2008年09月19日
【読書力】『ビジネスマンのための「読書力」養成講座』小宮一慶
ビジネスマンのための「読書力」養成講座 (ディスカヴァー携書)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の対談の記事でも触れた、小宮一慶先生の読書本。私のような速読オタクには、ちょっと耳イタイフレーズがアマゾンの内容紹介にありました。
今や一大ブームとなっている速読。
しかし、速読では頭はよくなりません。
読書は、どれだけ速く多くを読んだかよりも、どれだけ深く多くを得るかです。
速く読むより、速く手に入れる。
つまり「速さ」ではなく「目的」で読書法を使い分けるのです。
◆私にとって読書の目的の1つは、「当ブログの読者の方にオススメできる本を見つける」こと。
そのためには、できるだけ速く読む方が、数はこなせます。
でももっと奥深い世界があるんです・・・。
【目次】
はじめに
読書は、最高の勉強法!
実は、まったくの読書音痴だった!
法律学の教科書で、「熟読勉強法」を体得! ほか
1 速読
速読では、頭は良くならない
速読は知識を短時間で得るための読書
毎週千ページ以上のリーディングアサインメントで見つけた速読法 ほか
2 通読レベル1
最初から最後まで読むのが通読
仮説を持って読む
経験を増やす ほか
3 通読レベル2
論理的思考力を高め、頭を良くする通読レベル2の読書法
一流の学者の本で、経済の本質をつかむ
仮説をもって、ピーター・ドラッカーを読み、経営の本質を学ぶ ほか
4 熟読
これが、頭を良くする読書法!
きっちり理解するとはどういうことか?
リファランスを参照しながら読む! ほか
5 重読
人間としての成長を促す本は重読で
百回以上は読んだ『菜根譚』と安岡先生の『論語の活学』
いつも手元に置きたい一流経営者の教え ほか
6 読書力を高める八つのポイント
1 いつどこで読むのか?
2 用意するもの
3 体調のよいときに読む ほか
あとがき
【ポイント】
■速読では、頭はよくならない⇒速読は、情報を得るための読み方であって、論理的思考力を身につけるためのものではない
⇒ものごとには「広がり」と「深み」があり、若いうちには「つかみ」(論理レベルが高くないことをサッとつかめる)でよいかもしれないが、会社での地位があがると、「深み」が要求されるようになる
⇒そのためには、論理レベルが高い人が書いた本を読んで、その論理を「なぞる」のが非常によい方法なのだが、「速読」でそれを得ることはまず不可能
■速読のやり方
●注目すべき6つのポイント(抜粋)
⇒「目次」「見出し」「本文中の太字で書いてある部分」
●基本的なやりかた
⇒冒頭の部分にエッセンスが集約されていることが多いので、そこをサッと読み、あとは大事だと思うところだけチェック
⇒目次を見て、必要な部分や情報だけをピックアップして、そこだけを通読する
⇒重要なのは、不要な情報をまず、最初に捨ててしまう
●ケーススタディの速読
⇒最初の部分だけ、ややゆっくり読む
⇒あとは、固有名詞や文章の中心となるところを拾って、斜め読み
●速読で重要なこと
⇒必要不可欠、必要十分だと思うことをいかに速く手に入れるか
⇒手に入れたことを見直すことができる状態にしているか
⇒まずは対象となる分野の専門書を通読、あるいは熟読し、自分で解釈できるベースをしっかりつくる
■通読レベル1
●定義並びにレベル1,2の違い
⇒「通読レベル1」は、全体をざっと通しで読んで、そこから読書を楽しんだり、ある一定の知識を得るというのを目的とした読書
⇒「通読レベル2」は、楽しむというよりも、勉強に重点を置いた読書
●通読レベル1のお薦めのやり方(抜粋)
⇒時間をかけずによい本をどんどん読む
⇒自分なりの「仮説」を持つ
⇒仮説をどんどん検証しては、また新しい仮説を作り出す
⇒読み始めて、これは深く読んだ方がいいと決めたら、通読レベル2に上げる
⇒基本的に、読むのは移動時間
■通読レベル2
●定義・他
⇒通読レベル2では、本に線を引いたり、感じたことや思いついたことなどのメモを書き込んだりしながら読む
⇒このレベルの本をどのくらい読むかで、通読レベル1や速読で読む本から読み取れるインプットの量やそこから生まれるインスピレーション量も増えていく
⇒通読レベル1との違いは、中身のロジックの重さ
●通読レベル2のお薦めのやり方
⇒変に一般向けにアレンジされたものより、専門家を目指す人向けの入門テキストのようなものを読んだ方がいい
⇒ビジネスリーダーや政治のリーダーなどを目指す人たちには、ある一定のレベルを読みこなし、ある一定レベルの知識ベースや論理的思考力を持つ努力をするべき
⇒ある程度の英語のレベルがあれば、経済でも会計でも、原書のほうがむしろ読みやすいこともある
⇒書き込んだり、線を引いたりするので、移動時間でもある程度読書に「入り込める」場所で行う(新幹線や飛行機の中、ホテルのロビーや喫茶店等)
■熟読
●定義・他
⇒自分の専門分野や興味のある分野のものを、必要なところだけ、多くのことと関連付けながら、きっちり論理立てて読んでいく
⇒必ずしも、本の最初から最後まで全部を読まなくてよい
●熟読のポイント
⇒「書いてあることに納得する」ことと「きっちり理解する」こと
⇒文章に出てくる「What」を読みながら、「Why」が分かるようになるまで読み込み、それを「How」として自分のノウハウとし、ほかのことにも応用できるようにする
⇒熟読にふさわしいのは、「論理的思考力の高い人が書いた本」
⇒勉強の成果が、実際の仕事の中ですぐに生かせるものであると、続きやすくなる
●30時間で成果が出る
⇒熟読レベルで、ふさわしい本を1冊読み込めば、おおよそ30時間で、だいたいのことがある一定レベル(専門家レベル)に達する
⇒その分野の第一人者が書いた入門書を通読である程度理解し、その分野の基本的な内容を把握したら、熟読で、すこし難しい専門書を読んでみる
⇒さらに専門書が理解できたら、再度入門書に戻る
■重読
⇒同じ本を繰り返し読む読書法
⇒凡庸な本を読む時間があったら、いい本を繰り返し読むべき
⇒重読は「意味」を得るだけの読書ではなく、「意識」を高めるための読書
■読書力を高める8つのポイント(抜粋)
●用意するもの
⇒熟読の場合は「机」が必要だが、それ以外の場合は、「ペン」、できれば「3色ボールペン」
⇒(小宮先生の場合)熟読に関しては、線を引くための定規が必要
⇒リファレンスのためには、リファレンスする本や、パソコンとネット環境
●毎日読む
⇒いま、読書の習慣がない人は、少しでもいいから、毎日読む習慣をつけるべき
⇒「紙一重の積み重ねができる人が成功する」
紙1枚は、0.1ミリあるかないかだけれど、5百枚、千枚積み重ねれば、コピー用紙の束のように、5センチ10センチになります。1枚、2枚だと差がないように思うかもしれないけれど、たくさん積み重ねているうちに大きな差になります。
読書も同様で、1冊2冊読んでも読まなくても違いはないと思うかもしれないけれど、それをある程度積み重ねていくと、そうでない人とたいへんな差になるのです。
●読書力を高める最速の方法とは?
⇒いちばん手っとり早いのは、いきなり熟読で論理的思考を身につけてしまうこと
⇒それが難しければ、注もその都度読みながら、ときには引用文献も参照しながら、自分の引き出しと照らし合わせ、つなぎ合わせながら読んでいく
【感想】
◆本書の「はじめに」にあるのですが、小宮先生は昔は読書嫌いで、高校時代の現代国語の成績はメロメロだったとか。それがとあるきっかけ(詳細は本書を(笑))で「読める」ようになり、その後は現代国語の先生をやりこめるまでになったのだそうです。
さらには、大学時代は法律学の教科書の面白さに目覚めて(笑)、教科書を条文や判例を参照しながら読んだり、それを自分なりにまとめるというレベルにまで至ったという・・・(汗)。
本書でも先生自身が言われているのですが、これはまさに「熟読」そのものですよね。
◆そしてそもそも上記のお話には、娯楽的な要素というものがありません。
まず「目的」があって、それに対する「手段」がある、と。
実際、小宮先生はコンサルタントとして、顧問先の会社の役員会に出席される関係上、その場で配られた資料を読みこなし、適切な意思決定をしなければなりません。
そういうときに小宮先生が使われるのは、もちろん「速読」。
つまり、『「目的」によって、読み方は変わるべき』ということになります。
◆私の場合は、セミナーの記事でも申し上げたように、「ブログを書く」という目的のためには、ある程度サクサク読んでいかないと、間に合いません。
本書においては、各読み方ごとに小宮先生のお薦め本が掲載されているのですが、私は全て速読でこなして・・・ってそれ以前にあまりに読んでない本が多くて、ちょっとショックを受けましたよ(涙)。
もっとも、当ブログで今まで人気のあった本とは、ちょっと毛色がちがっておりましたので、私が読んでここでご紹介しても、あまり皆様には喜ばれなさそうな気がしないでもなく(汗)。
◆私自身は、本書で言うところの「速読」「通読レベル1」「通読レベル2」を使い分けているのだと思います。
ただし、「論理的思考力」を高めるためには、どうしても「熟読」は必要とのこと。
もっとも私の場合は本業で実践できないこともないので、そちらで試してみたいと思います。
・・・もちろん当ブログでは「税務会計は扱わない」ので、その結果が日の目を見ることはないのですが(涙)。
◆なお、一見本書は「アンチ速読」っぽい売られ方(特に装丁(笑))をされていますが、本書で小宮さんが言われる「熟読」をすることによって、結局はその熟読した分野の本を速く読むことができると言われています。
そういう意味では、「もっと速く本が読みたい」と言う方にも、アプローチの1つとして考慮して頂きたいところ。
ただし、そのためには、分野ごとの良質の本を読む必要がある、とのこと。
というわけで、本書の第7章では、「必読書60」として、そんな良質の本のリストが掲載されていますので、気になる方はそちらをご覧下さい。
速読したい人も「急がば回れ」!
ビジネスマンのための「読書力」養成講座 (ディスカヴァー携書)
【気になったご本】
◆上記の「必読書60」の中から、何冊か気になったものをご紹介しておきます。【関連記事】
【読書力】小宮一慶さん勝間和代さんのセミナーに行ってきました(2008年09月17日)【独断予想?】勝間和代さんの「読書進化論」はこんな感じの本?!(2008年09月13日)
【読書術】「いつも目標達成している人の読書術」丸山純孝(2008年09月08日)
【本ネタ】当ブログの人気「読書本」はコレだ!(2008年08月31日)
【読書】本200%活用ブック(2007年10月02日)
【編集後記】
◆昨日、リアル書店で買った1冊。当ブログは「論壇」とは全く違う方向性を持っておりますが、なかなか面白いです。
ご声援ありがとうございました!
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フォトリー修行中の身ですが、速読と聞いてやってまいりました(汗)
この本、書店で見つけて気になっていました。
確かに、熟読しないといけない本もありますね。専門書などはどうしても遅くなるので、「フォトリーなのに、これでいいんだろうか」と思ってしまうこともしばしば(苦笑)もとより、英語の本などは完全に最初から熟読モードです。
ある意味、これは仕方ないことだと思ってます。読み飛ばすことができるのは、ある程度前提知識があってこそだと思うので、小宮氏がおっしゃる通り、難しい本をいきなり読むのではなく、入門書からというのは正しい戦略だと私も思います。
そうはいっても、速読も意味がないことではないと思うので、これからも修行を続けます (^^;
しかし、最近眼精疲労が激しく、バリバリに肩が凝ってます←寄る年波には勝てない(爆)
例えば、これまで私がノウハウの持っているものの本について、かつ分量が少ないものについては、帰り道時間内に読み終えることができるのですが、専門知識については、その予備知識がないと、「ざっと」速読はできないものです。
その際は、読んでいるうちに知識の習得欲がわき、思わず「熟読」してしまうことがあるかもしれません。フォトリー初級者の私ですが、よくよく考えながら、学習を続けたいと思います。
このご本、速読についても、結構キモとなるお話もされているのですが、小宮先生のバックボーンや本自体の売り方もあって、当ブログとしては「速読本」に比べると、極めて反応が悪いです(汗)。
それと、フォトリーは分かりませんが、やはり本の読みすぎは目には負担ですよね。
私はどちらかというと老眼が心配になってきました・・・(汗)。
>maechanさん
私はフォトリー未経験者なのではっきりは言えませんけど、やはり予備知識のあるなしは、絶対に関係あると思います。
そういう意味では、まず1冊だけでも入門書をジックリ読んで、それから関連書をフォトリーで読むのがいいのかな、とか。
色々考えさせられる1冊でした。
フォトリーとか速読系の読書法は、いろいろ出ているので、小宮さんのキャラからも、あえて違うアプローチで、別のマーケットをと思って出しましたが、先日の講演会にいらした方々の反応を分析すると、比較的若い層にもいけるんじゃないかと、新しい広がりを感じているところです。
帯を付け替えましょうかね?
「熟読で、もっと速く読めるようになる!」とか「結局は、熟読している人が一番速く読めていた!」とか??
わたしはかねてより熟読支持者です。その理由は、熟読が好きで、速読が苦手だという単純なところに端を発しているのですが(−−;
こういう本が出版されたことに、わたしはなにやら安堵感を覚えてしまいました。
この本の内容は、『本を読む本』に少し近いようですね。『本を読む本』はアカデミック過ぎる感じがするのですが、この本は現代社会に暮らす一般人向けにカスタマイズされている感じがGood!かもしれません。
あまりお役に立てずにスイマセン。
自分なりに工夫してみたつもりなんですが、今のところあまり結果が伴っておりません(汗)。
帯の話その他については、別途メールした通りでございます。
>丸山さん
私も本業ではそうなのですが、法律関係の本は、速読とはマッチしませんよね。
私も税法関係の本は、まったくの部外者の方よりは速く読めますが、それでも普通のビジネス書に比べたら、全然遅いスピードでしか読めませんし。
本書は確かに「本を読む本」にテイスト的には近いかもしれませんね。
向こうが売れてるなら、本書も・・・(笑)。
久しぶりに記事を書きましたので、トラックバックさせていただきます。(笑)
しかし、内容だけでなく、コメント欄も凄いですね。
いつも参考にさせていただいてますので、今後もよろしくお願いします。<(_ _)>
ご紹介ありがとうございます。
というか、お互いなんでこんな時間まで(涙)。
いつもご覧頂きありがとうございます。
そちらにも、ご挨拶にお伺いさせて頂きます。