで重要なのは、まず所属部署のスペシャリストとなるべく垂直型読書を続け、専門的知識を体系的に体得すること。その後に専門の外に出て、あるいは業界の外に出て議論をし、そこで得た知識を自分の思考のホーム・グラウンドにポジティブ・フィードバックすることです。

・手に入れた資料、会議で配布された資料に関しては、自分のアウトプットに使える資料かを判断し、料理でいう「レシピ(作り方、構造)」・「素材(データ)」・「盛り付け(見せ方のデザイン)」に分解してしまう

・多読で一番怖いのは、無意識に本に頼りきって、自分で考えるという行為をやめてしまうこと

・図書館というのは、テーマとなる本の歴史と、その根底に流れる(今日においても活用しうる)本質的キーワードを発掘しうる最高の場

・アウトプッターというのは、表層的な表現の下に潜む「ルール」や「ものごとの道理や本質」を見抜き、それを自分の表現の方法に転化させ、価値あるものを生み出していく人



【感想】

◆ポイントでは挙げなかったものの、本書のハックの1つとして「年間読書キャンペーンを張る」というものがあり、これは上記ポイントの「70:20:10モデル」のうち20%部分を、年間を通しての「キャンペーン」に充てて、テーマを決めて深掘りするというものです。

そして、著者の原尻さんが2007年1年間かけて行ったキャンペーンが「日本の主要な読書術を網羅する」

その結果生まれたのが本書なのだそう。

「素晴らしい投資効率」ですね(「本を出したい!」と思われている方は、真似してみてはどうでしょうか?)!


◆さて、一連のハックシリーズでもそうなのですが、89もあれば、合うものもあれば、合わないものもあって当然。

そんな中、私が結構「目からウロコ」だったのが、ストレートに本にだけフォーカスするのではなく、その本の周辺情報(?)まで集めるというスタイルです。

上記ポイントのように、「著者のブログ」「本で描かれている現場」にコンタクトするだけでなく、著者に関する「Wikipedeia」「インタビュー」、さらには五感を使うかのごとく、「オーディオブック」「ポッドキャスト」「セミナー」までカバーする、というのは、確かに実践すれば、かなり深い理解ができそう。

ちなみに、これら全てをカバーできる著者さんで、思い当たるのは、やはり勝間和代さんですかね(笑)。


◆一方で、冒頭で言及したように、本書は「アウトプット」を強く意識しているのも特徴です。

つまり、「まず、アウトプットありき」で、それに適した「インプット(読書方法)」を選択する、ということかと。

特に第5章の「キャリアを作るリーディング・ハック!」においては、「キャリア・デザインの方法論としての読書」がテーマになっており、「実践するって言ったって、起業してないし」と常日頃思ってらっしゃる方なら必読!

ここが「戦略」だとしたら、それ以降の6章7章が「戦術」

この3つの章が本書のキモだと思います。


◆もちろん、そういった小難しいこと(?)を抜きにしても、「取り入れたい」ハックが満載!

本書では、「読書に役立つサイト」(一部上記で紹介済み)が数多く挙げられており、勝間さんの読書術とはまた違った、「ネット活用方法」が展開されています。

また、小ネタですが、私も愛用しているこの「ブックストッパー」も登場(笑)。

ブックストッパー
トモエ算盤
発売日:2004-07
おすすめ度:4.0

ただ、どうせなら、最近橋本大也さんも記事にしている、こっちのブックスタンドも一緒に紹介して欲しかったかも。

ELECOM EDH-004 ブックスタンド
エレコム
発売日:1997-11-20
おすすめ度:4.5

(参考記事:【本ネタ】ブックストッパー3種使い勝手徹底比較


◆最近、読書術系の本が多く出版されており、後発本は不利かな、と思っていたのですが、本書のアプローチは新鮮でした。

もっとも原尻さんは、あの「ハックシリーズ」の著者ということもあって、ある意味「納得」でしたけど(笑)。

装丁も当然オシャレですし、「READING HACKS! 26」で言及されているように、「行きつけの喫茶店」、できればシアトル系コーヒーショップで、休日の昼下がりに読んで頂きたい1冊です。


本好きなら、当然オススメ!



【関連記事】

【読書】「読書進化論」勝間和代(2008年10月02日) はてなユーザーの評価

【読書力】『ビジネスマンのための「読書力」養成講座』小宮一慶(2008年09月19日) はてなユーザーの評価

【読書術】「いつも目標達成している人の読書術」丸山純孝(2008年09月08日) はてなユーザーの評価

【本ネタ】当ブログの人気「読書本」はコレだ!(2008年08月31日) はてなユーザーの評価

【読書】本200%活用ブック(2007年10月02日) はてなユーザーの評価


【気になる1冊】

◆トラバを受けて知ったのですが、「Business Bible Readers」の早川ノブさんが、今日の記事で面白そうな洋書を紹介しています。

【ツギコレ1:アメリカ人気ビジネス書】 Yes ! :Business Bible Readers

『影響力の武器』で著名なロバート・B・チャルディーニらが、
相手に「Yes!」と言わせる50の実践的説得術をまとめた1冊、
『Yes!50 Scientifically Proven Ways to Be Persuasive』です。


あのチャルディーニの本だけに、洋書読める人ならマスト!

・・・早く翻訳されないかなー、とかぼやいてみるテスト(笑)。


【編集後記】

◆ちょっと前に土井英司さんのメルマガで激プッシュされていた1冊を、今さら購入。


新書の割には、かなり実践的な感じです!


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この記事へのコメント
               
smoothさんこんばんわ!

読書術&HACK好きの私にはたまらない一冊です。

多くの読書術の本が出ていますが、それぞれの中からいいとこ取りをして自分だけの方法を編み出していきたいと思います!
いずれはそれを出版!?^^
Posted by Mharu@読書I/O日記 at 2008年10月12日 19:12
               
smoothさん、こんにちは!

またのご紹介、ありがとうございました!
『Yes!』はフツーに面白かったです。
私も邦訳本出たらまた買います(笑

『READING HACKS』はsmoothさんの「本好きなら、当然オススメ!」
のひと言でアマゾンアタック確定しました(笑

積ん読本が100冊近くあるので、とりあえずカートで待機ですが(汗
Posted by 早川ノブ@BBR at 2008年10月12日 22:02
               
smoothさん。はじめまして。

『READING HACKS!』著者の原尻です。

書評いただき、ありがとうございます!

こちらの意図を正確に読み取っていただいており、とても嬉しい書評でした。

僕としては、ハックに流れをつくって、
ビジネス書の『本を読む本』をつくってみようと思った1冊です。なので、段階論を
すごく意識しました。

それと読書感想ではなく、
読書の方法に徹したつもりです。

ともあれ、素晴らしい書評に感謝いたします。

原尻淳一 拝
Posted by 原尻淳一 at 2008年10月12日 23:53
               
>Mharuさん

著者の皆さん、本好きなだけあって、読書法にもそれぞれこだわりがありますよね。
それはまた、私たち読者も同じで、実際に会談等している時も、読書ネタで盛り上がったりしている、という(笑)。
実際に出版できるかは別としても、そのツモリでまとめておくと、いいコンテンツが出来ると思いますよ!

あと、京都での会談も楽しそうでしたね!
本田さんにもしばらくお会いしてないからなー。

>早川ノブさん

てか、勝間さんのように、翻訳本買う必要なし!としてください(爆)!
あと、アマゾンアタックありがとうございます(涙)。
すんごく後になって計上されていたら、ノブさんのだと思って、アメリカの方を拝んでおきます。

>原尻淳一サマ

著者様直々のコメントありがとうございます。
このご本、個人的には、小山さんの『STUDY HACKS!』と同じ位の手ごたえがありました。
『STUDY HACKS!』も小山さんの中では一番売れてるハズですが、この『READING HACKS!』もかなり行っちゃうんじゃないでしょうか?

内容的にも「段階論」というご指摘に納得です。
確かに、初心者からコアな人まで満足できる内容ではないか、と。

素敵なご本をありがとうございました。
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2008年10月13日 02:55
               
smoothさん、こんにちは!
これ凄いですね。
早速、アタックさせてもらいました(笑)
いつもいい本の紹介ありがとうございます!
Posted by hoshi-zora at 2008年10月13日 08:27
               
>hoshi-zoraさん

アマゾンアタックありがとうございます(涙)。
確かにこの本「やられた!」感が強いです。
「こういう切り口があったか」というか。
装丁も含めて「売れそうな匂い」がしてます(笑)。
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2008年10月14日 01:50
               
とてもためになりました。
ぜひ挑戦してみたいと思います。

Posted by 転職コンサルタント at 2008年10月14日 19:21
               
>転職コンサルタントさん

はじめまして。
コメントありがとうございます。

この本の内容は、オススメですので、ぜひぜひお試しアレ。
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2008年10月15日 02:17