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2008年09月25日

【超】『超「超」整理法』野口悠紀雄


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超「超」整理法 知的能力を飛躍的に拡大させるセオリー


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、御大野口悠紀雄先生の最新刊。

野口先生と言えば、『「超」整理法』が有名ですが、本書は『超「超」整理法』ということで、『「超」整理法』をさらに超える本という位置づけのようです。

実際、本書の帯には『「超」整理法から15年。ついに、ミリオンセラーを書き直すときがきた!』との文字が(汗)。

確かに15年という時間の流れは、野口先生の考えをも変えてしまったようです!>




【目次】

序論 『「超」整理法』を書き直す時がきた
第I部 デジタル・オフィスの作り方

第1章 Gメール 革命
 1.Gメールのどこが革命的なのか?
 2.人名をキーとしてメールを読む ほか

第2章 デジタル・オフィスはオンライン
 1.なぜオンラインがよいのか?
 2.個人データをオンライン格納 ほか

第3章 紙との共存
 1.現実的になったデジタル・オフィス
 2.ワーキングファイルの扱い ほか

第II部 IT時代の知の技法

第4章 検索を制するものは知を制す
 1.なぜ検索の方法論が必要なのか
 2.検索で難しいのは何か? ほか

第5章 検索は知のスタイルを変える
 1.検索を使えば目的に直接到達できる
 2.百科事典とミシュランの思想 ほか

第6章 新しい時代における知的作業の本質は何か?
 1.知的作業の核心である三つの作業
 2.具体的にはどうすればよいのか

第7章 新しい知的生産技術
 1.みんなで作る知の体系
 2.コンピュータは知的作業を代行できるか?

第III部 知の産業革命

第8章 日本で知の産業革命が起きるか?
 1.知的奴隷が使えれば、知の産業革命は起こらない
 2.搾取されている若い知的労働者 ほか

他、コラムも多数掲載


【ポイント】

■いつのまにかできていたデジタルオフィス

⇒(野口先生においては)相当量のデータが、Gメール送信メール受信メール、あるいは添付PDFと言う形で、メールのログにすでに蓄積されており、これがまさに「デジタル・オフィス」だった

『「超」整理法』で提案した「押し出しファイリング」は、紙形態の書類に関しては、今でも最強の方法だと思っているが、電子的な情報が15年前に比べて飛躍的に増大したため、新しい方法論が必要となった

⇒必要なのは「自分では格別の整理作業はせず、データを投げ込むだけ。一定の時間がたつと、データが徐々に蓄積され、気づいた時には全体がデータベースとして機能している」というシステムであり、メールのログとして出来上がっていたデータベースも、このような性質を持っている


■Gメール革命

●Gメールの特徴

容量が大きい(6GB)ので、すべてのメールを添付ファイルとともに保存しておける

検索機能がきわめて強力

⇒これまでもログ保存のサービスはあったし、メールのログに検索をかけることも可能だったが、この両者を兼ね備え、しかもどちらも極めて充実しているものはなかった


●8割原則で「マドルスルー」

⇒対外的な仕事は人名だけでほとんど識別できるし、それ以上の検索キーを使っても、能率は向上するが、それほどのものでもない

⇒単純な方法で「およそうまくいく」(マドルスルー:切り抜ける)できればよく、目的の8割が達成できればよい


■メールの書き方を工夫して合理的な仕事のシステムにする

タイトルの規則性は大事

本文の書き方をシステマティックに

⇒当方の名前はフルネーム

日付の書き方を統一しておけば予定表になる

⇒こちらからシステマティックなメールを送れば、それは相手のためになるだけでなく、自分自身のためにもなる

⇒必要に応じてメールを書き、雛型として使えると分かったメールには、ラベルを付けておく


■デジタル・オフィスはオンライン

●データはオンラインに

作業中のファイルはGメールで自分宛のメールを送って、ネット上に置いておく方がよい

⇒そうしておけば、複数の職場でシームレスに仕事ができる

⇒マシン間のデータ移動に外付けHDを用いると、紛失、盗難、置き忘れ等の問題が起こりうる


●個人データをオンライン格納

クレジットカード番号銀行の暗証番号もネット上に(心配なら暗号化して)

⇒必要に応じて住所録誕生日データ等も

特定のファイルだけを確実に引き出すためには、他の場面ではあまり現れない言葉を使うこと(野口先生は「あああああ」という文字列を使用)

⇒Gメールは「?」他、記号は検索の対象としていないので、注意


■フォルダ方式よりラベル方式が優れている点

⇒ラベルを事後的に付けられるし、変更もできるため、条件が変化したときに柔軟に対応ができる(フォルダは事後的に変えるのが難しい)

⇒1つのファイルに複数のラベルを付けることができるので、こうもり問題(「あるファイルが複数の属性を持っている時、どの属性で分類するか」という問題)に対処できる


■紙との共存

「オフィスのデジタル化」とは、紙を廃してすべてを電子形態にするのではなく、紙と電子の得意分野を見極め、使い分けること

⇒データは電子的に保存されているので、紙を捨てることができるし、データもすぐに検索できる

⇒書類の送付はファクスではなく、PDFで送るべき

 ファクスでできることは、PDFでもできる。しかし、逆は必ずしも真ではない。たとえば、普通のファクス機ではカラー送信はできないが、PDFなら簡単にできる。また、PDFなら、一斉同報も簡単である。


■検索を制するものは知を制す

●「検索力」で差がつく

「いかに検索サービスを利用して、知りたいことを知るか」が、現代の仕事で必要とされる基本的な技能

⇒検索エンジンを使いこなせる人とそうでない人との間には、情報力に絶大な差が生じる


●検索方法色々

ダイレクト検索

and検索

八艘飛び検索

(詳細は本書を)


■新しい時代における知的作業の本質(抜粋)

●問題の設定

⇒まずすべてに先立って必要なのは「問題設定」

⇒受験勉強の真の弊害は「問題設定の能力が鍛えられない」ことと「すべての問題に解がある」と思い込んでしまうこと


●仮説の構築

仮説とは、問題に対する暫定的な答暫定的な命題、その他主張、意見、理解、説明

検索ができる段階まで仮説を特定化できれば、作業の大半は終わっている


■日本で知の産業革命が起きるか?

●日本の大組織の現状

⇒大組織で一定以上の地位に登ったものは、部下を情報整理のアシスタントとして使えるので、「情報の整理」という問題について考える必要がなくなり、結果的にITを積極的に導入する意欲はわかない

「Gメールを使ってデータをネットワークの上に置く」という方法をとれるかどうかは、「グーグル・フォビア」(グーグル恐怖症)を克服できるか否かにかかっているが、企業秘密がグーグルに筒抜けになることを恐れる大企業では無理ではないか

⇒80年代以前の情報システムは、「メインフレーム・コンピュータ」「電話」を中心とする中央集権的なものだったが、これが分散型システムに大転換したのであり、「IT革命」とはこのことを指している


●年功序列はIT導入の障害

⇒ITは過去20年間程度の比較的短い期間に急速に進展した技術なので、年長者はそれに比較優位性を持っていない

⇒だからITの利用が組織内で必須になればなるほど、年長者には不利な状況になるため、IT化を積極的に進めようとするインセンティブを持たない

⇒結局ITの導入は一種の「世代間戦争」の一種であるのに、こうしたことが問題だと意識しない若い人が多い


●変化が必要

⇒20世紀型の経済活動においては、全員が組織人としての活動を要求されていたので、同質性が強みだったが、21世紀型の技術体系の下では、それが最大の弱点となってしまう

⇒ゆえに、「変化が必要」なのだが、変化をチャンスに転化するためには、「皆と同じことはしない」ことが重要(むしろ、必要に応じて逆方向に動く


【感想】

◆出た直後ではなかったかとは思いますが、こんなワタクシでも一応、『「超」整理法』は読んでおりました。

その出版から15年。

さすがに当時の野口先生が想像もできなかったくらい状況が変わったという事で、今般、本書内でも「以前は●●だったが、今や〜」といった表現が多々見られました。


◆前半は、野口先生の「Gメール賛歌」的な内容ゆえ、当ブログをお読みの方にとっては、既に実践済みの事柄も多いかもしれません。

むしろ、野口先生がGメールに切り替えたのは、今から1年半ほど前ということなので、2006年7月から使い始めている私よりもちょっと遅いくらいです。

ただし、私のような「滅多にメールも書かない」「仕事でもほとんどメールが来ない」ものと違って、原稿のやりとりを含め、仕事でのメールのやりとりが非常に多い野口先生にしてみれば、メールシステムを切り替えるのは、大変な勇気が必要だったのではないでしょうか?


◆実は私の場合、私用のメールでGメールを使い出したのは確かに2年前なのですが、仕事用のメールまでGメールにしたのはつい最近のこと。

以前からの私の名刺をお持ちの方はご存知のように、仕事用のメールアドレスは、AOLでした。

このAOLというのが独自のメーラーを採用していて、着信通知自動転送もできないというオシャレな仕様(汗)。

それでも今まで不便に感じなかったのは、メールより電話でのやり取りの方が圧倒的に多い自分の環境ゆえでした。

一応、メールアドレスを変更する際には、「無料のシステム使って大丈夫なのか?」「データが漏洩するのでは?」と言った指摘を顧問先から受けるかと思いきや、AOLの悲惨さを同時に訴えたところ、「それはひど杉」とかえって変更を歓迎されたという(汗)。


◆こんな私のような零細個人事業主でも一応気を遣うくらいですから、普通の会社、しかもある程度の規模の会社が、Gメールを導入するというのは、結構ハードルが高いことなのかもしれません。

そこで、登場するのが本書ですよ(笑)!

黙って上司の机に置いておくなり、「あの野口先生のお墨つきですよ!」「生産性が違ってきますよ!」等々説得の材料に使うなり、活用しまくってください。

勝間さん含め、若い世代の方が言うのではなく、「野口悠紀雄先生」という大御所がおっしゃるのであれば、団塊世代以上の上司さんでも首を縦に振るかもしれません。←あくまで推測

・・・ホントは「Gmailで他のメールアカウントを利用する方法」とか色々あるみたいなんですが、IEすら使ったことのない私にはよくわからず(サーセン(汗))。


◆そして後半以降は、検索を中心とした知の技法が。

さまざまな事例や、それに応じた検索のやり方等については、まとめるとかえってわかりにくかったので、できれば本書にてご確認を。

また、最近話題になることが多い、「宿題のコピペ問題」についても言及がなされており、野口先生らしいお考えにはちょっと「目からウロコ」でした。

この部分についても、断片的に抜き書きすると、誤解を招きそうなので、今回は割愛(汗)。


◆さて、肝心の「デジタル・オフィス」に関しては、ただメアドをGメールにするだけでなく、私も徐々に導入中です。

たとえばこの記事の原稿も、職場で途中まで書いた上で、Gメールの下書きに保存し、自宅で続きを書いて完成させました。

また、たまに登場するケータイで撮った画像も、すべていったんGメールに送信し、原稿を書く時点で随時ライブドアの方にアップし直しています。

もちろん、大事な各種エクセルファイル等も、Gメールに添付して保存済み。


◆逆に、PDFの活用については、自分はまだまだだと痛感しました。

上記ポイントにもあるように、「ファクスでできることは、PDFでもできる。しかし、逆は必ずしも真ではない」というお話はごもっとも。

昨日たまたまこの記事を踏まえて、吉澤 大さん「税理士事務所におけるスキャナの活用」についてメールでやりとりしていたので、なおさらそう感じた次第(汗)。

吉澤さんの記事でも登場しているこの機種は、アマゾンでも異様に高評価ですね(汗)。


うーん、こうなったら一丁買ったろかいな(笑)。


より生産性を高めるために、一読をオススメ!

4062149486
超「超」整理法 知的能力を飛躍的に拡大させるセオリー

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【編集後記】

◆私の愛読誌である「月刊アスキー」が今月号から思いっきりビジネス寄りになってました(汗)。

月刊 ビジネスアスキー 2008年 11月号 [雑誌]
角川グループパブリッシング
発売日:2008-09-24

表紙見ただけでは、これがかつての「月刊アスキー」だとは思えず(汗)。

ただ、当ブログの読者さん的には喜ばしいのかも。


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

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この記事へのコメント
               
smooth さん、こんにちは。

私にしては珍しく、smoothさんの書評が出る前に「野口先生も思い切ったことをするな−」と思いながら読んでおりました (^^; それだけ扱うデータ量が多いのでしょうね。現在は早稲田の大学院の先生だそうですから、勝間さんに直接刺激されたのではないかと思ってしまいました。

最近はメールもラベリングして、フォルダに振り分けルールを作って分類しなくてすむし、確かに便利ではあります。

私もかなりヘビーな Google ユーザではありますが、しかし、Google が一私企業であることを忘れてはいけないなと思っています。フォビアというほどではないにしろ、メールを消しても実はログが残っているんじゃないかとか、結構疑心暗鬼(w

(まあ、その点を言えば、他のISPも多かれ少なかれ同じような事はしているわけで。Google が evil でないことを祈るばかりです)

ところで、ScanSnap はお買い得なうえに、超使えますよ!Adobe Acrobat がほとんどおまけ同然でついてくると言う…これはお薦めです。私も使ってます。OCRも、精度はもう一声ほしいですが、表組みなどのない普通の文書なら、そこそこイケてます。ペーパーレスはコワイかも知れませんが、検索性の向上にはお役立ちの一品かと思われます(^^)


Posted by sio @ Sio's Impression Blog at 2008年09月25日 11:14
               
smoothさんこんばんは!
野口先生の新刊は気になりながらも、まだ手にしていなかったので、「買わねば!」「読まねば!」とうまいこと気持ちを追い込まれましたw

>「ファクスでできることは、PDFでもできる。しかし、逆は必ずしも真ではない」
ですよね〜。
私も文具王の「ScanSnap」賛美記事以来、常々PDF化したい(ScanSnapほすぃ!)熱が高まっているのですが、いかんせん仕事先の環境が追いついていない(PDFを知らないor書類の流用が出来ないからダメorPC億劫だから紙で持ってこい!etc)状態でまだ導入に踏み切れていませんυ

Posted by きなこもち at 2008年09月26日 00:55
               
>sioさん

すでにお読みでしたか〜。
残念、今回はちょっと出遅れた感が(汗)。
GMailに関しては、どこかのタイミングで、いきなり有料とかになりそうな予感。
野口先生は逆に有料にして欲しそうでしたけどね(笑)。
そしてScanSnap使えますか!
私も古い申告書とか何とかしたいんですが、実際には申告書よりも買いまくっているビジネス書の方が問題だったりします(汗)。
さすがに破いてスキャンするのはどうかと・・・。

>きなこもちさん

ご無沙汰しております〜。
「買わねば」「読まねば」で、アマゾンアタックですね、分かりますwww
きなこもちさんの職場でも、まだ頭の固い方いらっしゃいますか。
職種的に先鋭的なのだと勝手に思ってたのですがー。
お互い、ScanSnap買ったら自慢しあいましょう(笑)。

Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2008年09月26日 02:55
               
先週、サンフランシスコに出張しており、帰りの機内で読み始めました。

この記事読むとこれから読む楽しみないな〜(笑)、ということで記事読んでません。「超」整理手帳ユーザのノグラ〜としてはさっさと読まねばならない1冊なのですが...1週間の出張分の家族サービスで手一杯です。
Posted by a_aji at 2008年09月28日 04:49
               
>a_ajiさん

ご無沙汰です〜(涙)。
a_ajiさんの『「超」整理手帳』の使いっぷりは存じてましたので、当然お読みになられているかと思ってました(笑)。
家族サービス、私もわかります(涙)。
まずはご家族優先で。
野口先生もこの手の本は、もう当分出されないと思いますし(笑)。
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2008年09月28日 12:50
               
はじめまして。
本書は買おうか悩んでいましたが、本ブログを見させていただき、買って読んでみることにしました。
またちょくちょくお邪魔します。
Posted by 胡蝶 at 2008年10月03日 23:04
               
>胡蝶さん

はじめまして。
コメント&お買い上げありがとうございます(涙)。
この本については、野口先生なりに「現時点での「超」整理法」をまとめた点で、意義があると思いました。
過去の時点においては、ご自身で見抜けなかった点を潔く訂正しているのはすごいな、と。

胡蝶さんも、書評ブロガーなんですね。
お互い良い本を発掘していきましょう!
今後ともよろしくお願いします!


はじめまして。
> 本書は買おうか悩んでいましたが、本ブログを見させていただき、買って読んでみることにしました。
> またちょくちょくお邪魔します。

Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2008年10月04日 01:54