2008年10月06日
【大前流】『サラリーマン「再起動」マニュアル 』大前研一
サラリーマン「再起動」マニュアル
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、元祖コンサルタント系(?)の大前先生の最新作。タイトルには「サラリーマン」とありますが、内容的には自営業でも起業家でも役に立つであろう、ヒントが満載。
思わずこんなに付箋貼りまくってしまいましたよ(汗)。
◆なお、第1〜3章では、広い意味での「仕事術系」の内容について言及されている一方で、第4章以降では、「時代の潮流」や「世界の動向」といった、大前先生お得意のネタが披露されております。
ターゲットは30代以上なのかもしれませんが、若い人でも読み応えアリ。
これは見逃せません!
【目次】
イントロダクション 志のあるサラリーマンは、きつい仕事を厭わない―日本が“フリーズ”している今こそ、自分を向上させるチャンスだ
第1章 現状認識 なぜ今「再起動」が必要か?
"見えない大陸"=新しい経済が出現した
旧大陸の側につくのか、新大陸を目指すのか ほか
第2章 基礎編 「再起動」のための準備運動
タイム・マネージメント――「時間がない」は禁句にせよ
手帳の「3色管理」で仕事のムダをリストラする ほか
第3章 実践編 「中年総合力」を身につける
IBM「パソコン事業売却」が意味するもの
「Do More Better(今までより良くする)」の限界 ほか
第4章 事業分析編 “新大陸エクセレントカンパニー”の条件
トルコの工場、フィリピンのコールセンターに学ぶ
世の中の景色が違って見える3つの新大陸型企業 ほか
第5章 メディア編 「ウェブ2・0」時代のシー・チェンジ
ウェブ2.0時代は「放送」が「通信」の1部になる
無限大に広がる「通信」のシー・チェンジ ほか
エピローグ 新大陸の“メシの種”はここにある―ゆっくりと21世紀の世相と世界地図を眺めよう
「健康な高齢者」を対象にした巨大マーケット
1人暮らしの孤独を癒すビジネスも有望 ほか
【ポイント】
◆今回も上記画像のように、非常に多くのポイントがありましたが、ある程度絞って挙げてみます。・今の30代後半〜40代は旧大陸の環境(=アナログ時代の古い経済社会)でビジネスの訓練を受けた人たちであり、新大陸の環境(=デジタル時代の新しい経済社会)で生き延びていくための訓練は受けていない
・新しいものを生み出していくためには、マンネリ化しやすいピラミッド型組織ではなく、変化に柔軟かつ素早く対応できるプロジェクト・ベースが適している
・時間のリストラ方法:
「仕事の質・精度を落とす(必要のない会議には出ない等)」
「他人にデリゲート(delegate=委譲)する」
「アウトソーシングする」
・英語学習は「聞く」ことからスタートし、意味を考えずに「鳥のさえずり」のように聞いて真似をする
・お奨めのライフスタイル:「平日は通勤に便利な都心の賃貸に住み、週末は環境の良い郊外に買った一戸建てに住む」
・「お受験」のためにせっせと塾に通わせるよりも、子供と一緒にいる時間、考える時間をできるだけ増やしてコミュニケーションを密にし、勉強の大切さや興味を持つ分野を広げることの大切さを自覚するように導いていく
・プロジェクトの3パターンと求められる資質・顔ぶれ:
「Do More Betterプロジェクト」(同じことや類似のことを良くする)
「新規開発・新規事業プロジェクト」(新しいものを生み出す)
「ブレークスループロジェクト」(起死回生のために極めて難しい問題を解決する)
⇒詳細は本書を
・「できない人」は、自分の仕事に関係のないテーマだと頭をブロックしてしまう(一方、得意分野だと饒舌になる)
・30代後半〜40代の人は、自分の年齢プラスマイナス15歳の人を研究する
・発想力向上には、創造力や感性を司る右脳を刺激する
・プレゼンを成功させるには、30ページの企画書からエッセンスを抽出して15行のサマリーにまとめ、ロジカルにわかりやすく説明するたとえば、私がマッキンゼー時代に考案したプランニングのやり方は、新聞紙ほどの大きな企画用紙を横長に使い、その左下から書き始める、という方法だ。そうすると左目に一番近いので、右脳が刺激される。しかも、紙の左上と右側に大きな思考空間が広がるから、不思議と発想が豊かになるのだ。
・その際のポイントは、最初から企画に対する疑問点が3つ出てくるようにして、その答えとなる3つの理由を用意しておくこと
・中国は普及品を作れるローコストの国だが、トルコはハイエンドのブランド品をたくさん作れるミドルコストの国であり、したがってお金を稼ぐ潜在能力が非常に高い
・新大陸型の代表企業:
「デル」
「シスコシステムズ」
「インディテックス」(アパレルブランド「ZARA」を世界展開している会社)
・ユニクロはまだ「ウェブ1.0型」経営だが、世界のアパレル業界で「ウェブ2.0型企業」を実現しているのは、上記「インディテックス」とスウェーデンの「H&M」
・経営が傾いた会社が単なるリストラで甦る可能性はほとんどないので、希望退職を募ったり、早期退職制度を設けたりしたら、それを利用するべき
・グーグルが最終的に狙っているのは、スポンサーに対して、最も消費者の反応が良くなるCMミックスを提案すること
・ネットビジネスでは、サービスメニューに世界標準がなく、国によってユーザーの「嗜好」や「癖」が違うからサービスメニューが国境を越えられない
・従来の日本人の需要動向とは全く違う、25歳以下の「物欲・出世欲喪失世代」
【感想】
◆上記画像の通り付箋貼りまくりだったことからもお分かりの通り、、これでも思いっきりカットしております。そもそも、本書の「元ネタ」は、雑誌週刊ポストにて連載していた「ビジネス新大陸の歩き方」とのこと。
なるほどそれならば、それぞれのトピックが尖がっているのもうなずけます。
しかも本書の小見出しは140超あるという(汗)。
◆今回、上記「ポイント」から漏れた中から、気になった部分の小見出しを挙げると、こんな感じ。
・「TOEIC860点」の壁を突破する即効メソッド
・大前流「3つのインプット術」
・事業構想に必要なのは「5年後のライフスタイル像」
・「生活提案力」をつければ、収益は高められる
・アメリカ発eコマースの日本向けトップ3は?
え?こちらの方が、面白そうですか?
◆本書が意図していたかどうかはわかりませんが、丁度先月半ば、上記ポイントでも出てきたH&Mの、日本1号店が、銀座に出来たばかり。
私もご近所さんなので、先日、開店数十分前に覗いてみたところ、すでに行列ができていました。
離れたところから撮影したため分かりにくいんですが、ドアの前にいるのは関係者で、建物に沿ってダーっと行列が。
というか、オープン初日には開店時に5000人並んだそうです。
(参考:ドキュメントH&M銀座店オープン【前編】:日本繊維新聞編集部ブログ)
◆なお、この店のある中央通りには、すぐそばに同じくポイントで挙げた「ZARA銀座店」があります。
ついでに言うと、やはり同じ並びにある銀座松坂屋の中には「無印良品」。
さらに同じ通りのはす向かいには「ユニクロ銀座店」。
ちょっと離れたところにも「GAPモザイク銀座阪急店」があり、恐ろしく地価が高いこの辺一帯に、SPA企業が集中しているというのも、面白いな、と。
・・・本書を読んでから、再度品揃え等を確認したくなりました(笑)。
◆また冒頭で、本書の対象年齢層に触れましたが、特に4章以降は、年齢全く関係ないですし、むしろ、エピローグにある、「晩婚化」「少子化」のお話は、むしろ、若い世代にこそ読んで頂きたいところ。
大前先生曰く、
だそうですから(汗)。今後は国がハローワークの代わりにハローウェディングを作り、「適当な人とのめぐり会い」を斡旋するぐらいのことをやらないと、本質的な少子化対策にはならないと思う。
◆個人的には、今まで当ブログでご紹介したことのある大前先生のご本に比べると、比較的「上から目線」が控えめなのもGoodかな、とか(笑)。
読む人が読めば「自慢話」に感じるところもあるかもしれませんが、実際、経歴的にはスゴイ方ですし。
まぁ、巻末にご自分のビジネスの案内が載ってるのは、お約束ということで(笑)。
ネタの分だけヒントを頂きました!
サラリーマン「再起動」マニュアル
【関連記事】
◆今回は、大前先生の著作並びに翻訳本を。「ビジネス力の磨き方」大前研一(2007年04月26日)
「即戦力の磨き方」大前研一(著)(2006年05月30日)
「ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代」ダニエル・ピンク (著), 大前 研一 (翻訳)(2006年05月25日)
【編集後記】
◆昨日の、「月刊宝島」の件では、大変多くの方にコメント頂きました。皆様、どうもありがとうございました!
表紙的に非常に買いにくい特集の号だったので、お買い求めにくいかもしれませんが、アマゾンなら大丈夫ですよ(爆)!
ということで、再度アフィリリンクを貼ってみるテスト(笑)。
ご声援ありがとうございました!
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いつもながら最高の書評ですね!
大前研一さんの偉大さは知りつつも、この本のタイトルだとちょっと購入は控えていたかもしれません。
でもsmoothさんの記事で興味を持ち、早速amazon購入決めました。実務的なミクロの視点と、世界情勢を捉えたマクロの視点、両方学べそうですね。
いつもありがとうございます。
あとから、ちょっと貼りすぎか?と思い返すことがよくあります。でもビジネス書のおもしろさってこの付箋紙の量で計れるような気もします。今後ともよろしくお願いします。
お褒め頂き恐縮です(汗)。
また、お買い上げ、ありがとうございますー(涙)。
ホントのところ、内容が多岐に渡っていたので、まとめ切れなかったのですがー。
また、実際の連載の記事と比較してないのでホントのところはわからないものの、かなり編集で手を加えて、「売る」ことを意識されたんじゃないかな、と勝手に想像しております。
>多ぁ忙さん
はじめまして、コメントありがとうございます。
お!多ぁ忙さんも付箋派ですか。
ナカーマ(*・∀・)人(・∀・*)
ブログも拝見しました。
クオリティが高くて素晴らしいと思います!
私のお笑い系とは違う・・・(涙)。
今後ともよろしくお願いします!
わたしの付箋はこんな感じです。ちょっとカラフルでしょ?(色に意味は無し)
http://newhabits.blog33.fc2.com/blog-category-5.html
リンクありがとうございます(ウチからもいずれ張らせて頂くことになると思います)。
私自身が「お笑い」なので、あんまり堅苦しくない雰囲気でやっていこうと思ってます。
実際、ビジネス書って楽しいですし(笑)。
付箋、確かにカラフルですね(笑)。
私も取材を受けたときに、「その色分けには意味があるんですか?」とよく聞かれるのですが、順番に貼っていって、色がなくなったら次の色、って感じなんですよね(笑)。